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'''マッコリ'''({{lang|ko|막걸리}})とは、[[大韓民国|韓国]]の大衆向け[[醸造酒]]の一つ。日本の[[どぶろく]]に相当する。仮名表記では、'''マッカリ'''、'''マッコルリ'''とも書く。
'''マッコリ'''({{lang|ko|막걸리}})とは、朝鮮の大衆向け[[醸造酒]]の一つ。日本の[[どぶろく]]に相当する。仮名表記では、'''マッカリ'''、'''マッコルリ'''とも書く。

== 概要 ==
== 概要 ==
マッコリ強い甘味がある。これは[[麹]]により[[糖化]]された米の甘味である微かな酸味と炭酸発泡の味がる。醗酵の進み過ぎたマッコリは酸味と炭酸が強烈になる。アルール[[アルコール飲料#酒とアルコール|度数]]6~8%([[ビール]]程度)である。
マッコリは[[米]]を主原料とす[[アルコール発酵]]飲料で[[朝鮮半島]][[伝統酒]]の一種アルコール[[アルコール飲料#酒とアルコール|度数]]6~8%で日本や韓国の[[ビール]]より若干高め、同じく米を主原料とする[[日本酒]]、にごり酒の半分程度である。[[麹]]により[[糖化]]された米の強い甘味があり、またタンパク質やビタミン類に富む。乳酸醗酵により雑菌の繁殖が抑えられる点は[[日本酒]]と同じであるが、一般にマッコリでは[[乳酸菌飲料]]のような微かな酸味と炭酸発泡の味がより顕著である。醗酵を止めていないものも多く、醗酵の進み過ぎたマッコリは酸味と炭酸と悪臭が強烈になる。生マッ劣化が早いので長期保存が不可能である。


==名称==
原料は[[米]]するが[[小麦粉]]を添加する場合が多く、その他の材料や製法は地域によって多少の違いがある。米を主原料としないマッコリの代表例は[[サツマイモ]](コグマ/{{lang|ko|고구마}})を主原料とするもので、これをコグマ・マッコリと呼ぶ。また、[[江原道]]や[[慶尚北道]]の山間部では[[とうもろこし]](玉蜀黍;韓国語読みでオクスス/{{lang|ko|옥수수}})を原料とするものもあり、これをオクチュ(玉酒/{{lang|ko|옥주}})と呼び、飲む際にはオクチュを注いだ器の中に[[松]]の葉を数本折って入れる。これは松の葉独特の香りがオクチュとよく合うことから、このような飲み方が好まれるという。
[[image:Nongju.jpg|thumb|「農酒」の例]]
[[発酵]]には[[酵母]]による[[アルコール発酵]]のほかに、雑菌の繁殖を抑えるための[[乳酸菌]]による発酵を伴う。そのためほのかな酸味がある。
語源は「マッ+コルダ」(막 거르다、粗雑に+濾す)という朝鮮語から来ており「粗く濾した酒」という意味である。その見かけから「濁酒」(タクチュ、탁주)、「滓酒」(ジェチュ、재주)と呼ばれる他に、昔は農作業をしながら水代わりに飲まれてことから「農酒」(ノンジュ、농주)と呼ばれたり、家ごとに自家醸造し振舞われていたことから、「家醸酒」(カヤンジュ、가양주)とも呼ばれていた<ref name=visitseoul20100816>[http://www.visitseoul.net/jp/article/article.do?_method=view&art_id=38883&lang=jp&m=0004001001020&p=01 伝統茶・お酒 - マッコリ], [[ソウル観光公社]], 2010-08-16/2010-12-14修正.</ref><ref name=ecustoms20100827>{{ko icon}} [http://ecustoms.tistory.com/742 "세계인도 반한 ‘드렁큰 라이스' 나도 맛좀볼까?!"], [[大韓民国関税庁]][[釜山]]税関輸入2課, 2010/08/27.</ref>。


===ドンドンジュ===
一般的にマッコリは暑い夏場に冷やした状態で飲むのが好まれる。大きな丼のような器によそい、パガジという[[ヒョウタン]]で作った柄杓で各自の器に取り分けて飲む。<!--韓国では温めたマッコリも飲む?と不確かな情報もあります。ご存知の方に修正をお願いします。-->
ドンドンジュ({{lang|ko|동동주}})はマッコリとほぼ同じ酒でろ過、火入れをしていないものである。濾していない醗酵中の生酒であるため炭酸により米粒が浮かんでくる<ref name=visitseoul20100816/>。火入れ済みで発泡しないものをマッコリと区別する場合が多いが、両者の間に明確な違いはないため、日常的には特に区別をすることは無い。どちらも韓国の[[スーパーマーケット]]や雑貨店などで売られている。


===マッコリの世界化と呼称===
韓国ではドンドンジュ({{lang|ko|동동주}})という酒もよく飲まれている。ドンドンジュはマッコリとほぼ同じ酒である。厳密には火入れをしない発泡性を保ったものをトンドンジュ、火入れ済みで発泡しないものをマッコリと区別する場合が多い。ただし両者の間に明確な違いはないため、日常的には特に区別をすることは無い。どちらも韓国の[[スーパーマーケット]]や雑貨店などで売られている。生マッコリは劣化が早いので長期保存が不可能である。
[[韓国料理の世界化]]推進運動と関連し、マッコリの[[グローバル化]]戦略の一環として世界に紹介する上でどのように表記するべきか議論されてきた。マッコリの現在の正式ローマ字表記であるMakgeolliに加えMaggeolli、Maccori、Makkoli、Makulyといった表記も使われているが、どう発音するかといった点も含めてわかりにくいという批判があった<ref>[http://www.chosunonline.com/news/20091227000008 "「Makgeoli」ってどう読みますか?"], [[朝鮮日報]], 2009/12/27.</ref>。また、マッコリ相当のアルコール度の物に「Korean Rice Wine」「Pure Unfiltered Sake」という表記に加え「NIGORI SAKE」と記載し[[にごり酒]]の一種として販売する例も報告されている<ref>{{ko icon}} [http://closeup-usa.tistory.com/108 '막걸리, 꼭 "니고리 자케"로 수출해야 하나요?'], KoreaBrandImage.com, 2010/02/24.</ref>。こうした表記の不統一を解消し、統一した表記で韓国伝統酒としてのブランドイメージを確立しようという動きが起こった<ref>{{ko icon}} [http://news.kukinews.com/article/view.asp?page=1&gCode=eco&arcid=0003661089&code=11151100 "마코리? 라이스 비어?… 막걸리 영문 애칭 지어주세요"], [[国民日報]], 2010.04.30. 参考日本語訳:[http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1275061047/ マッコリ?ライスビア?…マッコルリ(マッコリ)の英文愛称作って下さい]</ref>。


