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嘯亭雑録

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

嘯亭雜錄』(しょうていざつろく、拼音:xiàotíng zálù) は、清代に刊行された雑録。本編十巻と『嘯亭續錄』五巻の合計15巻で構成される。著者は汲修主人、 (本名) は愛新覚羅・昭槤で、ヌルハチの子孫にあたる。

道光初年以前に於ける政治、軍事、経済、文化、制度などの幅広い分野を詳しく網羅し、[注 1]正史 (實錄四庫全書など) の不足を補うものとして重要な文献の一つに数えられる。

刊行の経緯

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編者の昭槤は、ヌルハチの次子ダイシャンの昆孫、即ちヌルハチの仍孫[注 2]にあたる。嘉慶10年 (1805) に礼親王を承襲したが、同20年 (1815) に剥奪、監禁され、翌21年 (1816) に釈放されて、道光2年 (1822) に候補主事の職を与えられた。道光9年 (1829) に53歳で死去している。[1]

昭槤は文史 (伝記) を好み、有職故実に関心をもって草稿を書き溜めていたが、死後に多くが散逸した。

それから暫く経ち、光緒元年 (1875) に醇親王・奕譞 (溥儀の祖父) が『嘯亭雜錄』の原本を入手した。しかし全体的に雑然として読むに耐えなかった為、奕譞は昭槤の府邸に上がり込むと、原稿を蒐集し直し、新たにみつかった若干の原稿を併せて仔細に修正を加え、凡そ五箇月かけて整理した。それが『嘯亭雜錄』15巻である。[2]

光緒6年 (1880) の「九恩堂」本が現存し、1980年には中華書局 (北京) が点校本を出版した。[注 3]

各巻の内容

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雑録

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巻1

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序数 項目名
1 太宗
2 太宗讀金史
3 設間誅袁崇煥
4 用洪文襄
5 收孔、耿二王
6 世祖喀爾喀使者
7 世祖勤政
8 世祖善禪機
9 世祖畫牛
10 親定陵寢
11 聖祖鰲拜オボイ
12 論三逆
13 愛惜滿洲士卒
14 崇理學
15 易占
16 優容大臣
17 天文算法
18 不改常度
19 拜明孝陵
20 世宗居藩大度
21 世宗不興土木
22 理足國帑
23 寵待大臣
24 用顧成天
25 賞花釣魚
26 察下情
27 朱批諭旨
28 善禪機
29 杖殺優伶
30 禁抑宗藩
31 純皇初政
32 聖祖識純皇
33 西苑門習射
34 殺訥親
35 平西域
36 聽報
37 重經學
38 不忘本
39 重讀書人
40 普免天下租稅漕糧
41 善待外藩
42 土爾扈特來降
43 書無逸
44 不用內監
45 翻譯
46 不喜朋黨
47 至誠格天
48 友愛昆仲
49 孝親
50 用傅文忠
51 殺高恒
52 惡章攀桂
53 食魚羹
54 用福文襄
55 誅伍拉納
56 睿王
57 恩騎尉
58 綠營定世爵
59 哨鹿
60 松苓酒
61 答錢香樹奏折
62 純廟博雅
63 純廟賞鑒
64 內湖珠兆
65 今上待和珅ヘシェン
66 卻貢玉
67 辛酉工賑
68 虔禱風神
69 重朱文正
70 親骨肉

巻2

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序数 項目名
1 淳化帖
2 金元史
3 本朝文人多壽
4 本朝父子祖孫宰相
5 本朝狀元宰相
6 張魏公
7 國初定三院
8 本朝宗室輔臣
9 宗室科目
10 宗室詩人
11 置封樁庫
12 形勢
13 吳春麓語
14 旭亭家書
15 德濟齋夫子
16 醉公
17 泰定帝
18 朱清張瑄
19 國初官制
20 漢軍初制
21 國初尚右
22 三王旗纛
23 王府屬下
24 先恭王家訓
25 經驗良方
26 先惠順王神力
27 宋太祖解兵權
28 宋武臣
29 五大臣
30 啟心郎
31 元順帝
32 劉藥村
33 劉孝廉
34 鄂爾奇短視
35 十王亭
36 漢軍各營旗纛
37 范文肅公厚德
38 成王書法
39 褚庫巴圖魯
40 徐文定公
41 史文靖公
42 馬彪
43 圖文襄公用兵
44 劉海峰
45 劉文正公之直
46 謝薌泉之疏闊
47 本朝內官之制
48 巴延三
49 楊武勲王ヤングリ
50 何溫順公
51 洪豁爾國
52 劉文清
53 衛司空
54 阿爾薩
55 橫閈侍郎
56 活佛掣簽
57 朱文端公救舒文襄
58 盛司寇
59 阿文成公用人
60 舒文襄公預定阿逆之叛
61 崇政殿
62 鄂西林用人
63 奎壯烈
64 雲梯
65 克勤郡王墓

