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「久留米市鳥類センター」の版間の差分

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Bearpark (会話 | 投稿記録)
福井優子氏の資料を基に観覧車・記述など。
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{{動物園
[[画像:Kurume tyorui center.jpg|300px|right|thumb|久留米市鳥類センター]]
|名称 = 久留米市鳥類センター
|画像 = [[画像:Kurume tyorui center.jpg|250px]]
|正式名称 = 公益財団法人 <br />久留米市都市公園管理センター <br />久留米市鳥類センター
|愛称 =
|前身 = 久留米市立動物園<ref name="kuru-ayu"/>
|専門分野 = 鳥類園(動物園)
|事業主体 = 久留米市
|管理運営 = 公益財団法人 <br />久留米市都市公園管理センター
|園長 = 光山日出子
|面積 = 面積30,000m&sup2;<ref name="acros">[http://www.acros-info.jp/facilities/index.php?sst_id=1462&url=recreation.php&id=31 福岡おでかけナビ 久留米市鳥類センター]アクロス福岡文化観光情報ひろば 2013-3-12閲覧</ref>
|頭数 = 500点(2012年12月末)<ref name="jigyou"/>
|種数 = 83種(2012年末)<ref name="jigyou">[http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/jigyou.html 事業内容・沿革]久留米市鳥類センター 2013-3-13閲覧</ref>
|最大水槽容量 =
|水槽総容量 =
|来園者数 = 154,068人(1991年)<ref name="kansa"/>
|主な飼育動物 =
|開園 = 1954年1月1日<ref name="kuru-ayu">{{PDFlink|[http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/GIF-JPEG/pdf/ayumi.pdf 事業内容・沿革 鳥類センターのあゆみ]}}久留米市鳥類センター 2013-3-11閲覧</ref>
|開園予定 =
|閉鎖 =
|所在地郵便番号 = 830-0003
|所在地 = 福岡県久留米市東櫛原町1667 中央公園内
|位置 = {{ウィキ座標2段度分秒|33|19|10|N|130|31|41.5|E|region:JP|display=inline,title}}
|アクセス = [[#交通|交通]]参照
|公式サイト = [http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/ 公式サイト]
}}


'''久留米市鳥類センター'''(くるめしちょうるいセンター)は、[[福岡県]][[久留米市]]東櫛原町に位置する[[動物園]]である。
'''久留米市鳥類センター'''(くるめしちょうるいセンター)は、[[福岡県]][[久留米市]]東櫛原町に位置する。鳥類を多種展示する日本国内でも数少ない鳥類園([[動物園]]である<ref name="kuru-jigyo"/><ref name="kansa"/>。遊園地とプールを併設する。


== 概要 ==
== 概要 ==
久留米市市街地の北東端部に位置し、約30,000m&sup2;の敷地面積を持つ。園名が示すように、飼育動物は[[クジャク]]、[[キジ]]、水鳥などの[[鳥類]]を中心してに[[インドクジャク]]の飼育数は約70羽に及び、園の中心的存在となっていほか園内に観客の立入可能ドケジを備え水鳥の飼育展示をっている。ほかに剥製展示室などもある
久留米市市街地の北東端部に位置し、約30,000m&sup2;の敷地面積を持つ。久留米市鳥類センター(以下、)は「鳥の動物園」を目指し、飼育動物は[[クジャク]]、[[キジ]]、[[水鳥]]などの[[鳥類]]を多種展示する<ref name="ennaiMap"/>。1963年頃から「千羽孔雀」で有名なり<ref name="acros"/>、久留米市は「世界一クジャクの多町」を謳った<ref name="kuru-ayu"/>2012年末[[インドクジャク]]の飼育数はおよそ90羽に及び、園の中心的存在となる。動物は[[ツル]]数種[[ダチョウ]]、[[フラミンゴ]]どの鳥類75種381羽(2012年末)、[[ボリビアリスザル]]、[[マラ (動物)|マラ]][[トカラヤギ]]、[[ケヅメリクガメ]]など哺乳類・爬虫類8種119頭(2012年末)を展示する<ref name="acros"/>。また、遊園地と流水プール併設し、複合型施設となっている<ref name="ennaiMap"/>


=== 沿革 ===
園内には遊戯施設も併設されている。園内入口脇には九州で使用された[[国鉄D51形蒸気機関車|D51形]][[蒸気機関車]](D51923)が保存されている。
*1954年1月1日 - 久留米市動物園を三本松公園に開設<ref name="kansa"/>。
*1964年4月1日 - 財団法人久留米市鳥類センターが設立され、経営が移管される<ref name="kansa"/>。
*1970年1月1日 - 現在の中央公園内に移転する<ref name="kansa">{{PDFlink|[http://www.city.kurume.fukuoka.jp/1080shisei/2130kansa/3030kansakekka/4030gyouseikansa/files/4-chourui.pdf 市政情報>監査>監査の結果>行政監査の結果>平成17年公表第3号 2監査結果(意見・講評) 2団体別意見・講評(監査対象20団体) 財団法人久留米市鳥類センター]}}公表日:平成17年5月30日 久留米市 2013-3-12閲覧</ref>。


== 動物園 ==
プールを併設しており、夏期に営業する。
「鳥の動物園」は、敷地面積17,220m&sup2;で、鳥獣舎23棟で構成される<ref name="kuru-jigyo"/>。


“鳥類センター”はその名の通り「鳥の動物園」であり、飼育動物の9割以上75種(2012年末)が鳥類で構成される<ref name="ennaiMap"/>。インコ等の小鳥から、ダチョウ等の大型の鳥まで、その種類は様々であり、そしてインドクジャクの飼育頭数が90羽あまり(2012年末)となっている<ref name="ennaiMap"/>。
[[1954年]][[1月1日]]に[[久留米市役所]]近くの三本松公園に市営の久留米市動物園を開園、[[1964年]][[4月1日]]に久留米市の外郭団体である財団法人久留米市鳥類センターに経営が移管され久留米市鳥類センターとなり、[[1970年]][[1月]]に現在地に移転した。
これは、事業者・久留米市が「日本一クジャクの多い町」を目指した名残で<ref name="kuru-ayu"/>、クジャクは園の中心的存在となっており、「クジャクの回廊」や「クジャク舎」がある。クジャクの回廊は頭上にクジャクを見ることができ、クジャク舎はおよそ50羽が飼育され、求愛シーズンになるとクジャクが一斉に羽を広げる。なお、飾り羽を広げるのは4月から5月の朝夕の時間に見られることが多い<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/otona/travelwriter/11/fukuoka/20120531-OYT8T00583.htm 「水の神様」総本宮が鎮座…久留米:福岡:九州・沖縄:記者の旅:新おとな総研]記者・西條耕一 2012年6月7日 YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2013-3-20閲覧</ref>。
また、園内に水鳥を身近に観察できるよう<ref name="Outdoors"/>観客の立入可能なバードケージ(水禽舎、中央ドーム)を1995年から備えており、鳥たちの住みやすい環境が自然に近い形で再現([[生態展示]])され<ref name="Outdoors"/>、およそ15種の展示が行われる<ref name="ennaiMap"/>。ほかに17連舎のキジ舎、[[飛べない鳥|走鳥]]舎、ツル舎、[[日本鶏]]舎、トキ舎、タンチョウ舎、[[猛禽]]舎などがあり、[[はく製]]([[標本 (分類学)|標本]])をおいてある資料室もある<ref name="ennaiMap"/>。


