洪鐘弁天大祭
座標: 北緯33度32分23.51秒 東経133度39分41.75秒 / 北緯33.5398639度 東経133.6615972度
洪鐘弁天大祭(おおがねべんてんたいさい)、別称・洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)は、神奈川県鎌倉市山ノ内の円覚寺が、1301年(正安3年)製作の国宝の梵鐘「洪鐘(おおがね/こうしょう)」の鋳造成功を祝い、藤沢市の江島神社と共同で60年に1度の庚子年(かのえねのとし)周期で開催する祭典。最新開催は2020年(令和2年)予定だったが延期され、2023年(令和5年)10月29日開催となった[1]。
由来
[編集]円覚寺の洪鐘(おおがね/こうしょう)は、高さ259.1センチメートル、口径142.4センチメートルの巨大な梵鐘で、鎌倉幕府の9代執権・北条貞時の寄進によって鋳造され、1301年9月5日(正安3年8月3日)に完成した[2]。1953年(昭和28年)11月14日には国宝に指定されている。
洪鐘祭は60年に1度、この洪鐘鋳造を記念し開催されてきた。円覚寺門前の道路・神奈川県道21号横浜鎌倉線を祭の一団がパレードする。一般的な人間の寿命からみて、一生に1度か2度しか見ることが出来ない祭りといわれる[3]。
『新編相模国風土記稿』掲載の伝説によると、「洪鐘の鋳造はなかなかうまく行かず、2度失敗した。北条貞時は西礀子曇の教えを受けて江ノ島の江島神社(弁財天)に7日間参籠した。すると夢のお告げをうけ、円覚寺の池の底を漁ると、龍の頭のような金属を発見した。これを基に鋳造すると洪鐘が完成した。貞時は江ノ島から弁財天像を円覚寺に勧進し、洪鐘の真体とした。江ノ島弁天と円覚寺弁天は「夫婦弁天」であり、60年に1度の洪鐘祭で出会うとされている」という。このため円覚寺と江島神社の共同開催となっている[4]。
歴史
[編集]60年毎の庚子(かのえね)の年に開催されるのが原則だが、開催記録のない年もある。また、明治時代以降の3回は諸般の理由で延期が発生し、正確に庚子の年に行われていない[5]。
開催前史
[編集]- 1282年(弘安5年)、円覚寺の創建
- 1301年(正安3年)、洪鐘の完成
洪鐘祭の開催記録
[編集]- 1360年(南朝暦:正平15年/北朝暦:延文5年)、庚子年、記録なし。
- 1420年(応永27年)、庚子年、記録なし。
- 1480年(文明12年)、庚子年、直接の記録なし。ただし、次の1540年(天文9年)の記録(快元著『快元僧都記』)から開催が確認される。最古の開催記録。
- 1540年(天文9年)、庚子年、開催(『快元僧都記』)。
- 1600年(慶長5年)、庚子年、記録なし。
- 1660年(万治3年)、庚子年、記録なし。
- 1720年(享保5年)、庚子年、開催(『円覚寺洪鐘祭礼屋台入目帳』ほか)。
- 1780年(安永9年)、庚子年、開催(『六十一年目洪鐘祭礼記』)。
- 1840年(天保11年)、庚子年、開催(『六十一年目洪鐘祭礼記』ほか)。
- 1900年(明治33年)、庚子年、不作の影響により延期。
- 1901年(明治34年)、1900年(明治33年)分を4月1日から3日に開催。
- 1960年(昭和35年)、庚子年、延期(理由不明)。
- 1965年(昭和40年)、1960年(昭和35年)分を4月8日・9日に開催。
- 2020年(令和2年)、庚子年、コロナ禍により延期。
- 2023年(令和5年)、2020年(令和2年)分を10月29日に開催。
行事行程
[編集]2023年(令和5年)祭礼では、10月29日午前に祭の物資と主催者を載せた一団が建長寺から神奈川県道21号横浜鎌倉線を北西(大船方面)に出発し、小袋谷(こぶくろや)交差点へ到着。当交差点から南東(鎌倉方面)へ折り返し、円覚寺を目指してパレードがスタートする。実寸大の洪鐘の張り子や神輿、囃子、幡、面掛行列(有名な鎌倉市坂ノ下の御霊神社(権五郎神社)の面掛行列ではなく、山ノ内八雲神社の面掛行列)などが行進する[1]。
詳しく載っている本
[編集]- 鎌倉歴史文化交流館 『特集展示 洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)~60年に1度の祭礼の記憶~』2023年(令和5年)7月15日発行
脚注
[編集]- ^ a b “洪鐘弁天大祭オフィシャルサイト”. 円覚寺洪鐘祭実行委員会. 2023年10月29日閲覧。
- ^ 鎌倉歴史文化交流館『特集展示 洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)~60年に1度の祭礼の記憶~』(2023年)1ページ
- ^ 鎌倉歴史文化交流館『特集展示 洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)~60年に1度の祭礼の記憶~』(2023年)11ページ
- ^ 鎌倉歴史文化交流館『特集展示 洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)~60年に1度の祭礼の記憶~』(2023年)1ページ
- ^ 鎌倉歴史文化交流館『特集展示 洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)~60年に1度の祭礼の記憶~』(2023年)2ページ
参考図書
[編集]- 鎌倉歴史文化交流館 『特集展示 洪鐘祭(おおがねまつり/こうしょうさい)~60年に1度の祭礼の記憶~』2023年(令和5年)7月15日発行