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日本地理学会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
公益社団法人日本地理学会
The Association of Japanese Geographers
略称 AJG
設立 1925年
設立者 山崎直方
種類 学会
法人番号 2010005018919 ウィキデータを編集
法的地位 公益社団法人
目的 地理学に関する学理及びその応用の研究に関する事業を行い、地理学の進歩普及を図り、もってわが国の学術の発展と科学技術の振興に寄与するとともに、地理教育の推進、社会連携の推進、国際協力の推進を図り、社会の発展に資すること
本部 東京都文京区弥生二丁目4番16号 学会センタービル内
座標 北緯35度42分55.6秒 東経139度45分47秒 / 北緯35.715444度 東経139.76306度 / 35.715444; 139.76306座標: 北緯35度42分55.6秒 東経139度45分47秒 / 北緯35.715444度 東経139.76306度 / 35.715444; 139.76306
公用語 日本語
会長 井田仁康
主要機関 専門委員会11、各種委員会12
提携 地理学連携機構
予算 55,087,482円(2011年度決算)
ウェブサイト www.ajg.or.jp ウィキデータを編集
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公益社団法人日本地理学会(にっぽんちりがっかい[1]、にほんちりがっかい[2]英語:The Association of Japanese Geographers)とは、地理学に関する調査・研究を行う日本の学会である。日本において最も規模が大きい地理学系学会であり、自然地理学の研究者も人文地理学の研究者も所属する[3]。元文部科学省所管の社団法人で、現在は公益社団法人である。会員数は約3千人。

沿革

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東京帝国大学理学部地理学科の卒業生らにより1923年に設立された地理同好会の中で、雑誌発行の是非について議論が行われていたが、1924年創刊の『地球』の影響を受けて、雑誌を刊行するために学会を設立することになった[4]。1925年に日本地理学会が設立され、1925年3月1日に『地理学評論』創刊号が刊行された[4]。学会名は、アメリカ地理学会Association of American Geographers)を模して日本地理学会(Association of Japanese Geographers)、学会誌はGeographical Reviewを模して『地理学評論』(Geographical Review of Japan)となった[4]。設立当時の会員数は49名だった[5]。学会事務所は東京大学理学部地理学教室に設置された[6]

設立当初は権威主義な会員資格を設定しており[注釈 1]、東京大学地理学教室の同窓会の側面をもっていた[8]。一方、1932年に東京文理科大学地理学教室の一期卒業生、1933年に大学卒以外の地理学者、1935年に京都帝国大学文学部史学科地理学教室出身者が入会し、1936年時点で会員数は203名に達した[8]

1950年の会則改正により入会資格の制限が形式化したこと、新制大学および新制高校・中学教員数の増大に伴い、1955年には会員数が1,310名となり、5年前から倍増した[9]

1971年に事務所を東京大学理学部地理学教室から学会センタービルに移転した[10]

2005年社団法人として法人化した[11]2008年より制度移行措置により特例社団法人[12]
2012年より公益社団法人となった[13]

会員

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  • 正会員:年会費12000円。機関誌の定期購読・本会施設の利用等が出来る。また、役員の選挙権・被選挙権を持つ。
  • 学生会員:年会費7000円。大学の学部生・大学院修士課程・博士課程の者、もしくはこの規定に準ずる者。
  • 賛助会員:事業を援助する個人、もしくは法人。
  • 名誉会員:地理学の発展に関して、特に貢献し、功績がある者。総会の議決によって推薦された者。

学術大会

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春と秋、年に2回開かれる大会。シンポジウム・一般研究発表・巡検等が行われる[14]