園の入り口を入ると、[[ボリビアリスザル]]を展示するリスザル舎が建つように、園は鳥だけでなく、哺乳類7種117頭・爬虫類は陸カメ1種2頭(2012年末)が飼育され、また小さい子供に喜んでもらえるよう、ウサギ・モルモット等の小動物も飼育され、[[ふれあい動物園]]も行われる<ref name="ennaiMap"/>。朝日新聞の報道では、園の動物は癒されるものが多いが、鳥類センターはそれだけではなく、「世界一危険な鳥」といわれる[[ヒクイドリ]]が、鋭い爪を持ち、ヘルメットをかぶった人や走る人を猛スピードで追いかけて蹴ろうとすると、飼育員が述べている<ref>[http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41001001209080001 石橋文化センターかいわい-マイタウン福岡・北九州]2012年09月08日 朝日新聞デジタル 2013-3-20閲覧</ref>。


前身の久留米市動物園は、[[戦後]]の荒廃した社会情勢のなか、子どもたちの心を癒す動物園づくりを目指し開園したもので、2012年現在もその思想を受け継ぎ、「見せる」だけの動物園から「ふれあい」のできる動物園として<ref name="jigyou"/>、ふれあいコーナーの設置、ふれあい教室、リクガメの園内散歩(2005年から)、フラミンゴやリスザルへの餌やり、ランチタイム、ガイドツアーなどを行っている<ref name="kuru-jigyo"/>。
[[2006年]][[4月]]に、久留米市都市公園管理センターに経営が移管される。
また、命の大切さ、尊さを学ぶ動物愛護思想の啓発普及事業として、学校現場等においては動物愛護を学べる事業(移動動物園、ゲストティーチャー、職場体験受入など)や市民との協働による生涯学習(バードボランティア・サポーター)をも行っている<ref name="kuru-jigyo"/>。
名称は、財団法人久留米市都市公園管理センター 久留米市鳥類センターとなった。
そして、動物の新陳代謝、繁殖活動、鳥インフルエンザ対策などの調査研究を行い、動物導入計画の策定、傷病野生鳥獣の保護、研究会参加、他動物園との連携等により[[種の保存]]に努めている<ref name="kuru-jigyo"/>。また繁殖にも力を入れ、中国からの[[タンチョウヅル]]を譲り受け、繁殖させている<ref name="kuru-ayu"/><ref name="Outdoors"/>。

=== オオサイチョウ「カンタ」 ===
[[オオサイチョウ]]の「カンタ」(オス、体長約1m、体重約3Kg)は、園に移入された1964年にはすでに成鳥だった個体で、実年齢はさらに上と推定され、2010年11月26日まで生存し、46年間の飼育記録を作り、日本最長ならびに把握できた範囲では世界3位の飼育記録となった<ref name="nishi20101127">[http://qnet.nishinippon.co.jp/animal/news/2010/11/post_817.shtml カンタくんさようなら 久留米市鳥類センター 国内最長飼育 オオサイチョウ死ぬ 2010年11月27日掲載 西日本新聞 九州どうぶつランド]、[http://www.nikkei.com/article/DGXNASJC2602Q_W0A121C1ACY000/ 飼育46年、国内最長のオオサイチョウ死ぬ 福岡・久留米 2010/11/27 2:24 日本経済新聞] 201-3-14閲覧</ref>。
「カンタ」が米国の個体と長寿記録を競っていることは、2006年にドイツの研究者の指摘で判明したものである<ref name="nishi20070622">[http://qnet.nishinippon.co.jp/animal/news/2007/06/post_292.shtml 福岡県久留米市鳥類センターのオオサイチョウ「カンタ」 飼育期間の日本最長記録を更新中]2007年06月22日掲載 西日本新聞 九州どうぶつランド 2013-3-14閲覧</ref>。

カンタのつれあいは、1964年に同時に来園した「カンコ」で、カンコは1978年に死んだため、以後のカンタは一人暮らしであった<ref name="nishi20101127"/>。老いてからのカンタは、オオサイチョウのトレードマークの頭上の黄色いこぶの部分がひび割れ、[[うみ]]が出る症状になり、並びに食欲も落ちた。死の直前は大好物も食わなくなっていた<ref name="nishi20101127"/>。飼育員は「カンタ」の思い出話に、鳥舎のおりを掃除すると、止まり木から飼育員の頭をつついてきた個体だったと述べている<ref name="nishi20070622"/>。

== 遊園地 ==
子供向けの小さい遊園地(プレイランド)が併設される<ref name="ennaiMap"/>。
遊具は、[[観覧車]]、アストロファイター、[[メリーゴーランド]]、スカイサイクル、サーカス列車、メロディペット、バッテリーカー、[[トランポリン]]などが2012年現在、紹介されている<ref name="ennaiMap"/><ref>[http://www.skypark.jp/locations/kurume_chourui.html 久留米市鳥類センター(遊具の写真一覧)]株式会社 スカイパーク 2013-3-12閲覧</ref>。

1977年に、文化センターから園へ遊具施設が移設され、大型遊具を中心に小型遊具も配置し、同年8月1日から運営が始まった<ref name="kuru-ayu"/>。当初は、大型遊具に、「チェンタワー」、「トラバンド」、「クレージーカー」があり、小型遊具に、「アドベンチャー」、「ジャンピー」、「バッテリーカー」があった<ref name="kuru-ayu"/>。
1989年3月1日から大型遊具の「フライングゲージ」の建設工事が始まり、同年5月3日に小型遊具の「フワフワ」、「ボールプール」が導入され、同年8月1日に「[[観覧車]]」(高さ30m、長さ25m、周回5分程度、4人乗りゴンドラ16基)と「[[メリーゴーランド]]」が竣工式を迎えている<ref name="kuru-ayu"/>。同時に、スカイパーク社に運営が委託された<ref name="kuru-ayu"/>。観覧車はスカイパークが製造したものである<ref name=Kanransha/>。
1990年1月に、大型遊具のトラバンド、チェンタワーの解体工事が行われ、同年3月16日に、大型遊具の「飛行塔」と「宇宙船」が完成した<ref name="kuru-ayu"/>。
2000年にはスカイパークに「新幹線」が設置され、「アポロ 2000」が「ドラゴン」に変更されている<ref name="kuru-ayu"/>。