2010年5月、[[大韓民国農林水産食品部]]はマッコリの英文愛称を公募し、その結果「Drunken Rice」が1位に選ばれたと発表した。また、2位は「Makcohol」(マッコール、Makgeolli+alcohol)、3位は「Markelixir」(マーカリキサー、Makgeolli+elixir([[エリクサー]]))だった。農林水産食品部はマッコリ公式名称「Makgeolli」とともに選ばれた愛称を海外マーケティングに積極的に活用する方針を伝えた<ref>[http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=129491 "マッコリの英文愛称は「Drunken Rice」"], [[中央日報]], 2010.05.27.</ref><ref>[http://app.yonhapnews.co.kr/yna/basic/ArticleJapan/ArticleMPIC/YIBW_showArticleMPICPopup.aspx?contents_id=MYH20100527008800882 "「マッコリ」は英語で「Drunken Rice」"], [[連合ニュース]], 2010-05-27.</ref>。一方、海外消費者を対象にマッコリを分かりやすく説明できる英語を調べた結果では「Korean Rice Wine」が最も評価が高かった。他方、「Drunken Rice」という表記に対する批判も見られた<ref>{{ko icon}} [http://news.kukinews.com/article/view.asp?page=1&gCode=all&arcid=0003756485&code=14190000 "“막걸리 영문애칭 ‘드렁큰 라이스’는 ‘술취한 동양놈’ 의미”…전문가들 “일리 있는 주장”"], [[国民日報]], 2010.05.28. 参考日本語訳:[http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1275061047/ “マッコリ英文愛称‘ドランクンライス’は‘酒に酔った東洋野郎’意味”…専門家たち“一理ある主張”]</ref>。
マッコリは[[日本統治時代の朝鮮|日本統治時代]]以前には各家庭ごとに作られていた。


==原料・種類==
[[朝鮮民主主義人民共和国]](北朝鮮)にも昔はマッコリが多く存在したが、食糧不足によって造られなくなり、現在では海外観光客向けに一部が存在する程度だといわれている。代わりに、[[ドングリ]]や[[ジャガイモ]]・[[トウモロコシ]]を原料にした[[密造酒|密造]][[焼酎]]([[焼酎#カストリ|カストリ]])が多く製造され、[[チャンマダン]](市場)で売買されているという
米が主原料であるものサル・マッコリ(쌀 막걸리)呼ぶ[[小麦粉]]を添加する場合が多く、その他の材料や製法は地域によって多少の違いがある。米を主原料としないマッコリの代表例は[[サツマイモ]](コグマ/{{lang|ko|고구마}})を主原料とするもので、これをコグマ・マッコリと呼ぶ。[[江原道]]や[[慶尚北道]]の山間部では[[とうもろこし]](玉蜀黍;韓国語読みでオクスス/{{lang|ko|옥수수}})を原料とするものもあり、これをオクチュ(玉酒/{{lang|ko|옥주}})と呼び、飲む際にはオクチュを注いだ器の中に[[松]]の葉を数本折って入れる。これは松の葉独特の香りがオクチュとよく合うことから、このような飲み方が好まれるという。2010年には、韓国の[[女子高生]]が「五穀マッコリ」を[[特許]]登録したり「インスタントマッコリ」を開発して第56回全国科学展覧会に出品、農水産部門賞を受賞したことが話題になった<ref>{{ko icon}} [http://www.yonhapnews.co.kr/bulletin/2010/09/08/0200000000AKR20100908074600064.HTML "<충주 예성여고생들 오곡 막걸리로 특허>"], [[連合ニュース]], 2010/09/08.</ref>


[[朝鮮民主主義人民共和国]](北朝鮮)にも昔はマッコリが多く存在したが、食糧不足によって造られなくなり、現在では海外観光客向けに一部が存在する程度だといわれている。代わりに、[[ドングリ]]や[[ジャガイモ]]・[[トウモロコシ]]を原料にした粗悪」な[[密造酒|密造]][[焼酎]]([[焼酎#カストリ|カストリ]])が多く製造され、[[チャンマダン]](市場)で売買されている。
日本でも近年、[[韓国料理]]店の増加に伴って、輸入マッコリが出回るようになってきた<ref>[http://japanese.yonhapnews.co.kr/economy/2009/10/23/0500000000AJP20091023001200882.HTML マッコリ輸出が増加の一途、9割弱が日本向け] 聯合ニュース 2009年10月25日閲覧</ref>。


===添加物===
韓国ではマッコリに使われる人工甘味料[[アスパルテーム]]が人体に有害だとして問題になったが、2010年3月、食品医薬品安全庁が「1日に許容される摂取量を超えない限り問題はない」と公式見解を発表した<ref>[http://www.chosunonline.com/news/20100325000051 「マッコリに含まれる甘味料、許容量以下なら問題なし」] 朝鮮日報 2010年3月25日閲覧</ref>。
韓国ではマッコリに使われる人工甘味料[[アスパルテーム]]が人体に有害だとして問題になったが、2010年3月、食品医薬品安全庁が「1日に許容される摂取量を超えない限り問題はない」と公式見解を発表した<ref>[http://www.chosunonline.com/news/20100325000051 「マッコリに含まれる甘味料、許容量以下なら問題なし」] 朝鮮日報 2010年3月25日閲覧</ref>。

