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台湾民衆党

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
台湾民衆党 (2019年)から転送)
中華民国の旗 中華民国台湾)の政党
台湾民衆党
Tâi-oân Bîn-chiòng Tóng
 
主席中国語版 柯文哲
秘書長 周榆修中国語版
成立年月日 2019年8月6日
本部所在地 台北市中正区杭州南路一段27号2楼(力福龍璽)
立法院
8 / 113
(2024年2月1日現在)
地方議会席次
15 / 910
(2022年12月25日現在)
直轄市長市長の席次
2 / 22
(2022年12月25日現在)
党員・党友数
約32000人
(2024年2月1日現在)
政治的思想・立場 中道左派
社会自由主義
左派ポピュリズム
シンボル
公式サイト 台灣民眾黨 台灣民眾黨
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台湾民衆党(たいわんみんしゅうとう、中国語台灣民眾黨英語Taiwan People's Party、英略称:TPP[1])は、2019年8月6日に当時台北市長だった柯文哲により結成された、中華民国台湾)の政党である。党名は日本統治下で独立運動を展開した同名の政党に由来する。

2020年第十回中華民国立法委員選挙では5議席を獲得し、野党では中国国民党に次ぐ第2党となった[2]

2024年第十一回中華民国立法委員選挙では8議席を獲得した。これによって立法院で過半数を占める政党が存在しなくなり、民衆党自身はキャスティングボートを握ることとなった[3][4]

16歳以上であれば加入でき、他党に籍を置いたままの重複入党も可能としている[1]。民衆党は民主進歩党泛緑連盟)と国民党(泛藍連盟)の間の第三政治勢力(第三極)を自称している[5]

党史

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前史

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柯文哲は台湾大学附属病院の医師であったが、2006年以後メディアに注目されて有名になり[6]2014年台北市長選挙中国語版で無所属でありながら野党大連盟の候補者に選ばれ当選[7]。当時から泛藍にも泛緑にも属さない「白色」の政治家を自称し、民衆党設立前はしばしば民国党[8]親民党時代力量や無所属[9][10]などの藍緑二陣営外の候補者を支持した。

2019年7月17日、柯は中華民国総統選に出馬したい考えを公にし、実際に総統に選出されるのは難しいと認めながらも、「しかし、われわれはまだ "原子爆弾" を開発している」と述べた[11]。ここでいう「原子爆弾」は新政党を指していたとされている[12]。設立時メンバーの蔡壁如も後に、「柯氏を総統府に送り込む」ことが民衆党設立当初の目的であったと認めた[13]

2019年7月31日、蔡が柯の政党設立の意志について明かし、新党名は「台湾民衆党」になると公表した[14]。柯氏は8月1日に記者会見を開き、新党の設立理念を「以臺灣為名、以民眾為本,我們希望臺灣就是我們,我們就是民眾」[注 1]と説明した[15][16]

結党

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2019年8月6日、柯の60歳の誕生日に合わせ、民衆党は台湾大学附属病院の国際会議センターにて結党大会を行った[14]。結党時の党員数は111名であった。柯は民衆党の目標は台灣人の政治意識を喚起して台湾の政治風土を変革することにあると述べ[17][18][19]、初代党主席に就任した[20]

国民党所属の王金平と、国民党を支持する鴻海精密工業創業者の郭台銘は民衆党に祝花を送った[21]が、民進党は祝花や祝言を送らなかった[要出典]

2020年、第十回立法委員選挙に45名を擁立し158万票と5議席を獲得。早くも時代力量を抜いて第三党となった。しかし、柯はこれは第一党となって台湾政治を主導するに至る起点にすぎないとした[22]

2021年1月に第一回党代表大会を行い、8月に第一回党員大会を行った[23]

2022年地方選挙では、高虹安新竹市長に当選させたとともに、台北市4議席を含む計全国14席の議席を得た。無所属で金門県長に当選した陳福海も後に選挙以前から民衆党に籍を置いていたことを明かした[24]

2023年4月、迫る2024年総統選に向けて選挙対策委員会を招集し、「立法院の行政院長人事に対する同意権を復活させる(閣揆同意權)」や「立法院が総統を召喚して質疑することを可能とする」などの政見を発表した[25][26]。総統選では当初国民党との共闘・連立路線(藍白合作中国語版)を模索していたが、総統候補者をどちらの党から擁立するかなどの点で合意できず、結実しなかった[27]。2024年1月の総統選の結果、民進党の頼清徳が当選。柯は3位で落選したが、369万票を獲得した[28]。しかし、同1月の立法委員選(改選数113)では与党民進党が51議席、最大野党国民党が52議席といずれも過半数を確保できない中、民衆党は8議席を獲得、キャスティングボートを握ることとなった[29]