観覧車について、鳥類センターなどは「園を見つける際の目印にもなる、カラフルな観覧車」と紹介する<ref name="ennaiMap"/><ref>[http://kurume.knet-web.net/service_detail.php?mID=3&sID=107&uID=1535 久留米市鳥類センター ]社団法人久留米広域勤労者福祉サービスセンター 2013-4-5閲覧</ref>。『観覧車物語』を著した福井優子によれば、「プレイランドの中心となっているのが観覧車」と記されている。また、市民プールを真下に見れて、遠くに久留米市内を見渡すことができるとも紹介した<ref name=Kanransha>[http://blog.livedoor.jp/tenbosenkaisha/archives/1637583.html このたびの旅・九州篇─久留米市鳥類センター&佐賀・メルヘン村&だざいふ遊園地]2010年05月21日 『観覧車通信』 著・福井優子(観覧車研究者) 2013-4-5閲覧</ref>。

== プール ==
夏季に運営する[[プール|流水プール]]は久留米市が久留米市鳥類センターに委託し、1976年8月1日から運営がはじまった<ref name="kuru-ayu"/>。1978年7月9日、福岡市及び周辺の異常渇水によるプール閉鎖によって、10,175人と、一日最高のプール入場者数を記録している<ref name="kuru-ayu"/>。

園のプールは、流水プールと幼児プールとで構成される。昔のスライダーは老朽化のため2001年に使用を中止して2003年に解体され、そして2007年のリニューアルにより、[[螺旋|らせん状]]で、高低差9.75m、長さ103mのチューブスライダーと83mのボディースライダーの2本の[[ウォータースライダー]]が作られた<ref name="kuru-ayu"/><ref>[http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/p_sisetu.html 【くるめ市民流水プール】施設のご案内](公財)久留米市都市公園管理センター 2013-3-14閲覧</ref>。2002年に、雇用能力開発機構の行政改革により、市民流水プールの運営委託を解除され、久留米市に売却された<ref name="kuru-ayu"/>。

施設面積は約8,000平方メートルあり、流水プールの周長は136.8メートル、幅5メートル、水深1メートルで、流水は秒速約0.7メートルとなっている<ref name="kuru20120711"/>。2000年には流水プールを利用してカヌー教室も開催されている。また、2012年現在、プール入場者は、鳥類センターへ無料で入場できるようになっている<ref name="kuru20120711">[http://www.city.kurume.fukuoka.jp/1050kurashi/2120dourokasen/3030kouen/2007-0704-2012-211.html 久留米市:流水プール]更新日:2012年07月11日 16時47分 久留米市 2013-3-14閲覧</ref>。

== 歴史 ==
<!-- 資料にした歴史年表が長いため、その分類を便宜的に、一般的な動物園の歴史を真似して、独自に、目安として設けた。実際の歴史家によるものではないことに注意。また、移入した動物種や、建築した飼育舎などを全て網羅できないため、歴史の進行のおおよその目安という意味。 -->
=== 創設期 ===
[[1952年]]に戦後の荒廃した世の中で子供たちのために動物園計画が持ち上がり、子どもたちの心を癒す動物園づくりと市民の奉仕活動とが行われた。動物の募集(寄付)が始まり、[[1954年]][[1月1日]]に[[久留米市役所]]近くの三本松公園に、市民手作りの、市営で無料の久留米市動物園を25種77点、約1000m&sup2;の規模で<ref>『日本の動物園』 88頁 石田戢(おさむ)著 東京大学出版会 2010年7月5日発行 ISBN 9784130601917</ref>開園する<ref name="kuru-ayu"/><ref name="kansa"/>。開園当初の[[正月三が日]](さんがにち)で、7万5000人を超える入園者があった<ref name="kansa"/>。1954年2月には園の「動物友の会」が結成されている<ref name="kuru-ayu"/>。

[[1954年]]12月に[[恩賜上野動物園|上野動物園]]と、ひとつがいの[[インドクジャク]]<ref name="acros"/>を[[ムササビ]]4頭と交換したのをはじまりに、インドクジャクの繁殖作戦を展開し、[[1962年]]8月までにクジャクが200羽となり、また同年10月、野中町の正源寺に孵化場を新設(~[[1969年]]7月)し、[[1963年]][[8月20日]]に600羽のクジャクを繁殖させることに成功した<ref name="kuru-ayu"/><ref name="kansa"/>。「千羽孔雀」を達成したことで、「日本一の孔雀園」と日本全国的に有名となっている<ref name="kuru-ayu"/><ref name="kansa"/>。

=== 移転 ===
[[1964年]][[4月1日]]に久留米市の外郭団体である財団法人久留米市鳥類センターに経営が移管され、「久留米市鳥類センター」となる<ref name="kuru-ayu"/>。その後の[[1967年]]2月に、東櫛原町中央公園に移転が決定し、[[1969年]]1月から着工する([[1974年]]7月に工事完成)<ref name="kuru-ayu"/>。1969年10月には「三本松動物園」は閉鎖され、[[1970年]]1月に現在地に移転した<ref name="kuru-ayu"/>。

=== 拡大期 ===
1974年5月28日、福岡県甘木農林事務所より「久留米傷病野生鳥獣医療所」を受託し、傷ついた動物の受け入れを開始する<ref name="kuru-ayu"/>。1976年にスライダーを備えた流水プールが開業し、翌1977年には遊園地も開業する<ref name="kuru-ayu"/>。

=== リニューアル期 ===
1985年頃から、施設や動物舎の改築・増築・新築を行っている<ref name="kuru-ayu"/>。また1986年に[[アライグマ]]の公開が行われる。1989年には[[アジア太平洋博覧会]]協会のバードカントリーに[[ウミウ]]を出展している。この時期、入場者は増え続け、1991年にピークの154,068人を迎えている<ref name="kansa"/>。