巻3

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序数 項目名
1 記辛亥敗兵事
2 郭劉二疏
3 朱白泉獄中上百朱二公書
4 西域用兵始末
5 李壯烈戰跡

巻4

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序数 項目名
1 岳青天
2 昌齡藏書
3 馬壯節公
4 薩賴爾之叛
5 李昭信相公
6 烏提督
7 孝感之戰
8 王文雄
9 楊時齋提督
10 議政大臣
11 領侍衛府
12 湯文正
13 黃文襄
14 金川之戰
15 朱檢討上書事
16 王太倉上書事
17 佟襄毅伯
18 王文端
19 朱文正
20 李恭勤公
21 盛京五部
22 天津水師
23 關稅
24 廣賡虞之死
25 松相公好理學
26 吉制府之死
27 三姓門生
28 三文敬公攔駕
29 曹劍亭之諫
30 漢人任滿缺

巻5

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序数 項目名
1 緬甸歸誠本末

巻6

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序数 項目名
1 平定回部本末
2 臺灣之役
3 癸酉之變
4 滑縣之捷
5 廓爾喀之降
6 鑾儀衛
7 綠營虛銜
8 綠營功加
9 偽皇孫事
10 和王預凶
11 恒王置產
12 安王好文學
13 德濟齋建園亭
14 紅蘭主人
15 果恭王之儉
16 武虛谷
17 雒昂
18 梁提督
19 張文和之才
20 仲副憲

巻7

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序数 項目名
1 質王好音律
2 成將軍
3 洪稚存
4 伊將軍
5 錢文敏
6 阿司寇
7 孫文定公
8 尹文端公
9 陸中丞
10 徐中丞
11 裘文達公
12 傅閣峰尚書
13 顧總河
14 宋總兵
15 馬僧
16 王公降襲次第
17 王府官員制度
18 宗室小考
19 宗室婚嫁
20 宗室任職官
21 於文襄之敏
22 梁瑤峰
23 康方伯
24 嵇文恭公
25 尹閣學
26 完顏藩司
27 吳達善
28 圖學士
29 軍機大臣
30 三品任軍機大臣
31 軍機御史
32 高天喜
33 黃標
34 徐端
35 博爾奔察
36 張太監
37 恒公之清
38 木果木之敗
39 傅厚庵
40 愛公知人
41 木蘭行圍制度
42 宋延清
43 錢辛楣之博
44 蘇昌
45 佟國舅講左傳
46 陸雙全
47 漢軍用滿缺

巻8

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序数 項目名
1 內務府定制
2 堂子
3 額經略
4 劄克塔爾
5 西山活佛
6 法和尚
7 阿里瑪
8 三焦
9 秦腔
10 王樹勳
11 畫眉楊
12 魏長生
13 茅麓山
14 煙蘭小譜
15 喬道人
16 岳少保之死
17 毒死幕客
18 閔撫軍
19 李中丞
20 舒梁阿三公遠見
21 馬侯
22 信勇公
23 仙提督
24 富公
25 李毓昌
26 石倉十二代詩選
27 恒侍衛
28 傅文忠之謙
29 私造假印案
30 伊桑阿
31 盛京先朝舊物
32 洪文襄之降
33 黃文襄設幕館事
34 五國城
35 禮烈親王纛
36 桂香東侍郎
37 張若瀛
38 書劍俠事
39 洪文襄款客
40 張文端代作詩
41 高江村
42 內院筆帖式ビトヘシ
43 裕陵聞香
44 蔣文肅入場
45 陳提督
46 祿相公
47 亮總兵
48 超勇王
49 軍營之奢
50 李漱芳
51 俄羅斯オロシャ
52 熊志契
53 阿文成相度
54 蔡必昌
55 四神祠
56 蘇相國
57 楊誠齋軍門
58 信莊二王生命
59 先悼王善六合槍
60 欽訓堂博古
61 趙護衛
62 費武襄公知大體