==変遷==
元々は伝統酒の副産物の沈殿物に水を混ぜて酒として飲まれていたもの(滓酒)がマッコリであったとされる<ref name=gd20100414>[http://www.1242.com/goodday/index.php?id=2&YMD=2010-04-14 〝なぜか韓国よりも盛り上がる、日本のマッコリブーム〟], [[ニッポン放送]][[上柳昌彦のお早うGoodDay!]], 2010-04-14.</ref>。麦麹で糖化と発酵を同時に行う家釀酒文化であり、製法もそれほど体系化されていなかった<ref name=joins20091004>[http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=121144 "「今のマッコリは日本式の酒」(1)"][http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=121145 "(2)"], [[中央日報]], 2009.10.04.</ref><ref name=segye20090422>{{ko icon}} [http://economysegye.segye.com/articles/view.html?aid=20090421002990&cid=7111010000000 "수입 쌀·일본 효모균 사용 ‘막걸리 정통성’ 논란"], [[世界日報]], 2009.04.22.</ref><ref>なお、中央日報(2009.10.04)、世界日報(2009.04.22)の記事に登場し、[[韓国伝統酒研究所]]([http://www.ktwine.or.kr/ 한국전통주연구소])を設立し研究を行ってきたパク・ロクタム所長によると、伝統製法で使われる麦麹は糖化と発酵を同時に行うとしており酵母は加えないが、アルコール醗酵が[[野生酵母]]で行われているかどうかについては触れていない。このため韓国産酵母を加え韓国伝統酒と称して販売する醸造者についても批判的である。日本でもかつては[[蔵つき酵母]](家付き酵母)と呼ばれる野生酵母の利用が一般的であり酒質を決定付けていた。現在でも選別・培養された[[清酒酵母]]ではなく蔵つき酵母で醸造する蔵も存在する([http://www.chiyomidori.com/policy/ 奥田酒造店]など)。</ref>。1909年、日本の保護国となっていた[[大韓帝国]]で「酒税令」が公布され、醸造を申告制・課税対象とし個人の自家醸造を禁止した。また、酒の種類も薬酒、濁酒、焼酎、清酒に単純化され、さらに終戦後も酒税法は維持されたので日本でのどぶろく文化同様、多様な家釀酒文化の多くが失われた。

一方、[[日本統治時代の朝鮮]]には日本から日本式米麹と酵母を使った[[並行複発酵]]法が持ち込まれ、製法が体系化されていなかったため失敗率が高く、出来上がりの均一性にも問題が出やすく大量生産に向かない伝統的な製麹法を駆逐していった<ref name=segye20090422/>。さらに1930年ごろ、[[朝鮮総督府]]は米麹による糖化と酵母を別に入れてアルコール発酵させるマッコリ製造方法の画一化を進め、これがそのまま現在の韓国でも使われている<ref name=joins20091004/>。また家釀酒としての文化も[[密造酒]]として生き延びたものの、この間文化としての発展はみられず、また醗酵促進目的で麹を入れすぎたため「伝統酒の香りは麹のにおい」「伝統酒→マッコリ→安物の酒」という評価が定着していったとされる。

[[戦後]]・独立後、マッコリを扱う酒造会社などが設立され、1960年代までアルコール飲料消費全体の60%を占める大衆酒の地位を得ていたが、1965年、食糧不足により「糧穀管理法」が改正され米・麦で酒を仕込むことが禁止されるとその地位から転落、アメリカの援助による小麦粉でマッコリの醸造が再開され、1992年には米でのマッコリ醸造が解禁されたが、消費者が小麦マッコリの味に慣れて行ったこともあり米マッコリ固有の味は消えていった<ref name=visitseoul20100816/><ref name=segye20090422/><ref>なお、韓国では2007年に1950年代以降初めて米の輸出が承認されるまで輸出が禁止されていた。[http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=87238 "解放後、初のコメ輸出の足をひっぱる農林部"], [[中央日報]], 2007.05.08. 参考リンク集:[http://specificasia.seesaa.net/article/61234935.html 日本米がアメリカで売れているから韓国米も輸出ニダ!そして…]</ref>。

現在、韓国内で生産消費されるマッコリの原料には一部の企業で国産米を使うもののほとんどは米国や中国産の米を原料にしている。伝統酒には国産米を使うべきという意見もあるが、輸入米が安いことに加え、FTA施行により輸入された米を消費することで値崩れが防止されているとの擁護論もある<ref name=segye20090422/>。また韓国製マッコリの大部分が甘味料として[[アスパルテーム]]を添加しており、この点も批判されている。

===マッコリ・ルネサンス===
[[image:Makgeolli.jpg|thumb|マッコリ・ルネサンスで若年層にも見直される真鍮製のやかんとサバル(사발、沙鉢)]]
2004年頃の[[韓流]]ブームをきっかけに日本でのマッコリ消費量および韓国から日本への輸出量が急上昇、日本でマッコリブームが起こっていると韓国でも喧伝された<ref>[http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=85748 "これがマッコリ?日本の若い女性ら「ぞっこん」"], [[中央日報]], 2007.03.22.</ref>。韓国では「麹臭い安酒」のイメージもあり、焼酎やビール、ワインなどに押されてマッコリの消費量は3%程度まで落ち込んでいたが<ref name=gd20100414/>、折から韓国政府が[[韓食の世界化]]の推進と韓国文化の見直しを進めていたことや、低アルコール・自然食品で健康に良いといった日本での評価などもクローズアップされ<ref>逆に、[[本格焼酎]]ブームを経ていた日本での[[韓国焼酎]]のイメージは「薄汚い店舗で提供される安酒」であり、韓流ブームに伴い注目された韓国料理店ではこれにとって変わるべき「健康的で伝統的な飲料」が求められていた。</ref>、韓国でマッコリが再認識されるようになり、日本のブームが逆輸入される形で2008年ごろから韓国でマッコリブームが起こった<ref name=visitseoul20100816/><ref name=gd20100414/><ref name=walker20100120>[http://news.walkerplus.com/2010/0120/5/ "ハイボールの次はコレ!「マッコリ」&「ホッピー」にブームの兆し"], [[東京ウォーカー]], 2010年1月20日.</ref>。

