「桑名市立中央図書館」の版間の差分
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{{図書館 |
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[[ファイル:Kuwana Media Live 20091229.jpg|thumb|250px|くわなメディアライヴ]] |
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|名称 = 桑名市立中央図書館 |
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'''桑名市立中央図書館'''(くわなしりつちゅうおうとしょかん)とは[[三重県]][[桑名市]]にある[[公立図書館]]である。[[2004年]]10月開館。日本で初めて[[PFI]]手法によって運営されている図書館である。開館時間は9:00~21:00と全国的にも大変長くなっている。 |
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|英名 = Kuwana City Central Library<ref>Kuwana City Central Library"[http://kcl.kuwana-library.jp/english.html USER GUIDE]"(英語、2013年7月16日閲覧。)</ref> |
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|画像 = [[ファイル:Kuwana Media Live 20091229.jpg|280px]] |
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|画像説明 = くわなメディアライヴ |
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|正式名称 = 桑名市立中央図書館 |
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|愛称 = kcl |
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|前身 = 桑名市立図書館<ref name="jk">藤江(2008):517ページ</ref> |
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|専門分野 = 総合 |
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|事業主体 = 桑名市 |
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|管理運営 = [[図書館流通センター]]・三重電子センター<ref name="jk3">藤江(2008):520ページ</ref> |
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|建物設計 = [[佐藤総合計画]] |
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|延床面積 = 3,169.06<ref name="kt2">桑名市立中央図書館(2006):31ページ</ref> |
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|開館 = [[1947年]](昭和22年)[[4月15日]] |
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|閉館 = |
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|所在地郵便番号 = 511-0068 |
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|所在地 = [[三重県]]桑名市中央町三丁目79番地 くわなメディアライヴ3・4階 |
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| 緯度度 = 35 | 緯度分 = 3 | 緯度秒 = 47.3 |
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| 経度度 = 136 |経度分 = 41 | 経度秒 = 14.1 |
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|蔵書数 = 300,693冊<ref name="db">三重県戦略企画部統計課分析・情報班"[http://www.pref.mie.lg.jp/DATABOX/tokeisho/tokei13/201.xls 201.公共図書館]"「[http://www.pref.mie.lg.jp/DATABOX/tokeisho/tokei13/bunya17.htm 三重の統計 みえDataBox/統計書 17 教育・文化・宗教]」平成24年3月31日(2013年7月15日閲覧。)</ref> |
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|蔵書数年度 = 2011 |
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|貸出数 = 704,923冊<ref name="db"/> |
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|貸出数年度 = 2011 |
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|来館者数 = |
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|年運営費 = 359,358千円<ref>桑名市"[http://www.city.kuwana.lg.jp/index.cfm/25,30033,c,html/30033/20130306-155003.pdf 平成25 年度 予算書及び予算説明書(一般会計・特別会計)]"(2013年7月15日閲覧。)</ref> |
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|年運営費年度 = 2013 |
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|条例 = 桑名市立図書館条例(平成16年12月6日条例第179号) |
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|館長 = |
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|職員数 = 33人<ref name="jk3"/>(2008年現在) |
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|公式サイト = http://kcl.kuwana-library.jp/ |
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|備考 = |
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}} |
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'''桑名市立中央図書館'''(くわなしりつちゅうおうとしょかん)とは[[三重県]][[桑名市]]にある[[公立図書館]]である。[[1947年]](昭和22年)に開館し<ref name="kh">近藤・平岡 編(1959):872ページ</ref>、[[2004年]](平成16年)に現在地に新築された<ref name="tm">岡田(2005):78ページ</ref>。日本で初めて[[PFI]]方式によって建設・運営されている図書館であり、日本中の[[自治体]]や図書館関係者から注目された<ref name="tm"/>。開館時間は午前9時から午後9時までと、日本全国の図書館と比較しても大変長くなっている。 |
