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[[ファイル:Miyazuma Ravine.jpg|250px|サムネイル|右|宮妻峡(内部川上流部本流、平常は緩やかな流れ、[[入道ヶ岳]]への[[登山道]]新道コースの渡渉点)]]
'''宮妻峡'''(みやづまきょう)は、[[三重県]][[四日市市]]、[[鈴鹿市]]に跨る[[鈴鹿川]]支流、[[内部川]]上流の[[渓谷]]。
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'''宮妻峡'''(みやづまきょう)は、[[三重県]][[四日市市]]、[[鈴鹿市]]に跨る[[鈴鹿川]]支流、[[内部川]]上流の[[渓谷]]。[[鈴鹿国定公園]]内にある<ref>{{Cite web |url=http://www.pref.mie.lg.jp/MIDORI/HP/shizen/takara/kouen/shizenkouen/park/suzu.htm |title=鈴鹿国定公園 |publisher=三重県 |accessdate=2013-11-25}}</ref>。


== 概要 ==
[[鈴鹿山脈]]の峰に挟まれ、間を清流が流れる。特に[[紅葉]]で知られ、中でも水沢の紅葉谷は[[江戸時代]]の歴代藩主が[[モミジ]]以外の木を除去し、モミジだけを育ててきた地で、紅葉の季節になると真っ赤に色づく。百人一首にも選ばれている猿丸大夫の「奥山に…」の歌はこの地で詠まれたといわれており、歌碑も立てられていた。また、一帯は[[中京圏]]屈指の行楽スポットとしても知られ、[[登山]]、[[ハイキング]]コースや[[キャンプ]]地が密集する。[[2004年]]の[[平成16年台風第6号|台風6号]]では[[遊歩道]]が崩壊するなどして、大きな被害を受けた。
[[ファイル:Hyakuninisshu 005.jpg|thumb|125px|[[猿丸大夫]]([[百人一首]]より)]]
[[鈴鹿山脈]]の峰に挟まれ、間を清流が流れる。特に[[紅葉谷]]として知られ、中でも四日市市水沢の紅葉谷は[[江戸時代]]の歴代藩主[[土方義苗]]が[[モミジ]]以外の木を除去し、モミジだけを育ててきた地で、紅葉の季節になると真っ赤に色づく。下部の四日市市宮妻町山の坊では、毎年11月後半に水沢もみじ祭りが開催されている。[[百人一首]]で詠われている[[猿丸大夫]]の詩{{quotation|奥山丹 黄葉踏別 鳴鹿之 音聆時曾 秋者金敷([[新撰万葉集]]より)<br/>おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき|古今和歌集215、[[小倉百人一首]]5}}
はこの地で詠まれたといわれており、[[石碑|歌碑]]が立てられていた。一帯は[[中京圏]]屈指の行楽スポットとしても知られ、[[登山]]、[[ハイキング]]、[[キャンプ]]、渓流[[釣り]]などの[[アウトドア]]の拠点となっている<ref name="日本の山1000 (1992)、544頁">[[#日本の山1000|日本の山1000 (1992)、544頁]]</ref>。[[2004年]]([[平成]]16年)の[[平成16年台風第6号|台風6号]]では[[遊歩道]]が崩壊するなどして、大きな被害を受けた。

== 宮妻峡キャンプ場 ==
'''宮妻峡キャンプ場'''(みやづまきょうキャンプじょう)は、三重県四日市市の宮妻峡(内部川上流部左岸)にある[[キャンプ場]]<ref>[[#鈴鹿を歩く|吉住 (1995)、137頁]]</ref>。営業期間は4-11月。[[バンガロー]]、[[テント]]、山の家、山荘などの施設がある。宮妻峡の[[駐車場]]が隣接する。[[入道ヶ岳]]の新道コースの登山道の登山口となっている。

