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従二位

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

従二位(じゅにい)は、日本位階及び神階における位の一つ。正二位の下、正三位の上に位する。

概要

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律令制下の官位相当では、正二位と同じく、右大臣に相当し、令外官では、内大臣蔵人別当に相当するとされた。女性では、大臣の正室などもこの位に叙せられた。著名なのは平清盛の正室である平時子であり「二位尼」と称されたが、時子が従二位に叙せられたのは、外孫である憲仁親王(高倉天皇)の立太子を受けたものであり、時子の叙位の時点では、清盛は権大納言春宮大夫であった(ただし、清盛も、直後に内大臣に任じられる。)。

従二位は公卿の位階としても高位であり、武士の間では鎌倉時代から室町時代にかけては、北条政子以来、将軍の正室である御台所に与えられることはあっても、将軍の一門ですら叙せられることはなかった。また、室町幕府の将軍は叙されていたものの、足利将軍家の一門たる鎌倉公方従三位であり、たとえ室町幕府管領の職にある者であっても最高位は三位どまりであった。

戦国時代に入ると、武士の官途を担っていた室町幕府の統制が崩れ、次第に有力大名がじかに朝廷に献金し、猟官運動を行うことが盛んになり、天文17年(1548年)には西国一の有力守護・大内義隆が従二位に叙せられる異例の叙位(将軍・足利義輝は当時、従四位下であった)がなされている。

安土桃山時代豊臣秀吉関白宣下を受けて以降、次第に有力な一門や家臣が従二位に昇り、二位以上に昇る武士も登場するようになった。

江戸時代以降、徳川将軍家の一門たる御三家御三卿が従二位・権大納言に昇る例がみられた。

日本国憲法に規定される栄典としての位階は死没時に叙位されるため、衆議院議長参議院議長など三権の長として功労ある者が死後に受けることが多い。内閣総理大臣の場合、一つ上の正二位を授かる者が多いが、任期が短い(概ね1年未満)の者は従二位に叙される。学術分野においては、ノーベル賞受賞者などが従二位に叙せられている。

従二位に叙された人物

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日付は叙位日。没時追賜の場合は直前の位階を参考付記。

名前 叙位日 備考
大伴安麻呂 和銅7年5月1日
(714年6月17日)
大納言。追贈(正三位
藤原宮子 養老7年正月10日
(723年2月19日)
文武天皇夫人
藤原武智麻呂 天平6年正月17日
(734年2月24日)
右大臣、正三位から進階
橘諸兄 天平11年正月13日
(739年2月25日)
右大臣、正三位から進階
藤原豊成 天平20年3月22日
(748年4月24日)
大納言、従三位から進階
橘古那可智 天平21年4月1日
(749年4月21日)
聖武天皇夫人、正三位から進階
藤原仲麻呂 天平勝宝2年正月16日
(750年2月26日)
大納言、正三位から進階
藤原継縄 延暦5年4月11日
(786年5月13日)
大納言、正三位から進階
藤原内麻呂 大同4年正月1日
(809年1月20日)
右大臣、正三位から進階
藤原冬嗣 弘仁13年正月7日
(822年2月2日)
右大臣、正三位から進階
藤原緒嗣 弘仁14年4月27日
(823年6月9日)
大納言、正三位から進階
清原夏野 天長10年3月6日
(833年3月30日)
右大臣、正三位から進階
藤原良房 嘉祥2年正月7日
(849年2月3日)
右大臣、正三位から進階
源信 嘉祥3年4月17日
(850年5月31日)
大納言、正三位から進階
藤原長良 斉衡3年6月23日
(856年7月28日)
権中納言、正三位から進階
藤原良相 天安元年4月19日
(857年5月16日)
右大臣、正三位から進階
源融 貞観15年正月7日
(873年2月8日)
左大臣、正三位から進階
藤原基経 貞観15年正月7日
(873年2月8日)
摂政・右大臣、正三位から進階
班子女王 仁和3年正月8日
(887年2月4日)
光孝天皇女御、従三位から進階
藤原穏子 延喜9年2月21日
(909年3月15日)
醍醐天皇女御、従三位から進階
藤原安子 天暦10年4月2日
(956年5月14日)
村上天皇女御、従三位から進階
藤原懐子 天延2年12月7日
(975年1月21日)
冷泉天皇女御
藤原義子 寛弘2年正月10日
(1005年2月21日)
一条天皇女御、従三位から進階
藤原元子 寛弘2年正月13日
(1005年2月24日)
一条天皇女御、従三位から進階
藤原尊子 寛弘7年正月20日
(1010年2月6日)
一条天皇女御、正三位から進階
藤原妍子 寛弘7年正月20日
(1010年2月6日)
尚侍、従三位から進階
藤原威子 長和2年9月16日
(1013年10月23日)
尚侍、従三位から進階

