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国鉄5160形蒸気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国鉄D11形蒸気機関車から転送)
鉄道作業局 265(後の鉄道院 5173)

5160形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道作業局・鉄道院・鉄道省に在籍したテンダ式蒸気機関車である。

概要

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元は、鉄道作業局1897年(明治30年)12月および1898年(明治31年)1月にアメリカブルックス・ロコモティブ・ワークスで20両(製造番号2878 - 2897)を製造した車軸配置2-4-0(2B)形で2気筒単式のテンダ機関車である。当初の形式はAP形、番号は252 - 271で、後にD11形(番号不変)と称した。私鉄国有化を受けて1909年(明治42年)に実施された鉄道院の車両形式称号規程では、5160形5160 - 5179)に改番された。

形態はアメリカ古典形であるが、鋼製で曲線的なラインを持った大型の運転室や、溝型鋼をそのまま使った前端梁、不釣り合いに細い煙突、煙室側面から前端梁を結ぶ支柱(ブレース)がないなど、ブルックス製蒸気機関車の典型的な特徴を備えている。ボイラはストレートトップ型で、第1缶胴上に砂箱、第2缶胴上に蒸気ドーム、火室上に安全弁と汽笛が設置されている。炭水車は、アメリカ製には珍しく3軸固定式であった。

配置は米原を中心として東海道線西部で使用されたが、鉄道院となってからはローカル線に転じ、和歌山線桜井線山陽線西部、呉線等に分散した。さらに後年には、岡山や九州の行橋で入換に使用されたものもあった。1924年(大正13年)4月に全車が使用停止となり、同年5月から翌1925年(大正14年)4月にかけて、廃車解体された。そのうちの5176は、門司鉄道管理局教習所の教材として、車体の各部を切り開かれた状態で保存されていたが、太平洋戦争中の空襲により焼損し、後に解体された。

主要諸元

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  • 全長 : 14,174mm
  • 全高 : 3,696mm
  • 全幅 : 2,286mm
  • 軌間 : 1,067mm
  • 車軸配置 : 4-4-0(2B)
  • 動輪直径 : 1,370mm
  • 弁装置 : スチーブンソン式アメリカ型
  • シリンダー(直径×行程) : 381mm×559mm
  • ボイラー圧力 : 11.3kg/m2
  • 火格子面積 : 1.41m2
  • 全伝熱面積 : 92.8m2
    • 煙管蒸発伝熱面積 : 84.7m2
    • 火室蒸発伝熱面積 : 8.1m2
  • ボイラー水容量 : 3.4m3
  • 小煙管(直径×長サ×数) : 45mm×2,888mm×210本
  • 機関車運転整備重量 : 32.71t
  • 機関車空車重量 : 28.65t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時) : 21.43t
  • 機関車動輪軸重(第1動輪上) : 11.02t
  • 炭水車重量(運転整備) : 24.02t
  • 炭水車重量(空車) : 11.49t
  • 水タンク容量 : 10.90m3
  • 燃料積載量 : 3.56t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力 : 5,630kg
  • ブレーキ装置 : 手ブレーキ真空ブレーキ

参考文献

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  • 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会
  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1972年、交友社
  • 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車 III」エリエイ出版部刊
  • 金田茂裕「日本蒸気機関車史 官設鉄道編」交友社刊