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桑名市立中央図書館の略称は'''kcl'''(KCL)<ref>インターカタログネット"[http://commonclub.jp/s-kuwana/12 桑名市立中央図書館 – このまちに住もう桑名|コモンクラブ東海|]"[[積水ハウス]](2013年7月15日閲覧。)</ref>{{#tag:ref|[[南山大学]][[経済学部]]の水谷重秋は、この略称について不快感を示し、自身の[[ウェブサイト]]で批判している<ref>水谷重秋"[http://www.ic.nanzan-u.ac.jp/~mizutani/essay/kuwana.shtml 79 桑名市立中央図書館(架空の手紙)]"2005年10月23日(2013年7月15日閲覧。)</ref>。|group="注"}}、基本理念は「[[ユビキタス|いつでも・どこでも・誰でも]]」<ref name="mt54">小池(2005):25ページ</ref><ref name="jk2">藤江(2008):518ページ</ref>。 |
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==概要== |
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*開館時間:9:00~21:00 |
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*休館日:水曜日、特別整理期間、[[年末年始]]([[12月28日]]~[[1月3日]])等 |
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*所在地:桑名市中央町3丁目79番地 |
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== 概要 == |
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くわなメディアライヴが建設されるまでは、古い公共施設を転用する形で運用されていたが、くわなメディアライヴの完成により生まれ変わった<ref name="mt53">小池(2005):24ページ</ref>。その後は官民の協働により新しい事業を数多く展開している。 |
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*[[桑名市]] |
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PFI事業者として新設された[[特定目的会社]]の[[株式会社]]くわなメディアライブが資金調達、施設の設計・建設を行い、同社が業務委託する形で[[図書館流通センター]]と三重電子センターが図書館業務を運営する<ref>藤江(2008):518, 520ページ</ref>。おおむね評価を得ている図書館であるが、[[田原市図書館]]の森下芳則は、田原市中央図書館と比べて利用者端末や座席数が少なく、住民1人当たりの貸出点数や入館者比率が[[田原市]]の2分の1程度とサービス実績の低さ{{#tag:ref|森下は田原市中央図書館を利用実績でトップグループに入るが、桑名市立中央図書館は中位で平均レベルとしている<ref>森下(2007):67ページ</ref>。|group="注"}}などを指摘し、「総じて、人目を引く仕掛けは用意されていても、[[公共図書館]]のごく基本的な機能に対する理解に詰めの甘さを感じました。」と評した<ref>森下(2007):66 - 67ページ</ref>。 |
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==外部リンク== |
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*[http://kcl.kuwana-library.jp/ 桑名市立中央図書館] |
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職員は2008年(平成20年)現在34人で、桑名市職員が6人、残りがPFI事業者の職員である<ref name="jk3"/>。両者が協働することで図書館が運営される<ref name="sm">松上(2011):4ページ</ref>。民間事業者の[[人事]]に市側は関与しないため、事業者の職員について市は把握していない<ref>小池(2005):20ページ</ref>。職員の多くが[[司書]]の[[資格]]を有する<ref name="jk3"/>。 |
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=== 市内の図書館 === |
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桑名市の図書館は中央図書館と以下の2館の計3館で構成されている<ref name="jk"/>。以下の2館は、平成の大合併によって桑名市の図書館となり、PFIは導入せず、市の直接運営となっている<ref name="mt72">森下(2007):70ページ</ref>。 |
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* 桑名市立ふるさと多度文学館 - 桑名市多度町多度二丁目24番1号 |
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* 桑名市立長島輪中図書館 - 桑名市長島町源部外面337番地 |
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== くわなメディアライヴ == |
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'''くわなメディアライヴ'''は、桑名市立中央図書館が入居する建築物で、保健センター・勤労青少年ホーム・多目的ホールを含む複合施設となっている<ref name="tm"/>。[[佐藤総合計画]]が[[設計]]し、[[鹿島建設]]が[[建築]]した<ref name="kk1">鳴海(2005):156ページ</ref>。事業者は株式会社くわなメディアライブ<ref name="jk2"/>。[[鉄骨構造]]地上5階建て敷地面積は3,191.22m<sup>2</sup>、建築面積は2,728.51m<sup>2</sup>、延床面積は9,1113.77m<sup>2</sup><ref name="kk3">鳴海(2005):159ページ</ref>{{#tag:ref|設計者による数値<ref name="kk3"/>。桑名市立中央図書館の発表した資料では敷地面積は3,198.82m<sup>2</sup>、延床面積は8,153.13m<sup>2</sup>となっている<ref>桑名市立中央図書館(2006):35ページ</ref>。|group="注"}}。南側の外観は[[鳥居]]をモチーフとしている<ref name="kk1"/>。これは「歴史と未来への鳥居」を表しており、桑名市の目指す「ひと育て」「まち育て」「歴史育て」に沿うものである<ref name="kk2">鳴海(2005):158ページ</ref>。 |
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図書館は3・4階にあり、1階入り口からは[[エスカレーター]]を乗り継いで行くことになる<ref name="tm2">岡田(2005):79ページ</ref>。同じ建物にあることを活かした中央図書館と保健センターの連携によるブックスタート支援事業が行われている<ref name="mt54"/>。 |
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; 館内<ref name="kk2"/><ref>"[http://987bunka.taniko.net/kml/home.htm くわなメディアライヴ]"(2013年7月16日閲覧。)</ref> |
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{| class="wikitable" style="background-color:#fee0fb width:40%" |
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|- |
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|style="color:black; background-color:#F5F5DC" |'''階''' |
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|style="color:black; background-color:#F5F5DC" |'''施設名''' |
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|style="color:black; background-color:#F5F5DC" |'''設備''' |
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|- |