1990-1991年に園内工事が行われた。園内広場が舗装され、古い放鳥舎は撤去されて、新しい放鳥舎が新設された<ref name="kuru-ayu"/>。1992-1994年には、3年に渡って園内の環境整備を行い、「見やすく、学びやすく、遊びやすく」をテーマにした鳥類センターにリニューアルされた<ref name="Outdoors">[http://www.boxos.com/zoo/zoo060102.html 全国動物園ガイド 久留米市鳥類センター]Outdoorsquare 2013-3-15閲覧</ref>。この時期、ヒクイドリ、エミュー舎やリスザル舎、17連舎ができている<ref name="kuru-ayu"/>。1995年3月、ドーム型バードケージ(中央ドーム)が完成し、園のシンボルとなっている<ref name="kuru-ayu"/>。

1997年11月には入園者通算350万人の記念式典が開かれる。1998年2月に園内にヒラドツツジが100本、ヒイラギが55本、それぞれ植樹された。1999年9月にケープペンギン舎が完成し、ベニコンゴウインコ舎も改修されている<ref name="kuru-ayu"/>。

=== 展示拡大期 ===
1997年に[[モモイロペリカン]]、[[アカガオヤブトリ]]、[[ニシムラサキエボシドリ]]、[[ムジエボシドリ]]、1998年に[[セキショクヤケイ]]、[[アメリカオシ]]、[[コクチョウ]]、[[ミニブタ]]、[[キジ類]]、[[ショウコク]]、[[トウテンコウ]]、[[ベニコンゴウインコ]]、[[カラカラ]]、[[シチメンチョウ]]、1999年に[[ニホンキジ]]、[[ケープペンギン]]、[[ボリビアリスザル]]、[[コサンケイ]]、[[カピバラ]]、[[ジトッコ]]、2000年に[[コブハクチョウ]]、[[ムラサキテリムクドリ]]、2001年、[[ロップイヤード]]、[[アオバネワライカワセミ]]、2002年に[[マクジャク]]などの動物種が増えている<ref name="kuru-ayu"/>。

=== 組織改編 ===
[[2006年]][[3月31日]]に財団法人久留米市鳥類センターが解散し、同年4月1日に財団法人久留米市都市公園管理センターと統合を行って、経営が移管された。この際に園の名称は「財団法人久留米市都市公園管理センター 久留米市鳥類センター」となった<ref name="kuru-ayu"/>。2008年4月1日に、財団法人城島地区筑後川水辺環境整備センターと統合し<ref name="z_Enkaku">[http://www2.ktarn.or.jp./~tosikoen/z_Enkaku.html 【財団】沿革](公財)久留米市都市公園管理センター 2013-3-20閲覧</ref>、のち2011年9月1日に、財団法人久留米市都市公園管理センターは、公益財団法人となった<ref name="kuru-jigyo">{{PDFlink|[http://www.city.kurume.fukuoka.jp/1080shisei/2040keikaku/3050kaikaku/files/birdcenterH23.pdf 平成24年1月22日 公益財団法人 久留米市都市公園管理センター(鳥類センター運営事業)]}}更新日:2012年03月05日 16時08分 久留米市:事業仕分け 2013-3-14閲覧</ref>。

=== 寄贈と譲渡 ===
園は他の動物園や市民からの動物の寄贈のほか、1958年に孔雀園建設のために寄附を受けたり<ref name="kuru-jigyo"/>、[[豊田勝秋]]([[工芸家]]、[[佐賀大学]]教授)より「噴水」、[[国鉄]]より[[蒸気機関車]]、[[菊竹清訓]]([[建築家]])より「小鳥の水呑場」、[[生野省三]](商業デザイナー)より「旗」の寄贈を受けている<ref name="kuru-ayu"/>。

園内入口脇には九州で走行していた[[国鉄D51形蒸気機関車|D51形]][[蒸気機関車]](D51923)が展示されるが<ref name="ennaiMap"/><ref>[http://sts.kahaku.go.jp/sts/detail.php?no=100910201463&c=&y1=&y2=&id=&pref=&city=&org=&word=&p=311 日本国有鉄道 D51 923号 蒸気機関車 D51 資料番号:100910201463] 『産業技術史資料データベース』 産業技術史資料情報センター 2013-4-5閲覧</ref>、これは1974年3月19日に[[国鉄]]から譲渡されたものである<ref name="kuru-ayu"/>。毎年、旧国鉄OBらが清掃、塗直しをしているという<ref name="ennaiMap">[http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/ennaiMap.html 園内マップ]久留米市鳥類センター 2013-3-12閲覧</ref>。

園には多数のインドクジャクが飼育され、これは譲渡にも用いられ、1964年7月に高良山の白雲台遊園地に31羽を放鳥したり、1970年10月に台湾の[[日月潭]]へ90羽を贈っている。1983年11月には中国の[[合肥市]]へ5つがい贈り、同年12月に[[タンチョウヅル]]を譲り受けている<ref name="kuru-ayu"/><ref name="Outdoors"/>。

2010年3月23日、旭山動物園とともに、[[ホンドダヌキ]]ひとつがい(2009年5月産)を[[シンガポール]]に贈ったところ<ref name="kuru-ayu"/>、タヌキに冷暖房完備の専用舎が用意され、歓迎式典まで開かれる「[[パンダ]]並み」の歓迎を受け、珍しがられた<ref>[http://www.j-cast.com/tv/2010/03/24062873.html?p=all テレビウォッチ ワイドショー通信簿 とくダネ! ウオー、タヌキだ! 大歓迎盛り上がりのワケ]2010/3/24 11:36 J-CASTテレビウォッチ 文・モンブラン 2013-3-20閲覧</ref>。

=== サポーター ===
園や友の会では、ボランティアのことを「バードボランティア」「バードサポーター」と称している<ref name="supporter">[http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/supporter.html バードボランティア・バードサポーター]久留米市鳥類センター 2013-3-20閲覧</ref>。2007年11月に設置され、共に行うことは、他の動物園と変わらず、バードボランティアは飼育作業の補助や植栽作業、動物の解説などの活動を通して園の事業を支援することであり、バードサポーターは園内施設拡充のための寄付のことである<ref name="supporter"/>。

== 展示動物 ==
※久留米市鳥類センターの資料による<ref name="animals">[http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/animals.html 動物紹介]久留米市鳥類センター 2013-3-14閲覧</ref>。
=== キジの仲間 ===
[[インドクジャク]]、
[[白変種|シロクジャク]]、
[[マクジャク]]、
[[ハイイロコクジャク]]、
[[ベニジュケイ]]、
[[ヤマドリ]]、
[[コシアカキジ|オジロコシアカキジ]]、
[[セイラン]]、
[[ニジキジ]]、
[[キンケイ]]、
[[ギンケイ]]、
[[ニホンキジ]]、
[[コサンケイ]]、
[[サンケイ]]、
[[ホロホロチョウ]]、
[[シチメンチョウ]]、
[[シロシチメンチョウ]]、
[[セキショクヤケイ]]、
[[コエヨシ]](声良鶏)、
[[トウテンコウ]](東天紅鶏)、
[[ショウコク]](小国鶏)、
[[クロカシワ]](黒柏鶏)、
[[ウコッケイ]]、
[[薩摩地鶏|サツマドリ]](薩摩鶏)、
[[プリマスロック]]

