室井慎次 敗れざる者
室井慎次 敗れざる者 | |
---|---|
監督 | 本広克行 |
脚本 | 君塚良一 |
製作 |
亀山千広 矢延隆生 小川泰 市川南 |
製作総指揮 | 臼井裕詞 |
出演者 |
柳葉敏郎 福本莉子 齋藤潤 松下洸平 矢本悠馬 生駒里奈 丹生明里 松本岳 佐々木希 甲本雅裕 遠山俊也 西村直人 赤ペン瀧川 升毅 飯島直子 小沢仁志 木場勝己 加藤浩次 稲森いずみ いしだあゆみ 真矢ミキ 筧利夫 |
音楽 |
武部聡志 松本晃彦(シリーズ音楽) |
撮影 | 川越一成 |
編集 | 岸野由佳子 |
製作会社 |
フジテレビジョン BSフジ 東宝 |
配給 | 東宝 |
公開 | 2024年10月11日 |
上映時間 | 115分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
前作 | 踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望 |
次作 | 室井慎次 生き続ける者 |
『室井慎次 敗れざる者』(むろいしんじ やぶれざるもの、英題: NOT DEFEATED)は、『踊る大捜査線』シリーズのスピンオフ映画。2024年10月11日に『THE ODORU LEGEND CONTINUES』として公開された。
概要
[編集]1997年から2012年にかけて制作されたフジテレビ系列のテレビドラマ及びその劇場版映画作品である『踊る大捜査線』シリーズで柳葉敏郎が演じる人気キャラクター・室井慎次を主人公に描く映画2部作の前編[1][2]。
事実上の前作にあたる『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』から12年ぶりのシリーズ復活となった。また室井を主人公とする作品は2005年公開の『容疑者 室井慎次』以来19年ぶりとなる。
本作では新規キャストに加え、筧利夫・真矢ミキ・甲本雅裕・遠山俊也などかつて『踊る』シリーズでレギュラーを務めた俳優が複数出演している。
またエンドロールでは、編集技師として『踊る』シリーズの制作に長年携わり2024年4月25日に死去した田口拓也への追悼として『田口拓也さんの思い出とともに』の文字が挿入されている。
後編は『室井慎次 生き続ける者』で、2024年11月15日に公開された。
ストーリー
[編集]警察組織を変えるという約束を青島俊作と交わした室井慎次は、警察庁組織改革審議委員会の委員長を5年間務めた。しかし、組織を変える事は出来ず、委員会の解散を警察庁長官補佐である坂村正之から聞く。室井は警察庁長官官房審議官である沖田仁美に秋田県警本部長のポストを用意されたが、辞退。定年前に警察を辞めた。その後、室井は地元秋田の山奥にある三ツ池のほとりにある民家に移住し、地元住民の石津百男や長部音松らと仲良くできないまま、3年前に母親を殺された高校生・森貴仁(タカ)と、父親が犯罪者である柳町凛久(リク)を引き取り、里親として暮らし始めていた。
ある日、三ツ池の一部の草花が不自然に枯れており、異臭もすることから、北大仙署地域課の警官・乃木真守に調査を依頼した。そこを掘り返すと、腐乱死体と洋梨が地中に埋まっていた。その死体の調査のため、警視庁と秋田県警は合同調査を始め、室井は捜査一課の刑事となった緒方薫と再会する。捜査が進み、死体の正体はレインボーブリッジの事件の犯人グループの一員・瀬川吉雄だと判明した。瀬川はレインボーブリッジの事件後18年間服役し、出所後は同じグループで特殊詐欺を行っていた。
そんな中、室井は家の離れで女の子が倒れているのを発見する。室井やリク、タカは彼女を看病した。彼女はすぐに具合が良くなり、一緒に暮らすようになった。だが、室井は彼女に何か引っかかりを感じた。そこで、室井は捜査資料管理センターの明石幸男に連絡し、彼女の身元を調べてもらった。彼女の名前は日向杏。凶悪殺人犯・日向真奈美の娘だった。真奈美は14年前に獄中出産しており、それについては隠蔽されていた。そして、杏はタカとリクに「室井さんに殴られた」と嘘をつき、二人を不安にするのだった。
またある日、新人弁護士・奈良育美が尋ねてきた。彼女は、タカの母・森麻絵を殺害した犯人の弁護を担当しており、タカに犯人に有利な証言をして欲しいと頼みに来たのだ。タカは室井と共に、拘置所へ犯人の面会に行った。そこで、刑務官となった森下孝治とも再会する。森下の立ち会いのもと、タカと室井は暴力団員の犯人と面会する。タカは犯人に自分と母が暴力団員と共同生活を送っていた時のことを話し、犯人は何も言えなくなる。その後、犯人は罪を認め、奈良は自分のタカや室井にとった態度を謝るのだった。