その後2024年8月、総統選の政治献金の会計報告に虚偽記載があったことが発覚し、その責任を取るとして党主席である柯が3か月間休職すると発表[30]。さらに、その柯が台北市長時代に開発業者から不正に金銭を受け取って容積率を引き上げた疑惑により、同年8月末には逮捕される事態となった[31]。大政党のカネの問題を批判しクリーンなイメージの強かった柯個人のカリスマ的人気に頼っていた政党だけに、1月時には22.5%だった支持率が8月20日発表分では13.7%に落ちるなど、「結党以来最大の苦難」と呼ばれる状況に陥っている[4]

理念・主張

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台湾民衆の利益福祉を優先すること、ならびに「民主、自由、多元、開放、法治、人権、マイノリティ保護、持続的開発」および台灣價值中国語版の具体的実現を目指す[20][32][18]

政治制度について

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  • 国債を減らし、将来世代に残さないようにすべき。藍緑両党を選挙に囚われてばら撒きすぎであると批判している[33]
  • 参政権の18歳への引き下げを支持[34]
  • 権力分立を推進し、政府の一体性を保つべき[35]。立法院の行政院長人事に対する同意権を復活させるべき[25]
  • 連立政権や政党間の連携・対話を推進すべき[36][25]

内政について

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  • エネルギー源を多様化し、太陽光発電と風力発電の不安定性を補うために他の再生エネルギーの比率を高める[37]台湾第四原子力発電所再起動に反対[38]
  • まず炭素費用、次に炭素税を導入し、環境保護、再分配、経済成長の三重効用を得るべき[39]
  • 家賃高騰を抑えるため、社会住宅の建設、住宅税制中国語版の改革、家賃情報の透明化を進めるべき[40][41]
  • 「デジタルデバイド」を改善して発展の地域格差を解消し、バイリンガル教育を強化する。職業教育の価値を再確立し、産業界と連携して科技大学や職業教育に新たな位置づけを与える。少子化の中で私立校の変革や廃校を指導する[42]
  • 長期的計画と持続的開発を強調すべき[43][44]

国防・外交について

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  • 両岸関係に関しては、「平和の主導権を握る」ことを原則として、「相互に認識し、相互に理解し、相互に尊重し、相互に協力する」ことで両岸の交流を促すべき[45]
  • 兵役改革を行い、軍事訓練を強化すべき。兵役期間延長を支持[46][47]
  • 米中対立が台湾に波及することを避け、現状を維持すべき[48]

選挙実績

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2020年高雄市長補欠選挙

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高雄市長選挙の得票分布。

2020年6月6日高雄市長韓国瑜の罷免が決定した。民衆党は当初、国民党と協力してどちらの党員でもない候補者を共同で支持することを期待しており、連携することを期待していた。しかし国民党が市議会議員の李眉蓁を擁立したため、高雄市議会議員で親民党所属の呉益政の高雄市長補選出馬を受け入れた[49]。8月15日の高雄市長補選で呉の得票は38960票(4.06%)に留まり、248,478票(25.90%)を獲得した国民党候補者の李眉蓁とともに、671,804票(70.03%)を獲得した民進党候補者の陳其邁に敗れた[50]

2020年高雄市長補欠選挙結果[51]
候補者番号 候補者名 性別[52] 生年[52] 政党 得票数 得票率 当落
1 陳其邁 1964 民主進歩党 671,804 70.03%
2 呉益政中国語版 1963 台湾民衆党 38,960 4.06%
3 李眉蓁中国語版 1979 中国国民党 248,478 25.9%

当日有権者数:2,301,597人、最終投票人数:962,826人(うち有効票959,242、無効票3,584)、最終投票率:41.83%[52]

脚注

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注釈

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  1. ^ おおまかに訳すと、「台湾を名とし、民衆を基とし、台湾がすなわち我々で、我々がすなわち民衆であることを望む」のような意味

出典

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  1. ^ a b 征戰天下 柯︰不分區提滿34席”. 自由時報 (2019年8月7日). 2019年8月7日閲覧。
  2. ^ “台北市長率いる「台湾民衆党」、野党第2党に=台湾・立法委員選”. 中央通訊社. (2020年1月12日). http://japan.cna.com.tw/news/apol/202001120003.aspx 2020年1月12日閲覧。 
  3. ^ 与党・民進党 立法院の選挙では過半数維持できず
  4. ^ a b 「台湾 第三勢力に陰り」『毎日新聞』2024年8月31日、朝刊。
  5. ^ 柯台北市長が新党結成=総統・立法委員選にらみ-台湾 2019年8月1日 時事通信
  6. ^ 搶救邵曉鈴/電話「遙控」病情 柯文哲:病情樂觀”. web.archive.org (2014年11月16日). 2014年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月12日閲覧。
  7. ^ “柯文哲與民進黨達共識 全力輔選、當選不入黨”. 自由時報. (2014年6月16日). オリジナルの2014年11月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141129025029/http://news.ltn.com.tw/news/politics/breakingnews/1032344 2014年11月19日閲覧。 
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外部リンク

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