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所信表明演説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第214回国会で所信表明演説を行う石破茂内閣総理大臣

所信表明演説(しょしんひょうめいえんぜつ)とは、内閣総理大臣国会で自分の所信を述べる演説。都道府県や市町村などの地方議会でも首長や議長候補などの所信表明演説が行われる。

国会における所信表明演説

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実施の形式

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国会で会期の初めに内閣総理大臣が行う演説には、常会(通常国会)の開会式後に行われる施政方針演説特別会(特別国会)や臨時会(臨時国会)の開会式後に行われる所信表明演説がある[1]

特別国会と臨時国会では、通常、内閣総理大臣が所信表明演説を行い、さらに他の大臣が演説することもある[2]。所信表明演説では、内閣総理大臣個人の所信として、国政についての方針や重点課題を説明する。議席を持つ各会派は所信表明演説に対して後日代表者1名が代表質問(一般質問)を行う。

施政方針演説や所信表明演説に直接の根拠規定があるわけではないが、帝国議会時代からの慣例に基づき実施されている[1]。なお、衆議院と参議院の先例集には「施政方針」等の演説の記載があり、日本国憲法第63条第72条国会法第70条を参考法令としている[1]

一般的に施政方針演説は常会(通常国会)、所信表明演説は特別会(特別国会)もしくは臨時会(臨時国会)で行われるが、過去の例では施政方針演説が常会の性格を持つ特別国会で、所信表明演説が通常国会や会期の途中で行われた例もある[1]。通常国会の冒頭では所信表明演説ではなく施政方針演説が行われるのが通例であるが、第183回国会(通常国会)冒頭で内閣総理大臣安倍晋三は所信表明演説を行った。これは第182回国会(特別国会)首班指名後に所信表明演説と代表質問を行わずに閉幕したことに伴うものであり、第183回国会では平成25年度予算を提出した際に改めて施政方針演説も行った[3]

特に初期の国会では常会で施政方針演説、特別国会や臨時国会で所信表明演説という区分によらない例も見られた[1]1953年(昭和28年)6月以前では臨時国会の冒頭など現在では所信表明演説として扱われる演説でも施政方針演説とされていた。[要出典]

通常、これらの演説は衆議院参議院の本会議場で行われる[1]2012年(平成24年)10月29日に召集された第181回国会(臨時国会)では、直前の第180回国会にて内閣総理大臣の野田佳彦に対する問責決議が参議院で可決されていたことを理由に、野党側が参議院での所信表明演説を拒否した(当時の参議院は野党が多数派を占めるねじれ国会であった)ため、史上初めて衆議院でのみ演説が行われている[4]

必ずしも開会式と同日に行われるわけではなく、施政方針演説や所信表明演説は後日に行われることもある[1]

