安川電機
本社社屋 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
機関設計 | 監査等委員会設置会社[1] |
市場情報 | |
略称 | YEC |
本社所在地 |
日本 〒806-0004 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2番1号 |
設立 | 1915年(大正4年)7月16日 |
業種 | 電気機器 |
法人番号 | 5290801010767 |
事業内容 | メカトロニクス製品の製造 |
代表者 |
小笠原浩(代表取締役会長) 小川昌寛(代表取締役社長) 村上周二(代表取締役専務執行役員) |
資本金 | 306億円 |
売上高 |
連結:4,109億57百万円 単体:1,596億30百万円 (2020年2月期)* |
営業利益 |
連結:497億66百万円 単体:223億39百万円 (2020年2月期)* |
経常利益 |
連結:233億61百万円 単体:105億91百万円 (2020年2月期)* |
純利益 |
連結:144億49百万円 単体:144億88百万円 (2020年2月期)* |
純資産 |
連結:2,310億44百万円 単体:1,116億96百万円 (2020年2月29日現在)* |
総資産 |
連結:4,293億27百万円 単体:2,349億79百万円 (2020年2月29日現在)* |
従業員数 |
連結:14,880名[2](臨時従業員含む) (2022年3月1日現在) |
決算期 | 2月末日*[3] |
会計監査人 | EY新日本有限責任監査法人[4] |
主要株主 |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 9.77% 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口) 8.77% 株式会社みずほ銀行 3.06%日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社((三井住友信託銀行退職給付信託口) 3.01%(2018年8月31日現在) |
主要子会社 | グループ企業を参照 |
外部リンク | 安川電機公式サイト |
株式会社安川電機(やすかわでんき、YASKAWA Electric Corporation)は、福岡県北九州市八幡西区に本社を置く、産業用ロボットなどメカトロニクス製品の製造を行うメーカーである。日経平均株価の構成銘柄の一つ[5]。
概要
[編集]明治鉱業を興した安川敬一郎が、明治鉱業の電気用品の開発と製造を行うことを目的に設立した。九州製鋼、明治紡績、黒崎窯業、明治鉱業、鉱山技術者養成のための明治専門学校(現・九州工業大学)も敬一郎が設立した。
安川第五郎と敬一郎は玄洋社のメンバーとして孫文に資金援助していたが、2009年に中国の習近平が北九州市の工場を視察した際、逸話に感銘して紅旗の組立用ロボットに拍手して謝意を表した[6] ことが、取引先の中国企業関係者によく知られており「会社の説明がいらず、中国から見たときに信用できる会社」と恩恵を受けている[7]。安川では海外初のロボット工場が中国にあり[8]、競合するドイツのロボットメーカークーカを買収した美的集団とも提携を続けている[9][10]。売上の海外比率は約7割であり、Nikkei 225の構成銘柄の一つである。
2020年には半導体製造装置などに使うACサーボモーターの累計販売台数が2000万台に到達し、世界シェア第1位である。[11] 産業用ロボットで世界シェア第4位である[12]。2015年には創立100周年事業の一環としてロボット村をオープンした。YASKAWAの森、安川電機みらい館、ロボット工場、本社棟、厚生棟で構成されている。2017年には、上皇・上皇后が安川電機みらい館を訪問した[13]。
なお、社名のアルファベット表記は「YASKAWA」である。
沿革
[編集]- 1915年(大正4年) - 合資会社安川電機製作所創立。
- 1919年(大正8年) - 株式会社安川電機製作所設立。
- 1949年(昭和24年) - 東証、大証上場。
- 1957年(昭和32年) - 行橋工場開設。
- 1961年(昭和36年) - 小倉工場開設。
- 1964年(昭和39年) - 東京工場開設。
