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国鉄7900形蒸気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
鉄道作業局183(後の鉄道院7900形)

7900形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道作業局・鉄道院・鉄道省に在籍したテンダ式蒸気機関車である。

概要

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官設鉄道の神戸工場が、当時の汽車監察方であったリチャード・フランシス・トレビシックの指導により、1896年(明治29年)に4両[1]を製造したもので、勾配線用の車軸配置2-6-0(1C)、2気筒単式のテンダ機関車である。

製造当初の形式はAK形、番号は180 - 183が予定されたが、陸軍所有のナスミス・ウィルソンCタンク機を急遽引き取って、これに180を与えたため、本形式は181 - 184となった。後にE5形(番号不変)と称した。私鉄国有化を受けて1909年(明治42年)に制定された鉄道院の車両形式称号規程では、7900形7900 - 7903)に改番された。

本形式は、勾配線用として動輪の粘着重量を増すため、テンダ機でありながら側水槽を有しており、基本設計はW形(後の7600形)に類似しているが、ボイラーの火室はベルペヤ式ではなく標準的なストレートトップ型で、弁装置もジョイ式基本型であった。煙室前板はトレビシック流の前板の裾が広がった形状である。動輪の釣合錘は独特な形状で、12本のスポークのうち6本にまたがり、その間5か所を2・2・1に区分して前方から同心円状に幅を狭くしていくものであった。炭水車は2軸固定式である。

鉄道作業局では、12月より[2]東海道線大津京都間の勾配区間で使用したが、私鉄国有化後は山陽線広島三田尻間で貨物列車用に使用された。廃車1922年(大正11年)12月に7901, 7903および1923年(大正12年)1月に7900, 7902で、民間に払い下げられたもの、保存されたものはない。

主要諸元

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  • 全長 : 14,319mm
  • 全高 : 3,658mm
  • 全幅 : 2,305mm
  • 軌間 : 1,067mm
  • 車軸配置 : 2-6-0(1C)
  • 動輪直径 : 1,245mm
  • 弁装置 : ジョイ式基本型
  • シリンダー(直径×行程) : 432mm×559mm
  • ボイラー圧力 : 10.2kg/m2
  • 火格子面積 : 1.39m2
  • 全伝熱面積 : 90.2m2
    • 煙管蒸発伝熱面積 : 83.3m2
    • 火室蒸発伝熱面積 : 6.9m2
  • ボイラー水容量 : 3.1m3
  • 小煙管(直径×長サ×数) : 44.5mm×3,640mm×179本
  • 機関車運転整備重量 : 41.54t
  • 機関車空車重量 : 35.97t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時) : 36.54t
  • 機関車動輪軸重(第2動輪上) : 12.98t
  • 炭水車重量(運転整備) : 18.39t
  • 炭水車重量(空車) : 10.05t
  • 水タンク容量 : 8.26m3
  • 燃料積載量 : 1.52t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力(0.85P): 7,260kg
  • ブレーキ装置 : 手ブレーキ真空ブレーキ

脚注

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  1. ^ 神戸工場では製造番号を付していないが、6 - 9に相当する。
  2. ^ 『鉄道局年報. 明治29年度』(国立国会図書館デジタルコレクション)

参考文献

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  • 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会
  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井茂信「機関車の系譜図 1」1972年、交友社
  • 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車 III」エリエイ出版部刊
  • 金田茂裕「日本蒸気機関車史 官設鉄道編」交友社刊