中世

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近代

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日本国憲法施行後

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いずれも没時追賜。

平成・令和期

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いずれも没時叙位。役職の太字三権の長経験者。

氏名 主な役職 叙された年月日 備考
東久邇稔彦 内閣総理大臣、旧皇族(東久邇宮稔彦王) 1990年(平成2年)1月20日 大勲位菊花大綬章
徳永正利 参議院議長、運輸大臣 1990年(平成2年)9月23日 正八位から昇叙、勲一等旭日桐花大綬章
宇佐美毅 宮内庁長官 1991年(平成3年)1月19日 勲一等旭日大綬章
安倍晋太郎 外務大臣通商産業大臣内閣官房長官 1991年(平成3年)5月15日 勲一等旭日桐花大綬章
横田喜三郎 最高裁判所長官 1993年(平成5年)2月17日 従四位より昇叙、勲一等旭日桐花大綬章、文化勲章
服部高顯 最高裁判所長官 1993年(平成5年)3月24日 従五位より昇叙
灘尾弘吉 衆議院議長文部大臣厚生大臣 1994年(平成6年)1月22日 従四位より昇叙、勲一等旭日桐花大綬章
岡原昌男 最高裁判所長官 1994年(平成6年)7月14日 従五位より昇叙、勲一等旭日大綬章
下田武三 最高裁判所判事外務事務次官駐アメリカ合衆国特命全権大使日本プロ野球コミッショナー 1995年(平成7年)1月22日 従五位より昇叙、勲一等旭日大綬章
渡邉美智雄 外務大臣、通商産業大臣、大蔵大臣、厚生大臣 1995年(平成7年)9月15日 勲一等旭日桐花大綬章
徳川義寛 侍従長 1996年(平成8年)2月2日 正五位より進階
高辻正己 法務大臣内閣法制局長官、最高裁判所判事 1997年(平成9年)5月10日 従五位より昇叙、勲一等旭日大綬章
福田一 衆議院議長、法務大臣、自治大臣、通商産業大臣 1997年(平成9年)9月12日 勲一等旭日桐花大綬章
福井謙一 工学博士日本学術振興会会長、ノーベル化学賞受賞者 1998年(平成10年)1月9日 従六位より昇叙、勲一等旭日大綬章
宇野宗佑 内閣総理大臣、外務大臣、通商産業大臣 1998年(平成10年)2月19日 勲一等旭日桐花大綬章
原文兵衛 参議院議長環境庁長官警視総監 1999年(平成11年)9月7日 正六位より昇叙、勲一等旭日桐花大綬章
二階堂進 内閣官房長官、科学技術庁長官自由民主党副総裁 2000年(平成12年)2月3日 勲一等旭日桐花大綬章
伊藤宗一郎 衆議院議長、科学技術庁長官、防衛庁長官 2001年(平成13年)9月4日 正八位より昇叙、勲一等旭日桐花大綬章
寺田治郎 最高裁判所長官 2002年(平成14年)3月17日 従七位より昇叙、勲一等旭日大綬章
櫻内義雄 衆議院議長、外務大臣、建設大臣農林大臣 2003年(平成15年)7月5日 勲一等旭日桐花大綬章、紺綬褒章
坂田道太 衆議院議長、法務大臣、防衛庁長官 2004年(平成16年)1月13日 勲一等旭日桐花大綬章
原健三郎 衆議院議長・副議長、労働大臣 2004年(平成16年)11月6日 勲一等旭日桐花大綬章
矢口洪一 最高裁判所長官 2006年(平成18年)7月25日 正七位より昇叙、勲一等旭日桐花大綬章
平岩外四 東京電力会長、日本経済団体連合会会長 2007年(平成19年)5月22日 桐花大綬章
井上裕 参議院議長、文部大臣 2008年(平成20年)6月22日 桐花大綬章
土屋義彦 埼玉県知事参議院議長、環境庁長官 2008年(平成20年)10月5日 勲一等旭日桐花大綬章
西岡武夫 参議院議長、文部大臣、衆議院議員 2011年(平成23年)11月5日 桐花大綬章
田村元 衆議院議長、通商産業大臣、運輸大臣、労働大臣 2014年(平成26年)11月1日 勲一等旭日桐花大綬章
町田顯 最高裁判所長官 2015年(平成27年)4月5日 桐花大綬章
町村信孝 衆議院議長、内閣官房長官、外務大臣、文部科学大臣 2015年(平成27年)6月1日 桐花大綬章
羽田孜 内閣総理大臣、外務大臣、大蔵大臣、農林水産大臣 2017年(平成29年)8月28日 桐花大綬章
草場良八 最高裁判所長官 2020年(令和2年)3月13日 勲一等旭日桐花大綬章
倉田寛之 参議院議長、自治大臣、国家公安委員長 2020年(令和2年)4月7日 桐花大綬章
江田五月 参議院議長、法務大臣、環境大臣、衆議院議員 2021年(令和3年)7月28日 桐花大綬章
豊田章一郎 トヨタ自動車会長、日本経済団体連合会会長 2023年(令和5年)2月14日 桐花大綬章
三好達 最高裁判所長官 2023年(令和5年)3月6日 勲一等旭日大綬章
林寛子 参議院議長、国土交通大臣、元俳優(扇千景) 2023年(令和5年)3月9日 桐花大綬章、戦後初の女性の従二位受位者
細田博之 衆議院議長、内閣官房長官・内閣官房副長官 2023年(令和5年)11月10日 桐花大綬章

脚注

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外部リンク

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