- 1967年(昭和42年) - 米国安川電機株式会社設立。
- 1969年(昭和44年) - 中間工場開設。「メカトロニクス」の商標登録出願。
- 1972年(昭和47年) - 「メカトロニクス」の商標登録。
- 1980年(昭和55年) - 欧州安川電機有限会社設立。
- 1984年(昭和59年) - デミング賞実施賞受賞。
- 1989年(平成元年) - インバータ工場開設。
- 1990年(平成2年) - モートマンセンタ開設。
- 1991年(平成3年) - 社名を「株式会社安川電機」に変更。英国安川電機株式会社設立。シンガポール安川電機有限会社設立。
- 1994年(平成6年) - 韓国安川電機株式会社設立。
- 1995年(平成7年) - 上海安川電動機器有限公司設立。
- 1999年(平成11年) - 安川電機(上海)有限公司設立。
- 2002年(平成14年) - ソリューションセンタ開設。
- 2003年(平成15年) - 八幡東事業所開設。
- 2011年(平成23年) - 関東ロボットセンタ開設。
- 2013年(平成25年) - 海外初のロボット生産拠点を中国の常州に開設[8]。
- 2015年(平成27年) - 中部ロボットセンタ開設。創立100周年事業として本社事業所を再編し、「ロボット村」をオープン
- 2018年(平成30年) - 次世代生産工場「安川ソリューションファクトリ」開設。
- 2020年 (令和2年) - 完全子会社の安川エンジニアリングを吸収合併。
歴代社長
[編集]中山真までは『日本官僚制総合事典 : 1868-2000』による[14]。
- 安川電機製作所
- 安川清三郎:1919年12月 - 1936年2月
- 安川第五郎:1936年2月 - 1942年2月
- (会長)安川寛:1942年2月 - 1944年2月
- 安川寛:1944年2月 - 1972年5月
- 安川敬二:1972年5月 - 1985年6月
- 菊池功:1985年6月 - 1991年9月
- 安川電機
- 菊地功:1991年9月 - 1996年6月
- 橋本伸一:1996年6月 - 2000年3月
- 中山真:2000年3月 - 2004年3月
- 利島康司:2004年3月 - 2010年3月
- 津田純嗣:2010年3月 - 2016年3月
- 小笠原浩:2016年3月 - 2023年3月
- 小川昌寛:2023年3月 - (現職)
主な事業
[編集]- サーボ&コントローラ - サーボモータ、リニアモーター、FA用コントローラ・リミットスイッチ
- インバータ
- ロボット - 産業用ロボット『モートマン』、医療・福祉サービス機器
- システムエンジニアリング - 各種電動機および制御装置、各種電機システム
- コンセプト - i3-Mechatronics
事業所
[編集]- 本社、八幡西事業所- 福岡県北九州市八幡西区
- 八幡東事業所(モーションコントロール工場 / モータ工場) - 福岡県北九州市八幡東区
- 行橋事業所(インバータ工場 / システムエンジニアリング工場) - 福岡県行橋市
- 入間事業所(モーションコントロール工場 / 安川ソリューションファクトリ)- 埼玉県入間市
- 中間事業所(ロボット工場) - 福岡県中間市
- 開発研究所- 福岡県北九州市小倉北区
- つくば研究所- 茨城県つくば市
- 東京支社 - 東京都港区
- 関東ロボットセンタ - 埼玉県さいたま市北区
- 中部支店、中部ロボットセンタ - 愛知県みよし市
- 大阪支店 - 大阪府大阪市北区
- 九州支店 - 福岡県福岡市中央区
グループ企業
[編集]国内主要子会社
[編集]- 安川オートメーション・ドライブ株式会社 - 福岡県行橋市
- 株式会社安川メカトレック - 東京都港区
- 末松九機株式会社 - 福岡県福岡市博多区
- 株式会社FAMS - 新潟県見附市
- 株式会社エイアイキューブ(AI3) - 東京都中央区
- ロボティック・バイオロジー・インスティテュート株式会社 - 東京都江東区
- 株式会社ベスタクト・ソリューションズ - 福岡県行橋市
- 安川コントロール株式会社 - 福岡県行橋市
- 株式会社安川ロジステック - 福岡県北九州市小倉北区
- 安川マニュファクチャリング株式会社 - 福岡県北九州市八幡西区
- 株式会社ドーエイ - 福岡県北九州市八幡西区
- 安川オビアス株式会社 - 福岡県北九州市八幡東区
国内主要持分法適用関連会社