巻9

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序数 項目名
1 寧王養菊
2 花老虎
3 穆富二將
4 和相善謔
5 趙泰安
6 自鳴葫蘆
7 三楊將軍
8 雞公山
9 先良王善知人
10 先良王大溪灘之捷
11 先修王善書
12 和真艾雅喀
13 玉甕
14 年羹堯之驕
15 太和門箭
16 王文簡公補諡
17 蓮筏
18 婁真人
19 戴學士
20 詩讖
21 詩龕
22 韓貞文先生
23 仁宦最速
24 仕宦最久
25 兄弟鼎甲
26 神童
27 諸葛顯聖
28 線量美人
29 蒜學士
30 煙洞山
31 神樹
32 滿洲跳神儀
33 滿洲嫁娶禮儀
34 海超勇
35 伊犁疆域
36 蒙古儒士
37 馬太傅
38 孔王祠
39 綠頭牌
40 膳牌
41 宗學
42 八旗官學
43 張鳳陽
44 老年科目
45 青年科目
46 吳留村
47 敬一主人
48 安南四臣
49 瞿圃狀元
50 張狀元
51 權責之淫虐
52 魁制府
53 伍彌相公
54 竇東皋
55 鮑海門
56 京師園亭
57 程魚門
58 松筠庵
59 趙忠湣公祠
60 成容若
61 甘嘯巖
62 賈筠城
63 姚姬傳之正
64 何義門
65 先禮烈王骹箭
66 楊文勤
67 謝濟世
68 永相公
69 金海住先生
70 英夢禪
71 海參領
72 費直義公
73 汪參軍
74 韓大任
75 趙勇略
76 拉傅二公
77 巴將軍
78 曹學士
79 都爾伯特

巻10

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序数 項目名
1 稗史
2 華山道士
3 笪侍御
4 南征小校
5 査相國
6 綠營增世襲
7 蔣欽
8 忠臣狎妓
9 李巨來夙慧
10 劉文定
11 劉武進相公
12 權臣奢儉
13 周文恭公語
14 滕郷勇
15 八大家
16 文體
17 權臣同列
18 三王絕技
19 書賈語
20 本朝理學大臣
21 滿洲二理學之士
22 古長城
23 海道
24 侍衛教場
25 異姓王
26 直恪公厚德
27 索家奴
28 王西莊復明
29 山舟書法
30 勇健軍
31 車騎營
32 帝王入獄
33 宮女四萬
34 索明二相博古
35 宋人後裔
36 三年喪
37 四布衣
38 本朝從祀
39 明非亡於黨人
40 三分書
41 折子
42 圖爾泰
43 朝鮮廢君
44 將軍
45 世祿品級祿米
46 三詔
47 岳威信始末
48 阿文成公用兵
49 義僕
50 衣衣道人
51 清寧宮
52 純皇愛民
53 理藩院
54 八旗之制
55 駐防
56 吳廷楨
57 賜奠
58 配享
59 郊勞
60 拉總憲神力
61 呼延碑
62 書法
63 葉副將
64 畢制府
65 湖北謠
66 八大王
67 土國寶
68 王述庵書
69 世俗之論
70 嘉慶初年督撫
71 嘉慶初年諫臣
72 苗氏婦
73 舒太夫人
74 紀曉嵐
75 用度奢費
76 噶禮母
77 方靈皋之直
78 青樓
79 應制詩
80 庚子火災
81 孫文靖
82 黑經
83 蘇州街
84 甘莊恪
85 書光顯寺戰事
86 章嘉喇嘛
87 江陰口談之誣
88 毛文龍之殺
89 兆武毅公
90 蔣生
91 袁子才江賦
92 憲皇用鄂文端
93 碩制府
94 姚制府
95 施青天
96 錢南園
97 荊州炮
98 稗史
99 季教諭
100 謝薌泉

