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塩化オキサリル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
塩化オキサリル

  炭素, C
  酸素, O
  塩素, Cl
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識別情報
CAS登録番号 79-37-8 チェック
PubChem 65578
ChemSpider 59021 ×
UNII R4Y96317DW チェック
EC番号 201-200-2
RTECS番号 KI2950000
特性
化学式 C2Cl2O2
モル質量 126.93 g mol−1
外観 無色の液体
匂い ホスゲンのような[2]
密度 1.4785 g/mL
融点

-16℃

沸点

63 ~ 64℃ (at 1.017 bar)

への溶解度 水と反応する
屈折率 (nD) 1.429
危険性
安全データシート(外部リンク) External MSDS
GHSピクトグラム 急性毒性(高毒性) 腐食性物質[3]
GHSシグナルワード Danger[3]
Hフレーズ H314, H331[3]
Pフレーズ P261, P280, P305+351+338, P310[3]
主な危険性 毒性、腐食性、催涙性[3]
NFPA 704
1
3
2
関連する物質
関連するカルボン酸塩化物
関連物質
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

塩化オキサリル(えんかオキサリル, oxalyl chloride)は構造式 (COCl)2で表される化合物である。シュウ酸の2つのカルボン酸がカルボン酸塩化物となった構造を持つ、無色の液体である。有機合成化学においてよく用いられる[4]。シュウ酸を五塩化リンで処理すると得られる[5]

有機化学への応用

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酸塩化物の合成

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有機合成化学では、カルボン酸を対応する酸塩化物へと変換する際によく用いられる。塩化チオニルと同様、塩酸などの揮発性の副生成物が発生する。

塩化オキサリルは比較的マイルドで、より選択性のある試薬だと考えられている。触媒量のジメチルホルムアミドを添加することが多い。

芳香族化合物のアシル化

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塩化アルミニウムの存在下で芳香族化合物と反応し、対応する酸塩化物を発生させる。この反応はフリーデル・クラフツ反応として知られている[6][7]。続く加水分解により、対応するカルボン酸が生成する。

ジエステルの合成

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他の酸塩化物と同様、アルコールと反応するとエステルが生成する。

この反応はピリジンのような塩基の存在下で行われることが多い。なおフェノールと反応するとフェニルオキサリルエステルを生成するが、この反応はサイリュームに応用されている。

アルコールの酸化

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塩化オキサリルとジメチルスルホキシドトリエチルアミンを組み合わせると、アルコールを対応するアルデヒドケトンへと酸化できる。この反応はスワーン酸化として知られている。

危険性

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水と激しく反応し、塩化水素を発生する。

参考文献

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  1. ^ a b Nomenclature of Organic Chemistry: IUPAC Recommendations and Preferred Names 2013 (Blue Book). Cambridge: The Royal Society of Chemistry. (2014). p. 797. doi:10.1039/9781849733069-FP001. ISBN 978-0-85404-182-4 
  2. ^ Oxalyl chloride: odor
  3. ^ a b c d e Oxalyl chloride MSDS
  4. ^ Salmon, R. "Oxalyl Chloride" in Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis 2001, John Wiley & Sons, New York.DOI: 10.1002/047084289X.ro015
  5. ^ Vogel, A.; Steffan, G.; Mannes, K.; Trescher, V. "Oxalyl chloride" DE 78-2840435 19780916.Chemical Abstracts Number 93:94818
  6. ^ Neubert, M. E.; Fishel, D. L. (1990). "Preparation of 4-Alkyl- and 4-Halobenzoyl Chlorides: 4-Pentylbenzoyl Chloride". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 7, p. 420
  7. ^ Sokol, P. E. (1973). "Mesitoic Acid". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 5, p. 706

外部リンク

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