コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

国鉄チキ3000形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国鉄チキ2600形貨車から転送)
国鉄チキ3000形貨車
基本情報
車種 長物車
運用者 鉄道省
運輸通信省
運輸省
日本国有鉄道
所有者 鉄道省
運輸通信省
運輸省
日本国有鉄道
製造所 日本車輌製造川崎車輛
製造年 1943年(昭和18年) - 1945年(昭和20年)
製造数 632 ?両
消滅 1986年(昭和61年)
主要諸元
車体色
軌間 1,067 mm
全長 13,600 mm
全幅 2,640 mm
全高 2,945 mm
荷重 35 t
自重 14.6 t
換算両数 積車 4.0
換算両数 空車 1.4
台車 TR20
台車中心間距離 9,500 mm
最高速度 75 km/h
テンプレートを表示

国鉄チキ3000形貨車(こくてつチキ3000がたかしゃ)は、かつて日本国有鉄道(国鉄)およびその前身である鉄道省等に在籍した長物車である。本稿では、姉妹形式であるチキ4000形およびチキ2600形についても記述する。

チキ3000形

[編集]

チキ3000形は、1943年(昭和18年)から1945年(昭和20年)にかけて、日本車輌製造および川崎車輛において632両が製造された、35 t 積二軸ボギー長物車である。番号は欠番があり、チキ3000 - チキ3271, チキ3290 - チキ3639, チキ3800 - チキ3809となっているが、チキ3640 - チキ3647が存在し、総数は640両であったとする説もある。

従来、鉄道省では有事の際の軍用車両輸送用として、鋳鋼製の高速台車TR24を装備した最高速度85 km/hチキ1500形を量産していたが、戦時設計として資材節約と製作の合理化を図るため、床を鋼板製から木製に、台車を簡易な構造のアーチバー台車TR20に変更したのが、本形式である。また、側面の柵柱受けの数を片側12か所から8か所に減ずるとともに、戦車等の重量品の積載のため、台枠の横梁を1本多い9本としている。荷台の長さは鉄道省標準の12,800 mm、幅は2,300 mmでチキ1500形と同等であり、基本構造は1942年(昭和17年)に製造されたトキ10形無蓋車と共通である。床板の厚さは60 mmで、荷摺り木は12本設けられている。全長は13,600 mm、最大幅は2,640 mm、最大高は2,940 mmである。台車の変更にともなって、台車中心間距離は前々級のチキ1000形と同じ9,500 mmに戻り、最高速度も75 km/hとなった。台車間の台枠中梁は高さを増した魚腹型である。自重は14.6tで、換算両数は積車4.0、空車1.4。

戦後は、標準タイプの長物車として全国で運用された。1968年(昭和43年)10月1日国鉄ダイヤ改正までは600両以上が在籍していたが、以降は廃車が進み、レール輸送用、操重車控車貨車移動機の運搬用でも使用された。形式消滅は1986年(昭和61年)である。

譲渡

[編集]

1950年(昭和25年)12月26日、1両(チキ3483)が三井芦別鉄道に譲渡され、チキ1となった。

チキ4000形

[編集]
国鉄チキ4000形貨車
基本情報
車種 長物車
運用者 鉄道省
運輸通信省
運輸省
日本国有鉄道
所有者 鉄道省
運輸通信省
運輸省
日本国有鉄道
製造年 1943年(昭和18年) - 1945年(昭和20年)
製造数 165 ?両
消滅 1986年(昭和61年)
主要諸元
車体色
軌間 1,067 mm
全長 13,600 mm
全幅 2,640 mm
全高 2,945 mm
荷重 35 t
自重 14.2 t
換算両数 積車 4.0
換算両数 空車 1.4
台車 TR20
車輪径 860 mm
台車中心間距離 9,500 mm
最高速度 75 km/h
テンプレートを表示

チキ4000形は、1943年(昭和18年)から1945年(昭和20年)にかけて165両(169両とする説もあり)が製造された、35 t 積二軸ボギー長物車である。番号に欠番があり、チキ4000 - チキ4070, チキ4200 - チキ4274, チキ4420 - チキ4468とされるが、この中にも30両程度の欠番が存在する。

本形式も戦時設計車で、チキ3000形とは車軸が短軸(チキ3000形は長軸)である点が異なるのみで、形態や性能は同一である。自重は14.2tで、換算両数は積車4.0、空車1.4。

戦後は、標準タイプの長物車として姉妹形式とともにて全国で運用された。形式消滅は1986年(昭和61年)である。

改造

[編集]

ヤ350形

[編集]

1968年(昭和43年)に1両が川崎車輛にてチキ4000形より改造され形式名はヤ350形と定められたロングレール輸送車である。

ヤ300形(2両)とユニットを組んでヤ300形の動力ステーションとして運用された。160 PSディーゼルエンジンを装備し油圧ポンプ、交流発電機より得られる動力が活用された。              

車体塗色はで、1968年(昭和43年)10月1日ダイヤ改正では高速化不適格車とされて最高速度65 km/hの指定車となり、識別のため記号に「ロ」が追加され「ヤ」となり黄1号の帯を巻いた。

1979年(昭和54年)に廃車となり形式消滅した。

チキ2600形

[編集]
国鉄チキ2600形貨車
基本情報
車種 長物車
運用者 運輸通信省
運輸省
日本国有鉄道
所有者 運輸通信省
運輸省
日本国有鉄道
製造年 1945年(昭和20年) - 1946年(昭和21年)
製造数 61両
消滅 1981年(昭和56年)
主要諸元
車体色
軌間 1,067 mm
全長 13,600 mm
全幅 2,640 mm
全高 2,950 mm
荷重 35 t
自重 15.8 t
換算両数 積車 4.0
換算両数 空車 1.6
台車 TR24
車輪径 860 mm
軸距 1,900 mm
台車中心間距離 9,270 mm
最高速度 75 km/h
テンプレートを表示

チキ2600形は、1945年(昭和20年)から1946年(昭和21年)にかけて61両(チキ2600 - チキ2660)が製造された、35 t 積二軸ボギー長物車である。チキ3000形、チキ4000形と同じ車体に、TR24台車を組み合わせたものである。台車の軸距が長い関係で、台車中心間距離はチキ1500形と同じ9,270 mmである。また、同形式とは枕ばねの種類が異なっており、最高速度は75 km/hである。自重は15.8tで、換算両数は積車4.0、空車1.6。

戦後は、姉妹形式とともに全国で運用された。形式消滅は1981年(昭和56年)である。

本形式の後、汎用長物車の増備置き換えは、しばらくの間改造で賄われることになり、新製の汎用長物車は1975年(昭和50年)製のチキ7000形まで待つことになる。

参考文献

[編集]
  • 日本国有鉄道 編集「100年の国鉄車両 2」1974年、交友社
  • 埴岡寿一「国鉄の事業用車 貨車編」『鉄道ファン』第231号、交友社、1980年7月。 
  • 「国鉄貨車形式図集I」1992年、鉄道史資料保存会
  • 貨車技術発達史編纂委員会 編「日本の貨車―技術発達史―」2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