続録

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巻1

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序数 項目名
1 純皇后之賢德
2 大雩
3 御營制度
4 袷祭捧帛,爵用近支王公
5 太廟用王府中太監
6 十五善射
7 曲宴宗室
8 廷臣宴
9 茶宴
10 山高水長殿看烟火
11 除夕上元筵宴外藩
12 大蒙古包宴
13 賜福字
14 賜荷包燈盏諸物
15 派吃跳神肉及听戲王大臣
16 大戲、節戲
17 端午龍舟
18 御前大臣
19 紅絨結頂冠
20 金黄蟒袍
21 香色定制
22 朝服龍團
23 四團龍補褂
24 大臣賜紫
25 宗室公賜紫
26 賜朝馬
27 黄馬褂
28 花翎、藍翎
29 親郡王賜三眼花翎
30 双眼花翎
31 外官賜花翎
32 賜奠
33 賜它羅經被
34 賜宅
35 清字經館
36 石經
37 千叟宴
38 宗室宴
39 北郊齋宮
40 親禱
41 射布靶
42 文臣射鹿
43 奏事處
44 蒙古事侍衛
45 常朝
46 萬寿節
47 本朝祧廟之制
48 荐新
49 射牲
50 皇后入廟之制
51 寿皇殿
52 安佑宮
53 皇史宬
54 皇上日閱實錄
55 喜起、慶隆二舞
56 武官乘轎
57 鷹狗處
58 上虞備用處
59 虎槍處
60 御槍處
61 善撲營
62 向導處
63 蒙古醫士
64 批本處
65 翻書房
66 上書房
67 南書房
68 如意館
69 廷寄
70 上諭館
71 國史館
72 本朝欽定諸書

巻2

[編集]
序数 項目名
1 韓旭亭
2 張雲汀
3 黃雅林
4 尤水村
5 超勇親王
6 褚筠心
7 寧秀生有髭
8 張漢潮渡漢江
9 稗事數則
10 王文靖
11 査初白
12 先恭王之正
13 張夫子
14 海神祠
15 佟昭毅
16 吳六奇
17 郭尚書
18 趙恭毅
19 費襄莊之殺活佛
20 百菊溪製府
21 李仲昭
22 李鴻賓
23 勒相公
24 金司寇
25 許壯烈
26 張總兵
27 成知州
28 劉文清語
29 佛典屬
30 劉鳳誥
31 德尚書
32 帽頭氈帽
33 明參政
34 劉清
35 小說
36 考據之難
37 明人論先烈王
38 定數
39 海超勇盜馬
40 郭汾陽逼娶妾
41 裔之多
42 本朝待外國得體
43 二逆少子
44 諳達
45 榮恪郡王
46 陳壽山
47 顧星橋
48 本朝富民之多
49 麻狀元
50 王文肅
51 陳文肅
52 王功偉

巻3

[編集]
序数 項目名
1 明史稿
2 曉屏相公
3 和相見縣令
4 質莊王義犬
5 伊總憲
6 胡桂畫
7 關槐
8 圖文襄公厚德
9 劉全母
10 王西莊之貪
11 鐵冶亭尚書
12 玉閬峰侍郎
13 蔣元亭侍郎
14 熊鉛山司寇
15 陸大司馬
16 彭氏科目之盛
17 鮑雙五侍郎
18 陶玨卿
19 慶丹年相公語
20 姚姬傳先生
21 楊升庵詩
22 福文襄王夫人
23 明太傅家法
24 蔡葛山相公
25 王鴻緒
26 朱文正宅湫隘
27 性情之偏
28 古史筆多緣飾
29 報應之爽
30 盜賊之訛
31 舒文襄公末節
32 年大將軍先兆
33 朱文正公之直
34 夜談隨錄
35 鬆相之謫
36 詩文澀體
37 服飾沿革
38 貴臣之訓
39 明相國
40 安三
41 明春二公論戰
42 朱檢討題詞
43 譎諫
44 流俗之言
45 置歲不用閏法
46 牧庵相國
47 李賡芸之死
48 刑部郎官
49 阿爾稗畫
50 煤駝御史
51 國朝詩別裁集
52 吳製府
53 瑚合庵
54 晝晦
55 孫文正取四城
56 法時帆謔語
57 睿忠王致史閣部書
58 洛翰
59 侍衛結銜之誤
60 魏柏鄉相公
61 乾隆初年督撫
62 初人物之盛
63 李御史
64 滿洲跳神儀合於禘祭
65 自鳴鍾
66 史書氏族
67 轉庵和尚
68 王奮威
69 佛言須彌山
70 和相後裔
71 名臣論識
72 湯義仍製曲
73 經羊運糧