韓国では伝統酒の研究と製法普及やマッコリ醸造技術者増加のための予算が認められ、マッコリ・ソムリエ養成学校が立ち上がるとともに<ref>[http://japanese.korea.net/news.do?mode=detail&guid=45763 "キムチ、マッコリ・ソムリエ、韓国の味を世界に知らせる"], 海外文化広報院 (KOCIS), 2010.04.15.</ref>、韓国各地の500以上の業者に加え日本でも醸造業者・マッコリマイクロ[[ブルワリー]]・[[ブルーパブ]]が誕生(日本では雑酒に分類され醸造下限は6キロリットル)、黒豆、おこげ、フルーツ味のマッコリやマッコリベースの[[カクテル]]を提供する店、日本の[[地酒]]居酒屋に相当するマッコリバーが登場するなど広がりを見せ、マッコリ・[[ルネサンス]]とも呼べる様相を呈した<ref name=gd20100414/><ref name=walker20100120/><ref>[http://www.chosunonline.com/news/20091013000042 "マッコリ・ルネサンス到来、おしゃれ&リッチに"], [[朝鮮日報]], 2009/10/13.</ref><ref>[http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110105-00000001-woman-ent "サングリア、漬物…人気のマッコリ七変化"], [[日経ウーマン]]オンライン, 2011年1月5日.</ref>。

2010年にはスーパーやデパートでもマッコリと相性の良いパジョンやキムチジョン、[[豚足]]、[[スンデ]]、[[ガンギエイ]]といった食材の売り上げが伸び、マッコリと一緒にやかんやサバルに加え、高級陶器セットや自家醸造セットなども登場していると報じられた<ref>{{ko icon}} [http://news.sbs.co.kr/sports/section_sports/sports_read.jsp?news_id=N1000707263 "홍어·파전도 '인기'…막걸리가 몰고 온 '복고풍'"], [[SBS (韓国)]]ニュース, 2010-02-06.</ref>。

一方、これまで関心をあまり示さなかった大手の参入により、消費量が大幅に伸びているにもかかわらず地方の地マッコリ業者が圧迫され疲弊しているといった問題や<ref>[http://www.chosunonline.com/news/20100627000014 "大企業のマッコリ市場参入相次ぐ"], [[朝鮮日報]], 2010/06/27.</ref>、さらなるマッコリ世界化のための課題も盛んに議論されている<ref>{{ko icon}} [http://news.donga.com/Economy/Market/3/0108/20100327/27142426/1 "[막걸리, 세계인의 술로/2부]<5·끝> 막걸리 세계화 5가지 조건"], [[東亜日報]], 2010-03-27. 参考日本語訳:[http://read2ch.com/r/news4plus/1269764143/ マッコリ 世界の人の酒へ、マッコリ世界化に五つの条件]</ref>。

==楽しみ方==
[[File:Korean mug bean pancake and rice wine-Bindaetteok and makgeolli.jpg|thumb|[[米国陸軍]]によるビンデトックとマッコリの組み合わせの紹介]]
一般的にマッコリは暑い夏場に冷やした状態で飲むのが好まれる。大きな丼のような器によそい、パガジという[[ヒョウタン]]で作った柄杓で各自の器に取り分けて飲む。この時、小指でよく混ぜてから大振りの陶器製の椀で豪快に飲むのが通で伝統的な飲み方とされる<ref name=visitseoul20100816/>。<!--韓国では温めたマッコリも飲む?と不確かな情報もあります。ご存知の方に修正をお願いします。-->韓国ではおしゃれなフュージョンバーが増えるとともに、マッコリ酒場(デポチプ、대폿집、マッコリチプ、막걸리집)では、ボコボコに潰した[[真鍮]]製の[[やかん]]([[:ko:주전자]]、酒煎子)でマッコリを提供したりディスプレーに使ってノスタルジックな風情を演出するなど、近年のマッコリの復権とともに様々な広がりを見せている<ref>{{ko icon}} [http://sports.chosun.com/news/news_o.htm?name=/news/life/201010/20101006/aaf76118.htm "'행복가', "부침개로 행복한 세상 열고 싶어요""], [[スポーツ朝鮮]], 2010-10-05.</ref><ref>{{ko icon}} [http://www.ohmynews.com/NWS_Web/view/at_pg.aspx?cntn_cd=A0000427180 "찌그러진 막걸리 잔에 추억이 가물가물"], [[オーマイニュース]], 07.08.09.</ref><ref>{{ko icon}} [http://article.joinsmsn.com/news/article/article.asp?total_id=2495395 "추억이 묻어나는 감성 공간! 옛날 대폿집"], [[中央日報]], 2006.11.02.</ref><ref>{{ko icon}} [http://magazine.lotteshopping.com/food/lottefoodspecialView.html?cnts_no=67 "옛날 대폿집 VS 퓨전 대폿집"], [[ロッテ百貨店]], 2008.10.06.</ref><ref>{{ko icon}} [http://www.gocj.net/news/articleView.html?idxno=31690 "찌그러진 주전자에 추억을 가득 담아보자 "], 대전시티저널 (大田シティジャーナル), 2010年12月21日.</ref>。

