本間一夫
本間 一夫(ほんま かずお、 1915年10月7日 - 2003年8月1日)は、日本点字図書館の創立者。点字図書・録音図書の製作と貸出を主とする図書館事業に取り組み、視覚障害者の読書環境向上に貢献した。
来歴
[編集]1915年(大正4年)、北海道増毛町の商家丸一本間家に生まれる[1]。1920年(大正9年)、脳膜炎にかかり視力を失う[2]。1929年(昭和4年)、函館盲唖院に3年生として入学。点字を知る[2]。琵琶の稽古を始める。1932年(昭和7年)、北海道弁論大会で2位を取る。演題は「明日の希望に生きよ」[3]。1933年(昭和8年)、函館の組合教会で岩橋武夫の講演を聴く。東北・北海道弁論大会で1位を取る。演題は「聞け黎明に高鳴る響きよ」[3]。1934年(昭和9年)、メソジスト教会で熊谷鉄太郎の講演を聴き握手する[4]。1935年(昭和10年)、函館盲唖院中等部を卒業。
関西学院大学時代
[編集]1936年(昭和11年)、中村京太郎に会う[4]。1937年(昭和12年)、関西学院長ベーツの司式により受洗する[5]。1939年(昭和14年)、関西学院文学部専門部英文科を卒業。東京の「陽光会」に勤務し「点字倶楽部」の編集に当たる[6]。
日本盲人図書館の創立
[編集]1940年(昭和15年)、豊島区雑司が谷に点字図書館を創立し、「日本盲人図書館」と命名[6]。
1941年(昭和16年)、新宿区高田馬場に図書館と住居を移転[7]。1943年(昭和18年)、吉祥寺教会で藤林喜代子と結婚[7]。1944年(昭和19年)、茨城県結城郡総上村に疎開[8]。1945年(昭和20年)、北海道増毛町に再度疎開[8]。
1948年(昭和23年)、高田馬場に住宅を再建し、「日本点字図書館」と改名し再出発する[9]。NHK朝のラジオ「私たちの言葉」で「点訳奉仕を世に訴える」と題して話し反響を呼ぶ[10]。東京本郷の富士見町教会でヘレン・ケラーと会い握手する[10]。1964年(昭和39年)、加藤善徳と欧米視察旅行へ行く[10]。ニューヨークで開催された、第3回世界盲人福祉会議に出席[11]。ロンドンの点字図書館、ルイ・ブライユの生家などを訪問し、盲人用具150点を収集して帰国[10]。1966年(昭和41年)、NHKラジオ「人生読本」に出演[10]。1969年(昭和44年)、ニューデリーで開催された第4回世界盲人福祉会議に出席し講演する[10]。1970年(昭和45年)、韓国の盲教育大会で講演する[10]。1978年(昭和53年)、日本点字図書館理事長に就任[10]。
1986年(昭和61年)、「わたしの青春ノート」に出演。1991年(平成3年)、「点字毎日」に「我が人生 日本点字図書館」を連載する(3月から6月まで)[10]。1995年(平成7年)、母校の北海道函館盲学校創立100周年に招かれ記念講演をする[10]。1996年(平成8年)、「点字毎日」に「忘れえぬ事ども」を連載する(1月から翌年3月まで)[10]。2003年(平成15年)、心不全のため死去。享年87[12]。
没後、日本点字図書館により本間一夫文化賞が設けられた[13]。
受賞歴
[編集]- 1953年 朝日社会奉仕賞[14]。社会教育事業功労により東京都知事賞[10]
- 1956年 厚生大臣表彰[10]
- 1963年 財団法人青鳥会よりヘレンケラー賞[10]
- 1967年 毎日新聞社点字毎日文化賞[10]
- 1971年 藍綬褒章[10]
- 1977年 吉川英治文化賞[10]
- 1981年 博報賞および文部大臣奨励賞[10]
- 1982年 毎日社会福祉顕彰[10]
- 1985年 勲四等旭日小綬章[10]
- 1990年 北海道増毛町から「増毛町の名を全国的に知らしめた功績」により表彰[10]
- 1998年 関西学院大学から「優れた功績に対して贈る賞」[10]
- 2000年 鳥居賞[10]
- 2002年 第10回井上靖文化賞[15]
著書
[編集]- 『指と耳で読む - 日本点字図書館と私』 岩波書店、1980年、ISBN 4004201381
- 『点字あればこそ - 出会いと感謝と』 善本社、1997年、ISBN 4793903681
- 『我が人生「日本点字図書館」』 日本図書センター、2001年、ISBN 4820558870
参考文献
[編集]- 本間記念室委員会 編『本間一夫と日本盲人図書館』日本点字図書館、2015年。
- 金治直美『読む喜びをすべての人に 日本点字図書館を創った本間一夫』2019年、佼成出版社、ISBN 978-4-333-02812-2
- 日本点字図書館『われら播きし一粒の麦は : 日本点字図書館創立50周年記念誌』1990年、社会福祉法人日本点字図書館。
脚注
[編集]- ^ 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 8.
- ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 9.
- ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 11.
- ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 12.
- ^ 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 13.
- ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 14.
- ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 15.
- ^ a b 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 16.
- ^ 本間一夫と日本盲人図書館 2015, p. 17.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 谷合侑「本間一夫略年譜」『我が人生「日本点字図書館」』日本図書センター、2001年、pp.199-208
- ^ 金治、p.113
- ^ 金治、p.122
- ^ 本間一夫文化賞|日本点字図書館
- ^ 金治、p.108
- ^ 本間一夫とは - コトバンク(2021年8月18日閲覧)