過去の首相の所信表明演説

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過去の首相の所信表明演説
年月日 国会 首相
1953年(昭和28年)11月30日 第18回国会 吉田茂
1954年(昭和29年)11月30日 第20回国会
1955年(昭和30年)12月2日 第23回国会 鳩山一郎
1956年(昭和31年)11月16日 第25回国会
1957年(昭和32年)2月27日 第26回国会 岸信介
1959年(昭和34年)6月25日 第32回国会
1960年(昭和35年)12月12日 第37回国会 池田勇人
1962年(昭和37年)8月10日 第41回国会
1962年(昭和37年)12月10日 第42回国会
1963年(昭和38年)10月18日 第44回国会
1963年(昭和38年)12月10日 第45回国会
1964年(昭和39年)11月21日 第47回国会 佐藤栄作
1965年(昭和40年)7月30日 第49回国会
1965年(昭和40年)10月13日 第50回国会
1966年(昭和41年)7月12日 第52回国会
1966年(昭和41年)12月15日 第53回国会
1967年(昭和42年)7月28日 第56回国会
1967年(昭和42年)12月5日 第57回国会
1968年(昭和43年)8月3日 第59回国会
1968年(昭和43年)12月11日 第60回国会
1969年(昭和44年)12月1日 第62回国会
1970年(昭和45年)11月25日 第64回国会
1971年(昭和46年)7月17日 第66回国会
1971年(昭和46年)10月19日 第67回国会
1972年(昭和47年)10月28日 第70回国会 田中角栄
1973年(昭和48年)12月1日 第72回国会
1974年(昭和49年)12月14日 第74回国会 三木武夫
1975年(昭和50年)9月16日 第76回国会
1976年(昭和51年)9月24日 第78回国会
1977年(昭和52年)7月30日 第81回国会 福田赳夫
1977年(昭和52年)10月3日 第82回国会
1978年(昭和53年)9月20日 第85回国会
1979年(昭和54年)9月3日 第88回国会 大平正芳
1979年(昭和54年)11月27日 第90回国会
1980年(昭和55年)10月3日 第93回国会 鈴木善幸
1981年(昭和56年)9月28日 第95回国会
1982年(昭和57年)12月3日 第97回国会 中曽根康弘
1983年(昭和58年)9月10日 第100回国会
1985年(昭和60年)10月14日 第103回国会
1986年(昭和61年)9月12日 第107回国会
1987年(昭和62年)7月6日 第109回国会
1987年(昭和62年)11月27日 第111回国会 竹下登
1988年(昭和63年)7月29日 第113回国会
1989年(平成元年)6月5日 第114回国会 宇野宗佑
1989年(平成元年)10月2日 第116回国会 海部俊樹
1990年(平成2年)10月12日 第119回国会
1991年(平成3年)8月5日 第121回国会
1991年(平成3年)11月8日 第122回国会 宮沢喜一
1992年(平成4年)10月30日 第125回国会
1993年(平成5年)8月23日 第127回国会 細川護煕
1993年(平成5年)9月21日 第128回国会
1994年(平成6年)5月10日 第129回国会 羽田孜
1994年(平成6年)7月18日 第130回国会 村山富市
1994年(平成6年)9月30日 第131回国会
1995年(平成7年)9月29日 第134回国会
1996年(平成8年)11月29日 第139回国会 橋本龍太郎
1997年(平成9年)9月29日 第141回国会
1998年(平成10年)8月7日 第143回国会 小渕恵三
1998年(平成10年)11月27日 第144回国会
1999年(平成11年)10月29日 第146回国会
2000年(平成12年)4月7日 第147回国会 森喜朗
2000年(平成12年)7月28日 第149回国会
2000年(平成12年)9月21日 第150回国会
2001年(平成13年)5月7日 第151回国会 小泉純一郎
2001年(平成13年)9月27日 第153回国会
2002年(平成14年)10月18日 第155回国会
2003年(平成15年)9月26日 第157回国会
2004年(平成16年)10月12日 第161回国会
2005年(平成17年)9月26日 第163回国会
2006年(平成18年)9月29日 第165回国会 安倍晋三
2007年(平成19年)9月10日 第168回国会
2007年(平成19年)10月1日 第168回国会 福田康夫
2008年(平成20年)9月29日 第170回国会 麻生太郎
2009年(平成21年)10月26日 第173回国会 鳩山由紀夫
2010年(平成22年)6月11日 第174回国会 菅直人
2010年(平成22年)10月1日 第176回国会
2011年(平成23年)9月13日 第178回国会 野田佳彦
2011年(平成23年)10月28日 第179回国会
2012年(平成24年)10月29日 第181回国会
2013年(平成25年)1月28日 第183回国会 安倍晋三
2013年(平成25年)10月15日 第185回国会
2014年(平成26年)9月29日 第187回国会
2016年(平成28年)9月26日 第192回国会
2017年(平成29年)11月17日 第195回国会
2018年(平成30年)10月24日 第197回国会
2019年(令和元年)10月4日 第200回国会
2020年(令和2年)10月26日 第203回国会 菅義偉
2021年(令和3年)10月8日 第205回国会 岸田文雄
2021年(令和3年)12月6日 第207回国会
2022年(令和4年)10月3日 第210回国会
2023年(令和5年)10月23日 第212回国会
2024年(令和6年)10月4日 第214回国会 石破茂

地方議会における所信表明演説

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地方議会でも議会で首長による所信表明演説が行われるが、いくつかの県で「所信表明演説」と称しているものを東京都では「施政方針演説」と称するなど名称や形式は自治体により異なる[5]。2023年(令和5年)の東京都議会定例会の場合、第一回(2月)の冒頭に施政方針表明の演説、第二回(6月)・第三回(9月)・第四回(12月)の冒頭に所信表明の演説が行われた[6]

また、地方議会では議長や副議長を立候補制として、選挙前に所信表明演説の機会を設ける例もある[7]

出典

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  1. ^ a b c d e f g 日本-施政方針演説・所信表明演説”. リサーチ・ナビ 日本の官庁資料. 国立国会図書館. 2024年2月5日閲覧。
  2. ^ 本会議の主な議事”. 国会について. 衆議院. 2024年2月5日閲覧。
  3. ^ “「経済・復興・外交に全力」 安倍首相、所信表明”. 朝日新聞. (2013年1月28日). http://www.asahi.com/politics/update/0128/TKY201301280108.html 2013年1月28日閲覧。 
  4. ^ “特例公債法案に協力を…衆院のみで首相所信演説”. 読売新聞. (2012年10月29日). https://web.archive.org/web/20121101024445/http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20121029-OYT1T00895.htm 2012年10月29日閲覧。 
  5. ^ 小西 美穂「日本における女性知事の政治運営の特質と「見えざるハードル」」『総合政策研究』第66号、関西学院大学総合政策学部研究会、2023年3月20日、39-69頁。 
  6. ^ 施政方針”. 東京都. 2024年2月9日閲覧。
  7. ^ 12.議長の選出方法、任期”. 大和市. 2024年2月9日閲覧。

関連項目

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