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テーブルさん座

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平山座から転送)
テーブルさん座
Mensa
Mensa
属格 Mensae
略符 Men
発音 英語発音: [ˈmɛnsə]、属格:/ˈmɛnsiː/
象徴 テーブルマウンテン[1]
概略位置:赤経  03h 12m 55.9s -  07h 36m 51.5s[2]
概略位置:赤緯 −69.75° - −85.26°[2]
20時正中 2月上旬[3]
広さ 153.484平方度[4]75位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
16
3.0等より明るい恒星数 0
最輝星 α Men(5.09
メシエ天体 0
隣接する星座 かじき座
カメレオン座
みずへび座
とびうお座
はちぶんぎ座
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テーブルさん座(テーブルさんざ、Mensa)は、現代の88星座の1つ。18世紀半ばに考案された新しい星座で、南アフリカ共和国にある実在の山テーブルマウンテンをモチーフとしている[2][5]。現在、はちぶんぎ座についで天の南極に近い星座である。日本から全く見ることのできない星座3つのうちの1つ。

主な天体

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最輝星のα星でも見かけの等級が5.069等と、全天88星座のうち最輝星が最も暗い星座である。大マゼラン雲 (LMC) は、この星座とかじき座の境界線上にあり、大部分はかじき座に掛かっている。テーブルさん座に掛かる大マゼラン雲の姿は、実在のテーブルマウンテンに掛かる「テーブルクロス」と呼ばれる雲に喩えられている[5]

恒星

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2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) によって1個の恒星に固有名が認証されている[6]

そのほか、以下の星が知られている。

  • α星:見かけの明るさ5.069等の主系列星で5等星[9]。テーブルさん座で最も明るい恒星。
  • π星:見かけの明るさ5.67等のG型主系列星で6等星[10]
  • PKS 0637-752:クエーサーチャンドラX線望遠鏡によって発見された。X線画像から、このクエーサーには広いガス雲が伴っていることが明らかになった。

星団・星雲・銀河

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ヨーロッパ南天天文台による大マゼラン雲の写真。

由来と歴史

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山頂に雲のかかったテーブルマウンテン。

テーブルさん座は、18世紀中頃にフランスの天文学者ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって、南アフリカ共和国にある実在の山テーブルマウンテンをモチーフとして考案された[5]。ラカーユは、1751年から1752年にかけてケープタウンで初期の重要な観測を行っている[5]。初出は、1756年に刊行された1752年版のフランス科学アカデミーの紀要『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載されたラカーユの星図で、テーブルマウンテンの星座絵とフランス語で「テーブルマウンテン」を意味する Montagne de la Tableという名称が描かれていた[5][11][12]。ラカーユの死後の1763年に刊行された『Coelum australe stelliferum』に掲載された第2版の星図では、ラテン語化された Mons Mensaeと呼称が変更されている[5][13]

イギリスの天文学者ジョン・ハーシェルは、1844年フランシス・ベイリー宛の書簡の中で、ラカーユの Mons Mensae を Mensa と改名することを提案した[5][14]。これを受けたベイリーが翌年の1845年に刊行した『British Association Catalogue』で Mensa を採用したことから、これが定着することとなった[5]

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Mensa、略称はMen と正式に定められた[15]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。

中国

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現在のテーブルさん座の領域は、中国の歴代王朝の版図からはほとんど見ることができなかったため、三垣二十八宿には含まれなかった。ヨハン・バイエルの『ウラノメトリア』を参考にして明代末期1631年から1635年にかけてイエズス会士アダム・シャール徐光啓らにより編纂された天文書『崇禎暦書』や清代1752年に編纂された天文書『欽定儀象考成』でも、テーブルさん座の星はどの星官にも配されなかった[16]

呼称と方言

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日本語の学術用語としては「テーブルさん」と定められている[17]全天88星座の日本語の学名で平仮名とカタカナの両方を用いる星座はテーブルさん座のみである[17]

明治期から「テーブル山」という訳語が充てられていた。これは、1910年(明治43年)2月に刊行された日本天文学会の会誌『天文月報』の第2巻11号に掲載された、星座の訳名が改訂されたことを伝える「星座名」という記事で確認できる[18]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「テーブル山(テーブルざん)」として引き継がれ[19]、1943年(昭和18年)刊行の第19冊まで「テーブル山」が使われた[20]。しかし、1944年(昭和19年)に天文学用語が見直された際に、日本語の学名が「メンサ」と改められた[21]。戦後も継続して「メンサ」が使われていた[22]が、1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[23]とした際に、Mensa の日本語の学名は再び「テーブルさん」と改められた[24]。これ以降は「テーブルさん」という学名が継続して用いられている。

