岩田祐吉
いわた ゆうきち 岩田 祐吉 | |
---|---|
本名 | 同じ |
生年月日 | 1887年3月23日 |
没年月日 | 1980年1月18日(92歳没) |
出生地 | 日本・岐阜県大垣市田町 |
死没地 | 日本・東京都世田谷区 |
職業 | 俳優 |
ジャンル | 新派、劇映画(時代劇・現代劇、サイレント映画・トーキー) |
活動期間 | 1920年 - 1942年 |
配偶者 | あり |
主な作品 | |
『酒中日記』 『船頭小唄』 |
岩田 祐吉(いわた ゆうきち、1887年3月23日 - 1980年1月18日)は、日本の映画俳優。
新派から映画界に入り、初期の松竹蒲田撮影所で二枚目俳優として活躍した。栗島すみ子とのコンビで人気を博し、諸口十九・勝見庸太郎らと並んで松竹の代表的スターとなった。独特の渋い演技で幅広い役柄をこなし[1]、後年は脇役に転向した。
来歴・人物
[編集]1887年(明治20年)3月23日、岐阜県大垣市田町に岩田加兵衛の6男として生まれる[2]。中学卒業時に家業の呉服屋が倒産し、単身で中国に渡るが、志敗れて2年後に帰国した[3][4]。帰国後は劇界に志を向け、1908年(明治41年)11月に開所した藤沢浅二郎主宰の東京俳優養成所(後に東京俳優学校に改称)に第1期生として入所[3]。同期に田中栄三、諸口十九、上山草人、勝見庸太郎らがいる。1911年(明治44年)に同校を卒業し、俳優学校第一回卒業生試演『廃馬』(佐藤紅緑作)に諸口、田中らとともに出演した[5]。
その後は河合武雄の門下に入り、1913年(大正2年)に河合が設立した公衆劇団に参加。花柳章太郎と前後して新派劇の幹部に列せられた。1915年(大正4年)9月には武田正憲と川村花菱が旗揚げした新日本劇に参加。座員には五月信子、正邦宏、花柳、永井赤鳥らがいた[6]。
1920年(大正9年)、創立間もない松竹蒲田撮影所に入社し、村田実監督の『奉仕の薔薇』(翌年に公開)で映画初出演。翌1921年(大正10年)公開の『悪魔の崖』(賀古残夢監督)で初主演し、4月公開の『虞美人草』(ヘンリー・小谷監督)で栗島すみ子と共演して好評を博す。以来、賀古監督の『酒中日記』、池田義信監督の『暮れ行く旅路』『乳姉妹』などの作品で栗島と共演し、川田芳子・諸口十九と並ぶ松竹蒲田のドル箱コンビとして人気を得た。1923年(大正12年)には池田監督の『船頭小唄』で栗島と主演、作品は大流行した主題歌とともに全国的にヒットした[3]。その後も牛原虚彦監督の『黒川博士』『乃木大将伝』、島津保次郎監督の『お坊ちゃん』、野村芳亭監督の『父帰る』などに主演、佐々木恒次郎監督の『永遠の心』はドイツにも紹介され、その演技力は高く評価された。1929年(昭和4年)1月8日、井上正夫、藤野秀夫、栗島、川田芳子、柳さく子とともに大幹部に昇格した[7]。
1930年代は中年の脇役に回ることが多くなり、島津監督の『隣の八重ちゃん』などでは父親役を演じた。1938年(昭和13年)以降は新興キネマに出演したが、1942年(昭和17年)公開の『春遠からじ』以降の映画出演はない。その後は鎌倉で妻と共に暮らしていたという。1979年(昭和54年)に第3回山路ふみ子映画功労賞を受賞。
1980年(昭和55年)1月18日、老衰のため東京都世田谷区の自宅で死去。92歳没。
出演映画
[編集]- 新生(1920年、松竹)
- 光に立つ女(1920年、松竹)
- 女の力(1921年、松竹) - 脇屋中尉
- 悪魔の崖(1921年、松竹)
- 虞美人草(1921年、松竹)
- 電工と其妻(1921年、松竹)
- 酒中日記(1921年、松竹)
- 奉仕の薔薇(1921年、松竹)
- 己が罪(1921年、松竹) - 医学士塚口
- 生さぬ仲(1921年、松竹)
- 金色夜叉(1922年、松竹)
- 不如婦(1922年、松竹) - 川島武男
- 乳姉妹(1922年、松竹)
- 祇園夜話(1922年、松竹)
- 傑作集枠 金色夜叉(明治文壇海岸の悲劇)(1922年、松竹) - 貫一
- 船頭小唄(1923年、松竹) - 船頭律太
- 噫無情(1923年、松竹) - テナルディユ
- 水藻の花(1923年、松竹)
- 幽芳集 乳姉妹(1923年、松竹)
- 彼女の運命(1924年、松竹)
- 嬰児殺し(1924年、松竹)
- 無花果(1924年、松竹)
- 黒川博士(1924年、松竹)
- 詩人と運動家(1924年、松竹)
- 乃木大将伝(1925年、松竹) - 乃木希典
- お坊ちゃん(1926年、松竹) - 宇田恭三
- 広瀬中佐(1926年、松竹) - 広瀬武夫
- 父帰る(1927年、松竹) - 黒田宗太郎
- 永遠の心(1928年、松竹)
- 民族の叫び(1928年、松竹)
- 今年竹(1929年、松竹)
- レヴューの姉妹(1930年、松竹) - 舞台監督土屋四郎
- 麗人(1930年、松竹) - 水原七郎
- 愛よ人類と共にあれ(1931年、松竹) - 銀行頭取
- 真理の春(1931年、松竹)
- 生活線ABC(1931年、松竹)
- 七つの海(1931年、松竹) - 曽根伸吾
- 金色夜叉(1932年、松竹) - 荒尾譲介
- 乳姉妹(1932年、松竹) - 松平昭定
- 忠臣蔵(1932年、松竹) - 大野九郎兵衛
- 島の娘(1933年、松竹) - 船長・岩瀬信造
- 東洋の母(1934年、松竹) - 実業家・大村
- 母を恋はずや(1934年、松竹) - 父・梶原
- 隣の八重ちゃん(1934年、松竹) - 父・服部昌作
- 与太者と花嫁(1934年、松竹) - 緒方正之
- 都会の感傷(1934年、松竹) - 老警官
- 永久の愛(1935年、松竹) - 職工長森田
- 虞美人草(1935年、第一映画) - 井上孤堂
- 男性対女性(1936年、松竹) - 清瀬支店長
- あの道この道(1936年、松竹) - 大丸氏
- 少年航空兵(1936年、松竹) - 海軍航空隊司令
- 男の償ひ(1937年、松竹) - 黒須博士
- 静御前(1938年、新興キネマ) - 北條時政
- 噫!南郷少佐(1938年、新興キネマ) - 南郷少将
- 五人の兄妹(1939年、松竹) - 石岡孫次郎
- 舞ひ上る情熱(1941年、新興キネマ) - 周一の祖父清吉