八千代座
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八千代座 Yachiyoza | |
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情報 | |
完成 | 1910年 |
収容人員 | 約700人 |
延床面積 | 1487.4m² |
運営 | 一般財団法人山鹿市地域振興公社 |
所在地 |
〒861-0501 熊本県山鹿市山鹿1499番地 |
位置 | 北緯33度1分0.7秒 東経130度41分21.5秒 / 北緯33.016861度 東経130.689306度座標: 北緯33度1分0.7秒 東経130度41分21.5秒 / 北緯33.016861度 東経130.689306度 |
最寄バス停 | 産交バス 山鹿温泉 |
外部リンク | 八千代座 |
八千代座(やちよざ)は、熊本県山鹿市にある芝居小屋。1910年(明治43年)に建設された。1988年(昭和63年)に国の重要文化財に指定され[1][2]、2001年(平成13年)に復元修理が竣工した。
歴史
[編集]竣工と開場後
[編集]1910年(明治43年)、鹿本郡山鹿町(現・山鹿市)の旦那衆が組合を作り、町の繁栄を図るために1株30円の株を募って建てた。設計者は回船問屋の主人で灯籠師でもあった木村亀太郎。当時の山鹿は菊池川の水運、豊前街道を利用した水陸交通の要所で、物資の集散地、屈指の温泉場として賑わっていた。同年10月上棟式、12月竣工。その後、歌舞伎、浪花節、活動写真、新劇、邦楽やクラシックのコンサート、小学校の学芸会と様々な催しものに利用された。
戦後の動向
[編集]太平洋戦争を経て、映画黄金期の1960年代には映画館名簿にも掲載されている。映画からテレビに娯楽が変遷し、1973年(昭和48年)の老人会の総会を最後に八千代座は閉館した。1980年(昭和55年)には八千代座組合が建物を山鹿市に寄贈したが、その後は雨漏りによって屋根が裂けるなど、建物の老朽化が進んだ。
保存と活用
[編集]1986年(昭和61年)八千代座復興期成会が発足して、特に高齢者を主に、募金活動などが行われた。1988年(昭和63年)には国の重要文化財に指定され、1989年(平成元年)から一般公開が始まった。1996年(平成8年)には平成の大修理が始まり、2001年(平成13年)5月に竣工式が行われた[3]。
年表
[編集]- 1910年:山鹿の実業界が八千代座組合を作り、八千代座設立を決定。
- 同年10月:棟上式、12月:竣工。
- 1911年:こけら落としは松嶋家一行による大歌舞伎。
- 1914年:森永ミルクキャラメル活動写真。天中軒雲月による『桜島遭難談』。
- 1915年:森峰吉率いる「少女歌舞伎」が流行る。
- 1916年:「目玉の松ちゃん」(尾上松之助)が流行る。
- 1917年:芸術座の松井須磨子、島村抱月による『カチューシャ』の公演。
- 1919年:小井出登以師(三味線)追善演奏会。
- 1925年:松竹活動写真節劇連鎖、中村歌三郎。
- 1932-33年:新国劇奇術、天勝一行ほか。
- 1934年-1935年:新派劇八雲一行。
- 1935-1936年:忠臣蔵連鎖劇。
- 1937-1947年:松本幸四郎、長谷川一夫ほか。
- 1948年:福岡フィルハーモニー、レクイエム演奏会。
- 1951年:辻久子バイオリンリサイタル。
- 1952年:谷桃子、伊藤京子バレエを招く。
- 1954年:淡谷のり子、北村タンゴを招く。
- 1963年-1972年:映画、学芸会、市職員大会に利用される。
- 1973年:経営不振で閉鎖。
- 1975年:熊本大学工学部による調査報告があった。
- 1980年1月:八千代座組合は建物を山鹿市に寄付。
- 1985年:山鹿市は八千代座を市指定文化財に指定。雨漏りがひどくなる。
- 1986年8月:八千代座復興期成会が発足。
- 1987年:屋根の吹き替えなどが行われる。
- 1988年:松竹歌舞伎一行が見学。12月、国の重要文化財に指定。
- 1989年:一般公開と活用を再開。
- 1990年-:坂東玉三郎舞台公演。
- 1996年10月:平成の大修理始まる。
- 2000年8月:NHK朝の連続テレビ小説『オードリー』のロケが行われる。