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|4階 |
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|rowspan="2"|桑名市立中央図書館 |
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|郷土資料室「歴史の蔵」、レファレンスカウンター、研修室、読書テラス「天空の庭」 |
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|3階 |
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|一般開架、児童開架、おはなし室、受付、事務室、読書テラス「天空の庭」 |
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|rowspan="2"|2階 |
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|桑名市中央保健センター |
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|事務室、健康教育室、調理室、保健栄養指導室、機能訓練室、運動室、和室、心理相談室、歯科検診室、診察室、測定室 |
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|桑名市勤労青少年ホーム |
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|事務室、講習室、娯楽談話コーナー |
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|- |
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|rowspan="3"|1階 |
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|桑名市多目的ホール |
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|ホール(時のホール) |
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|共用空間 |
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|プレイルーム、[[タリーズコーヒー]]くわなメディアライヴ店、駐車場 |
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|- |
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|桑名市立中央図書館 |
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|書庫、ブックポスト |
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|} |
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; 施工業者 |
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* [[電気]]:[[ダイダン]]<ref name="kk3"/> |
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* [[空調]]:[[新日本空調]]<ref name="kk3"/> |
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* [[昇降機]]:[[東芝エレベータ]]<ref name="kk3"/> |
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=== 図書館の構造 === |
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延床面積は3,169.06m<sup>2</sup>で、旧桑名市立図書館(1,200m<sup>2</sup>)の約2.6倍である<ref name="kt2"/>。3階と4階の両方に読書テラス「天空の庭」が設置され、屋外での読書が可能である<ref name="kt2"/>。館内には桑名発祥とされる[[連鶴]]が随所に飾られている<ref name="au11">山田(2011):33ページ</ref>。 |
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3階にある一般開架は書架の高さを1.5[[メートル|m]](5段)と低くし、[[車いす]]が通りやすく配置し、両側[[ガラス]]張り・[[吹き抜け]]の開放的な雰囲気を形成する<ref name="tm5">岡田(2005):82ページ</ref>。児童開架は書架1.2mで、その奥に桑名市特産の[[ハマグリ]]を模した「おはなし室」がある<ref name="tm5"/>。児童書架には読書用の図書と調べ学習用の図書の双方が用意され、[[子ども]]向けの「地域資料コーナー」も置かれている<ref name="au12">山田(2011):34ページ</ref>。おはなし室では、図書の[[読み聞かせ]]以外にも[[かるた]]大会など各種イベント会場として利用される<ref name="sm"/>。[[視覚障害者|目の不自由な人]]のための「対面朗読室」も設置されている<ref name="kt2"/>。 |
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4階にある郷土資料室は「歴史の蔵」と名付けられ、貴重書が含まれるため入室には申請が必要である<ref name="mt52">小池(2005):21ページ</ref>。桑名市および三重県の資料を収集・保管する<ref name="au13">山田(2011):26ページ</ref>。[[江戸時代]]の史料や伊勢湾台風で被災した史料は帙(ちつ)の中で保存し、室内は自動温湿度管理システムと[[不活性気体|不活性ガス]]で資料劣化を防止している<ref name="au12"/>。ほかにインターネットや新聞社のデータベースを利用できる「ITコーナー」とビデオ・DVDなどが鑑賞できる「AVコーナー」もある<ref name="kt2"/>。 |
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== 利用案内 == |
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PFI導入前に比べて開館時間が長くなっただけでなく、年間開館日数が1割増加した<ref name="tm3">岡田(2005):80ページ</ref>。夜間時間帯(19時〜21時)の貸出利用者は半年に25,000人から35,000人と波があるものの、入館者数の増加へ確実に貢献している<ref name="jk3"/>。これにより入館者数も増加し、1日平均2,114人が入館している<ref name="tm3"/>。 |
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* 貸出制限 - 桑名市に居住・在勤・在学する者および周辺市町村に居住する者 |
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* 貸出可能点数 - 図書・雑誌10点、視聴覚資料2点 |
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* 開館時間 - 9時〜21時 |
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* 休館日 - [[水曜日]]、[[年末年始]]、特別整理期間 |
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== PFIによる運営 == |
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''PFIそのものの説明は「[[PFI]]」を参照。'' |
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桑名市立中央図書館のPFI方式では、桑名市当局が方針決定や図書選定などの決定権を持ち、図書館流通センターが方針に基づいて市側に提供するサービスや購入図書を提案する<ref name="tm4"/>。事業内容が桑名市と図書館流通センターで重複しないよう、役割分担を明確にしている<ref>小池(2005):18ページ</ref>。 |