月日 会場校 キャンパス 備考
2004年 9月24日 - 28日 秋季 広島大学 東広島キャンパス
2005年 3月28日 - 29日 春季 青山学院大学 青山キャンパス
9月17日 - 19日 秋季 茨城大学 水戸キャンパス
2006年 3月27日 - 29日 春季 埼玉大学  
9月23日 - 25日 秋季 静岡大学 浜松キャンパス
2007年 3月20日 - 22日 春季 東洋大学  
10月6日 - 8日 秋季 熊本大学 黒髪北キャンパス
2008年 3月29日 - 31日 春季 獨協大学  
10月4日 - 6日 秋季 岩手大学  
2009年 3月28日 - 30日 春季 帝京大学  
10月24日 - 26日 秋季 琉球大学 千原キャンパス
2010年 3月27日 - 29日 春季 法政大学  
10月2日 - 4日 秋季 名古屋大学  
2011年 3月29日 - 31日 春季 明治大学 中止(総会、代議員会のみ開催)[15]
9月23日 - 25日 秋季 大分大学 旦野原キャンパス
2012年 3月28日 - 30日 春季 首都大学東京  
10月6日 - 9日 秋季 神戸大学 鶴甲キャンパス
2013年 3月29日 - 31日 春季 立正大学 熊谷キャンパス
9月28日 - 30日 秋季 福島大学  
2014年 3月27日 - 30日 春季 国士舘大学  
9月20日 - 22日 秋季 富山大学 五福キャンパス
2015年 3月28日 - 30日 春季 日本大学 文理学部
9月18日 - 20日 秋季 愛媛大学 城北地区
2016年 3月21日 - 23日 春季 早稲田大学 早稲田キャンパス
9月30日 - 10月2日 秋季 東北大学 川内北キャンパス
2017年 3月28日 - 30日 春季 筑波大学 筑波キャンパス
9月29日 - 10月1日 秋季 三重大学  
2018年 3月22日 - 24日 春季 東京学芸大学  
9月22日 - 24日 秋季 和歌山大学  
2019年 3月20日 - 22日 春季 専修大学  
9月21日 - 23日 秋季 新潟大学  
2020年 3月26日 - 28日 春季 駒澤大学 駒澤キャンパス 中止[16]
9月27日 - 30日 秋季 九州大学 中止[17]
2021年 3月26日 - 28日 春季 東洋大学   オンラインでの開催に変更[18]
9月18日 - 20日 秋季 岡山大学 オンライン開催
2022年 3月18日 - 20日 春季 東京大学 駒場Iキャンパス オンラインでの開催に変更[19]
9月23日 - 25日 秋季 香川大学 幸町キャンパス
2023年 3月25日 - 27日 春季 東京都立大学 南大沢キャンパス[20]
9月16日 - 19日 秋季 関西大学 千里山キャンパス
2024年 3月19日 - 20日 春季 青山学院大学 青山キャンパス[21]
9月14日 - 16日 秋季 南山大学
2025年 3月18日 - 21日 春季 駒澤大学
秋季 弘前大学
2026年 春季 法政大学
秋季 九州大学
2027年 春季 立正大学
秋季 愛知教育大学
この表の出典: [22]およびリンク先ページ群

出版物

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機関誌は、地理学評論E-journal GEOの二種類を発行している。地理学評論は、2002年の第75巻より、英文誌のGeographical Review of Japanと統合された[23]。第二機関誌のE-journal GEOは、年に2回刊行。目的は、地理学(者)が社会に情報を発信し、社会に貢献すること。掲載論文は、地理学の知識を活かした問題提起等が中心である。

運営組織

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役員

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2024 - 2025年度役員[24]

歴代会長

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会長 在任期間(年度) 出典
初代 山崎直方 1929
2代 加藤武夫 1929-1946
3代 辻村太郎 1947-1951
4代 田中啓爾 1952-1953
5代 内田寛一 1954-1955
6代 飯本信之 1956-1957
7代 多田文男 1958-1959
8代 冨田芳郎 1960-1961
9代 青野壽郎 1962-1963
10代 石川與吉 1964-1965
11代 石田龍次郎 1966-1967
12代 木内信蔵 1968-1969
13代 渡邊光 1970-1971
14代 尾留川正平 1972-1973
15代 織田武雄 1974-1975
16代 山本荘毅 1976-1977
17代 矢澤大二 1978-1979
18代 岸本實 1980-1981
19代 市川正巳 1982-1983
20代 吉川虎雄 1984-1985
21代 町田貞 1986-1987
22代 西川治 1988-1989
23代 吉野正敏 1990-1991
24代 浮田典良 1992-1993
25代 竹内啓一 1994-1995
26代 中村和郎 1996-1997
27代 山本正三 1998-1999
28代 奥野隆史 2000-2001
29代 野上道男 2002-2003
30代 斎藤功 2004-2005
31代 石原潤 2006-2007
32代 谷内達 2008-2009
33代 田林明 2010-2011
34代 矢ケ﨑典隆 2012-2013
35代 荒井良雄 2014-2015 [25]
36代 戸所隆 2016-2017 [26]
37代 村山祐司 2018-2019 [27]
38代 松原宏 2020-2021 [28]
39代 小口高 2022-2023 [29]
40代 井田仁康 2024- [30]
備考:初代 - 34代の出典は[31]

委員会

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専門委員会

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以下の委員会が常設の委員会として設置される[32]

  • 総務専門委員会
  • 財務専門委員会
  • 集会専門委員会
  • 交流専門委員会
  • 広報専門委員会
  • 企画専門委員会
  • 地理学評論編集専門委員会
  • Geographical Review of Japan Series B編集専門委員会
  • E-journal GEO編集専門委員会
  • 地理教育専門委員会
  • 資格専門委員会

各種委員会

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2024 - 2025年度各種委員会[33]
  • 名誉会員候補者推薦委員会
  • 災害対応委員会
  • GIS学術士資格委員会
  • 地理教育公開講座委員会
  • ジオパーク対応委員会
  • 地域調査士認定委員会
  • 英文叢書編集委員会
  • 地図資料活用推進委員会
  • 百年史編集委員会
  • 日本地理学会百周年記念事業実行委員会
2023 - 2024年度各種委員会[33]
  • 選挙管理委員会
2024年各種委員会[33]
  • 日本地理学会賞受賞候補者選考委員会
  • 吉野賞受賞候補者選考委員会
  • 松本淳論文賞受賞候補者選考委員会
  • 出版助成委員会
  • 「若手研究者国際会議派遣助成」審査委員会
  • 「吉野正敏研究助成」審査委員会
  • 「災害地理学研究助成」審査委員会

