日本の心理学に関する資格一覧
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日本の心理学に関する資格一覧(にほんのしんりがくにかんするしかくいちらん)は、日本国内で認定または発行されている、心理士、心理カウンセラー、心理セラピストなどの心理学に関する資格の一覧である。
分類について
[編集]資格の分類に当たっては、学術研究活動を主たる目的とするなどの一定の要件を満たし、政府諮問機関である日本学術会議から「日本学術会議協力学術研究団体[1]」として指定を受けている学会からの認定であるか否かを分けるとともに、大学・大学院や公的機関が教育に関わる資格については特にまとめ、また中央省庁が所管する資格についてはその旨を注記する。
国家資格
[編集]- 公認心理師 - 日本初の心理職国家資格で、心理師と記載できる唯一の資格となる。「公認心理師法」は2015年9月に可決成立、2017年度施行。文部科学省・厚生労働省共管。
- キャリア・コンサルタント - キャリアカウンセラーと呼ばれていたが、職業能力開発促進法の改正により2016年4月に国家資格キャリアコンサルタントとなる。就職支援などが中心で心理職として扱われることは少ないが、カウンセリング技法・発達などの心理学の知識が問われる。厚生労働省所管[2]、キャリアコンサルティング協議会[3]が実施。
大学・大学院・高等教育機関の資格
[編集]名称 | 認定機関 | 活動領域 | 養成課程 | 学歴制限 | 試験 | 臨床実務訓練 |
---|---|---|---|---|---|---|
臨床心理士[4] | 日本臨床心理士資格認定協会 ※公的資格 |
教育・教養 保健・衛生 福祉・医療 司法・法務 経営・労務 学術・研究 |
専門職大学院などの 臨床心理士指定大学院 |
臨床心理学系修士号取得者、 または医師免許取得者 |
有 | 必須 |
学校心理士[5] | 学校心理士認定運営機構 ※民間資格 |
教育・教養 | 学校心理学系研究科、 または教育学部など |
学校心理学系学士号取得者 | 有 | 必須 |
臨床発達心理士[6] | 臨床発達心理士認定運営機構 ※民間資格 |
教育・教養 福祉・医療 |
発達心理学系研究科、 または臨床発達心理士認定運営機構指定科目講座など |
発達心理学系学士号取得者、 または同短期大学士号取得者(短期大学)、 または同専門士号取得者(専門学校) ※大学院にて指定科目を履修していない場合、 上記に加え臨床経験及び報告書提出が必要となる |
有 | 必須 |
ガイダンスカウンセラー[7] | 日本スクールカウンセリング推進協議会 ※民間資格 |
教育 | 大学院修士課程 | 心理学系修士号取得者、 ガイダンスカウンセリングに関連した業務に3年以上就いた者、 教員免許状を有する者。 上記の要件を全て満たしているもの。 ※スクールカウンセラー等は別途文部科学省の任用規定による。 |
有 | 必須 |
認定心理士[8] | 日本心理学会 ※民間資格 |
学術・研究 | 心理学部など | 心理学系学士号取得者。履修科目などの書類審査。 傘下の心理系学会が学位とは無関係に心理士資格を乱立させたために設けた心理士資格 |
無 | 不要 |
産業カウンセラー[9] | 日本産業カウンセラー協会 ※民間資格 |
経営・労務 | 養成講座/通信講座 | 7ヶ月間の養成講座(講座数は約20回)、 または通信講座を受講すれば学歴不問 |
有 | 不要 |
学会認定の民間資格
[編集]民間法人・団体認定の民間資格
[編集]資格名と類似したもの・混同されやすいもの
[編集]職業名
[編集]名称 | 概説 |
---|---|
スクールカウンセラー | 教育機関において心理相談業務に従事する心理職専門家の職業名。 文部科学省の任用規程は「公認心理師」「臨床心理士」「精神科医」「大学教員」が資格要件[21][22]。 |
学校カウンセラー | 上記のスクールカウンセラーの俗称。 名称上、「学校心理士」と混同される場合がある[21][22]。 |
スクールアドバイザー | スクールカウンセラーと同じく、教育機関において心理相談業務に従事する心理職専門家の職業名。 文部科学省主導事業のスクールカウンセラーに対し、スクールアドバイザーは各地方自治体・教育委員会主導事業である。 スクールカウンセラーに準拠し、「臨床心理士」「精神科医」「大学教員」などの高度な心理職専門家人材が資格要件[23]。 |
