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「野良犬 (1949年の映画)」の版間の差分

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| 作品名 = 野良犬
| 作品名 = 野良犬
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| 製作会社 = [[新東宝]]<br/>映画芸術協会
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| 上映時間 = 122分
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『'''野良犬'''』(のらいぬ)は、[[1949年]]の[[日本映画]]。[[新東宝]][[映画芸術協会]]の提携製作、[[東宝]]配給。監督は[[黒澤明]]。[[モノクロ]]。
『'''野良犬'''』(のらいぬ)は、[[1949年]](昭和24年)[[10月17日]]公開の[[日本映画]]である。[[新東宝]][[映画芸術協会]]製作、[[東宝]]配給。監督は[[黒澤明]]、主演は[[三船敏郎]]。[[モノクローム|モノクロ]]、[[画面アスペクト比|スタンダード]]、122分


終戦直後の[[東京]]を舞台に、[[拳銃]]を盗まれた若い刑事がベテラン刑事と共に犯人を追い求める姿を描いた、黒澤監督初の犯罪サスペンス映画である。[[東宝争議]]の影響で[[東宝]]を離れていた黒澤が他社で撮った作品の1本である。第23回[[キネマ旬報ベスト・テン]]第3位、[[芸術祭 (文化庁)|芸術祭]]文部大臣賞。
== 概要 ==
[[東宝争議]]の影響で[[東宝]]での製作を断念した[[山本嘉次郎]]、[[本木荘二郎]]らの映画芸術協会に参加した[[黒澤明]]が、[[大映]]で製作した『[[静かなる決闘]]』に次ぎ、[[新東宝]]で製作した作品である。脚本は当時若手だった[[菊島隆三]]を起用し、黒澤と共同で執筆した。以降、菊島は黒澤作品8本を手がけた。[[淡路恵子]]のデビュー作であり、井田綾子の本名でクレジットされている。


== あらすじ ==
[[第二次世界大戦]]終戦後の[[ドッジ・ライン]]時の[[東京]]を舞台に、若い刑事が盗まれた[[拳銃]]とそれによって引き起こされる強盗殺人事件の犯人を追い求める、黒澤作品初の犯罪サスペンス映画である。前作の『[[醉いどれ天使]]』同様、戦後の街並みや風俗とその中で生きている諸々の登場人物が生き生きと描写されている。
[[File:Stray Dog85.png|thumb|[[三船敏郎]](左)と[[志村喬]]。]]
ある猛暑の日、村上刑事は射撃訓練からの帰途のバス中で[[回転式拳銃|コルト式拳銃]]を掏られ、犯人を追うも見失ってしまう。拳銃の中には7発の銃弾が入っていたため、事件が起きるのではないかと彼は焦り戸惑う。村上は上司の中島警部の進言で、スリ係の市川刑事に相談し、鑑識手口カードを調べるうちに女スリのお銀に目星を付ける。村上はお銀のもとを訪ねるも、彼女はシラを切るばかり。そこで村上は彼女を執拗に追い回し、とうとう観念したお銀は、場末の盛り場でうろついてるとピストル屋が袖を引くというヒントを与える。


ピストルを探すため復員兵姿で[[闇市]]を歩く村上は、ピストルの闇取引の現場を突き止め、ピストル屋のヒモの女を確保するが、先に女を捕まえたためコルトを渡しに来た男に逃げられてしまう。そこへ[[淀橋]]で強盗傷害事件が発生し、その銃弾を調べると村上のコルトが使われたと分かった。責任を感じた村上は辞表を提出するが、中島警部はそれを引き裂き「君の不運は君のチャンスだ」と叱咤激励する。村上は淀橋署のベテラン刑事佐藤と組み捜査を行うことになった。
プロ野球の試合の行われている[[後楽園球場]]で刑事2人が拳銃の闇ブローカーを捕まえるシーンがあるが、これは実際の[[読売ジャイアンツ|巨人]]対[[福岡ソフトバンクホークス|南海]]の試合映像が使われており、[[川上哲治]]・[[青田昇]]・[[千葉茂 (野球)|千葉茂]]・[[武末悉昌]]ら当時の選手の姿も見られる。『全集 黒澤明』(岩波書店)の第2巻に収録されたシナリオでは、この試合は巨人対[[阪神タイガース|阪神]]戦となっており、[[別当薫|別当]]の名前が見られる。また、「ラッキーセブンでございます」の場内放送に合わせて観客が一斉に立ち上がり、[[私を野球に連れてって|セブンス・イニング・ストレッチ]]をする様子も見られる。


村上と佐藤はピストル屋のヒモの女を聴取して、拳銃の闇ブローカー・本多の存在を突き止める。本多が野球好きだと知り、捜査陣は[[読売ジャイアンツ|巨人]]対[[福岡ソフトバンクホークス|南海]]戦が行われる[[後楽園球場]]に向かう。アイスキャンディー売りの男が本多を発見し、二人は場内放送で本多を正面玄関に呼び出して逮捕する。本多の口からピストルは遊佐の元にあることが判明。二人は早速遊佐の実家の桶屋へ向かい、姉から復員のときに帰りの汽車で全財産のリュックを盗まれて、それが原因でグレたことを知る。また、実家の部屋から発見した便箋より、恋人のハルミの存在をつかむ。二人はダンスホールを訪ね、そこで踊子をしているハルミを訪ねるが、多感な年頃の彼女は遊佐との関係には口を割らなかった。
闇市を歩く村上の[[シークエンス#映画|シークエンス]]では、助監督の[[本多猪四郎]]がカメラマンと2人で本物の闇市を隠し撮りした。その際、歩く村上の足をフォローするカットなどでは本多自身が[[スタンドイン]]を務めた。


[[File:Vlcsnap-87256.png|thumb|敵の凶弾に倒れる佐藤刑事(志村喬)。中央の男性は[[菅井一郎]]。]]
1949年度の[[キネマ旬報ベストテン]]に第3位でランクインされた。また、[[毎日映画コンクール]]の撮影賞・音楽賞・美術賞・助演男優賞も受賞している。[[1999年]]に[[キネマ旬報社]]が発表した「映画人が選ぶオールタイムベスト100・日本映画編」では38位にランクインされた(同じ順位に『[[日本のいちばん長い日]]』、『[[ソナチネ]]』、『[[天国と地獄 (映画)|天国と地獄]]』など)。
ついに村上のコルトで殺人事件が発生、まだピストルには弾が5発残っている。二人はハルミのアパートへ向かい、村上はハルミが遊佐について白状するのを待つ。佐藤は部屋にあった「あづまホテル」のマッチを手掛かりに遊佐の姿を追い、彼が宿泊する弥生ホテルに辿り着く。佐藤はホテルの電話から村上に電話をかけるが、遊佐の凶弾に倒れてしまう。受話器越しで2発の銃弾を聞いた村上は絶叫する。