===料理との相性===
[[チヂミ]]や[[パジョン]]、[[ビンデトック]](빈대떡)との相性の良さがしばしば指摘され、韓国酒幕・屋台での定番の組み合わせとなっている。その他、[[どんぐり]][[でんぷん]][[ゼリー]]の[[トトリムッ]]、ポッサムキムチ、ムグン(古漬け)[[キムチ]]、[[ホンオフェ]]など、一癖ある食べ物との相性が良いとされる<ref name=visitseoul20100816/>。特にホンオフェ(洪魚膾)とマッコリ(濁酒)の組み合わせは「ホンタク」(洪濁、홍탁)と呼ばれ、韓国[[全羅南道]][[木浦]]地域の名物となっている。

===マッコリ通り===
食の振興に力を入れる韓国[[全羅北道]]の[[全州市]]には2008年ごろからの韓国マッコリブーム以前から全州酒博物館(전주술박물관)とマッコリ酒場の集まる5つのマッコリ通りがあり、やかん入りのマッコリを楽しむことができる<ref>[http://japanese.visitkorea.or.kr/myeyes.kto?cmd=view&md=jpn&lang_se=JPN&bbs_sn=1597379 "体験エッセイ 韓国・全羅北道 文化探訪の旅4日間②"], [[韓国観光公社]], 2009/11/04.</ref><ref>{{ko icon}} [http://korean.visitkorea.or.kr/kor/ut/what/taste/content/view_450026.jsp?areaCode=&keyword=&gotoPage=18&ListType "시원한 냉막걸리에 푸짐한 공짜안주 - 전주막걸리 거리"], 韓国観光公社, 2006.11.20.</ref>。スプーンで空のやかんを叩けば注文を受けに来てくれる。

==逸話==
[[朴正煕]]韓国大統領は1978年から地域特産物振興をはじめ、死後の1980年に金井山城マッコリ(금정산성막걸리)が民族酒第1号の認定を受けるなどマッコリ好きとして知られる<ref>{{ko icon}} [http://www.asiatoday.co.kr/news/view.asp?seq=399394 "전통 민속주 제1호 ‘금정산성막걸리’ 브랜드화 추진"], Asiatoday, 2010-09-24.</ref><ref>{{ko icon}} [http://kookbang.dema.mil.kr/kdd/GisaView.jsp?menuCd=2001&menuSeq=16&menuCnt=30917&writeDate=20040729&kindSeq=1&writeDateChk=20040720 "제2話 장군이된 이등병 <191> 막걸리철학 -86-"], 국방일보 (国防日報), 2004.07.20.</ref><ref>{{ko icon}} [[趙甲済]] [http://www.newdaily.co.kr/news/article.html?no=56865 "박정희 '막걸리 독백'"], NewDaily, 2010.09.21.</ref>。また、1966年から[[青瓦台]]に納入され大統領が愛飲し、[[金正日]]委員長も欲しがったため2000年には北朝鮮にもたらされたと伝えられるマッコリがペダリ・マッコリ(배다리막걸리、通称「大統領マッコリ」)という名前で販売されている<ref>{{ko icon}} [http://news.chosun.com/site/data/html_dir/2009/11/04/2009110401908.html "막걸리 인기에 '박정희 향수' 솔솔"], [[朝鮮日報]], 2009.11.05.</ref><ref>[[宇佐美彰彦]] [http://daehanminguk.iza.ne.jp/blog/entry/1439782/ "今年初ソウル"], 韓流徒然日記-わが麗しの大韓民国-, 2010/01/31.</ref>。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
{{Reflist|2}}

==関連書籍==
* [[鄭銀淑]] 『マッコルリの旅』 [[東洋経済新報]] (2007/07). ISBN 978-4492042847
:* {{ko icon}} 정은숙 『막걸리 기행』 한국방송출판, 2010. ISBN 9788972002536
* 『珠玉のマッコリ 徹底ガイド』 [[シンコーミュージック・エンタテイメント]] (2010/6). ISBN 978-4401634347
* {{ko icon}} 허시명 『막걸리, 넌 누구냐?』 예담, 2010-04-30. ISBN 9788959134410
* {{ko icon}} 배송자 『전통 웰빙주 막걸리』하남출판사, 2010. ISBN 9788975341960
* {{ko icon}} 류인수 『막걸리 수첩』 우듬지, 2010. ISBN 9788991292666


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
[http://www.visitseoul.net/jp/article/article.do?_method=view&art_id=38883&lang=jp&m=0004001001020&p=01 マッコリ: ソウル市観光公式サイト]
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* [http://blog.livedoor.jp/tanjo0711/archives/cat_50009288.html マッコリ&韓国伝統酒], 丹醸&スペペ 飲料マニアと雑学帝王!!.
* [[八田靖史]] [http://koriume.blog43.fc2.com/blog-entry-963.html "マッコルリはいつ「マッコリ」になったのか(まとめ)。"], 韓食日記, 2009.06.01.


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2011年1月30日 (日) 00:32時点における版

マッコリ
器に入ったマッコリはヒョウタンを割って作ったパガジですくう。写真は陶器製
各種表記
ハングル 막걸리
탁주
漢字
濁酒
発音 マッコルリ
タクチュ
2000年式転写 / MR式転写: Makgeolli / Makkŏlli
Takju / T'akchu
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マッコリ막걸리)とは、朝鮮の大衆向け醸造酒の一つ。日本のどぶろくに相当する。仮名表記では、マッカリマッコルリとも書く。

概要

マッコリはを主原料とするアルコール発酵飲料で朝鮮半島伝統酒の一種。アルコール度数は6~8%で日本や韓国のビールより若干高め、同じく米を主原料とする日本酒、にごり酒の半分程度である。により糖化された米の強い甘味があり、またタンパク質やビタミン類に富む。乳酸醗酵により雑菌の繁殖が抑えられる点は日本酒と同じであるが、一般にマッコリでは乳酸菌飲料のような微かな酸味と炭酸発泡の味がより顕著である。醗酵を止めていないものも多く、醗酵の進み過ぎたマッコリは酸味と炭酸と悪臭が強烈になる。生マッコリは劣化が早いので長期保存が不可能である。

