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弓指寛治

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

弓指寛治は(ゆみさし かんじ、1986年 - )日本の画家。三重県伊勢市出身。


略歴

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母校である名古屋学芸大学の学部生時代に、ジャン=ミシェル・バスキアや、サイ・トゥオンブリーなどのアメリカ絵画に出会い、 深い感動を受けて絵画制作を始める。

同校の修士課程後、学生時代の友人4人と名古屋で制作会社である「株式会社M304」を設立し、この時期には主に映像制作を行っていた。 2013年9月より代表取締役を辞任し、本格的に画家としての作家活動に力を入れている。[1]

活動の契機

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2013年に画家としての作家活動に注力するため、2015年の春にゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校に参加する。 しかし、同年の秋に母が自死してしまい[2]、これまでの人生観や生活が一変してしまう程の大きな失望を経験する。 この出来事をきっかけに死者への鎮魂や、亡き者への視点を変容させる絵画作品の制作を手掛け始める。 2016年に成果展「先制第一撃」にて金賞を受賞し、画家として本格的に制作活動に励む契機を掴んだ。[3]この成果展の審査員は浅田彰[4]岩渕貞哉夏野剛黒瀬陽平東浩紀

代表的な展覧会

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ゲンロンカオス*ラウンジ新芸術校1期成果展「先制第一撃」にて金賞を受賞したことで実現した個展。弓指の故郷の三重県である伊勢神宮を舞台に、海猫沢めろんの短編小説「虚宮」をテーマに描かれた作品が並んだ。
  • 「BARRACKOUT」グループ展(2016年12月) 江東区住吉旧松田邸(ゴミ屋敷)
東京都江東区にある解体前のごみ屋敷を会場とした展覧会。運営メンバーは展覧会前に家の中の大掃除から始め、屋敷の壁を埋め尽くす壁画を描いた。
  • 「Death Line」グループ展(2017年3月) DUST BUNNY(フォトスタジオ)
「事故と死」をテーマに、過去に大きな交通事故に関わった3名が共同企画した展覧会に参加。
1986年4月に自死した一人のアイドル・岡田有希子をモチーフに、一年かけて制作した「Oの慰霊」を発表。作中には、2万5,764羽もの鳥が描かれた。鳥は日本における自殺者の数を表している[5]
  • 「四月の人魚」個展(2018年4月) 五反田カオス*ラウンジアトリエ
TARO賞に続き、岡田有希子をテーマとした展覧会を開催。
岡本太郎現代芸術賞敏子賞を受賞したことによる特別展示。1942年から約4年半にわたって出征していた岡本太郎をテーマに描いた弓指なりの「戦争画」を描いた。[6]
  • 「ダイナマイト・トラベラー」個展(2019年3月) シープスタジオ
エッセイスト・末井昭の母・富子が若い男とダイナマイトで心中した事実(詳しくは「素敵なダイナマイトスキャンダル」を参照)を、岡山県での旅で見聞きした経験によって捉え直し、描かれた作品が並んだ。
  • 「輝けるこども」個展(2019年8-10月) メゾンなごの808(円頓寺本町商店街内)
栃木県鹿沼市で、てんかんの発作を起こした男の運転するクレーン車が、小学生6人の命を奪った鹿沼市クレーン車暴走事故を題材にした絵画作品。被害者だけでなく、被害者・加害者の親それぞれに取材して、制作された。あいちトリエンナーレ2019 出展作品。[7]
  • 「マジック・マンチュリア(導入)」個展(2021年1月) 銀座 蔦屋書店アートウォール・ギャラリー
満蒙開拓団の一人であった祖父がテーマ[8]
  • 「マジック・マンチュリア」個展 (2022年4-5月) スペースくらげ

  前年の「マジックマンチュリア(導入)」の続編。

  「張作霖爆殺事件」を題材に爆殺の実行犯である東宮鐵男と爆殺された張作霖の生誕から事件までの人生を描く。[9]

主な作品

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脚注

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  1. ^ カオス*ラウンジ宣言2010|弓指寛治 個展「Sur-Vive!」 開催のお知らせ
  2. ^ PLAY TARO |敏子賞・弓指寛治インタビュー!
  3. ^ 母の自殺、無心で描いた鳥 苦しみ、歩み始めた画家の道 |毎日新聞デジタル版
  4. ^ REALKYOTO |先制第一撃批判―新芸術校成果展講評の余白に
  5. ^ TARO賞に行って来た アートギャラリー・タグボート
  6. ^ 美術手帖 |弓指寛治が描く戦争画。岡本太郎記念館で特別展示「太郎は戦場へ行った」が開催
  7. ^ あいちトリエンナーレ2019 |「輝けるこども」
  8. ^ ア行から始まるART WIKI”. 美術手帖. 2021年1月10日閲覧。
  9. ^ 弓指寛治「マジックマンチュリア」(スペースくらげ)”. 美術手帖. 2022年12月25日閲覧。
  10. ^ Foundation, Taro Okamoto. “敏子賞・弓指寛治インタビュー!”. PLAY TARO | 太郎と遊ぶ、太郎で遊ぶ。岡本太郎を中心とした新しいアートサイト. 2021年1月10日閲覧。
  11. ^ 美術品等取得基金の特別枠を活用して愛知県美術館が購入した若手作家の現代美術作品を公開します〔第二弾〕 - 愛知県”. www.pref.aichi.jp. 2021年1月10日閲覧。
  12. ^ 上野の森美術館 - VOCA展2021”. www.ueno-mori.org. 2021年1月10日閲覧。

外部リンク

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