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民間に任せることでサービスの低下が起きないよう、毎日図書館流通センターが自主点検を行い、月に1回桑名市が[[モニタリング]]を行う<ref name="tm4"/>。ほかに問題発生時や緊急・非常時の「随時モニタリング」<ref>桑名市立中央図書館(2006):39 - 40ページ</ref>、市民モニターによる評価、利用者[[アンケート]]も行われる<ref name="mt51">小池(2005):19ページ</ref>。 |
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桑名市の採用したPFIは「サービス購入型」と呼ばれる方式で<ref name="jk3"/>、利用実績・サービス実績に応じて桑名市では毎年事業者に支払うサービス購入料を変更する<ref name="tm4"/>。利用実績で評価される「利用者数」は図書館への「入館者数」とは異なるが、桑名市の「利用者」の定義が広めにとられているので、ほぼ一致する<ref name="jk3"/>。 |
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=== 利点と問題点 === |
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PFI導入の最大のメリットは「安定した図書購入」であると言われている<ref name="tm5"/>。従来は単年度で予算が組まれ、図書購入費の変動が激しかったが、開館から3年間は年間5万冊、以後は年間1万冊を購入すると決められたため、安定して新刊を購入し続けることができる<ref name="tm5"/>。図書の購入は図書館流通センターが行い、市の組織である「図書等選定委員会」に報告するが、高価な図書や思想の偏りのある図書などは購入前に委員会に諮る必要がある<ref name="mt51"/>。新刊は土曜日に配架される<ref name="mt52"/>。 |
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市側のメリットは歳出の削減と安定、事業者側のメリットは新規事業の獲得などが挙げられる<ref>小池(2005):23ページ</ref>。利用者にとっての最大のメリットは、開館時間の延長である<ref name="tm6">岡田(2005):83ページ</ref>。 |
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[[明治大学]][[経営学部]]の藤江昌嗣は、桑名市立中央図書館のPFI事業を特殊な例として評価する一方、問題点も指摘している<ref name="jk4">藤江(2008):521ページ</ref>。開館後30年で施設の所有権が桑名市に移ることになっている[[契約]]について、30年後に老朽化した施設を桑名市はどのように資金調達して更新(改築)するのか、と疑問を投げかけ、民間に任せたことで浮いた税金を他の用途に使っていることは将来へのリスクを高めているとした<ref name="jk4"/>。また森下芳則は、企業連携・資金調達に民間のノウハウが生かされているが、図書館経営の面では特段の優位性はないと評した<ref>森下(2007):68ページ</ref>。 |
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=== 行政と業者の協働作業(図書館事業) === |
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以下の6つの事業を協働して行っている<ref>桑名市立中央図書館(2006):44ページ</ref>。 |
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#レファレンスに関する研修会 |
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#出前講座:小中学校向けの図書・図書館講座 |
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#郷土資料・行政資料の収集・整理等 |
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#「[[#桑名市図書館を使った調べる学習コンクール|桑名市図書館を使った調べる学習コンクール]]」開催 |
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#「[[#地域文化の活用|昭和の記憶]]」収集 |
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#郷土資料のデジタル化とインターネット公開 |
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== 特色 == |
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=== 情報技術を利用した効率化 === |
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図書には1冊ずつ[[ICタグ]]が付けられており、利用者は自動貸出機(3台設置)を使って借りることができる<ref name="tm4"/>。ICタグ導入は[[東海地方]]の図書館では初めてで、事業者側から提案された<ref name="jk3"/>。これにより、図書の返却・貸出業務に当たっていた人員を図書館利用者へのサービス人員に振り替えることができた上、図書の紛失が激減するという効果もあった<ref name="jk3"/>。[[学校図書館]]の蔵書もICタグ化して学校間の相互貸借、中央図書館との図書の往来も検討されたが、実現していない<ref name="au82">植村(2008):26ページ</ref>。 |
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図書館の[[書庫]]は自動化されており、職員が「出納ステーション」で操作すると数分で自動的に書庫からカウンターに図書が届く<ref name="tm4">岡田(2005):81ページ</ref>。この自動化書庫は「オートライブ」と呼ばれ、利用者の待ち時間を大幅に短縮することに成功した<ref name="sm"/>。書庫がガラス張りになっているため、図書を運ぶバスケットの動きを見ることができるが、森下芳則は参考調査や蔵書管理に不都合はないのか、と疑問を発している<ref>森下(2007):66ページ</ref>。1階に設置された[[ブックポスト]]も自動化する計画があったが、危険物の投入を想定して見送られた<ref>小池(2005):20 - 21ページ</ref>。 |
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=== 地域文化の活用 === |
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桑名市立中央図書館では郷土資料の収集を官民協働で行うことを決めていたため、開館前に図書館職員全員を対象とした郷土資料に関する研修を行い、職員全員が桑名の基本知識を修得している<ref name="au81">植村(2008):25ページ</ref>。研修で出題された問題と解答は館内ネットワークで参照できるようになっており、日常の利用者への案内に活用されている<ref name="au81"/>。 |
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[[2006年]](平成18年)度より<ref name="au11"/>年1回、「昭和の記憶」を展示する取り組みを行っている<ref name="au81"/>。これは業者側からの提案であったが、市では提案内容をさらに拡張し、市民に[[写真]]などの情報提供を求め、情報提供者の元へ聞き取り調査へ行く人も市民から募集した<ref name="au81"/>。この活動を通して市民から自然に情報が集まるようになり、開館から3年で目標としていた郷土資料の蔵書1万点を達成した<ref name="au81"/>。ここで収集された情報は[[桑名ふるさと検定]]の公式テキスト『桑名のいろは』にも収録され、同検定の問題になっているほか、将来的には市史編纂にも役立てる方針である<ref>植村(2008):25 - 26ページ</ref>。「昭和の記憶」事業では、収集資料のデジタル化も推進している<ref name="au11"/>。 |
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=== 桑名市図書館を使った調べる学習コンクール === |