[編集]- 株式会社YE DIGITAL - 福岡県北九州市八幡西区
- 桑原電工株式会社 - 福岡県北九州市八幡西区
- 九州制盤株式会社 - 福岡県北九州市八幡西区
- 五楽信和工業株式会社 - 福岡県中間市
- ゼネラルパッカー株式会社 - 愛知県北名古屋市
海外現地法人
[編集]アメリカ
[編集]- YASKAWA AMERICA, INC. - アメリカ
- YASKAWA CANADA INC. - カナダ
- YASKAWA ELETRICO DO BRASIL LTDA. - ブラジル
- MOTOMAN ROBOTICA DO BRASIL, LTDA - ブラジル
- YASKAWA MEXICO S.A. DE C.V. - メキシコ
ヨーロッパ
[編集]- YASKAWA EUROPE GmbH - ドイツ
- YASKAWA NORDIC AB - スウェーデン
- YASKAWA ELECTRIC UK LTD. - イギリス
- YASKAWA UK LTD. - イギリス
- YASKAWA ITALIA S.R.L - イタリア
- YASKAWA FRANCE SARL - フランス
- YASKAWA IBERICA S.L. - スペイン
- YASKAWA FINLAND OY - フィンランド
- THE SWITCH ENGINEERING OY - フィンランド
- THE SWITCH MARINE DRIVE NORWAY AS - ノルウェー
- YASKAWA BENELUX BV - オランダ
- YASKAWA EUROPE ROBOTICS D.O.O. - スロベニア
- YASKAWA SLOVENIJA D.O.O. - スロベニア
- YASKAWA RISTRO D.O.O. - スロベニア
- YASKAWA CZECH S.R.O - チェコ
- YASKAWA POLSKA SP. Z O.O - ポーランド
アジア
[編集]- YASKAWA ELECTRIC (CHINA) CO., LTD. - 中国
- SHANGHAI YASKAWA DRIVE CO., LTD. - 中国
- YASKAWA TSUSHO(SHANGHAI)CO., LTD. - 中国
- YASKAWA ELECTRIC (SHENYANG) CO., LTD. - 中国
- YASKAWA SHOUGANG ROBOT CO., LTD. - 中国
- YASKAWA (CHINA) ROBOTICS CO., LTD. - 中国
- YASKAWA ELECTRIC KOREA CORPORATION - 韓国
- YASKAWA ELECTRIC TAIWAN CORPORATION - 台湾
- YASKAWA ASIA PACIFIC PTE. LTD. - シンガポール
- YASKAWA ELECTRIC (THAILAND) CO.,LTD. - タイ
- PT. YASKAWA ELECTRIC INDONESIA - インドネシア
- YASKAWA ELETRIC VIETNAM CO., LTD. - ベトナム
- YASKAWA MALAYSIA SDN. BHD.- マレーシア
- YASKAWA INDIA PRIVATE LIMITED - インド
中東・アフリカ
[編集]- YASKAWA TURKEY ELEKTRIK TICARET LTD. STI. - トルコ
- YASKAWA EUROPE TECHNOLOGY LTD. - イスラエル
- YASKAWA SOUTHERN AFRICA (PTY) LTD. - 南アフリカ
その他グループ会社
[編集]- 安川メカトレック系列
- YASKAWA MECHATREC (THAILAND) CO., LTD.(タイ)
- YASKAWA MECHATREC VIETNEM CO., LTD.(ベトナム)
- 末松九機系列
- 株式会社HKシートメタルテック
- 安川コントロール系列
- 福岡化成工業株式会社
- 東営安川機電控制有限公司
- 安川ロジステック系列
- 株式会社安川パッケージング
- 安川マニュファクチャリング系列
- 安川設備メンテナンス株式会社
- YE DIGITAL系列
- 株式会社YE DIGITAL Kyushu
- YE DIGITAL, Inc.