[[ファイル:Miyaduma-hutte from Mount Suizawa.jpg|サムネイル|200px|右|西側の水沢岳から見下ろす宮妻峡ヒュッテ周辺(紅葉シーズン、2013年11月)]]
== 宮妻峡ヒュッテ ==
'''宮妻峡ヒュッテ'''(みやづまきょうヒュッテ)は、三重県四日市市の宮妻峡(内部川上流部左岸、標高約330 m<ref>[[#山の便利手帳|山の便利手帳 (2011)、178頁]]</ref>)にある四日市が管理する通年営業の[[宿泊施設]]<ref>{{Cite web |url=http://www5.city.yokkaichi.mie.jp/secure/42645/02jyorei.pdf |title=四日市市営宮妻峡ヒュッテの設置及び管理に関する条例 |publisher=四日市市 |format=PDF |date=1978-03-30 |accessdate=2013-11-23}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.kosodate.pref.mie.lg.jp/ikuji/ibasyo/pdf/yokkaichi-miyazuma.pdf |title=宮妻峡ヒュッテ |publisher=四日市市 |format=PDF |accessdate=2013-11-23}}</ref>。[[1978年]]([[昭和]]53年)3月に竣工された木造地上2階、延床面積:214.5 [[平方メートル|m{{sup|2}}]]、定員46人の施設<ref>{{Cite web |url=http://www.miyaduma-hutte.com/index.html |title=宮妻峡ヒュッテ |publisher=宮妻峡ヒュッテ |accessdate=2013-11-23}}</ref>。所在地は三重県四日市市水沢町字冠山28、宮妻峡キャンプ場が近隣にある。アウトドアの拠点となる施設で、食事の提供はなく、登山者やハイカーに[[山小屋]]としても利用されている<ref>[[#鈴鹿を歩く|鈴鹿を歩く (1995)、136頁]]</ref>。

== 地理 ==
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三重県と[[滋賀県]]との県境である水沢岳と宮指路岳との[[鞍部]]に水沢峠(すいざわとうげ、標高866 m<ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、274頁">[[#コンサイス日本山名辞典|コンサイス日本山名辞典 (1992)、274頁]]</ref>)の東2.1 [[キロメートル|km]]に位置する。鈴鹿川[[水系]]の[[支流]]である内部川の上流部に位置し、[[伊勢湾]]へと流れる。上流には不動[[滝]]がある。周辺には[[ヤマビル]]<ref name="吉住 (1995)、92-95頁">[[#鈴鹿を歩く|吉住 (1995)、92-95頁]]</ref>、[[ニホンザル]]、[[ニホンジカ]]などが生息し、[[スモーキークォーツ|煙水晶]]が産出されている<ref>{{Cite web |url=http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/haku/osusume/smoky-quartz.htm |title=煙水晶(けむりすいしょう) |publisher=[[三重県立博物館]] |accessdate=2013-11-23}}</ref>。