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2005年(平成17年)に始まったコンクール<ref name="au14">山田(2011):28ページ</ref>。図書館を活用し、「知る喜び」を人に伝え、発表する場と位置付けられている<ref name="trc">図書館流通センター"[http://www.trc.co.jp/topics/shiraberugakushu.html 図書館を使った調べる学習コンクール]"(2013年7月16日閲覧。)</ref>。三重県で実施しているのは2012年(平成24年)現在、桑名市のみである<ref name="trc"/>。市のコンクールで上位成績を収めると全国コンクールへ出品される<ref>山田(2011):30ページ</ref>。 |
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これに合わせて図書館では「調べる学習サポート教室」を実施している<ref name="au14"/>。教室では当初、外部講師を招いて開催していたが、後に図書館職員が研修を受けて開くようになった<ref name="au14"/>。この教室を受講して後に全国コンクールで受賞した子どももいる<ref name="au13"/>。 |
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桑名市および全国のコンクールで入賞した作品の複製が一般書架・児童書架で常設展示されている<ref name="au12"/>。この展示に刺激を受けた子どもが作品を制作し、受賞するという効果も生まれている<ref>山田(2011):29ページ</ref>。 |
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== 歴史 == |
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=== 旧桑名市立図書館 === |
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終戦直後の[[1947年]](昭和22年)[[4月15日]]に、市民の要望と寄付金を得て旧[[図書館令]]によって認可を受けた<ref name="kh"/>。当時の名称は「桑名市立図書館」であった<ref name="kh"/>。同年の予算は32,560円、蔵書は1,300冊と図書館としては不十分で、本格的に「図書館」としての機能を活かせるようになったのは[[1950年]](昭和25年)の[[図書館法]]制定以降であった<ref name="kh"/>。翌[[1951年]](昭和26年)3月に[[木造]]平屋建の旧桑名市議会議場を閲覧室とし、順次施設を拡張していった<ref name="kh"/>。[[1959年]](昭和34年)時点で職員は3人、8時30分から16時30分まで開館し、休館日は[[火曜日]]であった<ref name="kh">近藤・平岡 編(1959):872 - 873ページ</ref>。同年9月、[[伊勢湾台風]]の被害に遭い一時閉館、[[1960年]](昭和35年)2月に業務を再開した<ref name="mt53"/>。台風により、図書館の多くの資料が失われてしまった<ref name="jk"/>。 |
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[[1968年]](昭和43年)5月に旧桑名都市計画復興事務所へ移転、翌[[1969年]](昭和44年)5月には鍛治町の旧診療所へ移転した<ref name="mt53"/>。更に1973年(昭和48年)5月、旧桑名市役所庁舎へ移転した<ref name="mt53"/>。この市庁舎は[[1952年]](昭和27年)築であった<ref name="kt">桑名市立中央図書館(2006):30ページ</ref>。 |
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[[1990年]](平成2年)、[[オーディオ・ビジュアル|AV]]ブースを設置し、[[コンパクトディスク|CD]]・[[ビデオ]]・[[レーザーディスク|LD]]の閲覧が可能となった<ref>清水(1996):253ページ</ref>。[[1996年]](平成8年)時点では、2階建てで延床面積1,247m<sup>2</sup>、蔵書は105,000冊であった<ref>清水(1996):250, 252ページ</ref>。貴重書として[[桑名藩]]の儒者である秋山蝸庵・寒緑父子の残した『秋山文庫』と『伊藤文庫』を所蔵していた<ref>清水(1996):250 - 252ページ</ref>。旧図書館の蔵書は約13万冊であった<ref name="tm5"/>。 |
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=== PFI導入の検討 === |
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[[1990年代]]、桑名市が実施した市民アンケートで、新しい図書館の建設が最も多く挙げられた一方、保健センターと勤労青少年ホームを建て替える必要があった<ref name="tm2"/>。3つの施設を建てるのは費用がかかるため、3つの機能を持つ1つの施設を建設することが検討された<ref name="tm2"/>。[[1999年]](平成11年)2月、「PFI推進検討会」を設置してPFIの導入可能性を検討し<ref name="kt3">桑名市立中央図書館(2006):34ページ</ref>、[[2001年]](平成13年)8月に正式にPFIを導入することを決定した<ref name="tm2"/>。導入可能性の調査は[[日本経済研究所]]に委託された<ref name="kt3"/>。桑名市が採用したPFIは{{仮リンク|BOT方式|en|Build–operate–transfer}}と呼ばれるもので、民間が設計から建設、施設の所有と管理を行い、30年後に市へ無償で所有権を移すというものだった<ref name="tm2"/>。計画段階ではくわなメディアライヴ全体にPFIを導入することを検討したが、民間に運営させて[[サービス]]向上できるものは図書館のみであると判断され、現在の形となった<ref name="tm2"/>。事業参加の意思を表明した企業グループは8つ{{#tag:ref|落札した鹿島建設のほか、[[大林組]]、[[前田建設]]、[[日立製作所]]、伊藤忠商事、[[住友商事]]、[[三菱商事]]、[[丸紅]]を筆頭とする8つが参加した<ref name="kt4">桑名市立中央図書館(2006):38ページ</ref>。|group="注"}}であった<ref name="kt"/>。 |
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[[2002年]](平成14年)3月、総合評価[[一般競争入札]]を実施<ref name="tm2"/>、6グループ{{#tag:ref|前述の日立製作所と丸紅が抜け、大林組、前田建設、伊藤忠商事、住友商事、三菱商事、鹿島建設を筆頭とする6つが参加した<ref>桑名市立中央図書館(2006):39ページ</ref>。|group="注"}}が入札に応じ<ref name="kt"/>、同年4月に[[鹿島建設]]を筆頭とするグループ{{#tag:ref|ほかに佐藤総合計画、図書館流通センター、セントラルリース(現[[三菱UFJリース]])、鹿島建物総合管理、積村ビル管理、三重電子計算センターが入っていた<ref name="kt4"/>|group="注"}}が76億2200万円で落札した<ref name="tm2"/>。開館までには「PFI実施方針」に対し約500件、「入札説明書」に600件の質問が寄せられるなど、計画から図書館の完成までに5年8か月もかかったことが課題となった<ref name="tm6"/>。 |
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=== 開館後 === |
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2002年(平成14年)7月に工事に着手、2004年(平成16年)7月に工事が完了した<ref name="kk3"/>。そして2004年(平成16年)[[10月1日]]に開館<ref name="mt71">森下(2007):71ページ</ref>。開館から1か月の入館者数は82,378人で旧館時代の4倍を記録した<ref name="tm3"/>。1年目は見物を兼ねた入館者が多かったため、翌2005年(平成17年)度の入館者数は前年比10.1%減となった<ref name="mt72"/>。 |