脚注

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注釈

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  1. ^ 事実上、大学卒業者に限定していたため、東京高等師範学校出身者や文検合格者を含めて入会が認められていなかった[7]

出典

[編集]
  1. ^ 科学技術振興機構"機関詳細 : 学会名鑑 - 科学技術振興機構/公益社団法人 日本地理学会"(2013年10月15日閲覧。)
  2. ^ CiNii"CiNii Books 著者 - 日本地理学会"(2013年10月15日閲覧。)
  3. ^ 柴田 2022, p. 60.
  4. ^ a b c 中川ほか 2000, p. 232.
  5. ^ 中川ほか 2000, p. 233.
  6. ^ 竹内ほか 2000, p. 258.
  7. ^ 柴田 2022, p. 56.
  8. ^ a b 中川ほか 2000, p. 234.
  9. ^ 中川ほか 2000, p. 257.
  10. ^ 中川ほか 2000, p. 258.
  11. ^ 社団法人日本地理学会の認可[リンク切れ]
  12. ^ (社)日本地理学会の新法人制度への対応について” (2009年12月16日). 2019年8月2日閲覧。
  13. ^ 公益社団法人日本地理学会移行祝賀会の開催について”. 日本地理学会 (2012年3月1日). 2018年5月23日閲覧。
  14. ^ 学術大会”. 日本地理学会. 2017年9月17日閲覧。[リンク切れ]
  15. ^ 学術大会”. 日本地理学会. 2020年2月27日閲覧。
  16. ^ 日本地理学会 » Blog Archive » 日本地理学会2020年春季学術大会の開催中止について” (2020年2月27日). 2020年2月27日閲覧。
  17. ^ 日本地理学会 » Blog Archive » 日本地理学会2020年度秋季学術大会の九州大学での開催中止および代替開催案の検討について” (2020年6月11日). 2020年6月14日閲覧。
  18. ^ 日本地理学会 » Blog Archive » 2021年日本地理学会春季学術大会(オンライン)のお知らせ(第2報)” (2020年11月7日). 2020年11月7日閲覧。
  19. ^ 2022年春季学術大会の開催形態の変更について - 日本地理学会” (2022年1月14日). 2022年3月26日閲覧。
  20. ^ 2023年春季学術大会のお知らせ(第1報) - 日本地理学会” (2022年10月1日). 2022年10月29日閲覧。
  21. ^ 2024年春季学術大会のお知らせ(第1報) - 日本地理学会” (2023年10月7日). 2023年10月10日閲覧。
  22. ^ 日本地理学会 » 学術大会”. 2019年8月2日閲覧。
  23. ^ 日本地理学会: 機関誌 2017年9月2日閲覧[リンク切れ]
  24. ^ 役員・賛助会員等 - 日本地理学会”. 日本地理学会. 2024年7月28日閲覧。
  25. ^ 2014〜2015年度日本地理学会運営組織”. 日本地理学会. 2014年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月11日閲覧。
  26. ^ 2016〜2017年度日本地理学会運営組織”. 日本地理学会. 2016年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月5日閲覧。
  27. ^ 日本地理学会 » 会長のあいさつ”. 日本地理学会. 2018年8月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年8月12日閲覧。
  28. ^ 日本地理学会 » 会長のあいさつ”. 日本地理学会. 2020年8月12日閲覧。
  29. ^ 会長のあいさつ - 日本地理学会”. 日本地理学会. 2022年10月29日閲覧。
  30. ^ ajgeogのツイート2024年6月2日閲覧。
  31. ^ 野間ほか 2017, p. 248.
  32. ^ 公益社団法人日本地理学会細則”. 日本地理学会. 2024年7月28日閲覧。
  33. ^ a b c 2024~2025年度日本地理学会運営組織 - 日本地理学会”. 日本地理学会. 2024年7月28日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 柴田陽一「百年前の日本の地理学(5)最終回」『地理』第67巻第12号、古今書院、2022年、54-63頁。 
  • 竹内啓一浮田典良西川治中村和郎、成田孝三、海津正倫森川洋田村俊和 ほか「II 戦後復興と地理学の展開」『地理学評論』第73巻第4号、2000年、248-287頁、doi:10.4157/grj1984a.73.4_248 
  • 中川浩一、竹内啓一、岩田一彦、立岡裕士、久武哲也、源昌久「I 地理学の制度化と日本地理学会の創設」『地理学評論』第73巻第4号、2000年、225-247頁、doi:10.4157/grj1984a.73.4_225 
  • 野間晴雄香川貴志土平博山田周二河角龍典小原丈明『ジオ・パルNEO 地理学・地域調査便利帖』(第2版)海青社、2017年。ISBN 978-4-86099-315-3 

外部リンク

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