=== 周辺の山 ===
鈴鹿山脈南部の東面に位置し、[[雲母峰]]、[[鎌ヶ岳]]、[[水沢岳]]、[[入道ヶ岳]]に囲まれた渓谷である<ref name="山と高原地図 (2013)">[[#山と高原地図|山と高原地図 (2013)]]</ref>。宮妻峡の最奥にある水沢岳は宮越山とも呼ばれている<ref name="日本山岳会 (2005)、1250頁">[[#新日本山岳誌|日本山岳会 (2005)、1250頁]]</ref>。
{| class="wikitable"
!山容
!名称
!標高<br>([[メートル|m]])<ref name="kijyun">{{Cite web|url=http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/|title=基準点成果等閲覧サービス |publisher=国土地理院 |accessdate=2013-11-23}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.gsi.go.jp/KOKUJYOHO/MOUNTAIN/mountain.html |title=日本の主な山岳標高(三重県・滋賀県) |publisher=国土地理院 |accessdate=2013-11-23}}</ref>
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!備考
|-
|[[ファイル:Mount Gozaisho from Mount Kama 2001-11-19.jpg|80px|鎌ヶ岳から望む御在所岳(2001年11月19日)]]
|[[御在所岳]]
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|-
|[[ファイル:Mount Kama from Mount Kirara.jpg|80px|雲母峰から望む鎌ヶ岳(2009年11月23日)]]
|[[鎌ヶ岳]]
|style="text-align:right;"|1,161
|
|{{direction2|NW}} 2.1
|<small>関西百名山</small><br /><small>鈴鹿セブンマウンテン</small>
|-
|[[ファイル:Mount Suizawa from Miyazuma Ravine.jpg|80px|宮妻峡方面から望む水沢岳(2009年11月23日)]]
|[[水沢岳]]<br />(宮越山)
|style="text-align:right;"|1029.<small>24</small>
| 三等<br />「冠山」
|{{direction2|W}} 2.0
|<small>すいざわだけ<br />(みやごしやま)</small>
|-
|[[ファイル:Kiraramine from Kamagatake 2001-11-19.jpg|80px|鎌ヶ岳から望む雲母峰(2001年11月19日)]]
|[[雲母峰]]
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| 三等<br />「吉良々山」
|{{direction2|NE}} 1.7
|<small>きららみね</small>
|- style="background-color:#ccc"
|[[ファイル:Miyazuma Ravine.jpg|80px|宮妻峡(内部川上流部本流、平常は緩やかな流れ、[[入道ヶ岳]]への[[登山道]]新道コースの渡渉点、2013年11月21日)]]
|'''宮妻峡'''
|style="text-align:right;"|約380
|
|{{direction2|O}} 0
|内部川上流の[[渓谷]]
|-
|[[ファイル:Nyuudougatake from kamagatake 2010 6 2.jpg|80px|鎌ヶ岳から望む入道ヶ岳(2010年6月2日)]]
|[[入道ヶ岳]]
|style="text-align:right;"|905.<small>54</small>
| 三等<br />「入道岳」
|{{direction2|SSW}} 1.4
|<small>鈴鹿セブンマウンテン</small>
|}