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2005年(平成17年)度より「[[#桑名市図書館を使った調べる学習コンクール|桑名市図書館を使った調べる学習コンクール]]」を開始、翌2006年(平成18年)度より「[[#地域文化の活用|昭和の記憶]]」事業を始めた<ref name="au11"/>。 |
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== 周辺 == |
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図書館周辺は桑名市の[[中心市街地]]であり、[[東海旅客鉄道|JR]]・[[近畿日本鉄道|近鉄]]・[[養老鉄道]][[桑名駅]]および[[三岐鉄道]][[西桑名駅]]から徒歩6分である<ref name="tm"/>。[[三重県道504号桑名港線]]沿い。[[駐車場]]は当初50台だったが、利用者の安全のために38台に減らされ、駐車場不足が指摘されている<ref name="tm6"/>。駐輪場は120台<ref name="tm6"/>。 |
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* 桑名市中央公民館 |
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* [[桑名郵便局]] |
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* [[アピタ桑名店]] |
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* 桑名市民会館 |
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* 桑名シティホテル |
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== 脚注 == |
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; 注釈 |
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; 出典 |
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== 参考文献 == |
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* 植村圭子(2008)"図書館サービスにPFIを活かす 前桑名市生涯学習課長 桑名市立図書館・大塚由良美さんに聴く"あうる(図書館の学校).'''83''':24-27. |
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* 岡田和彦(2005)"PFIで図書館は進化するか 全国初のPFI方式による桑名市立中央図書館"都市問題([[後藤・安田記念東京都市研究所|東京市政調査会]]).'''96'''(9):78-83. |
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* 桑名市立中央図書館(2006)"PFI方式による全国初の図書館 「桑名市図書館等複合公共施設特定事業」概要書"館灯(私立大学図書館協会).'''44''':30-45. |
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* 小池信彦(2005)"桑名市立中央図書館を訪問して"みんなの図書館(図書館問題研究会).'''334''':18-25. |
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* 近藤杢・平岡潤 編『桑名市史』桑名市教育委員会、昭和34年3月31日、1098p. |
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* 清水正明『三重県の図書館』[[三一書房]]、1996年4月30日、357p. ISBN 4-380-96229-6 |
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* 鳴海雅人(2005)"くわなメディアライヴ(桑名市立中央図書館)"近代建築([[近代建築社]]).'''59'''(5):156-159. |
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* 藤江昌嗣(2008)"PFIによる図書館経営を評価する―桑名市立中央図書館を例に―"情報の科学と技術(情報科学技術協会).'''58'''(10):517-522. |
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* 松上由貴子(2011)"今、図書館がおもしろい。"すばらしきみえ([[百五銀行]]経営企画部広報CSR課).'''161''':1-12. |
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* 森下芳則(2007)"桑名市立中央図書館と田原市中央図書館との比較"みんなの図書館([[教育史料出版会]]).'''363''':66-73. |
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* 山田万知代(2011)"伊勢型紙の世界―鈴鹿と江戸はこうして結ばれた!―" あうる(図書館の学校).'''99''':24-30. |
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* 山田万知代(2011)"表紙の人が使った図書館"あうる(図書館の学校).'''99''':32-35. |
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== 関連項目 == |
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* [[桑名市]] |
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* [[公共図書館]] |
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== 外部リンク == |
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* [http://kcl.kuwana-library.jp/ 桑名市立中央図書館] |
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* [http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06040715/016.htm 新しい形の図書館-PFI-(三重県桑名市立中央図書館)] - [[文部科学省]] |
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* [http://www.think-t.gr.jp/NPM/05Chubu_1.html 日本初の図書館PFI事業/三重県桑名市] - 地方シンクタンク協議会 |
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{{Pref-stub|pref=三重県}} |
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[[Category:三重県の図書館]] |
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[[Category:桑名市]] |
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[[Category:1947年設立]] |
2013年7月21日 (日) 14:48時点における版
桑名市立中央図書館 Kuwana City Central Library[1] | |
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くわなメディアライヴ | |
施設情報 | |
正式名称 | 桑名市立中央図書館 |
愛称 | kcl |
前身 | 桑名市立図書館[2] |
専門分野 | 総合 |
事業主体 | 桑名市 |
管理運営 | 図書館流通センター・三重電子センター[3] |
建物設計 | 佐藤総合計画 |
延床面積 | 3,169.06[4] m2 |
開館 | 1947年(昭和22年)4月15日 |
所在地 |
〒511-0068 三重県桑名市中央町三丁目79番地 くわなメディアライヴ3・4階 |
