国鉄6400形蒸気機関車
6400形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道作業局・鉄道院・鉄道省に在籍したテンダー式蒸気機関車である。
概要
[編集]1902年(明治35年)に、アメリカのアメリカン・ロコモティブ(アルコ)社スケネクタディ工場(American Locomotive Co. Ltd.,(=Alco) Schenectady Loco. Works)で製造され、官設鉄道が輸入した旅客列車用蒸気機関車で、30両(製造番号26143 - 26172)が製造された。明治時代後期を代表する旅客列車用テンダー式蒸気機関車の一つである。
構造
[編集]本形式は、車軸配置4-4-0(2B)で2気筒単式の飽和式旅客列車牽引用テンダー機関車である。6200形系列「ネルソン」の増備として発注されたものであるが、スタイルはほぼ完全なアメリカ型である。これは、入札を行う際に要求性能を満たす限りは、かなりメーカー側の裁量の利く仕様書を示したためと思われる。
設計においては、1897年に当時のスケネクタディ社が製造したD10形(後の5700形)をベースにしたと思われ、動輪直径を1,524mm(5ft)に拡大したためその分、ボイラー中心高さを上げている。細かいところでは、外側軸受けで板台枠式の先台車、3軸固定式台車のテンダーなど、イギリススタイルを採用している部分もある。
主要諸元
[編集]- 全長:15,062mm
- 全高:3,772mm
- 軌間:1,067mm
- 車軸配置:4-4-0(2B)
- 動輪直径:1524mm(5')
- 弁装置:スチーブンソン式アメリカ形
- シリンダー(直径×行程):406mm×610mm
- ボイラー圧力:11.3kg/cm2
- 火格子面積:1.49m2
- 全伝熱面積:96.6m2
- 煙管蒸発伝熱面積:88.3m2
- 火室蒸発伝熱面積:8.3m2
- ボイラー水容量:4.1m3
- 小煙管(直径×長サ×数):46mm×3,226mm×196本
- 機関車運転整備重量:37.38t
- 機関車空車重量:32.83t
- 機関車動輪上重量(運転整備時):23.94t
- 機関車動輪軸重(最大・第1動輪上):13.09t
- 炭水車運転整備重量:25.11t
- 炭水車空車重量:12.70t
- 水タンク容量:9.1m3
- 燃料積載量:2.84t
- 機関車性能
- シリンダ引張力:6,280kg
- ブレーキ装置:手ブレーキ、真空ブレーキ
運用・経歴
[編集]官設鉄道ではD12形(660 - 689)として主に浜松機関庫に配属され、東海道線東部(沼津 - 名古屋間)で最大急行列車の牽引にも使用された。1909年(明治42年)の車両形式称号規程制定時には、6400形(6400 - 6429)に改められている。
大正に入ると京阪神地区に移り、京都 - 姫路間で使用されたが、程なく地方への転属が始まり、参宮線、鹿児島本線、北陸本線、山陰本線などで、小運転や入換用に使用された。
1930年(昭和5年)から1931年(昭和6年)にかけて、全車が廃車解体され、譲渡車、保存車はない。