巻4

[編集]
序数 項目名
1 內務府大員
2 董太傅
3 元代稗史
4 三元
5 蘇麻喇姑
6 完立媽媽
7 賽諸葛
8 吳堡破賊事
9 花王閣賸稿
10 鶯花小譜
11 檀欒卿
12 擬古詩
13 吳南溪
14 蔣香杜
15 陸侍御
16 泮庵破孜牙敦事
17 時帆之吝
18 博爾奔察
19 太廟後殿
20 鮑雙五選王李詩
21 油綠衣
22 王荊公
23 宋人戰績
24 蘇叔黨論田布
25 明大禮議
26 明世宗用人
27 海司空
28 犬吠御史
29 姚中丞
30 商太醫
31 王文僖
32 劉文恪
33 古今史闕
34 錢三元
35 吳穀人
36 王惕甫
37 宋人多用本朝故事
38 耶律文正之兄
39 史不可盡信
40 宋人譬寓
41 鬆相公
42 宋哲宗之明
43 呂聖功
44 楊武陵
45 國初詩人
46 玉亭相國
47 脫脫像
48 隨園先生
49 宗室積習
50 張茂修
51 恭勤愨
52 邱元清
53 副天保
54 瘟疫
55 兵部失印事
56 羅中丞
57 明文襄
58 陝西冤案
59 方榮升
60 宗人府土地祠
61 湯敦甫
62 元二臣
63 周簧鑒
64 曹進喜
65 慕容德
66 十六國春秋
67 理學盛衰
68 道光初年大吏
69 楊眉卿
70 姚公子
71 姚姬傳文集
72 吳雅中丞
73 王儕嶠
74 起義助關壯繆姓名
75 春秋後事跡多失載
76 記孫延齡事
77 京師王公府第
78 莫葆齋

巻5

[編集]
序数 項目名
1 明末風俗
2 齊次風
3 趙普
4 先母妃遺訓
5 程知節拜帖
6 宋儒習氣
7 和孝公主
8 定恭王
9 趙甌北
10 成哲王
11 慶僖王
12 朱勳
13 食幹臘
14 近代詩人
15 甲馬
16 秦檜主和
17 放翁詩
18 宋金形勢
19 薛國觀
20 信王榛
21 元史失實
22 納蘭太傅妻
23 恭順香
24 汪如淵
25 倭什布
26 顧亭林詩
27 祥德
28 葉文忠
29 賽將軍
30 劉清
31 唐若瀛
32 富將軍
33 黎襄勤
34 蔣因培
35 封神演義
36 李元亮
37 高子業詩
38 鬆湘圃之清
39 李頻剿襲詩句
40 莊信二王生命
41 姚姬傳集
42 後漢書
43 厚樸
44 宋金大臣見識優劣
45 盩厔之戰
46 孟珙
47 鄂中丞
48 伊中丞
49 遼代民書之制
50 宋人伐遼
51 崔浩
52 汪瑟庵
53 王勿庵
54 文遠皋原名寧,避改幹
55 曉嵐筆記事
56 史策互異
57 戴文端
58 徐健庵
59 章文簡

影響と誤謬

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影響

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魏源『聖武記』、李桓『國朝耆獻類徵』、趙爾巽清史稿』などはどれも本書から大量に引用している。[注 4]

また、本書では清朝貴族の横暴さについて直言して憚らず、たとえば巻9「權貴之淫虐」[3]には

雍正中、某宗室の家に西洋椅有り、街衢間に於て少艾をとめの有るを睹みかけ、即ち擄とらへ歸り、其の椅上に坐りて、意に任せて宣おほやけに淫し、其の人動轉する能はざりけりとなむ。
又た某公爵に其の家婢を淫す有り、〔家婢が〕從はざれば、鷄卵を以て其の陰戸を塞ぎて死に致らしめたり。
乾隆中、某駙馬の家巨富にして、嘗て其の婢を淫せども從はず、命じて裸にて雪中に置き僵死させけり。其の家、女婢を撻死うちころせしは無算にして、皆な牆穴より屍を棄て出だし、其の父母敢へて詰なじる莫し。後、卒つひ勞瘵[4]を以て死せり。

という記載がみられる。

誤謬

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事実誤認とみられる箇所も散見される。

例えば、巻2「本朝文人多壽」[5]には以下の通り都合15名の文人の享年[注 5]が記載されているが、この内の数名には年齢に大きな誤差がみられる。[注 6][注 7]

王弇州著《文人九厄》,使人閱之,索然氣盡。余按本朝文人多壽,可以證王之失。如王文簡公士禎七十七,朱竹彜尊八十四,尤西堂侗八十五,沈歸愚尚書德潛九十五,宋漫堂犖七十二,查初白慎行七十八,方靈臯苞八十二,袁簡齋枚八十二,錢辛楣大昕七十七,紀曉嵐尚書昀八十二,彭蕓楣尚書元瑞七十三、姚姬傳鼐八十四,翁覃溪方綱八十餘,梁山舟同書九十二,趙甌北翼八十二,四公至今猶存。

