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幻魔大戦 (映画)

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幻魔大戦
監督 りん・たろう
脚本 真崎守
桂千穂
内藤誠
製作 角川春樹
石森章太郎
明田川進
出演者 古谷徹
小山茉美
音楽 キース・エマーソン
青木望
主題歌 ローズマリー・バトラー「光の天使 / Children Of The Light」
撮影 八巻磐
編集 田中修
製作会社 角川春樹事務所
マッドハウス
配給 東宝東和
公開 日本の旗 1983年3月12日
上映時間 135分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 10億6000万円
(1983年邦画配給収入8位)[1]
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幻魔大戦』(げんまたいせん)は、1983年に公開された日本のアニメーション映画平井和正石森章太郎の共作による漫画『幻魔大戦』(以下漫画版)および平井による小説『幻魔大戦』(以下小説版)を原作とした、幻魔大戦シリーズ最初の映像化作品である。

漫画版の全編と、小説版のうち角川文庫版で第3巻あたりまでの展開をベースにした物語に、オリジナルの結末を加えて物語を完結している。

概要

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角川映画(旧・角川春樹事務所)による「角川アニメーション映画」第1作であり、実制作をしたマッドハウス黎明期の長編映画の一つでもある[2]。当時、角川春樹事務所所属のアイドルだった原田知世がタオ役で出演している。また漫画家の大友克洋がアニメーション制作に初めて参画した作品でもある[3]

内藤誠桂千穂で脚本を書いた『冒険者カミカゼ』の出来を岡田茂東映社長が褒めて、ふぐ料理店で慰労の席が設けられた[4]。このとき、岡田社長から桂に「内藤と二人でホンを書いて、真田広之主演で『幻魔大戦』を映画化したいから、角川文庫で原作を数冊読んで頂けないか」と申し出があった[4]。この話が原作権をおさえていた角川春樹の耳に入り、内藤と桂でホンを書くことになった[4][5]。1983年の『キネマ旬報』では、角川映画『蔵の中』の打ち上げパーティーの席上、桂千穂が角川春樹に「なぜ『幻魔大戦』を映画化しないのか」と尋ねたことが発端で、その後、長らく映画化を認めていなかった平井和正に対し角川がそれを懇願したとなっている[6]

大友の起用は監督のりんたろうからの推薦による[7]。マッドハウス社長の丸山正雄は、ヒロイン・ルナのデザインを可愛らしいものにするよう要望したが、大友は「可愛い顔は描けない」としてこれを拒んだ[7]。製作者の角川春樹も、大友の『気分はもう戦争』を読んで、その腕を高く評価していたが、原作者の平井和正は「主人公の顔つきが陰険だ」と大友の起用にクレームをつけた。りんたろうは「大友じゃないなら自分はやりたくない」と降板を示唆し、さらには石森章太郎まで絡む拗れた経緯を辿ったため、後に角川は「『幻魔大戦』は角川映画で最も揉めた作品で、流石の私も疲弊しましたね」と述懐している[8]

配給収入10億6000万円は、同日封切の『クラッシャージョウ』を大きく離すばかりか、『宇宙戦艦ヤマト 完結編』『ドラえもん のび太の海底鬼岩城』を上回るほどに健闘し、アニメ映画としては同年首位の興行成績であった[9]

9大都市〔東京・横浜・川崎・大阪・京都・神戸・名古屋・福岡・札幌〕以外のローカルでは、テリー・ギリアム監督の『バンデットQ』との2本立てで公開された[10]

スタッフ

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キャスト

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サウンドトラック盤

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映像ソフト

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発売日 規格 規格品番 レーベル 備考
1983年3月12日 VHS VAF-1088 ポニー ノーカット版、ステレオ、ビスタサイズ。
ベータ VFF-1088 ノーカット版、ステレオ、ビスタサイズ。
1983年10月21日 LD AH009-35KD パイオニア 2枚組〈131分〉、CLV、ステレオ、NTSC。
1983年11月5日 VHD VHPP-44001/2 パック・イン・ビデオ 2枚組〈135分〉、ステレオ、NTSC。
1985年 VHS VFHK-1088 ポニー ステレオ、ビスタサイズ、NTSC。
1986年7月21日 VHS V200F71391 ポニー ステレオ、ビスタサイズ。レンタルのみで、映画「戦国自衛隊」とセット。
1993年12月21日 LD PILA-1236 パイオニアLDC 2枚組〈131分〉、CLV、ステレオ、NTSC。
2003年1月1日 DVD KABD-517 アトラス
KABD-518 DTS Ultimate Edition。
2008年4月25日 DVD DABA-379 角川エンタテインメント りんたろう監修によるデジタルリマスター版、ドルビーデジタルおよびDTS5.1chにリマスタリング。
2009年11月27日 Blu-ray DAXA-1132 角川エンタテインメント キュー・テックのFORS Systemという設備でさらにリマスタリング[11]