=== 水鳥(水禽類) ===
[[モモイロペリカン]]、
[[チリーフラミンゴ]]、
[[ベニイロフラミンゴ]]、
[[ハワイガン]]、
[[ツメバガン]]、
[[インドガン]]、
[[アカハシリュウキュウガモ]]、
[[アイガモ]]、
[[アカツクシガモ]]、
[[ツクシガモ]]、
[[コブハクチョウ]]、
[[バリケン]]、
[[オシドリ]]、
[[ガチョウ|シロガチョウ]](白鵡鳥)、
[[ガチョウ|シナガチョウ]](支那鵡鳥)、
[[コールダック]]、
[[アヒル|シロアヒル]]、
[[セグロカモメ]]

=== 猛禽類 ===
[[ノスリ]]、
[[フクロウ]]、
[[シロフクロウ]]、
[[ハヤブサ]]、
[[チョウゲンボウ]]、
[[トビ]]、
[[ハイタカ]]

=== ツルの仲間 ===
[[オオヅル]]、
[[タンチョウ]]、
[[マナヅル]]、
[[クロヅル]]、
[[ホオジロカンムリヅル]]

=== 走鳥類 ===
[[エミュー]]、
[[ヒクイドリ]]、
[[レア]]、
[[ダチョウ]]、

=== そのほかの鳥類 ===
[[オウカンエボシドリ]]、
[[ワライカワセミ|アオバネワライカワセミ]]、
[[サイチョウ科|ギンガオサイチョウ]]、
[[オオバタン]]、
[[エボシドリ|ムジエボシドリ]]、
[[ケープペンギン]]、
[[メジロムジボウシインコ]]、
[[ベニコンゴウインコ]]、
[[ルリコンゴウインコ]]、
[[セキセイインコ]]、
[[キエリボウシインコ]]、
[[ルリゴシボタンインコ]]、
[[シロトキ]]、
[[カラスバト]]、
[[キジバト]]、
[[ショウジョウトキ]]

=== 哺乳類 ===
[[ボリビアリスザル]]、
[[ホンドギツネ]]、
[[ホンドタヌキ]]、
[[マーラ (動物)|マーラ]]、
[[シマリス]]、
[[ウサギ]]、
[[テンジクネズミ]]([[モルモット]])、
[[パンダマウス]]([[ハツカネズミ]])、
[[シバヤギ]]

=== 爬虫類 ===
[[ケヅメリクガメ]]、
[[ミシシッピアカミミガメ]]、
[[クサガメ]]

== 法人の目的 ==
{{Quotation|久留米市都市公園施設の発展並びに、公園の維持管理を側面的に助成するとともに、動物愛護思想の普及を図り、市民及び勤労者に、いこいの場を提供し都市の健全な環境の維持及び向上に資することを目的とする。|平成17年5月30日 久留米市 行政監査の結果 より}}

{{Quotation|「人と自然環境との共存」を理念とし ①命に触れる憩いの場 ②教育環境の場 ③種の保存の場 ④飼育動物、希少動物等の調査・研究の場の実現を目指し、来園者、市民に親しまれる運営事業を行っている|久留米市:事業仕分け 平成24年1月22日 外郭団体事業シートA(概要説明書)より}}


== 開園時間・料金 ==
== 開園時間・料金 ==
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* [[西鉄天神大牟田線]][[櫛原駅]]から東へ約400m
* [[西鉄天神大牟田線]][[櫛原駅]]から東へ約400m
* JR[[久留米駅]]または[[西鉄久留米駅]]から[[西鉄バス]]((23)系統またはゆめタウン行き)乗車「青少年科学館前」下車
* JR[[久留米駅]]または[[西鉄久留米駅]]から[[西鉄バス]]((23)系統またはゆめタウン行き)乗車「青少年科学館前」下車

== 久留米駅のクジャク ==
2006年3月22日までJR[[久留米駅]]にクジャクが展示され、園が40年間ほど世話をし続けた。園のインドクジャクが1000羽になったのを記念して行われていた。2002年、園は、JR久留米駅より駅舎での長年のクジャク飼育に対する感謝状を受け、2006年、新幹線工事に伴って飼育は終了している。{{see also|久留米駅}}

== 周辺 ==
*[[石橋美術館]]
*[[福岡県青少年科学館]]
*[[久留米市世界つつじセンター]]

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
* [http://www.jazga.or.jp/kurume/base/index.html 旧:久留米市鳥類センター]
* [http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/ 久留米市鳥類センター](公式)
* [http://www2.ktarn.or.jp/~kurume-birdc/ 新:久留米市鳥類センター]
* [http://kurumebirdcenter.blogspot.jp/ 久留米市鳥類センタースタッフblog]

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2013年4月4日 (木) 19:53時点における版

久留米市鳥類センター
施設情報
正式名称 公益財団法人
久留米市都市公園管理センター
久留米市鳥類センター
前身 久留米市立動物園[1]
専門分野 鳥類園(動物園)
所有者 久留米市
管理運営 公益財団法人
久留米市都市公園管理センター
園長 光山日出子
面積 面積30,000m²[2]
頭数 500点(2012年12月末)[3]
種数 83種(2012年末)[3]
来園者数 154,068人(1991年)[4]
開園 1954年1月1日[1]
所在地 830-0003
福岡県久留米市東櫛原町1667 中央公園内
位置 北緯33度19分10秒 東経130度31分41.5秒 / 北緯33.31944度 東経130.528194度 / 33.31944; 130.528194座標: 北緯33度19分10秒 東経130度31分41.5秒 / 北緯33.31944度 東経130.528194度 / 33.31944; 130.528194
アクセス 交通参照
公式サイト 公式サイト
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久留米市鳥類センター(くるめしちょうるいセンター)は、福岡県久留米市東櫛原町に位置する。鳥類を多種展示する日本国内でも数少ない鳥類園(動物園)である[5][4]。遊園地とプールを併設する。

