奥家 (伯爵家)

奥家
本姓	清和源氏
家祖	奥義遠
種別	武家 華族(男爵→伯爵)
出身地	伊勢国
主な根拠地	豊前国 東京市牛込区若松町 神奈川県横浜市旭区
著名な人物	奥保鞏
凡例 / Category:日本の氏族

奥家（おくけ）は、武家・士族・華族だった日本の家。近世には豊前国小倉藩士家だったが、近代に奥保鞏元帥を出し、その勲功により華族の伯爵家に列せられた。

歴史

封建時代

清和源氏の源経基を遠祖とし、12世後裔（ただし『近江蒲生郡志』では9世後裔とされる）の小椋三郎景遠は近江国小椋に住して小椋を称したが、その子景房は尾張国で戦死し、孫の三郎義遠が伊勢国河内谷の山奥に住して世を憚って奥氏と称したのに始まる。

義遠の孫実満の孫満遠は後醍醐天皇に供奉して北条高時の軍勢を笠置に避けたる南朝の忠臣だった。満信の曽孫奥対馬守保章は伊賀国壬生野と矢畑の二郷を領有する地頭となった。その子与太夫保高は織田信雄の武将で戦功があった。その子保憲は、松平康重に仕えて大坂冬の陣で戦功をあげた。

その孫保経は播磨国明石藩主、後豊前国小倉藩主だった小笠原忠政に仕えるようになり、寛永15年（1638年）には肥前国で軍功があった。数代を経た奥十郎保義は実子がなく、分家の奥利右衛門保矩の長子の為次郎を養子にとった。この為次郎こそが後の奥保鞏元帥である。養父保義の家は累代の家柄で300石の馬廻り役の小倉藩士であるが、実父保矩の家は文化・文政の頃に当時の藩主小笠原忠徳に分家を許された家で格式は本家より劣っていたという。

明治以降

陸軍中将の頃の奥保鞏（のちに陸軍大将・元帥）

奥保鞏は、明治4年に陸軍大尉に任官して以降陸軍軍人としてキャリアを積み、明治7年には佐賀の乱平定に中隊長として従軍、同年の台湾出兵にも従軍した。明治10年の西南戦争では熊本城に籠城した。明治17年に少将、明治27年に中将へ昇進し、同年の日清戦争では第5師団長として出征して戦功があり、翌明治28年8月に華族の男爵に列せられた。その後明治29年に第1師団長、明治30年に近衛師団長、明治36年に大将に昇進。日露戦争では第2軍司令官として沙河、奉天会戦などを指揮して戦功をあげた。明治39年に参謀総長となり、明治40年に日露戦争の功により伯爵に陞爵。明治44年には元帥府に列した。

保鞏の死後、保夫（明治16年12月5日生、昭和23年10月11日没）が爵位と家督を相続。保夫も陸軍軍人となり、少将まで累進して歩兵第27旅団長などを歴補。彼の代の昭和前期に奥伯爵家の住居は東京市牛込区若松町にあった。その長男保城（明治41年12月5日生、昭和55年1月13日没）には女子しかなかったが、次男保英（大正2年9月14日生）の系譜が保正（昭和23年2月22日生）、泰助（昭和55年8月10日生）と続いている。

保英の代の平成前期には奥家の住居は神奈川県横浜市旭区東希望ヶ丘にあった。

系図

実線は実子、点線（縦）は養子。系図は『平成新修旧華族家系大成 上巻』に準拠。

奥保義

保鞏

保夫

保城

利子

保英

澄子

晶子

千恵子

保正

昭子

泰介

圭介

参考文献

• 黒田甲子郎『奥元帥伝』国民社、1933年（昭和8年）。 
• 小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』中央公論新社〈中公新書1836〉、2006年（平成18年）。ISBN 978-4121018366。 
• 霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧華族家系大成 上巻』霞会館、1996年（平成8年）。ISBN 978-4642036702。 
• 華族大鑑刊行会『華族大鑑』日本図書センター〈日本人物誌叢書7〉、1990年（平成2年）。ISBN 978-4820540342。