翌朝、警察病院で佐藤の回復を待つ村上の元にハルミがやって来て、遊佐が午前6時に大原駅(架空の駅){{Refnest|group="注釈"|大原駅のシーンは、[[西武池袋線]]の[[大泉学園駅]]で撮影された<ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.14</ref>}}で待っていることを告げる。村上は駅へ駆け出し、待合室の人々の中から遊佐を探し出す。村上と目が合った遊佐は逃亡、それを追いかけ、雑木林の中で格闘を繰り広げる。1発の銃弾が村上の左腕を射抜き、残りの2発は外れ、弾丸はなくなった。力尽きた遊佐に村上は手錠をかける。その側を登校する子供たちが「[[ちょうちょう (唱歌)#唱歌「蝶々」|蝶々]]」を歌いながら通っていく。
== あらすじ ==

ある猛暑の日、村上刑事は射撃訓練からの帰途のバス中で、[[回転式拳銃|コルト式拳銃]]を掏られてしまう。拳銃の中には7発の銃弾が入っていたため、事件が起きるのではないかと彼は焦り戸惑う。村上はスリ係の市川刑事とこの犯行を幇助した女スリ・お銀から貸しピストル屋を聞き出し、ベテランの佐藤刑事の指揮の下で、拳銃の闇ブローカー・本多を突き止めて[[後楽園球場]]で逮捕する。しかしその最中にも村上の拳銃による強盗傷害、果ては殺人までが起こってしまう。犯人は割り出せたが、犯人の遊佐は既に逃亡。訊き込みの末、遊佐は幼馴染みだったレビューの踊り子・並木ハルミに言い寄っていたことが判るが、多感な年頃の踊り子はなかなか口を割らない。ついに佐藤刑事までが凶弾に傷つき、村上はただ独り、遊佐を追い詰め対峙の瞬間を迎える。
== スタッフ ==
* 監督:[[黒澤明]]
* 製作:[[本木荘二郎]]
* 脚本:黒澤明、[[菊島隆三]]
* 撮影:[[中井朝一]]
* 照明:[[石井長四郎]]
* 録音:[[矢野口文雄]]
* 美術:[[松山崇]]
* 振付:[[縣洋二]](S.K.D)
* 音楽:[[早坂文雄]]
* 助監督:[[本多猪四郎]]
* 編集:[[後藤敏男]]
* 製作主任:[[平木政之助]]
* 監督助手:[[今泉善珠]]<ref name="小学館">[[#小学館2011|小学館2011]]、p.16</ref>
* B班撮影:[[山田一夫]]<ref name="小学館"/>
* 美術助手:[[村木与四郎]]<ref name="小学館"/>
* 音響効果:[[三縄一郎]]<ref name="小学館"/>
* 現像:新東宝現像所<ref name="小学館"/>