概要

久留米市市街地の北東端部に位置し、約30,000m²の敷地面積を持つ。久留米市鳥類センター(以下、園)は「鳥の動物園」を目指し、飼育動物はクジャクキジ水鳥などの鳥類を多種展示する[6]。1963年頃から「千羽孔雀」で有名となり[2]、久留米市は「世界一クジャクの多い町」を謳った[1]。2012年末にもインドクジャクの飼育数はおよそ90羽に及び、園の中心的存在となる。動物はツル数種、ダチョウフラミンゴなどの鳥類75種381羽(2012年末)、ボリビアリスザルマーラトカラヤギケヅメリクガメなど哺乳類・爬虫類8種119頭(2012年末)を展示する[2]。また、遊園地と流水プールを併設し、複合型施設となっている[6]

沿革

  • 1954年1月1日 - 久留米市動物園を三本松公園に開設[4]
  • 1964年4月1日 - 財団法人久留米市鳥類センターが設立され、経営が移管される[4]
  • 1970年1月1日 - 現在の中央公園内に移転する[4]

動物園

「鳥の動物園」は、敷地面積17,220m²で、鳥獣舎23棟で構成される[5]

“鳥類センター”はその名の通り「鳥の動物園」であり、飼育動物の9割以上75種(2012年末)が鳥類で構成される[6]。インコ等の小鳥から、ダチョウ等の大型の鳥まで、その種類は様々であり、そしてインドクジャクの飼育頭数が90羽あまり(2012年末)となっている[6]。 これは、事業者・久留米市が「日本一クジャクの多い町」を目指した名残で[1]、クジャクは園の中心的存在となっており、「クジャクの回廊」や「クジャク舎」がある。クジャクの回廊は頭上にクジャクを見ることができ、クジャク舎はおよそ50羽が飼育され、求愛シーズンになるとクジャクが一斉に羽を広げる。なお、飾り羽を広げるのは4月から5月の朝夕の時間に見られることが多い[7]。 また、園内に水鳥を身近に観察できるよう[8]観客の立入可能なバードケージ(水禽舎、中央ドーム)を1995年から備えており、鳥たちの住みやすい環境が自然に近い形で再現(生態展示)され[8]、およそ15種の展示が行われる[6]。ほかに17連舎のキジ舎、走鳥舎、ツル舎、日本鶏舎、トキ舎、タンチョウ舎、猛禽舎などがあり、はく製標本)をおいてある資料室もある[6]

園の入り口を入ると、ボリビアリスザルを展示するリスザル舎が建つように、園は鳥だけでなく、哺乳類7種117頭・爬虫類は陸カメ1種2頭(2012年末)が飼育され、また小さい子供に喜んでもらえるよう、ウサギ・モルモット等の小動物も飼育され、ふれあい動物園も行われる[6]。朝日新聞の報道では、園の動物は癒されるものが多いが、鳥類センターはそれだけではなく、「世界一危険な鳥」といわれるヒクイドリが、鋭い爪を持ち、ヘルメットをかぶった人や走る人を猛スピードで追いかけて蹴ろうとすると、飼育員が述べている[9]

前身の久留米市動物園は、戦後の荒廃した社会情勢のなか、子どもたちの心を癒す動物園づくりを目指し開園したもので、2012年現在もその思想を受け継ぎ、「見せる」だけの動物園から「ふれあい」のできる動物園として[3]、ふれあいコーナーの設置、ふれあい教室、リクガメの園内散歩(2005年から)、フラミンゴやリスザルへの餌やり、ランチタイム、ガイドツアーなどを行っている[5]。 また、命の大切さ、尊さを学ぶ動物愛護思想の啓発普及事業として、学校現場等においては動物愛護を学べる事業(移動動物園、ゲストティーチャー、職場体験受入など)や市民との協働による生涯学習(バードボランティア・サポーター)をも行っている[5]。 そして、動物の新陳代謝、繁殖活動、鳥インフルエンザ対策などの調査研究を行い、動物導入計画の策定、傷病野生鳥獣の保護、研究会参加、他動物園との連携等により種の保存に努めている[5]。また繁殖にも力を入れ、中国からのタンチョウヅルを譲り受け、繁殖させている[1][8]

オオサイチョウ「カンタ」

オオサイチョウの「カンタ」(オス、体長約1m、体重約3Kg)は、園に移入された1964年にはすでに成鳥だった個体で、実年齢はさらに上と推定され、2010年11月26日まで生存し、46年間の飼育記録を作り、日本最長ならびに把握できた範囲では世界3位の飼育記録となった[10]。 「カンタ」が米国の個体と長寿記録を競っていることは、2006年にドイツの研究者の指摘で判明したものである[11]

カンタのつれあいは、1964年に同時に来園した「カンコ」で、カンコは1978年に死んだため、以後のカンタは一人暮らしであった[10]。老いてからのカンタは、オオサイチョウのトレードマークの頭上の黄色いこぶの部分がひび割れ、うみが出る症状になり、並びに食欲も落ちた。死の直前は大好物も食わなくなっていた[10]。飼育員は「カンタ」の思い出話に、鳥舎のおりを掃除すると、止まり木から飼育員の頭をつついてきた個体だったと述べている[11]

遊園地

子供向けの小さい遊園地(プレイランド)が併設される[6]。 遊具は、観覧車、アストロファイター、メリーゴーランド、スカイサイクル、サーカス列車、メロディペット、バッテリーカー、トランポリンなどが2012年現在、紹介されている[6][12]

1977年に、文化センターから園へ遊具施設が移設され、大型遊具を中心に小型遊具も配置し、同年8月1日から運営が始まった[1]。当初は、大型遊具に、「チェンタワー」、「トラバンド」、「クレージーカー」があり、小型遊具に、「アドベンチャー」、「ジャンピー」、「バッテリーカー」があった[1]。 1989年3月1日から大型遊具の「フライングゲージ」の建設工事が始まり、同年5月3日に小型遊具の「フワフワ」、「ボールプール」が導入され、同年8月1日に「観覧車」(高さ30m、長さ25m、周回5分程度、4人乗りゴンドラ16基)と「メリーゴーランド」が竣工式を迎えている[1]。同時に、スカイパーク社に運営が委託された[1]。観覧車はスカイパークが製造したものである[13]。 1990年1月に、大型遊具のトラバンド、チェンタワーの解体工事が行われ、同年3月16日に、大型遊具の「飛行塔」と「宇宙船」が完成した[1]。 2000年にはスカイパークに「新幹線」が設置され、「アポロ 2000」が「ドラゴン」に変更されている[1]

観覧車について、鳥類センターなどは「園を見つける際の目印にもなる、カラフルな観覧車」と紹介する[6][14]。『観覧車物語』を著した福井優子によれば、「プレイランドの中心となっているのが観覧車」と記されている。また、市民プールを真下に見れて、遠くに久留米市内を見渡すことができるとも紹介した[13]

