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準西国稲毛三十三所観音霊場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第一番札所 広福寺

準西国稲毛三十三所観音霊場(じゅんさいごくいなげさんじゅうさんしょかんのんれいじょう)は、江戸時代中期に開創された、武蔵国橘樹郡稲毛領(現在の神奈川県川崎市)の33ヶ所を巡る西国三十三箇所の写し霊場[1]

歴史

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薬王庵にある準西国稲毛三十三所成就供養塔

発願者の山田平七(やまだへいしち、1725年享保10年) - 1766年明和3年)11月)は橘樹郡平村(現在の川崎市宮前区)の名主小田原北条氏の家臣・片山弥兵衛の後裔と伝えられる。1754年宝暦4年)8月に観音称名を始め、翌年7月に西国三十三箇所の巡礼に出立。帰郷後、東国に三十三観音を祀ることを発願し、1763年(宝暦13年)に33ヶ所の札所を定めてご詠歌を奉納し、1764年(明和元年)に『准西国稲毛三十三所惣縁起』を刊行した[1]。札所32番の薬王庵には、宝暦13年の初巡拝を記念した「準西国稲毛三十三所成就供養塔」が残されている[2]。4月15日が大願成就の日とされ、12年に一度の年の4月15日を中心に本尊開帳が行われてきた[3]

札所一覧

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名称 宗旨・宗派 札所本尊 所在地
1 広福寺 真言宗豊山派 聖観音 神奈川県川崎市多摩区枡形
2 観音寺 真言宗豊山派 正観音 神奈川県川崎市多摩区生田
3 香林寺 臨済宗建長寺派 十一面観音 神奈川県川崎市麻生区細山
4 寿福寺 臨済宗建長寺派 十一面観音 神奈川県川崎市多摩区菅仙谷
5 妙覚寺 臨済宗建長寺派 十一面観音 東京都稲城市矢野口
6 観音寺 天台宗 如意輪観音 神奈川県川崎市多摩区中野島
7 常照寺 真言宗豊山派 十一面観音 神奈川県川崎市多摩区宿河原
8 龍嚴寺 天台宗 聖観音 神奈川県川崎市多摩区
9 安立寺 日蓮宗 正観音 神奈川県川崎市多摩区東生田
10 盛源寺 曹洞宗 聖観音 神奈川県川崎市多摩区長沢
11 秋月院 曹洞宗 準提観音 神奈川県川崎市宮前区菅生
12 福王寺 臨済宗円覚寺派 十一面観音 神奈川県川崎市宮前区有馬
13 観音寺 天台宗 聖観音 神奈川県横浜市都筑区東山田
14 蓮花寺 真言宗智山派 聖観音 神奈川県川崎市高津区久末
15 蓮乗院 真言宗智山派 準提観音 神奈川県川崎市高津区子母口
16 能満寺 天台宗 聖観音 神奈川県川崎市高津区千年
17 泉澤寺 浄土宗 正観音 神奈川県川崎市中原区上小田中
18 西明寺 真言宗智山派 十一面観音 神奈川県川崎市中原区小杉御殿町
19 正福寺 真言宗智山派 正観音 神奈川県川崎市高津区北見方
20 明王院 真言宗智山派 聖観音 神奈川県川崎市高津区諏訪
21 養周院 曹洞宗 聖観音 神奈川県川崎市高津区久地
22 大蓮寺 浄土宗 聖観音 神奈川県川崎市高津区久本
23 増福寺 天台宗 聖観音 神奈川県川崎市高津区末長
24 養福寺 天台宗 正観音 神奈川県川崎市高津区新作
25 千手堂 天台宗 千手観音 神奈川県川崎市宮前区馬絹 泉福寺内
26 泉福寺 天台宗 聖観音 神奈川県川崎市宮前区馬絹
27 延命寺 天台宗 聖観音 神奈川県川崎市高津区上作延
28 神木堂 天台宗 十一面観音 神奈川県川崎市宮前区神木本町
29 千手堂 天台宗 千手観音 神奈川県川崎市宮前区神木本町
30 土橋観音堂 曹洞宗 千手観音 神奈川県川崎市宮前区土橋
31 圓福寺 曹洞宗 聖観音 神奈川県川崎市高津区下作延
32 西蔵寺 天台宗 聖観音 神奈川県川崎市宮前区野川
32 薬王庵 曹洞宗 如意輪観音 神奈川県川崎市宮前区平
33 東泉寺 曹洞宗 聖観音 神奈川県川崎市宮前区平
番外 玉林寺 臨済宗建長寺派 正観音 神奈川県川崎市多摩区菅馬場
別格 よみうりランド観音 聖観音 東京都稲城市矢野口

札所碑

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霊場が地域に定着して継承されてきたことにより、巡礼者が造立した数多くの石造物が残されている[1]

出典

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参考文献

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  • 各務秋雄『準西国稲毛三十三所観音霊場札所めぐり 改訂版』観音霊場札所会、2002年。 
  • 大法輪閣編集部/編『全国霊場巡拝事典』大法輪閣、2005年。 
  • 神奈川県県民部県史編集室/編『神奈川県史 別編 人物』 1巻、神奈川県、1983年。NDLJP:9522836 
  • 川崎市教育委員会文化課/編『川崎市石造物調査報告書 資料編 昭和54年度』川崎市教育委員会、1980年。NDLJP:12423990 

外部リンク

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