心理相談員 | 中央労働災害防止協会が主催する3日間の「心理相談専門研修(心理相談員養成研修)」を受講する。学歴不問。 但し事前に他の資格を取得や実務経験を得ることが必要になる。 |
企業内カウンセラー | 産業・労働分野において心理相談業務に従事する心理職専門家の職業名。 名称上、「産業カウンセラー」と混同される場合がある。 「精神科医」や「臨床心理士」などの外部心理職専門家が、従業員支援プログラムなどにおいて各企業・事業場内に参画している[24][25]。 |
心理療法士 | 心理療法業務を行う者の総称。「心理セラピスト」と同義。 名称上、「理学療法士」や「作業療法士」などの資格名と混同される場合があるが、資格名ではない。 主に医療機関や大学附属心理相談機関などの専門家相談機関における心理職メディカルスタッフを指し、「臨床心理士」有資格者が多い[26]。 |
心理カウンセラー カウンセラー |
精神心理的な相談援助(=心理カウンセリング)を行う者の総称。 多分野で用いられる呼称のため、「臨床心理士」などの有資格者だけでなく、無資格者も混在している[27]。 |
任用資格名
[編集]名称 | 概説 |
---|---|
心理判定員 | 福祉関連の行政機関における公務員心理職の任用資格名。 旧来は上級地方公務員の行政職としての採用が多かったが、近年は免許資格職としての別途採用が増加しており、「臨床心理士」有資格者が多い[28]。 |
児童心理司 | 上記の心理判定員の中で、特に児童相談所における公務員心理職の任用資格名。 旧来は他の行政機関と同じく「心理判定員」と呼ばれていたが、2005年の厚生労働省による児童相談所運営指針の改正に伴い、「児童心理司」の呼称が用いられるようになった[28]。 |
検定名
[編集]名称 | 主催団体 |
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心理学検定[29][注 21] | 日本心理学諸学会連合 |
メンタルヘルス・マネジメント検定 | 大阪商工会議所 |
こころ検定 | 一般財団法人日本こころ財団 |
他職種・隣接職種
[編集]名称 | 概説 |
---|---|
臨床検査技師 | 臨床検査技師は、主に検体検査(血液検査・尿検査など)や生理検査(脳波検査・心電図検査など)を行うことを専門とする技術者(技師)である[31]。 ※「臨床検査」という名称上、心理検査も業務に含む者と誤解される場合があるが、心理検査は専門外。 |
精神保健福祉士 | 「精神保健福祉士」は、主に精神障害者の生活面・経済面などに関して、精神医学や精神保健の領域を軸に、社会福祉を基盤とした社会保障・生活保護提供などを含めた自立支援相談・福祉生活相談を行うことを専門とする福祉職(ソーシャルワーカー/ケースワーカー)である。日常生活に必要な訓練、SSTや認知行動療法、作業療法、デイケア、カウンセリングなどを行う。[32] |
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ このほかにも、「○○協会認定カウンセラー」などの資格を独自発行している団体はある
- ^ 国家資格化の動きがあった「医療心理師(仮称)」とは別の資格
- ^ 自己啓発セミナーを運営するアチーブメント株式会社と実質的な提携関係にある[12]
- ^ a b 登録商標
- ^ 一体運営されている医療福祉情報実務能力協会が試験認定(認証)し、メンタルケア学術学会と生涯学習開発財団によるダブル認定を標榜する
- ^ a b c d e f g h 日本学術会議には属していない
- ^ REBT(論理療法)自体は認知療法または認知行動療法の先駆として世界的に高い知名度を有するが、元々日本学術会議には属していない
- ^ a b アドラー・ギルドとヒューマン・ギルドは別会社である。なお、ヒューマン・ギルドは日本アドラー心理学会が過去に利用していたテキストを利用しているが、現在は日本アドラー心理学会、アドラーギルド、野田俊作などとは無関係である。
- ^ 養成のための講座は、学会に委嘱されている「有限会社アドラー・ギルド[16]」(野田俊作:学会の創立者)[注 8]が行い、資格認定を学会が行うという形式になっており、「日本アドラー心理学会」と「アドラーギルド」は形式上は別組織であるが、「日本アドラー心理学会」のホームページを、個人商店である「アドラーギルド」代表の野田俊作個人が管理するなど、事実上は一体である。そのため、資格取得には野田俊作の認定が必須で、それを学会が追認することになる
