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吉川大二郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

吉川 大二郎(きっかわ だいじろう、1901年明治34年)1月14日 - 1978年昭和53年)9月25日[1])は、日本法学者。専門は民事訴訟法学位は、法学博士(1947年)(学位論文「保全訴訟における裁判の効力」)。立命館大学名誉教授。元日本弁護士連合会会長。国際法曹協会名誉会長。1971年勲一等瑞宝章受章。

人物

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戦前から戦後のながきにわたり日本の民事手続法研究と実務をリードした[2]。特に民事執行・保全法に関する研究は吉川がこの分野のパイオニアとされる[3]。そのため吉川の考えは現在の民事執行法・保全法の基本的な考えとなっている。例えば、吉川以前は、保全訴訟において被保全権利の存在は審理の対象ではなかったが、吉川が被保全権利の存在は仮処分命令の発令要件であると唱えて以来、この考えが通説となっている[4]

吉川は私財を投じて、後進の育成と民事訴訟法学の発展に貢献した[5]。すなわち、吉川は民事訴訟法学会による国際学術交流について、兼子一とともにその費用を負担し、また昭和52年には民事訴訟法学会に1300万円を寄附している。この寄付金は現在は公益財団法人民事紛争処理研究基金として運用されている[6]。 また、自らが会長を務めた日本法律家協会に対しても多額の寄附を行っており、その寄付金は現在も吉川基金として運用されている[7]

1978年9月25日、食道静脈瘤のため京都桂病院にて死去。77歳[8]

来歴

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来歴は以下の通り[9]

著作

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単著

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  • 『強制執行法競賣法』(三笠書房、1925年)
  • 『身元保證法釋義』(大同書院.、1933年)
  • 『民事訴訟記録』(立命館大学出版部、1935年)
  • 『保全處分の研究』(弘文堂、1937年)
  • 『判例民訴教材』(立命館大学出版部、1939年)
  • 『保全處分判例研究』(立命館大学出版部、1940年)
  • 『保全訴訟の基本問題』(有斐閣、1942年、増補復刻版1952年)
  • 『強制執行法』(三笠書房、1942年)
  • 『強制執行法の諸問題』(日光書院、1942年)
  • 『勞働協約法の研究』(有斐閣、1948年)
  • 『強制執行法』(法律文化社、1949年、改訂版1958年)
  • 『勞働事件と假處分』(日本評論社、1952年)
  • 『判例転付命令法』(日本評論社、1957年)
  • 『假處分の諸問題』(有斐閣、1958年、増補版1968年)
  • 『判例保全処分』(法律文化社、1959年)
  • 『法曹遍歴』(法律文化社、1976年)
  • 『假處分の諸問題』(有斐閣、1958年)

共著

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記念論文集

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  • 『保全処分の体系 : 吉川大二郎博士還暦記念 上下巻』(法律文化社、1965年)(中田淳一編)
  • 『手続法の理論と実践 吉川大二郎博士追悼論集 上下巻』(法律文化社、1980年)(山木戸克己編)

脚注

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  1. ^ 『「現代物故者事典」総索引 : 昭和元年~平成23年 1 (政治・経済・社会篇)』日外アソシエーツ株式会社、2012年、418頁。
  2. ^ 中村宗雄「民事訴訟法學の過去及び現在 -その文獻と業績調査-」早稲田法学27巻2号160頁
  3. ^ 平野哲郎『実践民事執行法・民事保全法 第2版』(日本評論社、2013年)はしがき
  4. ^ 長谷部由紀子「保全訴訟と本案訴訟一両者の機能分担を中心として一」学習院大学法学会雑誌 35巻2号7頁脚注7
  5. ^ 中田淳一編『保全処分の体系 : 吉川大二郎博士還暦記念 上巻』はしがき
  6. ^ 「公益財団法人民事紛争処理研究基金の設立経過報告」http://mhk.or.jp
  7. ^ 「日本法律家協会平成26年度監査報告書」http://www.jpnba.or.jp/report/report_02new.pdf
  8. ^ 訃報欄 吉川大二郎(きっかわだいじろう=立命館大名誉教授、元日本弁護士会会長)『朝日新聞』1978年9月26日朝刊、13版、23面
  9. ^ 「故吉川大二郎名誉教授略歴・著作目録 」『吉川大二郎先生追悼論集』立命館法学141・142号745頁