<!--==見どころ==
{{雑多な内容の箇条書き|section=1|date=2013年1月}}
*脚本家の[[菊島隆三]]が警視庁を取材中に小耳に挟んだ警官拳銃紛失事件が作品の基になっている。
*戦後すぐの[[東京]]がある意味で主役であり、そこにある風俗描写をありのまま描く事で、時代のリアル感と喪失感が作品の深みを増している。徐々に復興されつつある街並と、そこに生きる人々の姿。主人公が女スリを尾行するシーンや拳銃のブローカーを探して方々を彷徨い歩くシーンなどは、長いシーケンスだが見飽きのない面白さがある。下町、歓楽街、商店街等に荒廃の中から立ち直りつつある活気が感じ取れる一方、戦火の比較的少なかった郊外にはまだまだ緑が多く、のどかな風景を見てとれる。復興が進むとはいえ大衆の暮らしはまだまだ貧しく、戦争の爪痕は衣食住の欠乏のみならず、人心にまで及んでいたことをよく表した作品でもある。戦後、[[アプレゲール]]と呼ばれた若者の中には、捨て鉢な生き方に走る者も多かった。本作品の刑事と犯人は共に復員兵であり、そして復員する電車内で鞄を掏られた共通点を持つ。三船演じる主人公の村上は、敢て正道を進もうと決意し[[警察官]]になったが、木村演じる犯人の遊佐はそんな時代に負けた者であり、黒澤監督ならではの善悪対比、あるいは善悪並立とでも言える構図がこの作品中にも存在する。
*この作品は後に数多く登場する[[刑事ドラマ]]のハシリとも評され、[[犯罪捜査]]の流れに沿ったストーリー構成には緊張感がある。ただ、後進の刑事ドラマと一味趣向を異にするのは、犯行の引き金となったのが捜査担当である刑事自身のミスであるという点であり、他のシークエンスでの描写と相まって善対悪という図式を一筋縄ではいかない曖昧なものにしている。
*三船の演技には、前作のやくざ役で見せた負の魅力と表裏一体的な正の強さが感じられ、三船自身が持つ野性味あふれる存在感は善悪を超えたものといえよう。
*村上と遊佐のクライマックスシーンで、何も知らない裕福な主婦が弾く穏やかで平和なピアノのメロディと幼稚園児たちが同一場面に描かれる。堕落や狂気と日常的な平穏、無垢さと犯人の断末魔とが同一画面の中に存在するという黒澤監督ならではの対位法と呼ばれる演出を用いた最初の作品である。
*また、米映画「[[デリンジャー (映画)|デリンジャー]]」「[[激突!]]」「[[フレンチ・コネクション]]」「[[リーサル・ウェポン]]」「[[セブン (映画)|セブン]]」にはこの作品を[[オマージュ]]したシーンがある。
** [[2002年]]に公開された[[ジョージ・ルーカス]]監督の映画『[[スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃]]』の序盤で、[[ジェダイ]]の師弟で師匠の[[オビ=ワン・ケノービ]]が、[[ライトセーバー]]を落とした弟子の[[アナキン・スカイウォーカー]]を咎めるシーンは、本作での拳銃を盗まれた新米の村上を、ベテランの佐藤が叱責するシーンの引用である。
*黒澤は『[[ジュール・メグレ|メグレシリーズ]]』で知られる[[推理作家]]、[[ジョルジュ・シムノン]]の愛読者で、『野良犬』のプロットや演出は、「メグレ警視」の影響を受けていると言われる。
* [[2010年]]に公開された『[[踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!]]』では、本作のオマージュが随所に捧げられており、バスの乗客に本作の[[志村喬]]と[[三船敏郎]]と同じ格好をした者がいる。
* 刑事たちが銃弾の線条痕を照合するため鑑識を訪れる場面では、鑑識の担当者が拳銃を砂箱の中に撃ち込んでいるが、ここでは本物の[[九四式拳銃]]が使われた。
-->
== キャスト ==
== キャスト ==
[[image:Stray Dog85.png|thumb|[[志村喬]]と[[三船敏郎]]]]
[[Image:Vlcsnap-90390.png|thumb|木村功と三船敏郎]]
* 村上刑事:[[三船敏郎]]
* 村上刑事:[[三船敏郎]]
* 佐藤刑事:[[志村喬]]
* 佐藤刑事:[[志村喬]]
* 並木ハルミ(レビュー劇場の踊り子、遊佐の幼なじみ):[[淡路恵子|淡路惠子]]
* 並木ハルミ[[淡路恵子|淡路惠子]]<small>(S.K.D)</small>
* ハルミの母:[[三好栄子|三好榮子]]
* ハルミの母:[[三好栄子|三好榮子]]
* ピストル屋のヒモ(拳銃密売仲介屋):[[千石規子]]
* ピストル屋のヒモ[[千石規子]]
* 桶屋の女房(遊佐の姉):[[本間文子]]
* 桶屋の女房(遊佐の姉):[[本間文子]]
* スリ係市川刑事:[[河村黎吉]]
* スリ係市川刑事:[[河村黎吉]]<small>(松竹)</small>
* 光月の女将:[[飯田蝶子]]
* 光月の女将:[[飯田蝶子]]<small>(松竹)</small>
* 桶屋のおや:[[東野英治郎]]
* 桶屋のおや:[[東野英治郎]]<small>(俳優座)</small>
* 阿部捜査主任:[[永田靖]]
* 阿部捜査主任:[[永田靖]]<small>(俳優座)</small>
* 呑屋のおやぢ:[[松本克平 (俳優)|松本克平]]
* 呑屋のおやぢ:[[松本克平 (俳優)|松本克平]]<small>(俳優座)</small>
* 遊佐:[[木村功]]
* 遊佐:[[木村功]]<small>(俳優座)</small>
* スリのお銀:[[岸輝子]]
* スリのお銀:[[岸輝子]]<small>(俳優座)</small>
* レビュ劇場の演出家:[[千秋実|千秋實]]
* レビュ劇場の演出家:[[千秋実|千秋實]]<small>(バラ座)</small>
* ホテル彌生の支配人:[[菅井一郎]]
* ホテル彌生の支配人:[[菅井一郎]]<small>(第一協團)</small>
* 係長中島警部(村上の上司):[[清水元]]
* 係長中島警部(村上の上司):[[清水元]]<small>(第一協團)</small>
* 水撒きの巡査:[[柳谷寛]]
* 水撒きの巡査:[[柳谷寛]]<small>(第一協團)</small>
* 本多(拳銃の闇ブローカー):[[山本礼三郎]]
* 本多(拳銃の闇ブローカー):[[山本礼三郎]]<small>(第一協團)</small>
* 鑑識課員:[[伊豆肇]]
* 鑑識課員:[[伊豆肇]]<small>(第一協團)</small>
* 被害者中村の夫:[[清水将夫]]
* 被害者中村の夫:[[清水将夫]]<small>(第一協團)</small>
* アパートの管理人:[[高堂國典]]
* アパートの管理人:[[高堂國典]]
* レビュ劇場の支配人:[[伊藤雄之助]]
* レビュ劇場の支配人:[[伊藤雄之助]]
* 若い警察医:生方明
* 若い警察医:[[生方明]]
* さくらホテルの支配人:[[長浜藤夫|長濱藤夫]]
* さくらホテルの支配人:[[長浜藤夫|長濱藤夫]]
* リーゼントスタイルのボーイ:生方功
* リーゼントスタイルのボーイ:[[生方功]]
* チンピラ:水谷史郎
* チンピラ:[[水谷史郎]]
* 老人の町医者:[[田中栄三|田中榮三]]
* 老人の町医者:[[田中栄三|田中榮三]]
* 佐藤の妻:本橋和子
* 佐藤の妻:[[本橋和子]]
* あづまホテルのマダム:[[戸田春子]]
* あづまホテルのマダム:[[戸田春子]]
* 藝者金太郎:登山晴子
* 藝者金太郎:[[登山晴子]]
* パチンコ屋の女:安雙三枝
* パチンコ屋の女:[[安雙三枝]]
* 支配人の妻:三條利喜江
* 支配人の妻:[[三條利喜江]]
* レビュー劇場の客:[[堺左千夫]] ※ノンクレジット
以下はノンクレジット
* レビュー劇場の客:[[堺左千夫]]
* ピアノを弾く奥さん:[[辻伊万里]]<ref>[[西村雄一郎]]『黑澤明 音と映像』、[[立風書房]]、1990年、p.82</ref>
* スリの男:[[宇野晃司]]
* 鑑識課手口カード係:[[山川朔太郎]]
* 新聞記者:[[松尾文人]]
* ナレーター:本木荘二郎<ref>[[藤川黎一]]『黒澤明vs.本木荘二郎 それは春の日の花と輝く』、論創社、2012年、p.240</ref>


==作品解説==
ナレーターは製作者の本木荘二郎だが、クレジットはされていない<ref>藤川黎一『黒澤明vs.本木荘二郎 それは春の日の花と輝く』p.240</ref>。
日本映画において、ドキュメンタリータッチで描く刑事ものという新しいジャンルを開拓し、画期的な作品として、その後の同系作品に影響を与えた<ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.4</ref><ref>[http://kinema-shashinkan.jp/cinema/detail/-/2_0360 野良犬]、キネマ写真館、2015年5月16日閲覧</ref>。また『[[醉いどれ天使]]』同様、戦後の街並みや風俗とその中で生きている諸々の登場人物が生き生きと描写されている。当時、黒澤は[[東宝争議]]の余波で[[東宝]]での映画製作を断念し、師の[[山本嘉次郎]]や[[本木荘二郎]]らと映画芸術協会に参加して他社で映画を撮っていた。本作は[[大映]]で撮った『[[静かなる決闘]]』に続いて他社で撮った2本目の作品で、映画芸術協会と新東宝の提携により製作した。


探偵小説の愛読者でもあった黒澤は、[[ジョルジュ・シムノン]]を意識したサスペンス映画を作ろうと企画し、新人の脚本家[[菊島隆三]]を共作に抜擢し、彼を[[警視庁]]に通わせて題材を集めさせた。そこで捜査一課の係長から、警官が拳銃を紛失することがあるというエピソードを入手、それを採用して[[熱海]]で脚本を作り上げた<ref>[[#都築2010|都築2010]]、p.157</ref><ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.12</ref>。
== スタッフ ==

* 監督:[[黒澤明]]
撮影のほとんどは貸しスタジオの[[東映東京撮影所|太泉スタジオ]]で行われた<ref name="丹野">[[#丹野1998|丹野1998]]、p.28</ref>。予算が少ない中、警察の鑑識課からどじょう屋、ホテルやヒロインのアパートまで、オープンセットを含めて実に30数杯のセットが造られた<ref name="丹野"/><ref name="第三部">[http://kinema-shashinkan.jp/special/-/90/ 黒澤明 人生を映画に捧げた男・第三部]、キネマ写真館、2015年5月16日閲覧</ref>。警察の鑑識課のセットは実際に警察署を見学し、引き出しのネームプレート一つに至るまで忠実に再現された<ref name="第三部"/>。美術助手を務めた[[村木与四郎]]によると、どじょう屋のシーンでは生簀に本物のどじょうを入れたが、画面には全く映らなかったと、語っている<ref>[[#丹野1998|丹野1998]]、p.29</ref>。
* 製作:[[本木荘二郎]]