- ^ 資格設立当初は日本LD学会が日本教育心理学会などと連携して資格認定していたが、特別支援教育士認定協会が学会から独立した
- ^ 同名の「日本福祉財団[19]」とは別の団体
- ^ 受験資格として、 医師や保健師、看護師等の資格や、メンタルヘルスマネジメント検定(2種以上)の資格を取得していることが条件となる
- ^ 「日本交流分析学会」が認定する同名の「交流分析士」とは別の資格
- ^ 心理療法士の職能団体というわけではない
- ^ 団体名に「内閣府認証NPO法人」とつけている(「内閣府認証」という表記をめぐる問題 参照)
- ^ 団体は「心理クリニック」をうたっているが、医療機関というわけではない
- ^ クエスト総合研究所と生涯学習開発財団とのダブル認定を標榜する
- ^ 団体に加盟している各子団体も、同様の資格を発行している
- ^ 2008年に倒産。資格講座の商品展開をめぐって経済産業省から行政処分を受けた[20]
- ^ 日本マイクロカウンセリング学会とは別団体
- ^ 「認定心理士」有資格者は、いくつかの出題領域に合格すれば自動的に「心理学検定1級」が取得できる[30]
出典
[編集]- ^ 日本学術会議協力学術研究団体一覧
- ^ 厚生労働省
- ^ 指定登録試験機関
- ^ 日本臨床心理士資格認定協会 (2009年). “臨床心理士資格認定の実施 - 受験資格基準”. 2010年2月1日閲覧。
- ^ 学会連合資格学校心理士認定運営機構 (2009年). “資格取得 - 申請条件”. 2010年2月1日閲覧。
- ^ 臨床発達心理士認定運営機構 (2009年). “資格をとるには?”. 2010年2月27日閲覧。
- ^ スクールカウンセリング推進協議会 (2013年). “資格認定試験 - JGCA スクールカウンセリング推進協議会”. 2013年7月9日閲覧。
- ^ 日本心理学会 (2009年). “認定の手続き”. 2010年2月4日閲覧。
- ^ 日本産業カウンセラー協会 (2006年). “産業カウンセラー試験”. 2010年2月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 日本学術会議協力学術研究団体一覧(ナ行)
- ^ 日本陶芸療法士協会
- ^ 選択理論・カウンセリング研修. アチーブメント. 2015年8月8日閲覧。
- ^ 日本学術会議協力学術研究団体一覧(マ行)
- ^ a b 日本生殖心理学会
- ^ がん・生殖医療学会
- ^ 有限会社アドラー・ギルド
- ^ 日本アドラー心理学会
- ^ 日本メディカル心理セラピー協会
- ^ 日本福祉財団
- ^ 経済産業省 (2008年). “特定商取引法違反事業者に対する行政処分について” (PDF). 2010年12月1日閲覧。
- ^ a b 文部科学省 (2004年). “スクールカウンセラーについて”. 2010年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年2月20日閲覧。
- ^ a b 文部科学省 (2004年). “教育相談体制の充実について”. 2010年12月13日閲覧。
- ^ 文部科学省 (2005年). “生徒指導上の諸問題に関する調査研究会報告書 - 各都道府県の施策について”. 2010年2月1日閲覧。
- ^ 島田修・中尾忍・森下高治『産業心理臨床入門』ナカニシヤ出版、2006年。ISBN 978-4-8884-8836-5。
- ^ 学習院生涯学習センター (2009年). “メンタルヘルス入門A ―心理士の立場から―”. 2010年12月1日閲覧。
- ^ weblio辞書 (2010年). “大辞林 - 心理療法”. 2020年9月24日閲覧。
- ^ weblio辞書 (2010年). “大辞林 - カウンセリング”. 2020年9月24日閲覧。
- ^ a b 厚生労働省 (2005年). “児童相談所運営指針 - 新旧対照表 - 第1章(児童相談所の概要)”. 2010年12月1日閲覧。
- ^ 心理学検定
- ^ 日本心理学諸学会連合 (2010年). “心理学検定 - 心理学検定とは”. 2010年12月1日閲覧。
- ^ Yahoo!辞書 (2010年). “大辞林 - 臨床検査技師”. 2010年12月1日閲覧。
- ^ All About (2010年). “相談・援助系資格ってどんなもの?”. 2010年10月11日閲覧。