同じく巻2「啟心郎」[6]の下の記載について、黒龍江大学の副教授・沈一民氏は「以通曉國語之漢員為之」を誤りであると指摘している。[7]

國初,滿大臣不解漢語,故每部置啟心郎一員,以通曉國語之漢員為之。……

脚註

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  1. ^ 参考:维基百科「啸亭杂录」(翻訳元) より引用、典拠:李慈銘『越缦堂读书记』曰「阅《啸亭杂录》,所载国朝掌故极详。……考国故者,莫详于是书。」
  2. ^ 参考:ヌルハチ→代善ダイシャン→祜塞→傑書→椿泰→崇安→永恩→昭槤 (『愛新覺羅宗譜』より)。
  3. ^ 参考:维基百科「啸亭杂录」(翻訳元) より引用、典拠不詳。
  4. ^ 参考:维基百科「啸亭杂录」(翻訳元) より引用、典拠不詳。
  5. ^ 参考:维基百科「啸亭杂录」(翻訳元) には「……“本朝文人多壽”條,記文人共十五人之生卒年,……」とあるが、「生卒年」(生歿年) ではなく享年。
  6. ^ 参考:日本と中国のWikipedia (一部別サイト含む) に記載されているそれぞれの生歿年から享年を計算したところ、誤差が二歳以上 (二歳含む) の者は朱彝尊(80)、宋犖(80)、趙翼(87) の三人だけで、誤差一歳以上 (一歳含む) の者は、上記の者を除くと尤侗(86)、沈徳潜(96)、査慎行(77)、方苞(81)、銭大昕(76)、紀昀(81)、彭元瑞(72) の五人。つまり八人に一歳以上の誤差があることになるが、维基百科「啸亭杂录」(翻訳元) が引用している朱則杰『《嘯亭雜録》三條考辨』がどのような計算をしたのかは不明。尚、「八十余」とされている翁方綱は85歳。(*ここでは簡単に死歿年から出生年を引算し、月と日までは勘定に入れていない。また、そもそもリンク先のWikipedia自体に誤りがある可能性もある為、この誤謬についての記述は一旦消さずに遺す。)
  7. ^ 参考:维基百科「啸亭杂录」(翻訳元) より引用、典拠:朱則杰『《嘯亭雜録》三條考辨』。

典拠

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  1. ^ 愛新覺羅・昭連”. 愛新覺羅宗譜網. 2024年1月30日閲覧。 “《愛新覺羅宗譜》8冊乙四第3989頁記載:永恩長子-昭連(候補主事)承繼一子。乾隆41年丙申2月初7日寅時生,母繼福晋舒穆祿氏將軍綽爾多之女。嘉慶7年11月封不入八分輔國公,本月授散秩大臣,10年6月襲禮親王,20年11月緣事革去親王作爲閒散宗室圈禁空室,21年閏2月特旨放出空室,道光2年賞候補主事。道光9年己丑12月20日酉時卒,年54歲,嫡妻伊爾根覺羅氏大學士三保之女。”
  2. ^ “序”. 嘯亭雜錄. 不詳. "乙亥、春。醇邸得此篇、厭其蕪雜凌蠟、盡失其真、復求其諸其邸、又得若干篇、細加釐正、幷原稿、而刪節之編、次之。凡五閱月而成完書。" 
  3. ^ “權責之淫虐”. 嘯亭雜錄. 9. 不詳. https://zh.wikisource.org/wiki/嘯亭雜錄/卷九#權責之淫虐 
  4. ^ 中国語の「結核」の翻訳の由来”. 日本医事新報社 Japan Medical Journal. 日本医事新報社. 2024年1月30日閲覧。
  5. ^ “本朝文人多壽”. 嘯亭雜錄. 2. 不詳. https://zh.wikisource.org/wiki/嘯亭雜錄/卷二#本朝文人多壽 
  6. ^ “啟心郎”. 嘯亭雜錄. 2. 不詳. https://zh.wikisource.org/wiki/嘯亭雜錄/卷二#啟心郎 
  7. ^ 沈, 一民. “启心郎与清初政治”. 中華文史網. 国家清史編纂委員会 (中華人民共和国). 2024年1月30日閲覧。 “也许正是由于启心郎的职责转变,才会导致《啸亭杂录》的误记。”

出典

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関聯項目

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