* 脚本:黒澤明、[[菊島隆三]]
本作は[[淡路恵子]]の映画デビュー作である。淡路は当時[[松竹歌劇団]]の研究生であり、本作に出演した時はまだ16歳だった。並木役の最終候補では淡路ともう一人が残ったが、黒澤が「淡路君の方が意地っ張りで面白そうだ」と決めたという<ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.15</ref>。また、後の黒澤映画の常連俳優である[[千秋実]]の黒澤作品初出演作でもある。当初の配役では、並木ハルミ役に[[桂木洋子]]、中島警部役に[[小沢栄太郎|小沢栄]](当時の芸名、後の小沢栄太郎)、スリのお銀役に[[沢村貞子]]、桶屋の女房役に[[赤木蘭子]]だった<ref>[http://www.ss.i.ryukoku.ac.jp/pearl/pages/pearl/index.html# 黒澤明デジタルアーカイブ]、2015年5月17日閲覧</ref>。
* 撮影:[[中井朝一]]

* B班撮影:[[山田一夫]]
復員服姿の村上刑事が闇市を歩く場面では、助監督の[[本多猪四郎]]と撮影助手の[[山田一夫]]の2人が[[上野]]の本物の闇市で隠し撮りを敢行し、本多は[[三船敏郎]]の[[スタンドイン]]を務め、山田が[[アイモ]]を箱の包に入れて撮影した<ref>[[岩本憲児]]『黒澤明をめぐる12人の狂詩曲』、早稲田大学出版部、2004年、p.25</ref>。黒澤は後に「この作品で戦後風俗がよく描けていると言われるが、それは本多に負うところが大きい」と語り、本多を称賛している<ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.5</ref>。
* 照明:[[石井長四郎]]

* 録音:[[矢野口文雄]]
[[後楽園球場]]で刑事2人が拳銃の闇ブローカーを捕まえるシーンでは、実際の[[読売ジャイアンツ|巨人]]対[[福岡ソフトバンクホークス|南海]]の試合映像が使われており、[[川上哲治]]・[[青田昇]]・[[千葉茂 (野球)|千葉茂]]・[[武末悉昌]]ら当時の選手の姿も見られる。『全集 黒澤明』(岩波書店)の第2巻に収録されたシナリオでは、この試合は巨人対[[阪神タイガース|阪神]]戦となっており、[[別当薫|別当]]の名前が見られる。また、「ラッキーセブンでございます」の場内放送に合わせて観客が一斉に立ち上がり、[[私を野球に連れてって|セブンス・イニング・ストレッチ]]をする様子も見られる。
* 美術:[[松山崇]]

* 振付:縣洋二(S・K・D)
緊迫したシーンにあえて穏やかで明るい曲を流し、わざと音と映像を調和させない〈音と画の対位法〉<ref>岩宮眞一郎『図解入門 最新音楽の科学がよくわかる本-音楽と人とのかかわりを科学的に考察する-』、秀和システム、2012年、p.154</ref>という手法が本作でも用いられている。劇中の使用例をみると、佐藤刑事がホテルで撃たれるシーンでは、ホテルのラジオから「ラ・パロマ<ref group="注釈">[[セバスティアン・イラディエル]]が作曲した[[キューバ]]の民族舞曲</ref>」が流れ、ラストの村上と遊佐が対決する緊迫感あるシーンでは、主婦が弾く穏やかなピアノのメロディと、最後に子供達が歌う「[[ちょうちょう (唱歌)#唱歌「蝶々」|蝶々]]」が流れる。
* 音楽:[[早坂文雄]]

* 助監督:[[本多猪四郎]]
<!--==見どころ==
* 編集:後藤敏男
{{雑多な内容の箇条書き|section=1|date=2013年1月}}
* 製作主任:平木政之助
*戦後すぐの[[東京]]がある意味で主役であり、そこにある風俗描写をありのまま描く事で、時代のリアル感と喪失感が作品の深みを増している。徐々に復興されつつある街並と、そこに生きる人々の姿。主人公が女スリを尾行するシーンや拳銃のブローカーを探して方々を彷徨い歩くシーンなどは、長いシーケンスだが見飽きのない面白さがある。下町、歓楽街、商店街等に荒廃の中から立ち直りつつある活気が感じ取れる一方、戦火の比較的少なかった郊外にはまだまだ緑が多く、のどかな風景を見てとれる。復興が進むとはいえ大衆の暮らしはまだまだ貧しく、戦争の爪痕は衣食住の欠乏のみならず、人心にまで及んでいたことをよく表した作品でもある。戦後、[[アプレゲール]]と呼ばれた若者の中には、捨て鉢な生き方に走る者も多かった。本作品の刑事と犯人は共に復員兵であり、そして復員する電車内で鞄を掏られた共通点を持つ。三船演じる主人公の村上は、敢て正道を進もうと決意し[[警察官]]になったが、木村演じる犯人の遊佐はそんな時代に負けた者であり、黒澤監督ならではの善悪対比、あるいは善悪並立とでも言える構図がこの作品中にも存在する。
* 監督助手:今泉善珠
*この作品は後に数多く登場する[[刑事ドラマ]]のハシリとも評され、[[犯罪捜査]]の流れに沿ったストーリー構成には緊張感がある。ただ、後進の刑事ドラマと一味趣向を異にするのは、犯行の引き金となったのが捜査担当である刑事自身のミスであるという点であり、他のシークエンスでの描写と相まって善対悪という図式を一筋縄ではいかない曖昧なものにしている。
* 現像:新東宝現像所
*三船の演技には、前作のやくざ役で見せた負の魅力と表裏一体的な正の強さが感じられ、三船自身が持つ野性味あふれる存在感は善悪を超えたものといえよう。
*また、米映画「[[デリンジャー (映画)|デリンジャー]]」「[[激突!]]」「[[フレンチ・コネクション]]」「[[リーサル・ウェポン]]」「[[セブン (映画)|セブン]]」にはこの作品を[[オマージュ]]したシーンがある。
** [[2002年]](平成14年)に公開された[[ジョージ・ルーカス]]監督の映画『[[スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃]]』の序盤で、[[ジェダイ]]の師弟で師匠の[[オビ=ワン・ケノービ]]が、[[ライトセーバー]]を落とした弟子の[[アナキン・スカイウォーカー]]を咎めるシーンは、本作での拳銃を盗まれた新米の村上を、ベテラン刑事の佐藤が叱責するシーンの引用である(劇中で佐藤は村上を叱責していない)。
*黒澤は『[[ジュール・メグレ|メグレシリーズ]]』で知られる[[推理作家]]、[[ジョルジュ・シムノン]]の愛読者で、『野良犬』のプロットや演出は、「メグレ警視」の影響を受けていると言われる。
-->
==評価==
===受賞===
*第23回[[キネマ旬報ベスト・テン]] 第3位
*第4回[[毎日映画コンクール]] 撮影賞、音楽賞、美術賞、男優演技賞(志村喬)
*第4回[[芸術祭 (文化庁)|芸術祭文部大臣賞]]
*都民映画コンクール 銀賞<ref name="小学館"/>
*シナリオ作家協会 シナリオ賞<ref name="小学館"/>