プール

夏季に運営する流水プールは久留米市が久留米市鳥類センターに委託し、1976年8月1日から運営がはじまった[1]。1978年7月9日、福岡市及び周辺の異常渇水によるプール閉鎖によって、10,175人と、一日最高のプール入場者数を記録している[1]

園のプールは、流水プールと幼児プールとで構成される。昔のスライダーは老朽化のため2001年に使用を中止して2003年に解体され、そして2007年のリニューアルにより、らせん状で、高低差9.75m、長さ103mのチューブスライダーと83mのボディースライダーの2本のウォータースライダーが作られた[1][15]。2002年に、雇用能力開発機構の行政改革により、市民流水プールの運営委託を解除され、久留米市に売却された[1]

施設面積は約8,000平方メートルあり、流水プールの周長は136.8メートル、幅5メートル、水深1メートルで、流水は秒速約0.7メートルとなっている[16]。2000年には流水プールを利用してカヌー教室も開催されている。また、2012年現在、プール入場者は、鳥類センターへ無料で入場できるようになっている[16]

歴史

創設期

1952年に戦後の荒廃した世の中で子供たちのために動物園計画が持ち上がり、子どもたちの心を癒す動物園づくりと市民の奉仕活動とが行われた。動物の募集(寄付)が始まり、1954年1月1日久留米市役所近くの三本松公園に、市民手作りの、市営で無料の久留米市動物園を25種77点、約1000m²の規模で[17]開園する[1][4]。開園当初の正月三が日(さんがにち)で、7万5000人を超える入園者があった[4]。1954年2月には園の「動物友の会」が結成されている[1]

1954年12月に上野動物園と、ひとつがいのインドクジャク[2]ムササビ4頭と交換したのをはじまりに、インドクジャクの繁殖作戦を展開し、1962年8月までにクジャクが200羽となり、また同年10月、野中町の正源寺に孵化場を新設(~1969年7月)し、1963年8月20日に600羽のクジャクを繁殖させることに成功した[1][4]。「千羽孔雀」を達成したことで、「日本一の孔雀園」と日本全国的に有名となっている[1][4]

移転

1964年4月1日に久留米市の外郭団体である財団法人久留米市鳥類センターに経営が移管され、「久留米市鳥類センター」となる[1]。その後の1967年2月に、東櫛原町中央公園に移転が決定し、1969年1月から着工する(1974年7月に工事完成)[1]。1969年10月には「三本松動物園」は閉鎖され、1970年1月に現在地に移転した[1]

拡大期

1974年5月28日、福岡県甘木農林事務所より「久留米傷病野生鳥獣医療所」を受託し、傷ついた動物の受け入れを開始する[1]。1976年にスライダーを備えた流水プールが開業し、翌1977年には遊園地も開業する[1]

リニューアル期

1985年頃から、施設や動物舎の改築・増築・新築を行っている[1]。また1986年にアライグマの公開が行われる。1989年にはアジア太平洋博覧会協会のバードカントリーにウミウを出展している。この時期、入場者は増え続け、1991年にピークの154,068人を迎えている[4]

1990-1991年に園内工事が行われた。園内広場が舗装され、古い放鳥舎は撤去されて、新しい放鳥舎が新設された[1]。1992-1994年には、3年に渡って園内の環境整備を行い、「見やすく、学びやすく、遊びやすく」をテーマにした鳥類センターにリニューアルされた[8]。この時期、ヒクイドリ、エミュー舎やリスザル舎、17連舎ができている[1]。1995年3月、ドーム型バードケージ(中央ドーム)が完成し、園のシンボルとなっている[1]

1997年11月には入園者通算350万人の記念式典が開かれる。1998年2月に園内にヒラドツツジが100本、ヒイラギが55本、それぞれ植樹された。1999年9月にケープペンギン舎が完成し、ベニコンゴウインコ舎も改修されている[1]

展示拡大期

1997年にモモイロペリカンアカガオヤブトリニシムラサキエボシドリムジエボシドリ、1998年にセキショクヤケイアメリカオシコクチョウミニブタキジ類ショウコクトウテンコウベニコンゴウインコカラカラシチメンチョウ、1999年にニホンキジケープペンギンボリビアリスザルコサンケイカピバラジトッコ、2000年にコブハクチョウムラサキテリムクドリ、2001年、ロップイヤードアオバネワライカワセミ、2002年にマクジャクなどの動物種が増えている[1]

組織改編

2006年3月31日に財団法人久留米市鳥類センターが解散し、同年4月1日に財団法人久留米市都市公園管理センターと統合を行って、経営が移管された。この際に園の名称は「財団法人久留米市都市公園管理センター 久留米市鳥類センター」となった[1]。2008年4月1日に、財団法人城島地区筑後川水辺環境整備センターと統合し[18]、のち2011年9月1日に、財団法人久留米市都市公園管理センターは、公益財団法人となった[5]

寄贈と譲渡

園は他の動物園や市民からの動物の寄贈のほか、1958年に孔雀園建設のために寄附を受けたり[5]豊田勝秋工芸家佐賀大学教授)より「噴水」、国鉄より蒸気機関車菊竹清訓建築家)より「小鳥の水呑場」、生野省三(商業デザイナー)より「旗」の寄贈を受けている[1]

園内入口脇には九州で走行していたD51形蒸気機関車(D51923)が展示されるが[6][19]、これは1974年3月19日に国鉄から譲渡されたものである[1]。毎年、旧国鉄OBらが清掃、塗直しをしているという[6]

園には多数のインドクジャクが飼育され、これは譲渡にも用いられ、1964年7月に高良山の白雲台遊園地に31羽を放鳥したり、1970年10月に台湾の日月潭へ90羽を贈っている。1983年11月には中国の合肥市へ5つがい贈り、同年12月にタンチョウヅルを譲り受けている[1][8]

2010年3月23日、旭山動物園とともに、ホンドダヌキひとつがい(2009年5月産)をシンガポールに贈ったところ[1]、タヌキに冷暖房完備の専用舎が用意され、歓迎式典まで開かれる「パンダ並み」の歓迎を受け、珍しがられた[20]

サポーター

園や友の会では、ボランティアのことを「バードボランティア」「バードサポーター」と称している[21]。2007年11月に設置され、共に行うことは、他の動物園と変わらず、バードボランティアは飼育作業の補助や植栽作業、動物の解説などの活動を通して園の事業を支援することであり、バードサポーターは園内施設拡充のための寄付のことである[21]

展示動物

※久留米市鳥類センターの資料による[22]