名称

ファイル:Nongju.jpg
「農酒」の例

語源は「マッ+コルダ」(막 거르다、粗雑に+濾す)という朝鮮語から来ており「粗く濾した酒」という意味である。その見かけから「濁酒」(タクチュ、탁주)、「滓酒」(ジェチュ、재주)と呼ばれる他に、昔は農作業をしながら水代わりに飲まれてことから「農酒」(ノンジュ、농주)と呼ばれたり、家ごとに自家醸造し振舞われていたことから、「家醸酒」(カヤンジュ、가양주)とも呼ばれていた[1][2]

ドンドンジュ

ドンドンジュ(동동주)はマッコリとほぼ同じ酒でろ過、火入れをしていないものである。濾していない醗酵中の生酒であるため炭酸により米粒が浮かんでくる[1]。火入れ済みで発泡しないものをマッコリと区別する場合が多いが、両者の間に明確な違いはないため、日常的には特に区別をすることは無い。どちらも韓国のスーパーマーケットや雑貨店などで売られている。

マッコリの世界化と呼称

韓国料理の世界化推進運動と関連し、マッコリのグローバル化戦略の一環として世界に紹介する上でどのように表記するべきか議論されてきた。マッコリの現在の正式ローマ字表記であるMakgeolliに加えMaggeolli、Maccori、Makkoli、Makulyといった表記も使われているが、どう発音するかといった点も含めてわかりにくいという批判があった[3]。また、マッコリ相当のアルコール度の物に「Korean Rice Wine」「Pure Unfiltered Sake」という表記に加え「NIGORI SAKE」と記載しにごり酒の一種として販売する例も報告されている[4]。こうした表記の不統一を解消し、統一した表記で韓国伝統酒としてのブランドイメージを確立しようという動きが起こった[5]

2010年5月、大韓民国農林水産食品部はマッコリの英文愛称を公募し、その結果「Drunken Rice」が1位に選ばれたと発表した。また、2位は「Makcohol」(マッコール、Makgeolli+alcohol)、3位は「Markelixir」(マーカリキサー、Makgeolli+elixir(エリクサー))だった。農林水産食品部はマッコリ公式名称「Makgeolli」とともに選ばれた愛称を海外マーケティングに積極的に活用する方針を伝えた[6][7]。一方、海外消費者を対象にマッコリを分かりやすく説明できる英語を調べた結果では「Korean Rice Wine」が最も評価が高かった。他方、「Drunken Rice」という表記に対する批判も見られた[8]

原料・種類

米が主原料であるものをサル・マッコリ(쌀 막걸리)と呼ぶが、小麦粉を添加する場合が多く、その他の材料や製法は地域によって多少の違いがある。米を主原料としないマッコリの代表例はサツマイモ(コグマ/고구마)を主原料とするもので、これをコグマ・マッコリと呼ぶ。江原道慶尚北道の山間部ではとうもろこし(玉蜀黍;韓国語読みでオクスス/옥수수)を原料とするものもあり、これをオクチュ(玉酒/옥주)と呼び、飲む際にはオクチュを注いだ器の中にの葉を数本折って入れる。これは松の葉独特の香りがオクチュとよく合うことから、このような飲み方が好まれるという。2010年には、韓国の女子高生が「五穀マッコリ」を特許登録したり「インスタントマッコリ」を開発して第56回全国科学展覧会に出品、農水産部門賞を受賞したことが話題になった[9]

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)にも昔はマッコリが多く存在したが、食糧不足によって造られなくなり、現在では海外観光客向けに一部が存在する程度だといわれている。代わりに、ドングリジャガイモトウモロコシを原料にした粗悪」な密造焼酎カストリ)が多く製造され、チャンマダン(市場)で売買されている。

添加物

韓国ではマッコリに使われる人工甘味料アスパルテームが人体に有害だとして問題になったが、2010年3月、食品医薬品安全庁が「1日に許容される摂取量を超えない限り問題はない」と公式見解を発表した[10]

変遷

元々は伝統酒の副産物の沈殿物に水を混ぜて酒として飲まれていたもの(滓酒)がマッコリであったとされる[11]。麦麹で糖化と発酵を同時に行う家釀酒文化であり、製法もそれほど体系化されていなかった[12][13][14]。1909年、日本の保護国となっていた大韓帝国で「酒税令」が公布され、醸造を申告制・課税対象とし個人の自家醸造を禁止した。また、酒の種類も薬酒、濁酒、焼酎、清酒に単純化され、さらに終戦後も酒税法は維持されたので日本でのどぶろく文化同様、多様な家釀酒文化の多くが失われた。

一方、日本統治時代の朝鮮には日本から日本式米麹と酵母を使った並行複発酵法が持ち込まれ、製法が体系化されていなかったため失敗率が高く、出来上がりの均一性にも問題が出やすく大量生産に向かない伝統的な製麹法を駆逐していった[13]。さらに1930年ごろ、朝鮮総督府は米麹による糖化と酵母を別に入れてアルコール発酵させるマッコリ製造方法の画一化を進め、これがそのまま現在の韓国でも使われている[12]。また家釀酒としての文化も密造酒として生き延びたものの、この間文化としての発展はみられず、また醗酵促進目的で麹を入れすぎたため「伝統酒の香りは麹のにおい」「伝統酒→マッコリ→安物の酒」という評価が定着していったとされる。

戦後・独立後、マッコリを扱う酒造会社などが設立され、1960年代までアルコール飲料消費全体の60%を占める大衆酒の地位を得ていたが、1965年、食糧不足により「糧穀管理法」が改正され米・麦で酒を仕込むことが禁止されるとその地位から転落、アメリカの援助による小麦粉でマッコリの醸造が再開され、1992年には米でのマッコリ醸造が解禁されたが、消費者が小麦マッコリの味に慣れて行ったこともあり米マッコリ固有の味は消えていった[1][13][15]