===ランキング===
*[[1989年]]:「大アンケートによる日本映画ベスト150」([[文藝春秋]]発表)第62位
*[[1995年]]:「日本映画 オールタイム・ベストテン」([[キネマ旬報]]発表)第52位
*[[1999年]]:「オールタイム・ベスト100・日本映画編」(キネマ旬報発表)第38位<ref>『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』、キネマ旬報社、2012年5月23日、p.588</ref>
*[[2009年]]:「オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇」(キネマ旬報発表)第10位<ref>[http://web.archive.org/web/20091215171829/http://www.kinejun.jp/special/90alltimebest/index.html 「オールタイム・ベスト 映画遺産200」全ランキング公開]、[[キネマ旬報映画データベース]]、2015年5月15日閲覧</ref>

==ギャラリー==
<gallery>
File:Stray Dog93.png|[[三船敏郎]]
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File:Vlcsnap-72334.png|[[山本礼三郎]]
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File:Vlcsnap-75791.png|左から三船、志村、[[生方功]]
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File:Vlcsnap-86671.png|左から三船、[[三好栄子]]、[[高堂國典]]、淡路
Vlcsnap-90390.png|三船(左)と木村
</gallery>

== その他 ==
* タイトルバックの野良犬が喘ぐシーンは、野犬狩りで捕まえた犬を貰い受け、撮影所の周りを走らせた後で撮影したものである。しかし、[[アメリカ]]の動物愛護協会の婦人から「正常な犬に[[狂犬病]]の注射をした」と告発された。供述書を出してこの出来事は幕となったが、黒澤は「戦争に負けた悲哀を感じた」と語っている<ref>[[#小学館2011|小学館2011]]、p.12</ref>。
* 黒澤は、本作を撮り終えた時、俳優やスタッフと別れるのがつらかったと、自伝『蝦蟇の油』に記している<ref>[[#都築2010|都築2010]]、p.161</ref>。
* 村上刑事が銃弾の線条痕を照合するため鑑識を訪れる場面では、鑑識の担当者が拳銃を砂箱の中に撃ち込んでいるが、ここでは本物の[[九四式拳銃]]が使われた。
* [[2010年]](平成22年)に公開された『[[踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!]]』では、本作のオマージュが随所に捧げられており、バスの乗客に本作の[[志村喬]]と[[三船敏郎]]と同じ格好をした者がいる。


== リメイク版 ==
== リメイク版 ==
[[森崎東]]監督、[[1973年]]公開[[松竹]]配給映画。主役の刑事が拳銃を盗まれる冒頭シーンはほぼ同じであるが、ストーリーが進むにつれてオリジナルとは大きく異なった展開を見せ、クライマックスは[[在日米軍]]などで揺れる[[沖縄県|沖縄]]問題がテーマとなる。村上を[[渡哲也]]、佐藤を[[芦田伸介]]が演じたほか、オリジナルの黒澤映画常連俳優の一人、[[千石規子]]が出演している。
[[1973年]](昭和48年)[[9月29日]]公開[[松竹]]製作・配給。監督は[[森崎東]]、主演は[[渡哲也]]。[[カラー映画|カラー]]、[[画面アスペクト比|ワイド]]、104分。主役の刑事が拳銃を盗まれる冒頭シーンはほぼ同じであるが、ストーリーが進むにつれてオリジナルとは大きく異なった展開を見せ、クライマックスは[[在日米軍]]などで揺れる[[沖縄県|沖縄]]問題がテーマとなる。

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;スタッフ
*監督:[[森崎東]]
*原作:黒澤明、菊島隆三
*脚本:[[一色爆]]
*音楽:[[佐藤勝]]
;キャスト
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*村上:[[渡哲也]]
*佐藤:[[芦田伸介]]
*一枝:[[松坂慶子]]
*布恵:[[赤木春恵]]
*大城朱実:[[中島真智子]]
*比嘉清輝:[[志垣太郎]]
*監察官:[[中丸忠雄]]
*捜査主任:[[山本麟一]]
*新聞記者:[[森次晃嗣]]
*佃みさお:[[緑魔子]]
*佃三郎:[[堀内正美]]
*ハツオ:[[佐藤蛾次郎]]
*佐川:[[田中邦衛]]
*単車屋の親爺:[[殿山泰司]]
*社長夫人:[[千石規子]]
*運転手:[[財津一郎]]
*食堂のおかみ:[[浦辺粂子]]
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== テレビドラマ ==
== テレビドラマ ==
{{ドラマ}}
本作公開から63年後の[[2013年]]、[[テレビ朝日]]系にて[[テレビドラマ]]化され、[[1月19日]]<ref>[[テレビ宮崎]]は1月21日の21:03-23:22に放送。</ref>に「'''テレビ朝日開局55周年記念 黒澤明ドラマスペシャル 野良犬'''」として放送された。主なキャストとして[[江口洋介]]、[[広末涼子]]、[[中村獅童 (2代目)|中村獅童]]、[[柄本佑]]らを起用。また、映画を主な活躍の場としている[[永瀬正敏]]の久々のテレビドラマ出演作である<ref>[http://www.tv-asahi.co.jp/norainu/introduction/ イントロダクション|野良犬]、テレビ朝日開局55周年記念 黒澤明ドラマスペシャル 野良犬 公式サイト、2013年1月11日参照。</ref>。このテレビドラマは黒澤明の「野良犬」を原作としているものの、主人公がバスの中で拳銃を盗まれる場面から盗まれた拳銃の行方を追うという筋回しが共通している以外は、物語、登場人物の設定など大きく変更されており、ほぼオリジナルストーリーとなっている。
[[2013年]](平成25年)[[1月19日]]<ref group="注釈">[[テレビ宮崎]]は1月21日の21:03-23:22に放送。</ref>に、[[テレビ朝日]]系にて[[テレビドラマ]]化され、「'''テレビ朝日開局55周年記念 黒澤明ドラマスペシャル 野良犬'''」として放送された。主なキャストとして[[江口洋介]]、[[広末涼子]]、[[中村獅童 (2代目)|中村獅童]]、[[柄本佑]]らを起用。また、映画を主な活躍の場としている[[永瀬正敏]]の久々のテレビドラマ出演作である<ref>[http://www.tv-asahi.co.jp/norainu/introduction/ イントロダクション|野良犬]、テレビ朝日開局55周年記念 黒澤明ドラマスペシャル 野良犬 公式サイト、2013年1月11日参照</ref>。このテレビドラマは黒澤の『野良犬』を原作としているものの、主人公がバスの中で拳銃を盗まれる場面から盗まれた拳銃の行方を追うという筋回しが共通している以外は、物語、登場人物の設定など大きく変更されており、ほぼオリジナルストーリーとなっている。