位置 | 北緯35度3分47.3秒 東経136度41分14.1秒 / 北緯35.063139度 東経136.687250度座標: 北緯35度3分47.3秒 東経136度41分14.1秒 / 北緯35.063139度 東経136.687250度 |
ISIL | JP-1002019 |
統計・組織情報 | |
蔵書数 |
300,693冊[5](????年 時点) 統計年を「蔵書数年」に記入してください。 (説明を参照) |
貸出数 | 704,923冊[5](????年) |
年運営費 | 359,358千円[6](????年) |
条例 | 桑名市立図書館条例(平成16年12月6日条例第179号) |
職員数 | 33人[3](2008年現在) |
公式サイト | http://kcl.kuwana-library.jp/ |
地図 | |
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 |
桑名市立中央図書館(くわなしりつちゅうおうとしょかん)とは三重県桑名市にある公立図書館である。1947年(昭和22年)に開館し[7]、2004年(平成16年)に現在地に新築された[8]。日本で初めてPFI方式によって建設・運営されている図書館であり、日本中の自治体や図書館関係者から注目された[8]。開館時間は午前9時から午後9時までと、日本全国の図書館と比較しても大変長くなっている。
桑名市立中央図書館の略称はkcl(KCL)[9][注 1]、基本理念は「いつでも・どこでも・誰でも」[11][12]。
概要
くわなメディアライヴが建設されるまでは、古い公共施設を転用する形で運用されていたが、くわなメディアライヴの完成により生まれ変わった[13]。その後は官民の協働により新しい事業を数多く展開している。
PFI事業者として新設された特定目的会社の株式会社くわなメディアライブが資金調達、施設の設計・建設を行い、同社が業務委託する形で図書館流通センターと三重電子センターが図書館業務を運営する[14]。おおむね評価を得ている図書館であるが、田原市図書館の森下芳則は、田原市中央図書館と比べて利用者端末や座席数が少なく、住民1人当たりの貸出点数や入館者比率が田原市の2分の1程度とサービス実績の低さ[注 2]などを指摘し、「総じて、人目を引く仕掛けは用意されていても、公共図書館のごく基本的な機能に対する理解に詰めの甘さを感じました。」と評した[16]。
職員は2008年(平成20年)現在34人で、桑名市職員が6人、残りがPFI事業者の職員である[3]。両者が協働することで図書館が運営される[17]。民間事業者の人事に市側は関与しないため、事業者の職員について市は把握していない[18]。職員の多くが司書の資格を有する[3]。
市内の図書館
桑名市の図書館は中央図書館と以下の2館の計3館で構成されている[2]。以下の2館は、平成の大合併によって桑名市の図書館となり、PFIは導入せず、市の直接運営となっている[19]。
- 桑名市立ふるさと多度文学館 - 桑名市多度町多度二丁目24番1号
- 桑名市立長島輪中図書館 - 桑名市長島町源部外面337番地
くわなメディアライヴ
くわなメディアライヴは、桑名市立中央図書館が入居する建築物で、保健センター・勤労青少年ホーム・多目的ホールを含む複合施設となっている[8]。佐藤総合計画が設計し、鹿島建設が建築した[20]。事業者は株式会社くわなメディアライブ[12]。鉄骨構造地上5階建て敷地面積は3,191.22m2、建築面積は2,728.51m2、延床面積は9,1113.77m2[21][注 3]。南側の外観は鳥居をモチーフとしている[20]。これは「歴史と未来への鳥居」を表しており、桑名市の目指す「ひと育て」「まち育て」「歴史育て」に沿うものである[23]。
図書館は3・4階にあり、1階入り口からはエスカレーターを乗り継いで行くことになる[24]。同じ建物にあることを活かした中央図書館と保健センターの連携によるブックスタート支援事業が行われている[11]。
階 | 施設名 | 設備 |
4階 | 桑名市立中央図書館 | 郷土資料室「歴史の蔵」、レファレンスカウンター、研修室、読書テラス「天空の庭」 |
3階 | 一般開架、児童開架、おはなし室、受付、事務室、読書テラス「天空の庭」 | |
2階 | 桑名市中央保健センター | 事務室、健康教育室、調理室、保健栄養指導室、機能訓練室、運動室、和室、心理相談室、歯科検診室、診察室、測定室 |
桑名市勤労青少年ホーム | 事務室、講習室、娯楽談話コーナー | |
1階 | 桑名市多目的ホール | ホール(時のホール) |
共用空間 | プレイルーム、タリーズコーヒーくわなメディアライヴ店、駐車場 | |
桑名市立中央図書館 | 書庫、ブックポスト |
- 施工業者
図書館の構造
延床面積は3,169.06m2で、旧桑名市立図書館(1,200m2)の約2.6倍である[4]。3階と4階の両方に読書テラス「天空の庭」が設置され、屋外での読書が可能である[4]。館内には桑名発祥とされる連鶴が随所に飾られている[26]。
3階にある一般開架は書架の高さを1.5m(5段)と低くし、車いすが通りやすく配置し、両側ガラス張り・吹き抜けの開放的な雰囲気を形成する[27]。児童開架は書架1.2mで、その奥に桑名市特産のハマグリを模した「おはなし室」がある[27]。児童書架には読書用の図書と調べ学習用の図書の双方が用意され、子ども向けの「地域資料コーナー」も置かれている[28]。おはなし室では、図書の読み聞かせ以外にもかるた大会など各種イベント会場として利用される[17]。目の不自由な人のための「対面朗読室」も設置されている[4]。
4階にある郷土資料室は「歴史の蔵」と名付けられ、貴重書が含まれるため入室には申請が必要である[29]。桑名市および三重県の資料を収集・保管する[30]。江戸時代の史料や伊勢湾台風で被災した史料は帙(ちつ)の中で保存し、室内は自動温湿度管理システムと不活性ガスで資料劣化を防止している[28]。ほかにインターネットや新聞社のデータベースを利用できる「ITコーナー」とビデオ・DVDなどが鑑賞できる「AVコーナー」もある[4]。
利用案内
PFI導入前に比べて開館時間が長くなっただけでなく、年間開館日数が1割増加した[31]。夜間時間帯(19時〜21時)の貸出利用者は半年に25,000人から35,000人と波があるものの、入館者数の増加へ確実に貢献している[3]。これにより入館者数も増加し、1日平均2,114人が入館している[31]。
PFIによる運営
PFIそのものの説明は「PFI」を参照。
桑名市立中央図書館のPFI方式では、桑名市当局が方針決定や図書選定などの決定権を持ち、図書館流通センターが方針に基づいて市側に提供するサービスや購入図書を提案する[32]。事業内容が桑名市と図書館流通センターで重複しないよう、役割分担を明確にしている[33]。
民間に任せることでサービスの低下が起きないよう、毎日図書館流通センターが自主点検を行い、月に1回桑名市がモニタリングを行う[32]。ほかに問題発生時や緊急・非常時の「随時モニタリング」[34]、市民モニターによる評価、利用者アンケートも行われる[35]。
桑名市の採用したPFIは「サービス購入型」と呼ばれる方式で[3]、利用実績・サービス実績に応じて桑名市では毎年事業者に支払うサービス購入料を変更する[32]。利用実績で評価される「利用者数」は図書館への「入館者数」とは異なるが、桑名市の「利用者」の定義が広めにとられているので、ほぼ一致する[3]。
利点と問題点
PFI導入の最大のメリットは「安定した図書購入」であると言われている[27]。従来は単年度で予算が組まれ、図書購入費の変動が激しかったが、開館から3年間は年間5万冊、以後は年間1万冊を購入すると決められたため、安定して新刊を購入し続けることができる[27]。図書の購入は図書館流通センターが行い、市の組織である「図書等選定委員会」に報告するが、高価な図書や思想の偏りのある図書などは購入前に委員会に諮る必要がある[35]。新刊は土曜日に配架される[29]。
市側のメリットは歳出の削減と安定、事業者側のメリットは新規事業の獲得などが挙げられる[36]。利用者にとっての最大のメリットは、開館時間の延長である[37]。
明治大学経営学部の藤江昌嗣は、桑名市立中央図書館のPFI事業を特殊な例として評価する一方、問題点も指摘している[38]。開館後30年で施設の所有権が桑名市に移ることになっている契約について、30年後に老朽化した施設を桑名市はどのように資金調達して更新(改築)するのか、と疑問を投げかけ、民間に任せたことで浮いた税金を他の用途に使っていることは将来へのリスクを高めているとした[38]。また森下芳則は、企業連携・資金調達に民間のノウハウが生かされているが、図書館経営の面では特段の優位性はないと評した[39]。
行政と業者の協働作業(図書館事業)
以下の6つの事業を協働して行っている[40]。
- レファレンスに関する研修会
- 出前講座:小中学校向けの図書・図書館講座
- 郷土資料・行政資料の収集・整理等
- 「桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」開催