天文同好会[注 1]山本一清らは異なる訳語を充てていた。天文同好会の編集により1928年(昭和3年)4月に刊行された『天文年鑑』第1号では星座名 Mensa に対して「ひらやま(平山)」の訳語を充てていた[25]。これには、平山清次平山信の両名を記念する意味も込めていたとされる[26]。さらに、1931年(昭和6年)3月に刊行した『天文年鑑』第4号では、既にIAUが学名を Mensa と定めた後にもかかわらず星座名を Mons Mensae とした上で「ひらやま(平山)」の訳名を充てており[27]、以降の号でもこの星座名と訳名を継続して用いていた[28]。これについて山本は東亜天文学会の会誌『天界』1934年3月号の「天文用語に關する私見と主張 (1)」という記事の中でMons Mensa の譯語として,「テーブル山」などといふ變テコなものよりも,むしろ「ひらやま」といふ日本語を採る次第である.[29]と述べている。

現代の中国では、山案座[30][31]と呼ばれている。

脚注

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注釈

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  1. ^ 現在の東亜天文学会

出典

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  1. ^ The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年9月15日閲覧。
  2. ^ a b c The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年1月15日閲覧。
  3. ^ 山田陽志郎「星座」『天文年鑑2016年版』2015年11月26日、290-293頁。ISBN 978-4-416-11545-9 
  4. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h Ridpath, Ian. “Mensa”. Star Tales. 2023年1月15日閲覧。
  6. ^ IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2023年1月15日閲覧。
  7. ^ "HD 38283". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月14日閲覧
  8. ^ Approved names”. Name Exoworlds. 国際天文学連合 (2019年12月17日). 2023年1月15日閲覧。
  9. ^ "alf Men". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月15日閲覧
  10. ^ "pi Men". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月15日閲覧
  11. ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023年1月7日閲覧。
  12. ^ Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語). Gallica. 2023年1月7日閲覧。
  13. ^ Coelum australe stelliferum / N. L. de Lacaille”. e-rara. 2023年1月7日閲覧。
  14. ^ “Extract (translated) from a letter from Professor Bessel to Sir J. F. W. Herschel, Bart. dated Königsberg, January 22, 1844”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (Oxford University Press (OUP)) 6 (5): 62. (1844). Bibcode1844MNRAS...6...62.. doi:10.1093/mnras/6.5.62. ISSN 0035-8711. 
  15. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年1月15日閲覧。
  16. ^ 大崎正次「清時代の星座」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、106-114頁。ISBN 4-639-00647-0 
  17. ^ a b 学術用語集:天文学編(増訂版) 1994, pp. 305–306.
  18. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466 
  19. ^ 東京天文台 編『理科年表 第1冊丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/39 
  20. ^ 東京天文台 編『理科年表 第19冊丸善、1943年、B22-B23頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1244806/1/48 
  21. ^ 学術研究会議 編「星座名」『天文術語集』1944年1月、10頁。doi:10.11501/1124236https://dl.ndl.go.jp/pid/1124236/1/9 
  22. ^ 東京天文台 編『理科年表 第22冊丸善、1949年、天 34頁頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1124234/1/61 
  23. ^ 学術用語集:天文学編(増訂版) 1994, p. 316.
  24. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466 
  25. ^ 天文同好会 編『天文年鑑』1号、新光社、1928年4月28日、4頁。doi:10.11501/1138361https://dl.ndl.go.jp/pid/1138361/1/7 
  26. ^ 原恵『星座の神話 -星座史と星名の意味-』(新装改訂版第4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、261頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  27. ^ 天文同好会 編『天文年鑑』4号、新光社、1931年3月30日、6頁。doi:10.11501/1138410https://dl.ndl.go.jp/pid/1138410/1/11 
  28. ^ 天文同好会 編『天文年鑑』10号、恒星社、1937年3月22日、4-9頁。doi:10.11501/1114748https://dl.ndl.go.jp/pid/1114748/1/12 
  29. ^ 山本一清天文用語に關する私見と主張 (1)」『天界』第14巻第156号、東亜天文学会、1934年3月、212-214頁、doi:10.11501/3219877ISSN 0287-6906 
  30. ^ 伊世同 1981, p. 131.
  31. ^ 大崎正次「辛亥革命以後の星座」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、115-118頁。ISBN 4-639-00647-0 

参考文献

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