=== テレビドラマ版キャスト ===
=== キャスト ===
〈 〉内は設定年齢。
〈 〉内は設定年齢。
*村上翔一〈39〉 - [[江口洋介]]
*村上翔一〈39〉[[江口洋介]]
*遊佐英〈39〉 - [[永瀬正敏]]
*遊佐英〈39〉[[永瀬正敏]]
*遊佐アキ〈35〉 - [[広末涼子]]
*遊佐アキ〈35〉[[広末涼子]]
*重山浩介〈40〉 - [[中村獅童 (2代目)|中村獅童]]
*重山浩介〈40〉[[中村獅童 (2代目)|中村獅童]]
*村上美佐〈33〉 - [[ミムラ (女優)|ミムラ]]
*村上美佐〈33〉[[ミムラ (女優)|ミムラ]]
*柳下銀次〈38〉 - [[柄本佑]]
*柳下銀次〈38〉[[柄本佑]]
*佐藤正賢〈50〉 - [[大杉漣]]
*佐藤正賢〈50〉[[大杉漣]]
*羽田礼文〈49〉 - [[嶋田久作]]
*羽田礼文〈49〉[[嶋田久作]]
*福本隣太郎〈45〉 - [[でんでん]]
*福本隣太郎〈45〉[[でんでん]]
*[[本田博太郎]]
*野田強:[[本田博太郎]]
*[[千葉哲也]]
*川畑正一:[[千葉哲也]]
*[[阿藤快]]
*城北署長:[[阿藤快]]
*[[山中聡]]
*警備員:[[山中聡]]
*[[筒井真理子]]
*澄田ミドリ:[[筒井真理子]]
*辻浩市:[[大西武志]]
*[[大西武志]]、[[貴山侑哉]]、[[潟山セイキ]]、[[森下能幸]]、[[六車勇登]]、[[富永凌平]]、[[松田佳祐]]、[[西本銀次郎]]、[[斉藤春貴]]、[[篠川桃音]]、谷口誠、[[本庄義弥]]、[[古川真司]]、[[東加奈子]]、[[安福毅]]、[[酒井善史]]、[[足立智充]]、[[坂本三成]]、[[淵上泰史]]、[[西田清史]]、[[有山尚宏]]、[[廣瀬善樹]]、[[木村智早]]、[[青木都]]、[[萩野梨奈]]、[[永井努]]、[[柳川公輔]]、[[岩瀬和樹]]、[[松田篤史]]、[[奥山ばらば]]、[[小田直哉]]
*[[貴山侑哉]]、[[潟山セイキ]]、[[森下能幸]]、[[六車勇登]]、[[富永凌平]]、[[松田佳祐]]、[[西本銀次郎]]、[[斉藤春貴]]、[[篠川桃音]]、谷口誠、[[本庄義弥]]、[[古川真司]]、[[東加奈子]]、[[安福毅]]、[[酒井善史]]、[[足立智充]]、[[坂本三成]]、[[淵上泰史]]、[[西田清史]]、[[有山尚宏]]、[[廣瀬善樹]]、[[木村智早]]、[[青木都]]、[[萩野梨奈]]、[[永井努]]、[[柳川公輔]]、[[岩瀬和樹]]、[[松田篤史]]、[[奥山ばらば]]、[[小田直哉]]
*[[中野勇介]]([[トランペット]])、[[ハタヤテツヤ]]([[ピアノ]])、[[安達貴史]]([[ベース (弦楽器)|ベース]])、[[能村亮平]]([[ドラムセット|ドラム]])
*[[中野勇介]]([[トランペット]])、[[ハタヤテツヤ]]([[ピアノ]])、[[安達貴史]]([[ベース (弦楽器)|ベース]])、[[能村亮平]]([[ドラムセット|ドラム]])


=== テレビドラマ版スタッフ ===
=== スタッフ ===
*原作 - 黒澤明監督作品 映画『野良犬』
*原作黒澤明監督作品 映画『野良犬』
*監督 - [[鶴橋康夫]]
*監督[[鶴橋康夫]]
*脚本 - [[黒澤明]]、[[菊島隆三]]
*脚本[[黒澤明]]、[[菊島隆三]]
*脚色 - [[池端俊策]]
*脚色[[池端俊策]]
*音楽 - [[仲西匡]]
*音楽[[仲西匡]]
*特殊メイク - [[松井祐一]]
*特殊メイク[[松井祐一]]
*技斗 - [[二家本辰巳]]
*技斗[[二家本辰巳]]
*ガンエフェクト - [[納富貴久男]]
*ガンエフェクト[[納富貴久男]]
*技術協力 - [[バスク (テレビ技術会社)|バスク]]、[[ビデオスタッフ]]、[[ジースタッフ]]
*技術協力[[バスク (テレビ技術会社)|バスク]]、[[ビデオスタッフ]]、[[ジースタッフ]]
*美術協力 - [[テレビ朝日クリエイト]]
*美術協力[[テレビ朝日クリエイト]]
*照明協力 - [[嵯峨映画]]
*照明協力[[嵯峨映画]]
*音響効果 - [[スポット (企業)|スポット]]
*音響効果[[スポット (企業)|スポット]]
*VFX - [[IMAGICA]]
*VFX:[[IMAGICA]]
*編集・MA - [[ザ・チューブ]]
*編集・MA:[[ザ・チューブ]]
*チーフプロデューサー - [[五十嵐文郎]](テレビ朝日)
*チーフプロデューサー[[五十嵐文郎]](テレビ朝日)
*プロデューサー - [[黒田徹也]](テレビ朝日)、[[飯田爽]](テレビ朝日)、[[秦祐子]]([[ロボット (企業)|ROBOT]])
*プロデューサー[[黒田徹也]](テレビ朝日)、[[飯田爽]](テレビ朝日)、[[秦祐子]]([[ロボット (企業)|ROBOT]])
*制作協力 - ROBOT
*制作協力:ROBOT
*制作著作 - テレビ朝日
*制作著作テレビ朝日


==脚注==
==脚注==
;注釈
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;出典
{{Reflist|2}}

==参考文献==
* {{Cite book|和書
|editor = 、丹野達弥(編)
|year = 1998
|title = 村木与四郎の映画美術「聞き書き」黒沢映画のデザイン
|publisher = フィルムアート社
|isbn = 4845998858
|ref = 丹野1998
}}
* {{Cite book|和書
|author = [[都築政昭]]
|year = 2010
|title = 黒澤明 全作品と全生涯
|publisher = 、[[東京書籍]]
|isbn = 9784487804344
|ref = 都築2010
}}
* {{Cite book|和書
|author =
|year = 2011
|title = 黒澤明MEMORIAL 10 別巻+1「野良犬」
|publisher = 、[[小学館]]
|isbn = 9784094804515
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}}