家に戻ると、室井は自分が辞退した秋田県警本部長となった新城賢太郎に呼び出され、捜査協力を要請される。室井と新城は室井の家に戻り、二人で酒を飲んだ。
次の日、室井が捜査本部を尋ねると、捜査一課の刑事・桜章太郎が興奮した様子で室井に話しかけてくる。一方その頃、リクの父親・柳町明楽が出所していた。室井は家に帰り、離れにいるリクを迎えに行くと、家の隣の小屋が管理官時代に着ていた服などと共に燃えているのだった。
キャスト
[編集]警察での役職は公式HP、劇場パンフレット等にて確認されているものについてのみ記す。
- 室井慎次(元警察官):柳葉敏郎
- 日向杏(日向真奈美の娘):福本莉子[3]
- 森貴仁(タカ):齋藤潤
- 柳町凛久(リク):前山くうが・前山こうが(ダブルキャスト)
- 桜章太郎(警視庁刑事部捜査一課):松下洸平[4]
- 乃木真守(秋田県警察北大仙署地域課):矢本悠馬
- 奈良育美(弁護士):生駒里奈[5]
- 大川紗耶香(タカの同級生):丹生明里[5][6]
- 端野則次(児童相談所職員):松本岳
- 森麻絵(タカの母、故人):佐々木希[6]
- 新城賢太郎(秋田県警察本部長):筧利夫
- 緒方薫(警視庁刑事部捜査一課):甲本雅裕
- 森下孝治(秋田刑務所刑務官):遠山俊也
- 仁狩英明(警視庁刑事部捜査一課管理官):西村直人
- 明石幸男(警視庁捜査資料管理センター):赤ペン瀧川
- 坂村正之(警察庁長官補佐):升毅
- 沖田仁美(警察庁長官官房審議官):真矢ミキ[4]
- 石津紀子(牧場経営者):飯島直子
- 石津百男(牧場経営者):小沢仁志
- 長部音松(地区長):木場勝己
- 柳町明楽(リクの父):加藤浩次
- 松本敬子(児童相談所職員):稲森いずみ
- 市毛きぬ(商店経営者):いしだあゆみ
- 井戸川伸(タカの母親殺害の犯人):木村知貴[7]
- 三波行(秋田県警察本部・捜査一課):平島厚志[7]
- 犬を連れた男:渡辺直也[7]
- 警察官(乃木の同僚):藤田真澄[7]
- 生徒A(タカの同級生):佐藤雄大[7]
- 生徒B(タカの同級生):若尾颯太[7]
- 紗耶香の友人:野口千優[7]
- 紗耶香の友人:熊倉媛子[7]
- タカの担任教師:宮武真央[7]
- 捜査員(捜査一課):松村優[7]
- 刑務官:錦笑亭満堂[7]
- ラジオパーソナリティの声、料亭の女将:相場詩織[8]
- ラジオパーソナリティの声、商店の客:シャバ駄馬男[9]
- ラジオパーソナリティの声、商店の客:バリトン伊藤[9]
- ラジオパーソナリティの声:笠井信輔[10]
- 石澤友規
- 守敦也
- 森本竜馬
- 曽我一耀
- 斉木としや
- たべひろのぶ[11]
- シンペイ(室井家の秋田犬):緋菜・千尋(ダブルキャスト)[7]
スタッフ
[編集]- 監督:本広克行
- 脚本:君塚良一
- 製作:亀山千広、矢延隆生、小川泰、市川南
- 製作総指揮:臼井裕詞
- プロデューサー:根本圭、上原寿一、古郡真也
- 音楽:武部聡志
- シリーズ音楽:松本晃彦
- 撮影:川越一成
- 照明:加瀬弘行、木村伸
- 録音:武進
- 美術:相馬直樹、吉本幸人
- 編集:岸野由佳子
- 美術プロデューサー:福田のり
- 装飾:田中宏
- 衣裳統括:岡田敦之
- ヘアメイク:丸谷亜由美
- VFXスーパーバイザー:高栁優斗
- 記録:赤星元子
- 選曲:藤村義孝
- 音響効果:大河原将
- 宣伝プロデューサー:江上智彦
- アソシエイトプロデューサー:大坪加奈
- 監督補:三橋利行
- 助監督:尾﨑隼樹
- 制作担当:武田旭弘
- 製作:フジテレビジョン、BSフジ、東宝
- 制作プロダクション:FILM
- 配給:東宝
製作
[編集]キャスティング
[編集]大川紗耶香役で出演する丹生明里のキャスティングの経緯は、『有吉ぃぃeeeee!そうだ!今からお前んチでゲームしない?』(テレビ東京)に丹生がゲスト出演していた回を脚本の君塚良一とプロデューサーの亀山千広が観ていて、丹生が『フォートナイト』をプレイする姿が面白く、紗耶香役を誰にしようかと決めた時に丹生の名前が出たという[6]。また、本広克行監督も撮影に接し「すごい逸材だなと思いました」などと丹生の才能を絶賛している[6]。
乃木真守役で出演する矢本悠馬もまた、『千鳥のクセスゴ!』(フジテレビ)に矢本がゲスト出演した回(2024年1月14日放送回)をプロデューサーの亀山が観たのをキッカケに、オファーされた。矢本に合わせて、脚本の役柄も書き換えられたという[12]。
撮影
