槍の歌
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『槍の歌』[1][注 1][注 2](古ノルド語: Darraðarljóð)とは、『ニャールのサガ』(en) 第157章に収録されているスカルド詩である。この詩は11スタンザからなっている。『ヴァルキュリヤの歌』(古ノルド語: Valkyrjuljóð[4][注 3])、『ドッルズルの歌』[注 4](英語: Lay of Dörruðr)などと呼ばれることもある。
概要
[編集]12人のヴァルキュリヤ(北欧神話に登場する、戦死者の魂を天上の館ヴァルハラへと連れて行く戦乙女)が人間の頭をおもりに腸を糸に矢を筬(おさ)に剣を杼にしてオーディンの織物を、クロンタルフの戦い(Battle of Clontarf, 西暦1014年にダブリン郊外で行われた戦い)における戦死者を選びながら織るという内容で、『ニャールのサガ』ではスコットランドのケイスネスでドッルズが目撃した怪異として挿入されている[9]。
12人のヴァルキュリヤのうち、6人の名前がこの詩中で与えられている。その6人とは、ヒルドル (Hildr), ヒョルスリムル (Hjörþrimul), サングリーズル (Sanngríðr), スヴィプル (Svipul), グズル (Guðr)[注 5], ゴンドゥル (Göndul) である。
シェイクスピアの戯曲『マクベス』に登場する「3人の魔女」という構想は、この詩の影響を受けているとみられている[10]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ 植田 (1987) p.368 による題。
- ^ Orkneyjar - Investigating Darraðarljoð and the Clontarf link
- ^ テリー・グンネル(伊藤盡訳)「エッダ詩」(『ユリイカ』第39巻第12号、2007年10月、pp.121-137)での題。
- ^ 『Skírnir』第89号(1915年)、p.38.
- ^ Hollander (1936) による英語題。
- ^ Heusler & Ranisch (1903) によるドイツ語題。
- ^ 菅原 (1984) p.68 による題。
- ^ 谷口 (1979) p.838 による題。
- ^ 菅原、68頁。
- ^ Simek (2007:57).
参考文献
[編集]- 植田兼義 訳『ニャールのサガ』朝日出版社、1978年
- 谷口幸男 訳『アイスランドサガ』新潮社、1979年、ISBN 978-4103137023
- 菅原邦城 『北欧神話』東京書籍、1984年、
- Hollander, Lee Milton (Trans.). (1936). Old Norse Poems: The most important non-skaldic verse not included in the Poetic Edda. New York: Columbia University Press. 電子テキスト Google books. Reprinted 2008, Forgotten Books. ISBN 1605067156
- Heusler, Andreas & Ranisch, Wilhelm (Eds.) (1903). Eddica Minora. Dortmund. Internet Archive (other ver.) Reprinted 2009 as Eddica Minora: Dichtungen Eddischer Art Aus Den Fornaldarsoegur Und Anderen Prosawerken. BiblioLife, ISBN 1110999275
- Simek, Rudolf (2007) translated by Angela Hall. Dictionary of Northern Mythology. D.S. Brewer ISBN 0859915131
外部リンク
[編集]- Darraðarljóð in Old Norse from «Kulturformidlingen norrøne tekster og kvad» Norway.
- Two versions of the original text
- Njal's Saga -(The Story of Burnt Njal) - 『ニャールのサガ』第157章の英訳
- One version and a translation in English