コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

南北首脳会談

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
韓国での表記
各種表記
ハングル 남북정상회담
漢字 南北頂上會談
テンプレートを表示
北朝鮮での表記
各種表記
チョソングル 북남수뇌상봉
漢字 北南首腦相逢
テンプレートを表示

南北首脳会談(なんぼくしゅのうかいだん)は、大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の両首脳による首脳会談である。

第1回南北首脳会談(2000年6月)

[編集]

2000年6月13日から15日まで韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日総書記国防委員長)が朝鮮民主主義人民共和国の首都平壌で会談を行った。1948年朝鮮半島が南北に分断されて以来、両国の首脳が会すのは史上初であった[注釈 1]。会談の結果、6.15南北共同宣言が発表された。金大中による対北宥和政策である『太陽政策』の結実と言える。金大中はこの功績により、同年12月にノーベル平和賞を与えられた。

金正日は首脳会談直前の同年5月に最高指導者就任後の初外遊で中国を訪れており、中華人民共和国主席中国共産党中央委員会総書記江沢民と南北首脳会談の事前協議を行っていたとされる[1][2]

以後、離散家族の再会事業、大韓民国主催のスポーツ行事へ北朝鮮が参加するなど、民間レベルでの交流事業が本格化した。2000年の秋夕中秋)には金正日から韓国へ3トンのマツタケが贈られた[3]。また、朝鮮統一を見据えた南北交渉が進展し、分断されていた京義線東海線鉄道道路の再連結事業なども進められた。日本アメリカも雪解けムードに乗じて国交正常化交渉へ乗り出した。特に米朝関係は一挙に進展し、当時のマデレーン・オルブライト国務長官が訪朝、大統領訪朝による首脳会談の可能性すら囁かれた。

しかし2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領による「悪の枢軸発言」以降、アメリカによる北朝鮮敵視が明らかになると、南北首脳会談で生まれた協調ムードは再び緊張した。金正日の早期ソウル訪問も計画されていたが無期延期となった。このような圧力政策に押される中、北朝鮮は日本との関係改善に活路を見出し、2002年9月には日朝首脳会談が実現した。

また2003年2月には、南北首脳会談の直前に現代グループの手によって、4億ドルから5億ドルとも言われる違法な巨額の送金が北朝鮮に対してなされていた事実が判明した。中国の北京マカオ香港を経由[4]して金正日とその長男の金正男[5][6]や側近の張成沢[7]に渡ったとされる。これは送金の時期的に南北首脳会談の対価として北朝鮮側に渡された可能性が高く、特別検察官による捜査が開始されたが、捜査期限延長を盧武鉉大統領が許可しなかったことにより真相解明は中途半端なものになった。

第2回南北首脳会談(2007年10月)

[編集]

2007年10月2日から4日まで太陽政策を継承した韓国の盧武鉉大統領が北朝鮮の平壌を訪問して北朝鮮の金正日総書記と会談を行った。「10・4宣言」が採択された。

第3回南北首脳会談(2018年4月)

[編集]
第3回南北首脳会談に臨む韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(2018年4月27日撮影)

2018年4月27日に韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長板門店の韓国側施設「平和の家」で第3回南北首脳会談を行った。北朝鮮の首脳が軍事境界線を超えて韓国側入りしたことは史上初である。

第4回南北首脳会談(2018年5月)

[編集]

2018年5月26日に韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長板門店の北朝鮮側施設「統一閣」で第4回南北首脳会談を行った。

第5回南北首脳会談(2018年9月)

[編集]

2018年9月18日から19日にかけて韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は平壌朝鮮労働党中央委員会本部庁舎[8]百花園迎賓館朝鮮語版[9]で第5回南北首脳会談を行った。

首脳会談終了後の9月20日には両首脳が両江道白頭山に登頂した。朝鮮民族の聖地[10]とされる一方、北朝鮮では『革命の聖地』とされる白頭山に韓国大統領が登頂したのは史上初である[11][12]

脱北外交官による評価

[編集]

北朝鮮側は首脳会談時に統一戦線部長一人だけを同席させている[注釈 2]。これについて外交官出身の脱北者は「嘘をつく様子を(北朝鮮側の)複数の人間に見せたくなかったから」として嘘をついているからだと指摘している。北欧の某国の首脳との単独会談に同席したことのある脱北外交官は、金正日総書記が会談で北欧の首脳に「改革・開放」を求められた際に、「その通りだ。われわれには改革が必要だ」と素直に受け入れる振りをしていたのを見ていたと明らかにした[13]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 1994年には韓国の金泳三大統領と北朝鮮の金日成主席(肩書はいずれも当時)による首脳会談が予定されていたが、金日成の死去に伴って中止された。
  2. ^ なお、2018年4月の南北首脳会談では、金正恩の実妹・金与正(肩書は朝鮮労働党中央委員会宣伝扇動部第一副部長)も同席している。

出典

[編集]
  1. ^ “金正日総書記訪中日誌”. 中央日報. (2010年4月1日). https://japanese.joins.com/JArticle/127771 2018年2月4日閲覧。 
  2. ^ “金正日の訪中の目的が以前とは正反対”. デイリーNK. (2010年4月1日). https://dailynk.jp/archives/8839 2018年2月4日閲覧。 
  3. ^ “【社説】北朝鮮から贈られたマツタケに隠された涙”. 朝鮮日報. (2007年10月11日). オリジナルの2007年10月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071011005825/http://www.chosunonline.com/article/20071011000001 
  4. ^ 「南北首脳会談の際、北に4億ドル送金」波紋呼ぶ疑惑”. 東亜日報 (2002年9月26日). 2018年2月4日閲覧。
  5. ^ 激動!!北朝鮮・韓国そして日本 歴史的必然と日本の選択 第5章. 実業之日本社. (2013年5月). ISBN 978-4-408-10994-7 
  6. ^ 【取材日記】マカオの金正男に注目する理由”. 中央日報 (2011年12月30日). 2018年2月4日閲覧。
  7. ^ 金大中政権が北へ送った秘密資金は核開発などに使われた!”. 統一日報 (2009年3月6日). 2018年2月4日閲覧。
  8. ^ “金正恩氏 本気示す?=朝鮮労働党本庁で南北首脳会談”. 聯合ニュース. (2018年9月18日). https://m-jp.yna.co.kr/view/AJP20180918005200882 2020年5月1日閲覧。 
  9. ^ “2日目の南北首脳会談は平壌の百花園迎賓館で 文大統領の宿泊先”. 聯合ニュース. (2018年9月19日). https://m-jp.yna.co.kr/view/AJP20180919001700882 2020年5月1日閲覧。 
  10. ^ “南北首脳が「白頭山」訪問 朝鮮民族の「聖地」”. 日本経済新聞. (2018年9月19日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35524400Z10C18A9EA2000/ 2020年5月1日閲覧。 
  11. ^ “【南北首脳会談】両首脳が「革命の聖地」白頭山登山、最後までサプライズ接待で韓国取り込み”. 産経新聞. (2018年9月20日). https://www.sankei.com/article/20180920-V3MEPERQXJJGZKSY7CVV2K2RYM/ 2020年5月1日閲覧。 
  12. ^ “南北首脳、白頭山を訪問 北朝鮮の「聖地」”. 日本経済新聞. (2018年9月20日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35556060Q8A920C1EAF000/ 2020年5月1日閲覧。 
  13. ^ “【萬物相】韓国政府の金正恩礼賛”. 朝鮮日報. (2018年3月8日). オリジナルの2018年3月8日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/88R6L 

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]