=== 交通・アクセス ===
[[三重県道44号宮妻峡線]]が四日市市水沢町の宮妻口まで通じ、内部川[[左岸]]沿いに宮妻峡まで唯一の道路が通じ<ref group="注釈">宮妻口から宮妻峡ヒュッテに向かう道路の途中には駐車場があり、四日市市方面の[[夜景]]を望むことができるスポットとなっている。</ref>、その上流部に入道ヶ岳の北面へ宮妻[[林道]]が通じる<ref group="注釈">宮妻峡の上部の林道は一般車両の通行が禁止されている。</ref><ref name="山と高原地図 (2013)" /><ref name="与呉 (2010)、368-369頁">[[#名古屋周辺の山|与呉 (2010)、368-369頁]]</ref>。下流側の宮妻口には[[東海自然歩道]]が通っている<ref>{{Cite web |url=http://www.tokai-walk.jp/course_guide/course13.html |title=13.朝明渓谷から宮妻峡へ |publisher=東海自然歩道連絡協会 |accessdate=2013-11-23}}</ref>。[[鎌倉時代]]に[[近江商人]]が通行していた水沢峠を越える道が、[[近江国|近江]]と[[伊勢国|伊勢]]を結ぶ一つの経路として近世まで利用されていた<ref name="日本の山1000 (1992)、544頁" /><ref name="コンサイス日本山名辞典 (1992)、274頁" />。宮妻口には[[カエデ|モミジ]]の名所である[[楓渓]]がある。[[湯の山温泉 (三重県)|湯の山温泉]]の南3 kmに位置する<ref name="山と高原地図 (2013)" />。
* [[三重交通]][[三重交通四日市営業所#水沢(笹川)線|水沢(笹川)線]]の終点である'''宮妻口'''[[バス停]]の西北西2 kmに位置する<ref name="山と高原地図 (2013)" /><ref>{{Cite web |url=http://www.sanco.co.jp/shuttle/yokkaichi_20130401.pdf |title=四日市・菰野~鈴鹿路線図 |publisher=三重交通 |format=PDF |date=2013-04-01 |accessdate=2013-11-23}}</ref>。
* [[近畿日本鉄道]][[近鉄湯の山線|湯の山線]][[湯の山温泉駅]]の南西4 kmに位置し、[[内部線|近鉄内部線]][[内部駅]]の西北西15 kmに位置する<ref name="山と高原地図 (2013)" />。
* [[東海旅客鉄道|JR東海]][[関西本線]][[四日市駅]]の西18 kmに位置する<ref name="山と高原地図 (2013)" />。
* [[東名阪自動車道]]の[[四日市インターチェンジ (三重県)|四日市インターチェンジ]]の西10 kmに位置する<ref name="山と高原地図 (2013)" />。
== 登山口 ==
宮妻峡からは周辺の鈴鹿山脈南部の山へ以下の[[登山道]]が開設されている。
;鎌ヶ岳(カズラ谷コース)
:宮妻峡 - 林道 - カズラ谷 - 四日市市と菰野町との境界稜線 - 岳峠 - 鎌ヶ岳<ref name="吉住 (1995)、92-95頁" /><ref>[[#鈴鹿の山万能ガイド|西内 (2006)、56-57頁]]</ref>
{{see also|鎌ヶ岳#登山}}
;入道ヶ岳(新道コース)
:宮妻峡 - 渡渉点 - 急な尾根 - 宮妻林道分岐 - 北ノ頭 - 入道ヶ岳<ref name="与呉 (2010)、368-369頁" /><ref>[[#鈴鹿を歩く|吉住 (1995)、61-64頁]]</ref><ref>[[#鈴鹿の山万能ガイド|西内 (2006)、62-63頁]]</ref>
{{see also|入道ヶ岳#登山ルート}}
;水沢岳(水沢峠経由)
:宮妻峡 - 宮妻林道 - 水沢峠 - 水沢岳<ref name="日本の山1000 (1992)、544頁" /><ref name="山と高原地図 (2013)" />
:鈴鹿山脈の縦走路のピークの一つとして登られている山<ref name="日本山岳会 (2005)、1250頁" />。
;雲母峰(小林新道)
:宮妻口 - 東海自然歩道 - 小林新道 - 雲母峰2峰 - 雲母峰<ref name="西内 (2003)、76-77頁">[[#地図で歩く鈴鹿の山|西内 (2003)、76-77頁]]</ref>
:宮妻口方面からは南側の尾根を利用したコースもある<ref name="西内 (2003)、76-77頁" />。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
<div class="references-small">{{Reflist|group=注釈}}</div>
=== 出典 ===
<div class="references-small">{{Reflist|2}}</div>

== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書 |author= |year=2010 |month=2 |title=関西百名山地図帳 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635530576 |ref=関西百名山地図帳}}
* {{Cite book|和書 |author= |date=2013-02-15 |title=[[御在所岳|御在所]]・[[霊仙山|霊仙]]・[[伊吹山|伊吹]] |series=[[山と高原地図]]44 |publisher=[[昭文社]] |isbn=978-4398759023 |ref=山と高原地図}}
* {{Cite book|和書 |editor=徳久球雄(編集) |year=1992 |month=10 |title=コンサイス日本山名辞典 |publisher=[[三省堂]] |isbn=4-385-15403-1 |ref=コンサイス日本山名辞典}}
* {{Cite book|和書 ||editor=[[日本山岳会]] |year=2005 |month=11 |title=新日本山岳誌 |publisher=[[ナカニシヤ出版]] |isbn=4-779-50000-1 |ref=新日本山岳誌}}
* {{Cite book|和書 |author=西内正弘 |year=2006 |month=09 |title=鈴鹿の山万能ガイド |publisher=[[中日新聞社]] |isbn=4806205265 |ref=鈴鹿の山万能ガイド}}
* {{Cite book|和書 |author=西内正弘 |year=2003 |month=9 |title=地図で歩く鈴鹿の山 ハイキング100選 |publisher=中日新聞社 |isbn=4806204641 |ref=地図で歩く鈴鹿の山}}
* {{Cite book|和書 |author= |year=1992 |month=08 |title=日本の山1000 |series=山溪カラー名鑑 |publisher=[[山と渓谷|山と溪谷社]] |isbn=4635090256 |ref=日本の山1000}}
* {{Cite book|和書 |year=2010 |month=12 |title=山の便利手帳2011 |series=山と溪谷2011年1月号付録 |publisher=山と溪谷社 |pages=[[ASIN]] B004DPEH6G |ref=山の便利手帳}}
* {{Cite book|和書 |author=与呉日出夫 |year=2010 |month=7 |title=名古屋周辺の山 |edition=改訂新版 |publisher=山と溪谷社 |isbn=9784635180177 |ref=名古屋周辺の山}}
* {{Cite book|和書 |author=吉住友一、田中均、笠井道男、岩田好晃、山中保一 |year=1995 |month=11 |title=鈴鹿を歩く |series=フルカラー特選ガイド |publisher=山と溪谷社 |isbn=4635170845 |ref=鈴鹿を歩く}}

== 関連項目 ==
{{commonscat|Miyazuma Ravine}}
* [[渓谷]] - [[日本の峡谷・渓谷一覧]]
* [[鈴鹿川]]
* [[三重県道44号宮妻峡線]]
* [[紅葉谷]]
* [[楓渓]]

== 外部リンク ==
* [http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.html?longitude=136.43745861111&latitude=34.987117361111 地図閲覧サービス・宮妻峡] [[国土地理院]]
* [http://season.tenki.jp/season/kouyou/point-151.html 紅葉情報「宮妻峡・水沢もみじ谷」] [[日本気象協会]]
* [http://tenkura.n-kishou.co.jp/tk/kanko/kad.html?code=24360006&type=ky&ba=tk 宮妻峡・水沢もみじ谷の天気] [[日本気象]]


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2013年11月24日 (日) 22:37時点における版

宮妻峡(内部川上流部本流、平常は緩やかな流れ、入道ヶ岳への登山道新道コースの渡渉点)
宮妻峡の位置(日本内)
宮妻峡
宮妻峡の位置

宮妻峡(みやづまきょう)は、三重県四日市市鈴鹿市に跨る鈴鹿川支流、内部川上流の渓谷鈴鹿国定公園内にある[1]

概要

猿丸大夫百人一首より)

鈴鹿山脈の峰に挟まれ、間を清流が流れる。特に紅葉谷として知られ、中でも四日市市水沢の紅葉谷は江戸時代の歴代藩主土方義苗モミジ以外の木を除去し、モミジだけを育ててきた地で、紅葉の季節になると真っ赤に色づく。下部の四日市市宮妻町山の坊では、毎年11月後半に水沢もみじ祭りが開催されている。百人一首で詠われている猿丸大夫の詩

奥山丹 黄葉踏別 鳴鹿之 音聆時曾 秋者金敷(新撰万葉集より)
おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき — 古今和歌集215、小倉百人一首5

はこの地で詠まれたといわれており、歌碑が立てられていた。一帯は中京圏屈指の行楽スポットとしても知られ、登山ハイキングキャンプ、渓流釣りなどのアウトドアの拠点となっている[2]2004年平成16年)の台風6号では遊歩道が崩壊するなどして、大きな被害を受けた。

宮妻峡キャンプ場

宮妻峡キャンプ場(みやづまきょうキャンプじょう)は、三重県四日市市の宮妻峡(内部川上流部左岸)にあるキャンプ場[3]。営業期間は4-11月。バンガローテント、山の家、山荘などの施設がある。宮妻峡の駐車場が隣接する。入道ヶ岳の新道コースの登山道の登山口となっている。