キジの仲間

インドクジャクシロクジャクマクジャクハイイロコクジャクベニジュケイヤマドリオジロコシアカキジセイランニジキジキンケイギンケイニホンキジコサンケイサンケイホロホロチョウシチメンチョウシロシチメンチョウセキショクヤケイコエヨシ(声良鶏)、 トウテンコウ(東天紅鶏)、 ショウコク(小国鶏)、 クロカシワ(黒柏鶏)、 ウコッケイサツマドリ(薩摩鶏)、 プリマスロック

水鳥(水禽類)

モモイロペリカンチリーフラミンゴベニイロフラミンゴハワイガンツメバガンインドガンアカハシリュウキュウガモアイガモアカツクシガモツクシガモコブハクチョウバリケンオシドリシロガチョウ(白鵡鳥)、 シナガチョウ(支那鵡鳥)、 コールダックシロアヒルセグロカモメ

猛禽類

ノスリフクロウシロフクロウハヤブサチョウゲンボウトビハイタカ

ツルの仲間

オオヅルタンチョウマナヅルクロヅルホオジロカンムリヅル

走鳥類

エミューヒクイドリレアダチョウ

そのほかの鳥類

オウカンエボシドリアオバネワライカワセミギンガオサイチョウオオバタンムジエボシドリケープペンギンメジロムジボウシインコベニコンゴウインコルリコンゴウインコセキセイインコキエリボウシインコルリゴシボタンインコシロトキカラスバトキジバトショウジョウトキ

哺乳類

ボリビアリスザルホンドギツネホンドタヌキマーラシマリスウサギテンジクネズミモルモット)、 パンダマウスハツカネズミ)、 シバヤギ

爬虫類

ケヅメリクガメミシシッピアカミミガメクサガメ

法人の目的

久留米市都市公園施設の発展並びに、公園の維持管理を側面的に助成するとともに、動物愛護思想の普及を図り、市民及び勤労者に、いこいの場を提供し都市の健全な環境の維持及び向上に資することを目的とする。 — 平成17年5月30日 久留米市 行政監査の結果 より
「人と自然環境との共存」を理念とし ①命に触れる憩いの場 ②教育環境の場 ③種の保存の場 ④飼育動物、希少動物等の調査・研究の場の実現を目指し、来園者、市民に親しまれる運営事業を行っている — 久留米市:事業仕分け 平成24年1月22日 外郭団体事業シートA(概要説明書)より

開園時間・料金

開園時間は9:00-17:00(入園は16:30まで)。休園日は毎月第2月曜日(祝日の場合は翌日)。

料金は高校生以上250円・小中学生100円・4歳以上小学生未満50円。30人以上の団体は1割引、100人以上の団体は2割引。併設のプールは別料金となる。

交通

久留米駅のクジャク

2006年3月22日までJR久留米駅にクジャクが展示され、園が40年間ほど世話をし続けた。園のインドクジャクが1000羽になったのを記念して行われていた。2002年、園は、JR久留米駅より駅舎での長年のクジャク飼育に対する感謝状を受け、2006年、新幹線工事に伴って飼育は終了している。

周辺

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai 事業内容・沿革 鳥類センターのあゆみ (PDF) 久留米市鳥類センター 2013-3-11閲覧
  2. ^ a b c d 福岡おでかけナビ 久留米市鳥類センターアクロス福岡文化観光情報ひろば 2013-3-12閲覧
  3. ^ a b c 事業内容・沿革久留米市鳥類センター 2013-3-13閲覧
  4. ^ a b c d e f g h i j 市政情報>監査>監査の結果>行政監査の結果>平成17年公表第3号 2監査結果(意見・講評) 2団体別意見・講評(監査対象20団体) 財団法人久留米市鳥類センター (PDF) 公表日:平成17年5月30日 久留米市 2013-3-12閲覧
  5. ^ a b c d e f g 平成24年1月22日 公益財団法人 久留米市都市公園管理センター(鳥類センター運営事業) (PDF) 更新日:2012年03月05日 16時08分 久留米市:事業仕分け 2013-3-14閲覧
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 園内マップ久留米市鳥類センター 2013-3-12閲覧
  7. ^ 「水の神様」総本宮が鎮座…久留米:福岡:九州・沖縄:記者の旅:新おとな総研記者・西條耕一 2012年6月7日 YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2013-3-20閲覧
  8. ^ a b c d e 全国動物園ガイド 久留米市鳥類センターOutdoorsquare 2013-3-15閲覧
  9. ^ 石橋文化センターかいわい-マイタウン福岡・北九州2012年09月08日 朝日新聞デジタル 2013-3-20閲覧
  10. ^ a b c カンタくんさようなら 久留米市鳥類センター 国内最長飼育 オオサイチョウ死ぬ 2010年11月27日掲載 西日本新聞 九州どうぶつランド飼育46年、国内最長のオオサイチョウ死ぬ 福岡・久留米 2010/11/27 2:24 日本経済新聞 201-3-14閲覧
  11. ^ a b 福岡県久留米市鳥類センターのオオサイチョウ「カンタ」 飼育期間の日本最長記録を更新中2007年06月22日掲載 西日本新聞 九州どうぶつランド 2013-3-14閲覧
  12. ^ 久留米市鳥類センター(遊具の写真一覧)株式会社 スカイパーク 2013-3-12閲覧
  13. ^ a b このたびの旅・九州篇─久留米市鳥類センター&佐賀・メルヘン村&だざいふ遊園地2010年05月21日 『観覧車通信』 著・福井優子(観覧車研究者) 2013-4-5閲覧
  14. ^ 久留米市鳥類センター 社団法人久留米広域勤労者福祉サービスセンター 2013-4-5閲覧
  15. ^ 【くるめ市民流水プール】施設のご案内(公財)久留米市都市公園管理センター 2013-3-14閲覧
  16. ^ a b 久留米市:流水プール更新日:2012年07月11日 16時47分 久留米市 2013-3-14閲覧
  17. ^ 『日本の動物園』 88頁 石田戢(おさむ)著 東京大学出版会 2010年7月5日発行 ISBN 9784130601917
  18. ^ 【財団】沿革(公財)久留米市都市公園管理センター 2013-3-20閲覧
  19. ^ 日本国有鉄道 D51 923号 蒸気機関車 D51 資料番号:100910201463 『産業技術史資料データベース』 産業技術史資料情報センター 2013-4-5閲覧
  20. ^ テレビウォッチ ワイドショー通信簿 とくダネ! ウオー、タヌキだ! 大歓迎盛り上がりのワケ2010/3/24 11:36 J-CASTテレビウォッチ 文・モンブラン 2013-3-20閲覧
  21. ^ a b バードボランティア・バードサポーター久留米市鳥類センター 2013-3-20閲覧
  22. ^ 動物紹介久留米市鳥類センター 2013-3-14閲覧

外部リンク