国鉄シキ610形貨車
国鉄シキ610形貨車 | |
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シキ611(高松駅) | |
基本情報 | |
車種 | 大物車 |
運用者 |
日本国有鉄道 日本貨物鉄道(JR貨物) |
所有者 | 東芝→東芝物流、日本通運 |
製造所 | 日本車輌製造 |
製造年 | 1962年(昭和37年) |
製造数 | 5 |
常備駅 | 新芝浦駅、塚口駅他 |
主要諸元 | |
車体色 | 黒 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 32,910 mm |
全幅 | 2,770 mm |
全高 | 3,478 mm |
荷重 | 240 t(B1)、235 t(B2) |
自重 | 94.8 t |
換算両数 積車 | 26.5 |
換算両数 空車 | 9.5 |
台車 | NC-4A(8台) |
最高速度 |
75 km/h(空車時) 45 km/h(積載時) |
備考 | 寸法・質量のデータは特記がない限りB1梁装着時のもの |
国鉄シキ610形貨車(こくてつシキ610がたかしゃ)は、1962年(昭和37年)から1976年(昭和51年)にかけて5両が製造された日本国有鉄道の大物車である。
概略
[編集]日本車輌製造支店で1962年(昭和37年)6月20日から1976年(昭和51年)4月12日にかけて5両が製造された大型の変圧器を輸送するための貨車である。積載方法は吊り掛け式で、最大で240 t または、235 t までの変圧器を搭載することが出来る。車籍は当初日本国有鉄道であったが、1987年(昭和62年)の国鉄分割民営化に際しては、シキ612を除く4両の車が日本貨物鉄道(JR貨物)へ継承された。
構造
[編集]外見的にはシキ600形と酷似しており、ほとんど区別をつけることはできない。荷受梁はシキ600形と同様にガーダー構造を採用している。台車は釣合梁式3軸ボギー台車NC-4A形を合計8台24軸備えている。空気ブレーキはK弁とUC形シリンダーを組み合わせた手動積空切り替え方式のものである。
荷受梁は交換可能な構造となっている。荷受梁は2種類あり、東芝・日立製作所・富士電機の3社用のものをB1梁、三菱電機用のものをB2梁として区別する。これは、前者3社用の荷受梁のヒンジ形状が同じであったが、三菱電機用のもののみヒンジ形状が違っていたためである。
車体長(空車時) | 最大積載重量 | |
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B1梁 | 32,210 mm | 240 トン |
B2梁 | 33,100 mm | 235 トン |
B1梁・B2梁装着時の違いは上の表の通りである。どちらも、運転最高速度は空車時75 km/h、積車時45 km/hである。
変遷
[編集]トップナンバーのシキ610は、1962年(昭和37年)6月20日に製造された240 t積み吊り掛け式大物車で、東芝所有の私有貨車である。その後、重電メーカーが所有する変圧器輸送用の大物車は輸送頻度が少なかったことから、各社で大物車を共通利用することになり、日本通運所有の大物車としてシキ611からシキ614までが製造された。まず、シキ611用のB1梁・B2梁(シキ611B1・シキ611B2)が1971年(昭和46年)6月11日に製造され、続いて1973年(昭和48年)1月19日にシキ611B2を一旦除籍して、この梁に組み合わせる下回りを新規に製作してシキ612とした。同年7月から8月にかけて、シキ612用のB1梁が製作されてシキ612B1となり、元のシキ612の梁がシキ612B2となるとともに、さらにB1梁のみのシキ613が製作された。1976年(昭和51年)4月12日にB2梁専用のシキ614が製作された。
- シキ610
- シキ611
- シキ612
- シキ613
- シキ614
- 落成時から西浜信号場常備で、2001年(平成13年)7月に廃車となった。
参考文献
[編集]- 吉岡心平『大物車のすべて 下』(初版)ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 93〉、2007年5月1日。ISBN 978-4-7770-5200-4。
- 吉岡心平『プロフェッサー吉岡の私有貨車図鑑』(復刻増補)ネコ・パブリッシング、2008年。ISBN 978-4-7770-0583-3。
- 日本国有鉄道車両設計事務所『私有貨車形式図』1971年。
脚注
[編集]- ^ 交通新聞社『トラベルMOOK 貨物列車の世界』p.140