現在、韓国内で生産消費されるマッコリの原料には一部の企業で国産米を使うもののほとんどは米国や中国産の米を原料にしている。伝統酒には国産米を使うべきという意見もあるが、輸入米が安いことに加え、FTA施行により輸入された米を消費することで値崩れが防止されているとの擁護論もある[13]。また韓国製マッコリの大部分が甘味料としてアスパルテームを添加しており、この点も批判されている。

マッコリ・ルネサンス

マッコリ・ルネサンスで若年層にも見直される真鍮製のやかんとサバル(사발、沙鉢)

2004年頃の韓流ブームをきっかけに日本でのマッコリ消費量および韓国から日本への輸出量が急上昇、日本でマッコリブームが起こっていると韓国でも喧伝された[16]。韓国では「麹臭い安酒」のイメージもあり、焼酎やビール、ワインなどに押されてマッコリの消費量は3%程度まで落ち込んでいたが[11]、折から韓国政府が韓食の世界化の推進と韓国文化の見直しを進めていたことや、低アルコール・自然食品で健康に良いといった日本での評価などもクローズアップされ[17]、韓国でマッコリが再認識されるようになり、日本のブームが逆輸入される形で2008年ごろから韓国でマッコリブームが起こった[1][11][18]

韓国では伝統酒の研究と製法普及やマッコリ醸造技術者増加のための予算が認められ、マッコリ・ソムリエ養成学校が立ち上がるとともに[19]、韓国各地の500以上の業者に加え日本でも醸造業者・マッコリマイクロブルワリーブルーパブが誕生(日本では雑酒に分類され醸造下限は6キロリットル)、黒豆、おこげ、フルーツ味のマッコリやマッコリベースのカクテルを提供する店、日本の地酒居酒屋に相当するマッコリバーが登場するなど広がりを見せ、マッコリ・ルネサンスとも呼べる様相を呈した[11][18][20][21]

2010年にはスーパーやデパートでもマッコリと相性の良いパジョンやキムチジョン、豚足スンデガンギエイといった食材の売り上げが伸び、マッコリと一緒にやかんやサバルに加え、高級陶器セットや自家醸造セットなども登場していると報じられた[22]

一方、これまで関心をあまり示さなかった大手の参入により、消費量が大幅に伸びているにもかかわらず地方の地マッコリ業者が圧迫され疲弊しているといった問題や[23]、さらなるマッコリ世界化のための課題も盛んに議論されている[24]

楽しみ方

米国陸軍によるビンデトックとマッコリの組み合わせの紹介

一般的にマッコリは暑い夏場に冷やした状態で飲むのが好まれる。大きな丼のような器によそい、パガジというヒョウタンで作った柄杓で各自の器に取り分けて飲む。この時、小指でよく混ぜてから大振りの陶器製の椀で豪快に飲むのが通で伝統的な飲み方とされる[1]。韓国ではおしゃれなフュージョンバーが増えるとともに、マッコリ酒場(デポチプ、대폿집、マッコリチプ、막걸리집)では、ボコボコに潰した真鍮製のやかんko:주전자、酒煎子)でマッコリを提供したりディスプレーに使ってノスタルジックな風情を演出するなど、近年のマッコリの復権とともに様々な広がりを見せている[25][26][27][28][29]

料理との相性

チヂミパジョンビンデトック(빈대떡)との相性の良さがしばしば指摘され、韓国酒幕・屋台での定番の組み合わせとなっている。その他、どんぐりでんぷんゼリートトリムッ、ポッサムキムチ、ムグン(古漬け)キムチホンオフェなど、一癖ある食べ物との相性が良いとされる[1]。特にホンオフェ(洪魚膾)とマッコリ(濁酒)の組み合わせは「ホンタク」(洪濁、홍탁)と呼ばれ、韓国全羅南道木浦地域の名物となっている。

マッコリ通り

食の振興に力を入れる韓国全羅北道全州市には2008年ごろからの韓国マッコリブーム以前から全州酒博物館(전주술박물관)とマッコリ酒場の集まる5つのマッコリ通りがあり、やかん入りのマッコリを楽しむことができる[30][31]。スプーンで空のやかんを叩けば注文を受けに来てくれる。

逸話

朴正煕韓国大統領は1978年から地域特産物振興をはじめ、死後の1980年に金井山城マッコリ(금정산성막걸리)が民族酒第1号の認定を受けるなどマッコリ好きとして知られる[32][33][34]。また、1966年から青瓦台に納入され大統領が愛飲し、金正日委員長も欲しがったため2000年には北朝鮮にもたらされたと伝えられるマッコリがペダリ・マッコリ(배다리막걸리、通称「大統領マッコリ」)という名前で販売されている[35][36]