関連作品・商品

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映画版のストーリーを基にしたパソコン用アドベンチャーゲーム。当時主流だった複数の機種に対応したパッケージがそれぞれ発売された(一部機種はハードの制約によりモノクロ、もしくはCGなし)。全機種版のプログラムは、高橋義信一人により組まれている。

受賞歴

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平井和正の本作への反応

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  • 小説版のイラストも担当した大友の画業について、「デコッパチで不細工な東丈は困る、という以前に、O氏が全く幻魔大戦のスピリットを理解していないことが露呈されてしまいました」と記している[13]
  • 映画全般に関して「スタッフはいずれも、大変な才幹の持ち主揃いで、しかもなぜこの程度なのか、と試写室からの帰り、呆然と頭を悩ませていたものです」と記している[13]
  • キース・エマーソンの音楽について、「幾らでも絶賛の言葉を吐くことができる」と記している[14]
  • 本作に全くコミットしていない、自分の『幻魔大戦』ではないとの理由で、原作料を含めてアニメ化に関する諸権利を放棄している[15]

本作の影響

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  • 大友克洋は本作への参加がきっかけとなり、角川製作のオムニバス映画『迷宮物語』で監督デビューする[16]など、アニメーション制作に傾倒することとなった。なお、本作と同日公開の『クラッシャージョウ』でもゲストキャラクターのデザインをおこなっている。
  • 1980年代当時、学研が刊行する『ムー』の投稿欄では、「前世の仲間探し」と呼ばれる戦士症候群が流行したが、浅羽通明は、本作が公開された1983年以降の現象で神秘的な宿命に導かれた戦士が集うという本作品の影響がうかがえるとしている[17]
  • ハルマゲドンという言葉を一躍広め、後にオウム真理教がキーワードとして多用するが、製作者の角川春樹は、オウムへの影響を不本意と前置きした上で、日本の終末思想が、五島勉の『ノストラダムスの大予言』に始まって、次第に過熱し、そこに『幻魔大戦』などのサブカルチャーが終末思想を煽って、80年代以降の新興宗教に影響を与えたことは間違いないと断言している[18]

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ 1983年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ WEBアニメスタイル アニメ様365日 小黒祐一郎 第131回 『幻魔大戦』もう少しだけ
  3. ^ 『幻魔大戦』4/3(金)より上映決定!【『AKIRA』IMAX公開記念】
  4. ^ a b c 内藤誠『映画の不良性感度』小学館小学館新書〉、2022年、186–190頁。ISBN 9784098254231 
  5. ^ 黒沢清四方田犬彦・吉見俊哉・李鳳宇編集 『日本映画は生きている 第4巻』岩波書店、2010年、281頁。
  6. ^ 広瀬和好「幻魔大戦 特集4 プロダクション・ノート」『キネマ旬報1983年昭和58年)3月下旬号、キネマ旬報社、1983年、92頁。 
  7. ^ a b 吉田豪インタビュー 巨匠ハンター 9回戦 丸山正雄」『キャラクターランドSPECIAL ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』徳間書店〈HYPER MOOK〉、2017年2月5日、pp.93-97頁。ISBN 978-4-19-730144-7 
  8. ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P178
  9. ^ 一般社団法人 日本映画製作者連盟 過去配給収入上位作品 1983年(1月~12月)
  10. ^ 角川春樹「§34 カムイの剣 ボビーに首ったけ」『試写室の椅子』角川書店、1985年9月10日、269頁。ISBN 4048831895 
  11. ^ 週アス+『幻魔大戦』BD制作現場に聞く! 高音質・高画質の舞台裏
  12. ^ 10.25(日)『幻魔大戦』ブルーレイ上映に、スペシャルゲスト りんたろう監督来場!東京アニメセンターにて入場券配布決定!”. 株式会社KADOKAWA 角川映画ウェブ魚拓によるキャッシュ) (2009年10月23日). 2013年12月12日閲覧。
  13. ^ a b 平井和正ライブラリー第八集「ハルマゲドン」徳間書店
  14. ^ 映画パンフレット文章「ハルマゲドンの予告」
  15. ^ SFアドベンチャー増刊 平井和正の幻魔宇宙「アニメ版〝幻魔大戦”について語ろう」
  16. ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P179
  17. ^ 浅羽通明「前世を渇望する少女たち――転生者、戦士としての存在理由」『天使の王国』幻冬舎文庫
  18. ^ 『最後の角川春樹』、2021年11月発行、伊藤彰彦、毎日新聞出版、P179

参考文献

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  • 『幻魔大戦』(Blu-ray)、2009年11月27日。ASIN B002LF3WSY 

外部リンク

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