[編集]撮影は2024年2月から6月にかけて、柳葉の故郷である秋田県大仙市をはじめ、仙北市田沢湖[13]、新潟県十日町市[14]、千葉県柏市[15]などで行われた。
エピソード
[編集]下記参照 映画『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者 シナリオ・ガイドブック』より
- 室井が作中で利用している愛車は日産のダットサントラック。ナンバーは、「22-94」で『つづくよ』の語呂合わせである。これは、『後編(『生き続ける者』)へ続く』や『室井の思いが受け継がれてゆく』などの色々な思いが込められている。
- 作中に登場する『なまはげチョコ』は秋田限定で実際に販売されているご当地商品である。
- 市毛商店は、実際にある個人商店を借りて撮影した。後日編集スタッフの実家である事が判明した。
- タカが通う高校は、柳葉の母校で撮影された。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ “「踊る大捜査線」再始動の新作映画は2部作!「室井慎次 敗れざる者」10月11日、「室井慎次 生き続ける者」11月15日公開 最新映像披露”. 映画.com. (2024年4月30日) 2024年10月10日閲覧。
- ^ “「踊る」新作は「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」、二部作で公開”. 映画ナタリー. (2024年4月30日) 2024年10月10日閲覧。
- ^ “映画「室井慎次」福本莉子が猟奇殺人犯・日向真奈美の娘役、予告や新ビジュアル解禁”. 映画ナタリー. ナターシャ (2024年7月24日). 2024年7月24日閲覧。
- ^ a b “事件が室井慎次を追いかける、2部作の新予告解禁 松下洸平や真矢ミキも出演”. 映画ナタリー. ナターシャ (2024年9月11日). 2024年9月11日閲覧。
- ^ a b 「日向坂46丹生明里:「踊る大捜査線」新作に! 「マジか!」「ピッタリ」と話題に 生駒里奈との共演に期待の声も」『MANTAN WEB』MANTAN、2024年6月26日。2024年8月11日閲覧。
- ^ a b c d “映画『室井慎次 敗れざる者』登場人物&キャスト【まとめ】”. シネマトゥデイ (2024年9月30日). 2024年10月10日閲覧。“『室井慎次』日向坂46・丹生明里、起用のきっかけは「有吉ぃぃeeeee!」 「踊る大捜査線」本広監督が“逸材”と絶賛”. シネマトゥデイ (2024年10月6日). 2024年10月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l シナリオ・ガイドブック, p. 19.
- ^ シナリオ・ガイドブック, p. 19,36,64.
- ^ a b シナリオ・ガイドブック, p. 19,27,71.
- ^ シナリオ・ガイドブック, p. 19,26.
- ^ たべひろのぶのX投稿より。2024年10月11日分
- ^ “矢本悠馬 映画「室井慎次」出演オファーの経緯にスタジオ衝撃「えぇー!?」「そんなことある!?」”. Sponichi Annex (スポーツニッポン). (2024年11月15日) 2024年12月8日閲覧。
- ^ “「踊る大捜査線」最新映画 柳葉さん「故郷で作品幸せ」”. 読売新聞オンライン (2024年10月27日). 2024年10月28日閲覧。
- ^ “映画『室井慎次 敗れざる者』公開!ロケ地はどこ!?【新潟県十日町市】”. 一般社団法人 十日町市観光協会 (2024年10月11日). 2024年10月28日閲覧。
- ^ @kashiwa_shi (2024年10月16日). "/映画「室井慎次 敗れざる者」柏市登場\現在公開中の映画 #室井慎次 に #柏市 登場🎬捜査本部でおなじみ沼南庁舎がスクリーンデビュー👏秋田県警捜査本部として撮影を行いました👮ぜひ劇場でチェックしてね🔍#踊るプロジェクト #柏ロケ". X(旧Twitter)より2024年10月28日閲覧。
参考資料
[編集]シナリオガイドブックシリーズ
- 登場人物についての公式の人物設定などが収録されている。
- 『室井慎次敗れざる者生き続ける者シナリオ・ガイドブック』キネマ旬報社〈キネ旬ムック〉、2024年12月13日。ISBN 978-4-87376-886-1。
外部リンク
[編集]- オフィシャルサイト
- 室井慎次 敗れざる者 - allcinema
- 室井慎次 敗れざる者 - KINENOTE
- 公式X (@odoru_movief) - X(旧Twitter)