脚注

  1. ^ a b c d e f 伝統茶・お酒 - マッコリ, ソウル観光公社, 2010-08-16/2010-12-14修正.
  2. ^ (朝鮮語) "세계인도 반한 ‘드렁큰 라이스' 나도 맛좀볼까?!", 大韓民国関税庁釜山税関輸入2課, 2010/08/27.
  3. ^ "「Makgeoli」ってどう読みますか?", 朝鮮日報, 2009/12/27.
  4. ^ (朝鮮語) '막걸리, 꼭 "니고리 자케"로 수출해야 하나요?', KoreaBrandImage.com, 2010/02/24.
  5. ^ (朝鮮語) "마코리? 라이스 비어?… 막걸리 영문 애칭 지어주세요", 国民日報, 2010.04.30. 参考日本語訳:マッコリ?ライスビア?…マッコルリ(マッコリ)の英文愛称作って下さい
  6. ^ "マッコリの英文愛称は「Drunken Rice」", 中央日報, 2010.05.27.
  7. ^ "「マッコリ」は英語で「Drunken Rice」", 連合ニュース, 2010-05-27.
  8. ^ (朝鮮語) "“막걸리 영문애칭 ‘드렁큰 라이스’는 ‘술취한 동양놈’ 의미”…전문가들 “일리 있는 주장”", 国民日報, 2010.05.28. 参考日本語訳:“マッコリ英文愛称‘ドランクンライス’は‘酒に酔った東洋野郎’意味”…専門家たち“一理ある主張”
  9. ^ (朝鮮語) "<충주 예성여고생들 오곡 막걸리로 특허>", 連合ニュース, 2010/09/08.
  10. ^ 「マッコリに含まれる甘味料、許容量以下なら問題なし」 朝鮮日報 2010年3月25日閲覧
  11. ^ a b c d 〝なぜか韓国よりも盛り上がる、日本のマッコリブーム〟, ニッポン放送上柳昌彦のお早うGoodDay!, 2010-04-14.
  12. ^ a b "「今のマッコリは日本式の酒」(1)""(2)", 中央日報, 2009.10.04.
  13. ^ a b c d (朝鮮語) "수입 쌀·일본 효모균 사용 ‘막걸리 정통성’ 논란", 世界日報, 2009.04.22.
  14. ^ なお、中央日報(2009.10.04)、世界日報(2009.04.22)の記事に登場し、韓国伝統酒研究所한국전통주연구소)を設立し研究を行ってきたパク・ロクタム所長によると、伝統製法で使われる麦麹は糖化と発酵を同時に行うとしており酵母は加えないが、アルコール醗酵が野生酵母で行われているかどうかについては触れていない。このため韓国産酵母を加え韓国伝統酒と称して販売する醸造者についても批判的である。日本でもかつては蔵つき酵母(家付き酵母)と呼ばれる野生酵母の利用が一般的であり酒質を決定付けていた。現在でも選別・培養された清酒酵母ではなく蔵つき酵母で醸造する蔵も存在する(奥田酒造店など)。
  15. ^ なお、韓国では2007年に1950年代以降初めて米の輸出が承認されるまで輸出が禁止されていた。"解放後、初のコメ輸出の足をひっぱる農林部", 中央日報, 2007.05.08. 参考リンク集:日本米がアメリカで売れているから韓国米も輸出ニダ!そして…
  16. ^ "これがマッコリ?日本の若い女性ら「ぞっこん」", 中央日報, 2007.03.22.
  17. ^ 逆に、本格焼酎ブームを経ていた日本での韓国焼酎のイメージは「薄汚い店舗で提供される安酒」であり、韓流ブームに伴い注目された韓国料理店ではこれにとって変わるべき「健康的で伝統的な飲料」が求められていた。
  18. ^ a b "ハイボールの次はコレ!「マッコリ」&「ホッピー」にブームの兆し", 東京ウォーカー, 2010年1月20日.
  19. ^ "キムチ、マッコリ・ソムリエ、韓国の味を世界に知らせる", 海外文化広報院 (KOCIS), 2010.04.15.
  20. ^ "マッコリ・ルネサンス到来、おしゃれ&リッチに", 朝鮮日報, 2009/10/13.
  21. ^ "サングリア、漬物…人気のマッコリ七変化", 日経ウーマンオンライン, 2011年1月5日.
  22. ^ (朝鮮語) "홍어·파전도 '인기'…막걸리가 몰고 온 '복고풍'", SBS (韓国)ニュース, 2010-02-06.
  23. ^ "大企業のマッコリ市場参入相次ぐ", 朝鮮日報, 2010/06/27.
  24. ^ (朝鮮語) "[막걸리, 세계인의 술로/2부]<5·끝> 막걸리 세계화 5가지 조건", 東亜日報, 2010-03-27. 参考日本語訳:マッコリ 世界の人の酒へ、マッコリ世界化に五つの条件
  25. ^ (朝鮮語) "'행복가', "부침개로 행복한 세상 열고 싶어요"", スポーツ朝鮮, 2010-10-05.
  26. ^ (朝鮮語) "찌그러진 막걸리 잔에 추억이 가물가물", オーマイニュース, 07.08.09.
  27. ^ (朝鮮語) "추억이 묻어나는 감성 공간! 옛날 대폿집", 中央日報, 2006.11.02.
  28. ^ (朝鮮語) "옛날 대폿집 VS 퓨전 대폿집", ロッテ百貨店, 2008.10.06.
  29. ^ (朝鮮語) "찌그러진 주전자에 추억을 가득 담아보자 ", 대전시티저널 (大田シティジャーナル), 2010年12月21日.
  30. ^ "体験エッセイ 韓国・全羅北道 文化探訪の旅4日間②", 韓国観光公社, 2009/11/04.
  31. ^ (朝鮮語) "시원한 냉막걸리에 푸짐한 공짜안주 - 전주막걸리 거리", 韓国観光公社, 2006.11.20.
  32. ^ (朝鮮語) "전통 민속주 제1호 ‘금정산성막걸리’ 브랜드화 추진", Asiatoday, 2010-09-24.
  33. ^ (朝鮮語) "제2話 장군이된 이등병 <191> 막걸리철학 -86-", 국방일보 (国防日報), 2004.07.20.
  34. ^ (朝鮮語) 趙甲済 "박정희 '막걸리 독백'", NewDaily, 2010.09.21.
  35. ^ (朝鮮語) "막걸리 인기에 '박정희 향수' 솔솔", 朝鮮日報, 2009.11.05.
  36. ^ 宇佐美彰彦 "今年初ソウル", 韓流徒然日記-わが麗しの大韓民国-, 2010/01/31.

関連書籍

  • (朝鮮語) 정은숙 『막걸리 기행』 한국방송출판, 2010. ISBN 9788972002536

外部リンク