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森林ネネツ語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
森林ネネツ語
нешаӈ вата, nešaŋ vata
話される国 ロシアの旗 ロシア北部
民族 ネネツ族
話者数 1,500 (1989年)
言語系統
ウラル語族
表記体系 キリル文字
言語コード
ISO 639-3
Glottolog fore1266[1]
 
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森林ネネツ語(しんりんネネツご、Forest Nenets language)は、ロシア北部の アガン川プル川リアミン川ナディム川流域において、ネネツ人によって話される、ウラル語族サモエード諸語に属す言語である[2]ツンドラネネツ語に最も近縁であり、両言語は単一言語ネネツ語の方言とされることもあるが、両者間の相互理解可能性は低い。次に近縁なのはガナサン語、次いでエネツ語セリクプ語である。

音韻論

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母音

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強勢音節では、森林ネネツ語の母音音素は以下となる。[3]

i iː u uː
(e) eː (o) oː
æ æː ɑ ɑː

非強勢音節では長さの弁別はなく、5つの母音 /æ ɑ ə i u/だけが質的に弁別される。語強勢は語根のある場所に固定はされない。よって強勢中央母音と非強勢高母音の交換がおこる。単音節語では短母音のみが用いられるが、全体的に見れば、長母音は短母音よりもやや用いられやすい。短中央母音/e o/は特に用いられることが少なく、いくつかの単音節語で用いられるのみで、対応する高母音/i u/と融合する。短高母音 /i u//ə/の寸前の/e o/まで低まるため、さらに複雑になる。このため、Salminen (2007)は長母音が基本であり、短母音は特殊現象であるとしている。

/æː/とそれに対応する非強勢母音は、非口蓋音節でのみ用いられ、[ae] または [aɛ]の複母音と見なされうる。短母音/æ/は普通は[aj] ( айと表記される。ただしこの表記は/ɑj/と連続するものも表す)であるが、 他の短母音と同じように対応する長母音と入れ替わる。

いくつかの西部の方言では、/æ/を欠き、/e/に置き換わっている[要検証]

子音

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森林ネネツ語は24の子音音素システムを持つ。[3]

両唇音 歯茎音 軟口蓋音 声門音
中線音 側面音
口蓋化 口蓋化 口蓋化 口蓋化
鼻音 m mʲ n nʲ ŋ ŋʲ
破裂音 p pʲ t tʲ k kʲ ʔ
摩擦音 s sʲ ɬ ɬʲ x xʲ
接近音 w wʲ l lʲ j

清濁は弁別しないが、ほとんどの子音は口蓋化音を弁別する。

rの音である/r/は最近の借用語のみに現れる。かつての /r/, /rʲ/ は、最近、側面摩擦音/ɬ/, /ɬʲ/に移行した。

口蓋化した歯茎音/tʲ/, /sʲ/ は、典型的には歯茎硬口蓋音[tɕ], [ɕ]と理解される。

正字法

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ネネツ語は、キリル文字Ӈ, ʼ, ˮを加えた文字体系で書かれる。

А а

а

Б б

бе

В в

ве

Г г

ге

Д д

де

Е е

е

Ё ё

ё

Ж ж

же

З з

зе

И и

и

Й й

й

й й К к

ка

Л л

ел

М м

ем

Н н

ен

Ӈ ӈ

еӈ

О о

о

П п

пе

Р р

ер

С с

ес

Т т

те

У у

у

Ф ф

еф

Х х

ха

Ц ц

це

Ч ч

че

Ш ш

ша

Щ щ

ща

Ъ ъ

ъ

Ы ы

ы

Ь ь

ь

Э э

э

Ю ю

ю

Я я

я

ʼ ˮ

脚注

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  1. ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Forest Yurak”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History. http://glottolog.org/resource/languoid/id/fore1266 
  2. ^ Salminen, Tapani, Ackerman, Farrell (2006). “Nenets”. In Brown, Keith. Encyclopedia of Languages & Linguistics. 8 (2 ed.). Oxford, England: Elsevier. pp. 577–579 
  3. ^ a b Salminen, Tapani (2007). Notes on Forest Nenets phonology. 253. Helsinki, Finland: Suomalais-Ugrilainen Seura. http://www.sgr.fi/sust/sust253/sust253_salminen.pdf