- 「昭和の記憶」収集
- 郷土資料のデジタル化とインターネット公開
特色
情報技術を利用した効率化
図書には1冊ずつICタグが付けられており、利用者は自動貸出機(3台設置)を使って借りることができる[32]。ICタグ導入は東海地方の図書館では初めてで、事業者側から提案された[3]。これにより、図書の返却・貸出業務に当たっていた人員を図書館利用者へのサービス人員に振り替えることができた上、図書の紛失が激減するという効果もあった[3]。学校図書館の蔵書もICタグ化して学校間の相互貸借、中央図書館との図書の往来も検討されたが、実現していない[41]。
図書館の書庫は自動化されており、職員が「出納ステーション」で操作すると数分で自動的に書庫からカウンターに図書が届く[32]。この自動化書庫は「オートライブ」と呼ばれ、利用者の待ち時間を大幅に短縮することに成功した[17]。書庫がガラス張りになっているため、図書を運ぶバスケットの動きを見ることができるが、森下芳則は参考調査や蔵書管理に不都合はないのか、と疑問を発している[42]。1階に設置されたブックポストも自動化する計画があったが、危険物の投入を想定して見送られた[43]。
地域文化の活用
桑名市立中央図書館では郷土資料の収集を官民協働で行うことを決めていたため、開館前に図書館職員全員を対象とした郷土資料に関する研修を行い、職員全員が桑名の基本知識を修得している[44]。研修で出題された問題と解答は館内ネットワークで参照できるようになっており、日常の利用者への案内に活用されている[44]。
2006年(平成18年)度より[26]年1回、「昭和の記憶」を展示する取り組みを行っている[44]。これは業者側からの提案であったが、市では提案内容をさらに拡張し、市民に写真などの情報提供を求め、情報提供者の元へ聞き取り調査へ行く人も市民から募集した[44]。この活動を通して市民から自然に情報が集まるようになり、開館から3年で目標としていた郷土資料の蔵書1万点を達成した[44]。ここで収集された情報は桑名ふるさと検定の公式テキスト『桑名のいろは』にも収録され、同検定の問題になっているほか、将来的には市史編纂にも役立てる方針である[45]。「昭和の記憶」事業では、収集資料のデジタル化も推進している[26]。
桑名市図書館を使った調べる学習コンクール
2005年(平成17年)に始まったコンクール[46]。図書館を活用し、「知る喜び」を人に伝え、発表する場と位置付けられている[47]。三重県で実施しているのは2012年(平成24年)現在、桑名市のみである[47]。市のコンクールで上位成績を収めると全国コンクールへ出品される[48]。
これに合わせて図書館では「調べる学習サポート教室」を実施している[46]。教室では当初、外部講師を招いて開催していたが、後に図書館職員が研修を受けて開くようになった[46]。この教室を受講して後に全国コンクールで受賞した子どももいる[30]。
桑名市および全国のコンクールで入賞した作品の複製が一般書架・児童書架で常設展示されている[28]。この展示に刺激を受けた子どもが作品を制作し、受賞するという効果も生まれている[49]。
歴史
旧桑名市立図書館
終戦直後の1947年(昭和22年)4月15日に、市民の要望と寄付金を得て旧図書館令によって認可を受けた[7]。当時の名称は「桑名市立図書館」であった[7]。同年の予算は32,560円、蔵書は1,300冊と図書館としては不十分で、本格的に「図書館」としての機能を活かせるようになったのは1950年(昭和25年)の図書館法制定以降であった[7]。翌1951年(昭和26年)3月に木造平屋建の旧桑名市議会議場を閲覧室とし、順次施設を拡張していった[7]。1959年(昭和34年)時点で職員は3人、8時30分から16時30分まで開館し、休館日は火曜日であった[7]。同年9月、伊勢湾台風の被害に遭い一時閉館、1960年(昭和35年)2月に業務を再開した[13]。台風により、図書館の多くの資料が失われてしまった[2]。
1968年(昭和43年)5月に旧桑名都市計画復興事務所へ移転、翌1969年(昭和44年)5月には鍛治町の旧診療所へ移転した[13]。更に1973年(昭和48年)5月、旧桑名市役所庁舎へ移転した[13]。この市庁舎は1952年(昭和27年)築であった[50]。
1990年(平成2年)、AVブースを設置し、CD・ビデオ・LDの閲覧が可能となった[51]。1996年(平成8年)時点では、2階建てで延床面積1,247m2、蔵書は105,000冊であった[52]。貴重書として桑名藩の儒者である秋山蝸庵・寒緑父子の残した『秋山文庫』と『伊藤文庫』を所蔵していた[53]。旧図書館の蔵書は約13万冊であった[27]。
PFI導入の検討
1990年代、桑名市が実施した市民アンケートで、新しい図書館の建設が最も多く挙げられた一方、保健センターと勤労青少年ホームを建て替える必要があった[24]。3つの施設を建てるのは費用がかかるため、3つの機能を持つ1つの施設を建設することが検討された[24]。1999年(平成11年)2月、「PFI推進検討会」を設置してPFIの導入可能性を検討し[54]、2001年(平成13年)8月に正式にPFIを導入することを決定した[24]。導入可能性の調査は日本経済研究所に委託された[54]。桑名市が採用したPFIはBOT方式と呼ばれるもので、民間が設計から建設、施設の所有と管理を行い、30年後に市へ無償で所有権を移すというものだった[24]。計画段階ではくわなメディアライヴ全体にPFIを導入することを検討したが、民間に運営させてサービス向上できるものは図書館のみであると判断され、現在の形となった[24]。事業参加の意思を表明した企業グループは8つ[注 4]であった[50]。
2002年(平成14年)3月、総合評価一般競争入札を実施[24]、6グループ[注 5]が入札に応じ[50]、同年4月に鹿島建設を筆頭とするグループ[注 6]が76億2200万円で落札した[24]。開館までには「PFI実施方針」に対し約500件、「入札説明書」に600件の質問が寄せられるなど、計画から図書館の完成までに5年8か月もかかったことが課題となった[37]。
開館後
2002年(平成14年)7月に工事に着手、2004年(平成16年)7月に工事が完了した[21]。そして2004年(平成16年)10月1日に開館[57]。開館から1か月の入館者数は82,378人で旧館時代の4倍を記録した[31]。1年目は見物を兼ねた入館者が多かったため、翌2005年(平成17年)度の入館者数は前年比10.1%減となった[19]。
2005年(平成17年)度より「桑名市図書館を使った調べる学習コンクール」を開始、翌2006年(平成18年)度より「昭和の記憶」事業を始めた[26]。
周辺
図書館周辺は桑名市の中心市街地であり、JR・近鉄・養老鉄道桑名駅および三岐鉄道西桑名駅から徒歩6分である[8]。三重県道504号桑名港線沿い。駐車場は当初50台だったが、利用者の安全のために38台に減らされ、駐車場不足が指摘されている[37]。駐輪場は120台[37]。
脚注
- 注釈
- ^ 南山大学経済学部の水谷重秋は、この略称について不快感を示し、自身のウェブサイトで批判している[10]。
- ^ 森下は田原市中央図書館を利用実績でトップグループに入るが、桑名市立中央図書館は中位で平均レベルとしている[15]。
- ^ 設計者による数値[21]。桑名市立中央図書館の発表した資料では敷地面積は3,198.82m2、延床面積は8,153.13m2となっている[22]。
- ^ 落札した鹿島建設のほか、大林組、前田建設、日立製作所、伊藤忠商事、住友商事、三菱商事、丸紅を筆頭とする8つが参加した[55]。
- ^ 前述の日立製作所と丸紅が抜け、大林組、前田建設、伊藤忠商事、住友商事、三菱商事、鹿島建設を筆頭とする6つが参加した[56]。
- ^ ほかに佐藤総合計画、図書館流通センター、セントラルリース(現三菱UFJリース)、鹿島建物総合管理、積村ビル管理、三重電子計算センターが入っていた[55]
- 出典
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<ref>
タグ; name "kh"が異なる内容で複数回定義されています - ^ a b c d 岡田(2005):78ページ
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- ^ 森下(2007):71ページ
参考文献
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- 岡田和彦(2005)"PFIで図書館は進化するか 全国初のPFI方式による桑名市立中央図書館"都市問題(東京市政調査会).96(9):78-83.
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関連項目
外部リンク
- 桑名市立中央図書館
- 新しい形の図書館-PFI-(三重県桑名市立中央図書館) - 文部科学省
- 日本初の図書館PFI事業/三重県桑名市 - 地方シンクタンク協議会