- 2001年5月:平成の大修理竣工式。片岡仁左衛門一行による大歌舞伎。
- 2006年:管理を指定管理者制に移行。
- 2010年:八千代座竣工100周年。
- 2011年:八千代座開業100周年[4]。
建築
[編集]八千代座 | |
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舞台と桝席 | |
情報 | |
設計者 | 木村亀太郎 |
構造形式 | 木造 |
階数 | 2階建 |
竣工 | 1910年12月 |
開館開所 | 1911年 |
所在地 | 熊本県山鹿市山鹿1499番地 |
文化財 | 重要文化財 |
指定・登録等日 | 1988年12月19日 |
- 1910年に地元有志の組合によって建てられた芝居小屋で、設計施工は地元民によって行われた。木造2階建、正面17.2 m、側面25.8 m。
- 入母屋造妻入、瓦葺の本屋の周囲に瓦葺の庇を設けている。内部には廻り舞台やスッポンなどを備えている。葡萄棚(舞台上部にあり、道具などを吊り下げる)、天井広告、花道、桟敷席、桝席、奈落など歌舞伎小屋の特徴を伝える芝居小屋である。基本的には伝統的木造建築であるが、小屋組は様式のトラス(クイーン・ポスト・トラス)を用い、2階席を支える鋳鉄製の柱、廻り舞台を支えるドイツ製のレールなど、一部に西洋建築の技法が用いられている。廻り舞台のレールには「KRUPP1910」の文字があり、ドイツのクルップの製品である[6][7][8]。
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2階から見た舞台と桝席
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舞台袖
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楽屋
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奈落
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八千代座に設置されていた映写機
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下足札
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出資証
日本に残る芝居小屋
[編集]- 旧金毘羅大芝居(金丸座) - 香川県仲多度郡琴平町。天保6年(1835年)竣工。現存する日本最古の芝居小屋(移築を経ている)。重要文化財。
- 永楽館 - 兵庫県豊岡市。1901年(明治34年)竣工。現地に現存する日本最古の芝居小屋。兵庫県指定文化財。
- 内子座 - 愛媛県喜多郡内子町。1916年(大正5年)竣工。重要文化財。
- 康楽館 - 秋田県鹿角郡小坂町。1910年(明治43年)竣工。重要文化財。
- 嘉穂劇場 - 福岡県飯塚市。1931年(昭和6年)竣工。登録有形文化財。
交通アクセス
[編集]脚注
[編集]- ^ 昭和63年12月19日文部省告示第127号
- ^ “八千代座”. 国指定文化財等データベース. 文化庁. 2024年5月3日閲覧。
- ^ おむすびおかかほか 2011, 「やちよざこれまでの100年」.
- ^ おむすびおかかほか 2011, pp. 30–311, 「あとがき」および「八千代座これまでの100年」.
- ^ 八千代座大解剖パンフレット2014年[要文献特定詳細情報]
- ^ 「新指定の文化財」『月刊文化財』第304号、第一法規、1989年、2,36,37頁。
- ^ “枡席(平土間)・桟敷・楽屋・奈落・ドイツクルップ社製のレール”. 八千代座(国指定重要文化財/熊本県山鹿市). 2014年5月22日閲覧。
- ^ 永石 2001, p. 88.
参考文献
[編集]- おむすびおかか 文、はらがりゅういち 絵『よみがえれ!八千代座』八千代座100周年記念事業実行委員会、2011年12月。全国書誌番号:22038441。
- 永石秀彦『芝居小屋八千代座 永石秀彦写真集』海鳥社〈海鳥フォト・ブックス〉、2001年10月。ISBN 978-4-87415-366-6。