宮妻峡
宮妻峡(みやづまきょう)は、三重県四日市市、鈴鹿市に跨る鈴鹿川支流、内部川上流の渓谷。鈴鹿国定公園内にある[1]。
概要
[編集]鈴鹿山脈の峰に挟まれ、間を清流が流れる。特に紅葉谷として知られ、中でも四日市市水沢の紅葉谷は江戸時代の歴代藩主土方義苗がモミジ以外の木を除去し、モミジだけを育ててきた地で、紅葉の季節になると真っ赤に色づく。下部の四日市市宮妻町山の坊では、毎年11月後半に水沢もみじ祭りが開催されている。百人一首で詠われている猿丸大夫の詩
はこの地で詠まれたといわれており、歌碑が立てられていた。一帯は中京圏屈指の行楽スポットとしても知られ、登山、ハイキング、キャンプ、渓流釣りなどのアウトドアの拠点となっている[2]。2004年(平成16年)の台風6号では遊歩道が崩壊するなどして、大きな被害を受けた。
宮妻峡キャンプ場
[編集]宮妻峡キャンプ場(みやづまきょうキャンプじょう)は、三重県四日市市の宮妻峡(内部川上流部左岸)にあるキャンプ場[3]。営業期間は4-11月。バンガロー、テント、山の家、山荘などの施設がある。宮妻峡の駐車場が隣接する。入道ヶ岳の新道コースの登山道の登山口となっている。
宮妻峡ヒュッテ
[編集]宮妻峡ヒュッテ(みやづまきょうヒュッテ)は、三重県四日市市の宮妻峡(内部川上流部左岸、標高約330 m[4])にある四日市が管理する通年営業の宿泊施設[5][6]。1978年(昭和53年)3月に竣工された木造地上2階、延床面積:214.5 m2、定員46人の施設[7]。所在地は三重県四日市市水沢町字冠山28、宮妻峡キャンプ場が近隣にある。アウトドアの拠点となる施設で、食事の提供はなく、登山者やハイカーに山小屋としても利用されている[8]。
地理
[編集]三重県と滋賀県との県境である水沢岳と宮指路岳との鞍部に水沢峠(すいざわとうげ、標高866 m[9])の東2.1 kmに位置する。鈴鹿川水系の支流である内部川の上流部に位置し、伊勢湾へと流れる。上流には不動滝がある。周辺にはヤマビル[10]、ニホンザル、ニホンジカなどが生息し、煙水晶が産出されている[11]。
周辺の山
[編集]鈴鹿山脈南部の東面に位置し、雲母峰、鎌ヶ岳、水沢岳、入道ヶ岳に囲まれた渓谷である[12]。宮妻峡の最奥にある水沢岳は宮越山とも呼ばれている[13]。
山容 | 名称 | 標高 (m)[14][15] |
三角点等級 基準点名[14] |
宮妻峡からの 方角と距離(km) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
御在所岳 | 1,212 | (一等)「御在所山」 (1209.37m) |
北北西 4.1 | 関西百名山[16] 日本二百名山 鈴鹿セブンマウンテン[17] | |
鎌ヶ岳 | 1,161 | 北西 2.1 | 関西百名山 鈴鹿セブンマウンテン | ||
水沢岳 (宮越山) |
1029.24 | 三等 「冠山」 |
西 2.0 | すいざわだけ (みやごしやま) | |
雲母峰 | 888.09 | 三等 「吉良々山」 |
北東 1.7 | きららみね | |
宮妻峡 | 約380 | 0 | 内部川上流の渓谷 | ||
入道ヶ岳 | 905.54 | 三等 「入道岳」 |
南南西 1.4 | 鈴鹿セブンマウンテン |
交通・アクセス
[編集]三重県道44号宮妻峡線が四日市市水沢町の宮妻口まで通じ、内部川左岸沿いに宮妻峡まで唯一の道路が通じ[注釈 1]、その上流部に入道ヶ岳の北面へ宮妻林道が通じる[注釈 2][12][18]。下流側の宮妻口には東海自然歩道が通っている[19]。鎌倉時代に近江商人が通行していた水沢峠を越える道が、近江と伊勢を結ぶ一つの経路として近世まで利用されていた[2][9]。宮妻口にはモミジの名所である楓渓がある。湯の山温泉の南3 kmに位置する[12]。
三重交通水沢(笹川)線の終点である宮妻口バス停の西北西2 kmに位置する[12][20]。
近鉄湯の山線 湯の山温泉駅の南西4 kmに位置し、四日市あすなろう鉄道内部駅の西北西15 kmに位置する[12]。
東名阪自動車道の四日市インターチェンジの西10 kmに位置する[12]。
登山口
[編集]宮妻峡からは周辺の鈴鹿山脈南部の山へ以下の登山道が開設されている。