西側の水沢岳から見下ろす宮妻峡ヒュッテ周辺(紅葉シーズン、2013年11月)

宮妻峡ヒュッテ

宮妻峡ヒュッテ(みやづまきょうヒュッテ)は、三重県四日市市の宮妻峡(内部川上流部左岸、標高約330 m[4])にある四日市が管理する通年営業の宿泊施設[5][6]1978年昭和53年)3月に竣工された木造地上2階、延床面積:214.5 m2、定員46人の施設[7]。所在地は三重県四日市市水沢町字冠山28、宮妻峡キャンプ場が近隣にある。アウトドアの拠点となる施設で、食事の提供はなく、登山者やハイカーに山小屋としても利用されている[8]

地理

宮妻峡上部の内部川本流の不動

三重県と滋賀県との県境である水沢岳と宮指路岳との鞍部に水沢峠(すいざわとうげ、標高866 m[9])の東2.1 kmに位置する。鈴鹿川水系支流である内部川の上流部に位置し、伊勢湾へと流れる。上流には不動がある。周辺にはヤマビル[10]ニホンザルニホンジカなどが生息し、煙水晶が産出されている[11]

周辺の山

鈴鹿山脈南部の東面に位置し、雲母峰鎌ヶ岳水沢岳入道ヶ岳に囲まれた渓谷である[12]。宮妻峡の最奥にある水沢岳は宮越山とも呼ばれている[13]

山容 名称 標高
(m)[14][15]
三角点等級
基準点名[14]
宮妻峡からの
方角と距離(km)
備考
鎌ヶ岳から望む御在所岳(2001年11月19日) 御在所岳 1,212 (一等)「御在所山」
(1209.37m)
北北西 4.1 関西百名山[16]
日本二百名山
鈴鹿セブンマウンテン[17]
雲母峰から望む鎌ヶ岳(2009年11月23日) 鎌ヶ岳 1,161 北西 2.1 関西百名山
鈴鹿セブンマウンテン
宮妻峡方面から望む水沢岳(2009年11月23日) 水沢岳
(宮越山)
1029.24  三等
「冠山」
西 2.0 すいざわだけ
(みやごしやま)
鎌ヶ岳から望む雲母峰(2001年11月19日) 雲母峰 888.09  三等
「吉良々山」
北東 1.7 きららみね
宮妻峡(内部川上流部本流、平常は緩やかな流れ、入道ヶ岳への登山道新道コースの渡渉点、2013年11月21日) 宮妻峡 約380 0 内部川上流の渓谷
鎌ヶ岳から望む入道ヶ岳(2010年6月2日) 入道ヶ岳 905.54  三等
「入道岳」
南南西 1.4 鈴鹿セブンマウンテン

交通・アクセス

三重県道44号宮妻峡線が四日市市水沢町の宮妻口まで通じ、内部川左岸沿いに宮妻峡まで唯一の道路が通じ[注釈 1]、その上流部に入道ヶ岳の北面へ宮妻林道が通じる[注釈 2][12][18]。下流側の宮妻口には東海自然歩道が通っている[19]鎌倉時代近江商人が通行していた水沢峠を越える道が、近江伊勢を結ぶ一つの経路として近世まで利用されていた[2][9]。宮妻口にはモミジの名所である楓渓がある。湯の山温泉の南3 kmに位置する[12]