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
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*映画
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** {{Movielink|imdb|0041699|野良犬}}
*テレビドラマ
** [http://www.tv-asahi.co.jp/norainu/ テレビ朝日開局55周年記念 黒澤明ドラマスペシャル 野良犬]
** [http://www.westjr.co.jp/company/location/report/report37.html ロケーションサービス 撮影レポート ドラマ「野良犬」] - JR西日本


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2015年5月24日 (日) 10:55時点における版

野良犬
監督 黒澤明
脚本 黒澤明
菊島隆三
製作 本木荘二郎
出演者 三船敏郎
志村喬
淡路恵子
木村功
音楽 早坂文雄
撮影 中井朝一
編集 後藤敏男
製作会社 新東宝
映画芸術協会
配給 東宝
公開 日本の旗 1949年10月17日
上映時間 122分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
テンプレートを表示

野良犬』(のらいぬ)は、1949年(昭和24年)10月17日公開の日本映画である。新東宝映画芸術協会製作、東宝配給。監督は黒澤明、主演は三船敏郎モノクロスタンダード、122分。

終戦直後の東京を舞台に、拳銃を盗まれた若い刑事がベテラン刑事と共に犯人を追い求める姿を描いた、黒澤監督初の犯罪サスペンス映画である。東宝争議の影響で東宝を離れていた黒澤が他社で撮った作品の1本である。第23回キネマ旬報ベスト・テン第3位、芸術祭文部大臣賞。

あらすじ

ファイル:Stray Dog85.png
三船敏郎(左)と志村喬

ある猛暑の日、村上刑事は射撃訓練からの帰途のバス中でコルト式拳銃を掏られ、犯人を追うも見失ってしまう。拳銃の中には7発の銃弾が入っていたため、事件が起きるのではないかと彼は焦り戸惑う。村上は上司の中島警部の進言で、スリ係の市川刑事に相談し、鑑識手口カードを調べるうちに女スリのお銀に目星を付ける。村上はお銀のもとを訪ねるも、彼女はシラを切るばかり。そこで村上は彼女を執拗に追い回し、とうとう観念したお銀は、場末の盛り場でうろついてるとピストル屋が袖を引くというヒントを与える。

ピストルを探すため復員兵姿で闇市を歩く村上は、ピストルの闇取引の現場を突き止め、ピストル屋のヒモの女を確保するが、先に女を捕まえたためコルトを渡しに来た男に逃げられてしまう。そこへ淀橋で強盗傷害事件が発生し、その銃弾を調べると村上のコルトが使われたと分かった。責任を感じた村上は辞表を提出するが、中島警部はそれを引き裂き「君の不運は君のチャンスだ」と叱咤激励する。村上は淀橋署のベテラン刑事佐藤と組み捜査を行うことになった。

村上と佐藤はピストル屋のヒモの女を聴取して、拳銃の闇ブローカー・本多の存在を突き止める。本多が野球好きだと知り、捜査陣は巨人南海戦が行われる後楽園球場に向かう。アイスキャンディー売りの男が本多を発見し、二人は場内放送で本多を正面玄関に呼び出して逮捕する。本多の口からピストルは遊佐の元にあることが判明。二人は早速遊佐の実家の桶屋へ向かい、姉から復員のときに帰りの汽車で全財産のリュックを盗まれて、それが原因でグレたことを知る。また、実家の部屋から発見した便箋より、恋人のハルミの存在をつかむ。二人はダンスホールを訪ね、そこで踊子をしているハルミを訪ねるが、多感な年頃の彼女は遊佐との関係には口を割らなかった。

ファイル:Vlcsnap-87256.png
敵の凶弾に倒れる佐藤刑事(志村喬)。中央の男性は菅井一郎

ついに村上のコルトで殺人事件が発生、まだピストルには弾が5発残っている。二人はハルミのアパートへ向かい、村上はハルミが遊佐について白状するのを待つ。佐藤は部屋にあった「あづまホテル」のマッチを手掛かりに遊佐の姿を追い、彼が宿泊する弥生ホテルに辿り着く。佐藤はホテルの電話から村上に電話をかけるが、遊佐の凶弾に倒れてしまう。受話器越しで2発の銃弾を聞いた村上は絶叫する。

翌朝、警察病院で佐藤の回復を待つ村上の元にハルミがやって来て、遊佐が午前6時に大原駅(架空の駅)[注釈 1]で待っていることを告げる。村上は駅へ駆け出し、待合室の人々の中から遊佐を探し出す。村上と目が合った遊佐は逃亡、それを追いかけ、雑木林の中で格闘を繰り広げる。1発の銃弾が村上の左腕を射抜き、残りの2発は外れ、弾丸はなくなった。力尽きた遊佐に村上は手錠をかける。その側を登校する子供たちが「蝶々」を歌いながら通っていく。

スタッフ

キャスト

以下はノンクレジット

作品解説

日本映画において、ドキュメンタリータッチで描く刑事ものという新しいジャンルを開拓し、画期的な作品として、その後の同系作品に影響を与えた[5][6]。また『醉いどれ天使』同様、戦後の街並みや風俗とその中で生きている諸々の登場人物が生き生きと描写されている。当時、黒澤は東宝争議の余波で東宝での映画製作を断念し、師の山本嘉次郎本木荘二郎らと映画芸術協会に参加して他社で映画を撮っていた。本作は大映で撮った『静かなる決闘』に続いて他社で撮った2本目の作品で、映画芸術協会と新東宝の提携により製作した。

探偵小説の愛読者でもあった黒澤は、ジョルジュ・シムノンを意識したサスペンス映画を作ろうと企画し、新人の脚本家菊島隆三を共作に抜擢し、彼を警視庁に通わせて題材を集めさせた。そこで捜査一課の係長から、警官が拳銃を紛失することがあるというエピソードを入手、それを採用して熱海で脚本を作り上げた[7][8]

撮影のほとんどは貸しスタジオの太泉スタジオで行われた[9]。予算が少ない中、警察の鑑識課からどじょう屋、ホテルやヒロインのアパートまで、オープンセットを含めて実に30数杯のセットが造られた[9][10]。警察の鑑識課のセットは実際に警察署を見学し、引き出しのネームプレート一つに至るまで忠実に再現された[10]。美術助手を務めた村木与四郎によると、どじょう屋のシーンでは生簀に本物のどじょうを入れたが、画面には全く映らなかったと、語っている[11]

本作は淡路恵子の映画デビュー作である。淡路は当時松竹歌劇団の研究生であり、本作に出演した時はまだ16歳だった。並木役の最終候補では淡路ともう一人が残ったが、黒澤が「淡路君の方が意地っ張りで面白そうだ」と決めたという[12]。また、後の黒澤映画の常連俳優である千秋実の黒澤作品初出演作でもある。当初の配役では、並木ハルミ役に桂木洋子、中島警部役に小沢栄(当時の芸名、後の小沢栄太郎)、スリのお銀役に沢村貞子、桶屋の女房役に赤木蘭子だった[13]

