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安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(あんぜんほしょうのほうてききばんのさいこうちくにかんするこんだんかい)は、第1次安倍内閣で設置された日本の集団的自衛権の問題と日本国憲法の関係整理および研究を行うための内閣総理大臣の私的諮問機関2007年5月に初の会議が開催された[1]安全保障有識者懇談会安保法制懇とも。

概要

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2007年第1次安倍内閣は、日本の安全保障環境が変化していると捉え、時代に適した実効性のある安全保障法的基盤を再構築する必要があるとの認識から、4月に首相決裁で「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の設置を決定した[2]。翌5月18日に第1回会議が開催された[1]。懇談会では有識者メンバーの中から首相が外務省条約局長や外務事務次官を歴任した柳井俊二元駐米大使を座長に指名。事務は内閣官房長官が掌理し、内閣官房において処理するとしている[2]

懇談会は2007年8月30日の第5回会議まで開催されたのち、続く福田康夫内閣から2012年の野田佳彦内閣まで開催されず、報告書は棚上げされていたが、2012年に第2次安倍内閣が発足し、再開された[3]。また、2007年に第1次安倍内閣で外務省国際法局長として懇談会の立案実務に携わっていた小松一郎駐仏大使が、2013年8月、内閣法制局長官に就任した[4]

構成員

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報告書

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2008年6月に座長柳井俊二の名で報告書がまとめられた[5]

集団的自衛権に関する概要は次のとおり。

第二次世界大戦後、我が国は、国際平和を乱すことなく、ひたすら戦後復興と経済成長に励んできた。我が国が外国を侵略せず、軍国主義に走らないという意味での平和主義は、戦後しっかりと根付いたし、今後ともこれを堅持していかねばならない。(中略)冷厳な国際安全保障環境を直視し、世界の平和と我が国の安全を確保するため、最善の安全保障政策を見出さなくてはならない。 — はしがき
政府としては、憲法前文で確認している日本国民の平和的生存権や憲法第13条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を国政上尊重すべきこととしている趣旨を踏まえて考えると、憲法第9条は、外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合にこれを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じていないと解している。(平成16年6月18日政府答弁書)(中略)特定の規定が国際関係に関するものである場合には(中略)各時代における国際関係の動態等も考慮に入れるべきであることはいうまでもない。 — 2. 憲法第9条の解釈
(憲法9条の)国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使を「国際紛争を解決する手段としては、永久に放棄する」ものであって、個別的自衛権はもとより、集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への参加を禁ずるものではないと読むのが素直な文理解釈であろう。 — 3. 集団的自衛権の行使及び国連集団安全保障への参加

報告書では「国家存立の基礎は、安全の確保である」と結ぶ他、外国との関係、弾道ミサイル迎撃、国際的平和活動、国会承認、具体的活動についての懇談会の提言などにも言及している。

しかし2013年7月、第2次安倍内閣の下、懇談会は一転して容認方向に傾いた[6]。柳井は「今までの政府見解は狭すぎて、憲法が禁止していないことまで自制している」「集団的自衛権の行使は憲法上許されている。国連の集団安全保障への参加は日本の責務だ」と述べた[7]

2014年5月15日、内閣に対して“集団的自衛権の行使は認められるべきだ”とする報告書を提出[8]時事通信は、有識者の一人が前年夏の段階で報告書について「やれと言われたら一週間でまとめられる」と述べたとして、「結論ありき」だったと報じている[9]

脚注

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関連項目

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外部リンク

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