登山口

宮妻峡からは周辺の鈴鹿山脈南部の山へ以下の登山道が開設されている。

鎌ヶ岳(カズラ谷コース)
宮妻峡 - 林道 - カズラ谷 - 四日市市と菰野町との境界稜線 - 岳峠 - 鎌ヶ岳[10][21]
入道ヶ岳(新道コース)
宮妻峡 - 渡渉点 - 急な尾根 - 宮妻林道分岐 - 北ノ頭 - 入道ヶ岳[18][22][23]
水沢岳(水沢峠経由)
宮妻峡 - 宮妻林道 - 水沢峠 - 水沢岳[2][12]
鈴鹿山脈の縦走路のピークの一つとして登られている山[13]
雲母峰(小林新道)
宮妻口 - 東海自然歩道 - 小林新道 - 雲母峰2峰 - 雲母峰[24]
宮妻口方面からは南側の尾根を利用したコースもある[24]

脚注

注釈

  1. ^ 宮妻口から宮妻峡ヒュッテに向かう道路の途中には駐車場があり、四日市市方面の夜景を望むことができるスポットとなっている。
  2. ^ 宮妻峡の上部の林道は一般車両の通行が禁止されている。

出典

  1. ^ 鈴鹿国定公園”. 三重県. 2013年11月25日閲覧。
  2. ^ a b c 日本の山1000 (1992)、544頁
  3. ^ 吉住 (1995)、137頁
  4. ^ 山の便利手帳 (2011)、178頁
  5. ^ 四日市市営宮妻峡ヒュッテの設置及び管理に関する条例” (PDF). 四日市市 (1978年3月30日). 2013年11月23日閲覧。
  6. ^ 宮妻峡ヒュッテ” (PDF). 四日市市. 2013年11月23日閲覧。
  7. ^ 宮妻峡ヒュッテ”. 宮妻峡ヒュッテ. 2013年11月23日閲覧。
  8. ^ 鈴鹿を歩く (1995)、136頁
  9. ^ a b コンサイス日本山名辞典 (1992)、274頁
  10. ^ a b 吉住 (1995)、92-95頁
  11. ^ 煙水晶(けむりすいしょう)”. 三重県立博物館. 2013年11月23日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g h 山と高原地図 (2013)
  13. ^ a b 日本山岳会 (2005)、1250頁
  14. ^ a b 基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2013年11月23日閲覧。
  15. ^ 日本の主な山岳標高(三重県・滋賀県)”. 国土地理院. 2013年11月23日閲覧。
  16. ^ 関西百名山地図帳 (2010)
  17. ^ 吉住 (1995)、56-57頁
  18. ^ a b 与呉 (2010)、368-369頁
  19. ^ 13.朝明渓谷から宮妻峡へ”. 東海自然歩道連絡協会. 2013年11月23日閲覧。
  20. ^ 四日市・菰野~鈴鹿路線図” (PDF). 三重交通 (2013年4月1日). 2013年11月23日閲覧。
  21. ^ 西内 (2006)、56-57頁
  22. ^ 吉住 (1995)、61-64頁
  23. ^ 西内 (2006)、62-63頁
  24. ^ a b 西内 (2003)、76-77頁

参考文献

  • 『関西百名山地図帳』山と溪谷社、2010年2月。ISBN 9784635530576 
  • 御在所霊仙伊吹昭文社山と高原地図44〉、2013年2月15日。ISBN 978-4398759023 
  • 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1 
  • 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1 
  • 西内正弘『鈴鹿の山万能ガイド』中日新聞社、2006年9月。ISBN 4806205265 
  • 西内正弘『地図で歩く鈴鹿の山 ハイキング100選』中日新聞社、2003年9月。ISBN 4806204641 
  • 『日本の山1000』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992年8月。ISBN 4635090256 
  • 『山の便利手帳2011』山と溪谷社〈山と溪谷2011年1月号付録〉、2010年12月、ASIN B004DPEH6G頁。 
  • 与呉日出夫『名古屋周辺の山』(改訂新版)山と溪谷社、2010年7月。ISBN 9784635180177 
  • 吉住友一、田中均、笠井道男、岩田好晃、山中保一『鈴鹿を歩く』山と溪谷社〈フルカラー特選ガイド〉、1995年11月。ISBN 4635170845 

関連項目

外部リンク