巫女の予言短篇
「巫女の予言短篇」(みこのよげんたんぺん、古ノルド語: Völuspá hin skamma)、あるいは「短い巫女の予言」(みじかいみこのよげん)は、『詩のエッダ』の「ヒュンドラの歌」の29節から44節に章に残された、「巫女の予言」を模倣した古ノルド語の詩である[1]。
詩の名称は「ギュルヴィたぶらかし」の第4節[note 1]でスノッリが「ヒュンドラの歌」から該当部分を引用する際に出典として表題を示したことで知られることになった[1]。
[...] ok var sá nefndr Ymir, en hrímþursar kalla hann Aurgelmi, ok eru þaðan komnar ættir hrímþursa, svá sem segir í Völuspá inni skömmu:
7. Eru völur allar frá Viðolfi, vitkar allir frá Vilmeiði, en seiðberendr frá Svarthöfða, jötnar allir frá Ymi komnir.[3]
- And that man is named Ymir, but the Rime-Giants call him Aurgelimir; and thence are come the races of the Rime-Giants, as it says in Völuspá the Less:
- -
- All the witches
- spring from Witolf,
- All the warlocks
- are of Willharm,
- And the spell-bearers
- spring from Swarthead;
- All the ogres
- of Ymir come.[4]
さらに残りの節は「ヒュンドラの歌」第29–44節に現れる。
ヘンリー・アダムズ・ベロウズは、自身の「ヒュンドラの歌」の翻訳の中で、「巫女の予言短篇」の残された断章が「偉大なる『巫女の予言』の遅い時期にできたとても凡庸な模倣」であることを示すとした上で、その成立年代は12世紀とした。 彼はさらに、この詩が「ヒュンドラの歌」に現れるのは、写字生が2つの詩を混同したことによる失敗であるとし、同時にこの節が詩として、あるいは神話としてのいかなる重大な価値も持たない事を示唆した。
注釈
[編集]脚注
[編集]- ^ a b Simek、p.367。
- ^ 『エッダ―古代北欧歌謡集』p.227-228。
- ^ Gylfaginning, Guðni Jónsson's edition.
- ^ Gylfaginning in translation by Arthur Gilchrist Brodeur (1916), at Sacred texts.
- ^ 『北欧神話』、p.18。
- ^ 『オージンのいる風景』、p.109。
参考文献
[編集]- Hermann, Pálsson 著、大塚美津子、西田郁子、水野智昭、菅原邦城 訳『オージンのいる風景―オージン教とエッダ』東海大学出版会、1995年、109頁。ISBN 4-486-01318-2。
- 菅原邦城『北欧神話』東京書籍、1985年、18頁。
- Simek, Rudolf Angela Hall訳 (2007). Dictionary of Northern Mythology. Boydell & Brewer. pp. 367. ISBN 0-85991-513-1
- Neckel, G.、Kuhn, H.、Anne, Holtsmark ほか 編、谷口幸男 訳『エッダ―古代北欧歌謡集』新潮社、1973年。ISBN 4-10-313701-0。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- Hyndluljoth ベロウズによる訳と解説。
- Hyndluljóð 標準化された綴りによるGuðni Jónssonの版。
- The Prose Edda, translated by Arthur Gilchrist Brodeur, at sacred-texts.com
- Edda Snorra Sturlusonar 古ノルド語によるGuðni Jónssonの版。