復員服姿の村上刑事が闇市を歩く場面では、助監督の本多猪四郎と撮影助手の山田一夫の2人が上野の本物の闇市で隠し撮りを敢行し、本多は三船敏郎スタンドインを務め、山田がアイモを箱の包に入れて撮影した[14]。黒澤は後に「この作品で戦後風俗がよく描けていると言われるが、それは本多に負うところが大きい」と語り、本多を称賛している[15]

後楽園球場で刑事2人が拳銃の闇ブローカーを捕まえるシーンでは、実際の巨人南海の試合映像が使われており、川上哲治青田昇千葉茂武末悉昌ら当時の選手の姿も見られる。『全集 黒澤明』(岩波書店)の第2巻に収録されたシナリオでは、この試合は巨人対阪神戦となっており、別当の名前が見られる。また、「ラッキーセブンでございます」の場内放送に合わせて観客が一斉に立ち上がり、セブンス・イニング・ストレッチをする様子も見られる。

緊迫したシーンにあえて穏やかで明るい曲を流し、わざと音と映像を調和させない〈音と画の対位法〉[16]という手法が本作でも用いられている。劇中の使用例をみると、佐藤刑事がホテルで撃たれるシーンでは、ホテルのラジオから「ラ・パロマ[注釈 2]」が流れ、ラストの村上と遊佐が対決する緊迫感あるシーンでは、主婦が弾く穏やかなピアノのメロディと、最後に子供達が歌う「蝶々」が流れる。

評価

受賞

ランキング

  • 1989年:「大アンケートによる日本映画ベスト150」(文藝春秋発表)第62位
  • 1995年:「日本映画 オールタイム・ベストテン」(キネマ旬報発表)第52位
  • 1999年:「オールタイム・ベスト100・日本映画編」(キネマ旬報発表)第38位[17]
  • 2009年:「オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇」(キネマ旬報発表)第10位[18]

ギャラリー

その他

  • タイトルバックの野良犬が喘ぐシーンは、野犬狩りで捕まえた犬を貰い受け、撮影所の周りを走らせた後で撮影したものである。しかし、アメリカの動物愛護協会の婦人から「正常な犬に狂犬病の注射をした」と告発された。供述書を出してこの出来事は幕となったが、黒澤は「戦争に負けた悲哀を感じた」と語っている[19]
  • 黒澤は、本作を撮り終えた時、俳優やスタッフと別れるのがつらかったと、自伝『蝦蟇の油』に記している[20]
  • 村上刑事が銃弾の線条痕を照合するため鑑識を訪れる場面では、鑑識の担当者が拳銃を砂箱の中に撃ち込んでいるが、ここでは本物の九四式拳銃が使われた。
  • 2010年(平成22年)に公開された『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』では、本作のオマージュが随所に捧げられており、バスの乗客に本作の志村喬三船敏郎と同じ格好をした者がいる。

リメイク版

1973年(昭和48年)9月29日公開。松竹製作・配給。監督は森崎東、主演は渡哲也カラーワイド、104分。主役の刑事が拳銃を盗まれる冒頭シーンはほぼ同じであるが、ストーリーが進むにつれてオリジナルとは大きく異なった展開を見せ、クライマックスは在日米軍などで揺れる沖縄問題がテーマとなる。

スタッフ
キャスト

テレビドラマ

2013年(平成25年)1月19日[注釈 3]に、テレビ朝日系にてテレビドラマ化され、「テレビ朝日開局55周年記念 黒澤明ドラマスペシャル 野良犬」として放送された。主なキャストとして江口洋介広末涼子中村獅童柄本佑らを起用。また、映画を主な活躍の場としている永瀬正敏の久々のテレビドラマ出演作である[21]。このテレビドラマは黒澤の『野良犬』を原作としているものの、主人公がバスの中で拳銃を盗まれる場面から盗まれた拳銃の行方を追うという筋回しが共通している以外は、物語、登場人物の設定など大きく変更されており、ほぼオリジナルストーリーとなっている。

キャスト

〈 〉内は設定年齢。

スタッフ

脚注

注釈
  1. ^ 大原駅のシーンは、西武池袋線大泉学園駅で撮影された[1]
  2. ^ セバスティアン・イラディエルが作曲したキューバの民族舞曲
  3. ^ テレビ宮崎は1月21日の21:03-23:22に放送。
出典
  1. ^ 小学館2011、p.14
  2. ^ a b c d e f g 小学館2011、p.16
  3. ^ 西村雄一郎『黑澤明 音と映像』、立風書房、1990年、p.82
  4. ^ 藤川黎一『黒澤明vs.本木荘二郎 それは春の日の花と輝く』、論創社、2012年、p.240
  5. ^ 小学館2011、p.4
  6. ^ 野良犬、キネマ写真館、2015年5月16日閲覧
  7. ^ 都築2010、p.157
  8. ^ 小学館2011、p.12
  9. ^ a b 丹野1998、p.28
  10. ^ a b 黒澤明 人生を映画に捧げた男・第三部、キネマ写真館、2015年5月16日閲覧
  11. ^ 丹野1998、p.29
  12. ^ 小学館2011、p.15
  13. ^ 黒澤明デジタルアーカイブ、2015年5月17日閲覧
  14. ^ 岩本憲児『黒澤明をめぐる12人の狂詩曲』、早稲田大学出版部、2004年、p.25
  15. ^ 小学館2011、p.5
  16. ^ 岩宮眞一郎『図解入門 最新音楽の科学がよくわかる本-音楽と人とのかかわりを科学的に考察する-』、秀和システム、2012年、p.154
  17. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』、キネマ旬報社、2012年5月23日、p.588
  18. ^ 「オールタイム・ベスト 映画遺産200」全ランキング公開キネマ旬報映画データベース、2015年5月15日閲覧
  19. ^ 小学館2011、p.12
  20. ^ 都築2010、p.161
  21. ^ イントロダクション|野良犬、テレビ朝日開局55周年記念 黒澤明ドラマスペシャル 野良犬 公式サイト、2013年1月11日参照

参考文献

  • 、丹野達弥(編) 編『村木与四郎の映画美術「聞き書き」黒沢映画のデザイン』フィルムアート社、1998年。ISBN 4845998858 
  • 都築政昭『黒澤明 全作品と全生涯』、東京書籍、2010年。ISBN 9784487804344 
  • 『黒澤明MEMORIAL 10 別巻+1「野良犬」』、小学館、2011年。ISBN 9784094804515 

外部リンク

  • エラー: subst: がありません。Movielink ではなく subst:Movielink としてください。
  • エラー: subst: がありません。Movielink ではなく subst:Movielink としてください。
  • エラー: subst: がありません。Movielink ではなく subst:Movielink としてください。