鎌ヶ岳(カズラ谷コース)
[編集]宮妻峡 - 林道 - カズラ谷 - 四日市市と菰野町との境界稜線 - 岳峠 - 鎌ヶ岳[10][21]
入道ヶ岳(新道コース)
[編集]宮妻峡 - 渡渉点 - 急な尾根 - 宮妻林道分岐 - 北ノ頭 - 入道ヶ岳[18][22][23]
水沢岳(水沢峠経由)
[編集]鈴鹿山脈の縦走路のピークの一つとして登られている山[13]。
雲母峰(小林新道)
[編集]宮妻口 - 東海自然歩道 - 小林新道 - 雲母峰2峰 - 雲母峰[24]
宮妻口方面からは南側の尾根を利用したコースもある[24]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ “鈴鹿国定公園”. 三重県. 2013年11月25日閲覧。
- ^ a b c 日本の山1000 (1992)、544頁
- ^ 吉住 (1995)、137頁
- ^ 山の便利手帳 (2011)、178頁
- ^ “四日市市営宮妻峡ヒュッテの設置及び管理に関する条例” (PDF). 四日市市 (1978年3月30日). 2013年11月23日閲覧。
- ^ “宮妻峡ヒュッテ” (PDF). 四日市市. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “宮妻峡ヒュッテ”. 宮妻峡ヒュッテ. 2013年11月23日閲覧。
- ^ 鈴鹿を歩く (1995)、136頁
- ^ a b コンサイス日本山名辞典 (1992)、274頁
- ^ a b 吉住 (1995)、92-95頁
- ^ “煙水晶(けむりすいしょう)”. 三重県立博物館. 2013年11月23日閲覧。
- ^ a b c d e f g h 山と高原地図 (2013)
- ^ a b 日本山岳会 (2005)、1250頁
- ^ a b “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “日本の主な山岳標高(三重県・滋賀県)”. 国土地理院. 2013年11月23日閲覧。
- ^ 関西百名山地図帳 (2010)
- ^ 吉住 (1995)、56-57頁
- ^ a b 与呉 (2010)、368-369頁
- ^ “13.朝明渓谷から宮妻峡へ”. 東海自然歩道連絡協会. 2013年11月23日閲覧。
- ^ “四日市・菰野~鈴鹿路線図” (PDF). 三重交通 (2013年4月1日). 2013年11月23日閲覧。
- ^ 西内 (2006)、56-57頁
- ^ 吉住 (1995)、61-64頁
- ^ 西内 (2006)、62-63頁
- ^ a b 西内 (2003)、76-77頁
参考文献
[編集]- 『関西百名山地図帳』山と溪谷社、2010年2月。ISBN 9784635530576。
- 『御在所・霊仙・伊吹』昭文社〈山と高原地図44〉、2013年2月15日。ISBN 978-4398759023。
- 徳久球雄(編集) 編『コンサイス日本山名辞典』三省堂、1992年10月。ISBN 4-385-15403-1。
- 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月。ISBN 4-779-50000-1。
- 西内正弘『鈴鹿の山万能ガイド』中日新聞社、2006年9月。ISBN 4806205265。
- 西内正弘『地図で歩く鈴鹿の山 ハイキング100選』中日新聞社、2003年9月。ISBN 4806204641。
- 『日本の山1000』山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、1992年8月。ISBN 4635090256。
- 『山の便利手帳2011』山と溪谷社〈山と溪谷2011年1月号付録〉、2010年12月、ASIN B004DPEH6G頁。
- 与呉日出夫『名古屋周辺の山』(改訂新版)山と溪谷社、2010年7月。ISBN 9784635180177。
- 吉住友一、田中均、笠井道男、岩田好晃、山中保一『鈴鹿を歩く』山と溪谷社〈フルカラー特選ガイド〉、1995年11月。ISBN 4635170845。