株式を所有する企業
[編集]主要人物
[編集]- 安川敬一郎(男爵安川財閥創業者、創立発起人)
- 安川第五郎(敬一郎の五男、2代目社長、石炭庁長官を務めた)
- 安川敬二(第五郎の次男、4代目社長、会長を務めた)
- 利島康司(8代目社長、北九州商工会議所会頭)
- 津田純嗣(9代目社長、国際ロボット連盟会長)
スポーツ
[編集]- 安川電機ラグビー部(ラグビー部。2018年現在、トップキュウシュウBに所属。)
- 安川電機陸上部(長距離走。全日本実業団対抗駅伝競走大会(ニューイヤー駅伝)に1976年大会で初出場。2022年大会では32年連続44回目の出場。最高位は1992年大会の3位)
その他
[編集]アメリカ映画「ペイチェック 消された記憶」や「ターミネーター」に安川電機製のロボット「MOTOMAN」が登場しており[15]、30年後のターミネーターシリーズ第5作「ターミネーター:新起動/ジェニシス」にはMOTOMANのMPK50モデルが登場している[16]。
テレビ番組
[編集]- 日経スペシャル カンブリア宮殿 「ロボットで世界一をめざせ! ~"ロボット社長"が語る若手社員の育て方~」(2009年2月9日、テレビ東京)- 出演:社長 利島康司[17]。
脚注
[編集]- ^ コーポレート・ガバナンス体制 - 株式会社安川電機
- ^ 会社概要 安川電機 2021年10月15日閲覧。
- ^ “YASKAWA 2020年2月期 決算短信[日本基準 (連結)]”. 安川電機. 2020年4月10日閲覧。
- ^ コーポレートガバナンス報告書 2021年1月8日閲覧
- ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
- ^ “「他山の石もって玉をおさむべし」習副主席が北九州市の環境保護とハイテク産業を見学”. 中国網. (2009年12月17日) 2017年11月13日閲覧。
- ^ “創業家ゆかりの中国でロボット強化10年計画、安川電は買収攻勢で挑む”. ブルームバーグ. (2016年12月6日). オリジナルの2017年6月11日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “安川電機、中国の産業用ロボ工場開業 15年度に月1000台”. 日本経済新聞 (2013年6月22日). 2016年7月28日閲覧。
- ^ “合弁先・美的が独ロボ買収、影響は 安川電機社長 小笠原浩氏に聞く 家電製造自動化の参考に”. 日本経済新聞 (2016年9月11日). 2017年11月3日閲覧。
- ^ “美的集団と安川電機 医療・介護機器開発−リハビリ支援装置など中国市場へ”. 日刊工業新聞 (2017年5月18日). 2017年11月3日閲覧。
- ^ 安川電、サーボモーター累計2000万台。、 日経産業新聞、2020年9月28日
- ^ 両陛下、ロボット展示施設訪問(ピックアップ)、日本経済新聞、朝刊、2017年10月29日
- ^ 秦 2001, 751頁.
- ^ “YASKAWA NEWS No.267” (PDF). 安川電機. 2017年11月3日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “NEWS - Projects, Industry News, Events, New Products”. Robotic Automation. 2018年12月29日閲覧。
- ^ 「ロボットで世界一をめざせ! ~"ロボット社長"が語る若手社員の育て方~」 - テレビ東京 2009年2月9日
参考文献
[編集]- 早川隆 『日本の上流社会と閨閥(安川家 九州財界の重鎮)』 角川書店 1983年 129-133頁
- 秦郁彦 編『日本官僚制総合事典 : 1868-2000』東京大学出版会、2001年。ISBN 4130301217。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 株式会社安川電機
- 安川電機陸上部公式サイト
- 安川電機九州文学賞 安川電機が主催、老舗文芸誌『九州文学』共催の公募文学賞。2015年(平成27年)より開催