南カリフォルニア大学
University of Southern California (USC) | |
モットー | Palmam qui meruit ferat (ラテン語) |
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モットー (英語) | Let whoever earns the palm bear it |
種別 | 私立、研究大学 |
設立年 | 1880年 |
資金 | $8.1 billion (2021)[1] |
予算 | $6.2 billion (2021)[2] |
学長 | Carol Folt[3] |
教員数 | 4,361人[2] |
職員数 | 15,235人[2] |
学生総数 | 45,687人[4] |
学部生 | 19,170人[4] |
大学院生 | 26,517人[4] |
所在地 |
アメリカ合衆国 カリフォルニア州ロサンゼルス 中心地 |
キャンパス |
都市部 University Park campus 299エーカー (1.21 km2) Health Sciences campus 79エーカー (0.32 km2)[5] |
スクールカラー |
USCカーディナル, USCゴールド[6] |
ニックネーム | トロージャンズ |
マスコット | Traveler[7] |
スポーツ関係の 提携関係・加盟団体 |
NCAA Division I FBS – Pac-12 ACHA (ice hockey), MPSF |
公式サイト |
www |
南カリフォルニア大学(みなみカリフォルニアだいがく、英称:University of Southern California USC)は、カリフォルニア州最大の都市ロサンゼルスの中心地に位置し、カリフォルニアで最も古い総合私立大学である。1880年に設置された。サザン・カリフォルニア大学とも呼ばれる。
全米屈指の名門校であり、最難関クラスに位置している。公共政策、工学、経営学では全米トップ15前後、法学、医学では全米トップ20前後、映画学においてはほぼ全てのランキングにおいて全米第1位を誇っており、USCケック医学校を擁する医療では、スタンフォード大学やイエール大学の付属病院と並ぶ世界的な医学研究の拠点となっている[8][9]。デューク大学、スタンフォード大学などとともにヒドゥン・アイビーに数えられる。
11人のローズ奨学者と12人のマーシャル奨学者が卒業生の中に含まれる[10][11]。2021年1月時点で、10人のノーベル賞受賞者、6人のマッカーサー・フェロー、および1人のチューリング賞受賞者が大学に加盟している。2018年5月以降、億万長者となった29名の卒業生に学位を授与している[12]。卒業生の中には、人類で初めて月面に降り立ったアポロ11号の宇宙飛行士ニール・アームストロング、スター・ウォーズやインディ・ジョーンズの製作ジョージ・ルーカスがいて[13][14]、日本では安倍晋三と三木武夫首相が在学した大学としても知られている[15]。USCは、世界の他のどの機関よりもアカデミー賞を受賞した卒業生を多く輩出している[16]。その特色から、非常に多くの映画人、経営者、そして宇宙飛行士を輩出しており、実に15人もの宇宙飛行士がこの大学の卒業生である。
また、オリンピックのメダリストおよび金メダリストの数は世界の大学の中で一番多く、トップレベルで活躍するアスリートも多くいる[17][18]。
大学の特色
[編集]USCの校訓は、Palmam Qui Meruit Ferat "let whoever earns the palm bear it"。創立者は、ロバート・M・マクレイである。
ロサンゼルス・ダウンタウンの南にあるロサンゼルスオリンピック会場の隣にメインキャンパス (University Park Campus) があり、他に医学部などが入るHealth Sciences Campus (HSC)、情報工学系研究機関のUSC Information Science Institute (USC-ISI) 等からなる。ジョージ・ルーカス、ロバート・ゼメキス、ロン・ハワード、ブライアン・シンガー、ジョン・カーペンターなどの著名な監督を輩出した全米最古のフィルムスクールである映画芸術学部(USC School of Cinematic Arts)、ビタビアルゴリズムの考案者であり、クアルコム社 (Qualcomm) 共同設立者のアンドリュー・ビタビなどが卒業生に名前を連ねる。全米で映像関連の教育機関である映画芸術学部をはじめ、学部生向けの良質な高等教育を提供する大学と言う側面に加えて、後述するISIを擁するなど、工学系研究機関としての側面も持っている。東京工科大学との提携により、「ロバート・ゼメキス・センター」内に「東京工科大学ディジタル・スタジオ・システムズ・ラボ」が設置されている。
また、カリフォルニア州マリナ・デル・レイにあるISIは、IPアドレスなどを管理するInternet Assigned Numbers Authority (IANA) の運営者でもあり、ネットワーク研究を行っている。TCP/IP、DNSといった今日のネットワークの基幹をなすこれらの技術の誕生にも、この研究所が重要な役割を果たしている。インターネットのアーキタイプといえるアメリカ国防総省によるアーパネットプロジェクトを運営、管理していたという歴史もある。また、グリッドコンピューティングのインフラとしてよく使われるGlobus Toolkitも、National Center for Supercomputing Applications (NCSA) などとの共同プロジェクトである。なお、インターネットの基幹技術の開発、標準化に貢献をし、時に「インターネットの神様」と呼ばれるジョン・ポステル博士は、1998年に亡くなるまで、この研究所に在籍していた。
USCは、数学や計算機科学の手法を分子生物学の世界にいち早く持ち込み、「バイオインフォマティクス(生命情報科学)の父」とも言われるウォーターマン博士もこの大学に在籍し、近年、生物学・医学・数学・計算機科学などの分野が協調して研究を行うための新しいビルが建設されるなど、総合大学の特性を生かした学際的研究も盛んである。
2019年度の合格率は11%。2018年度の合格者の平均GPAは3.90(4.0点満点)、SATの平均値は1400-1530点(1600点満点)であった[19]。2010年の判決で、「USC」と「SC」は、他の大学が使用できないトレードマークとなった[20][21]。
ランキング
[編集]学部課程ランキング
[編集]- QS世界大学ランキング USA (全米大学総合ランキング): 第15位(2020年度)[22]
- タイムズ・ハイアー・エデュケーション(全米大学総合ランキング): 第17位(2019年度)[23]
- US NEWS National Universities Ranking(全米大学総合ランキング): 第22位(2020年度)[24]
- CWUR世界大学ランキング : 第44位(2019年度) [25]
- 世界大学学術ランキング: 第55位(2019年度)[26]
- US NEWS Best Undergraduate Business Programs(全米学士ビジネスプログラムランキング): 第10位(2019年度)[24]
専門大学院
[編集]- 公共政策大学院(USC Price):第15位[27]
- 工学大学院:第15位[27]
- 法科大学院(USC Gould):第16位[27]
- 経営大学院(USCマーシャル・スクール・オブ・ビジネス):第17位[27]
- 医学大学院(USCケック医学校):第28位[27]
その他ランキング
[編集]スポーツ
[編集]USCの学生スポーツチームは「USCトロージャンズ」と呼ばれ、大学マスコットとして大学構内にはトロイの木馬の戦士の銅像「トミー・トロージャン」が飾られている。
USCトロージャンズはパシフィック12カンファレンスに属し、全チーム合計で全米選手権において122回制覇している。347人がNCAA(全米大学体育協会)チャンピオンに輝いており、スポーツ界においては全米一の実績がある。アメリカンフットボールにおいては10度ナショナルチャンピオンになっており全米一を誇っている。
オリンピックでは、1912年以来毎回ゴールドメダリストを誕生させている世界唯一の大学でもある。金メダルの総獲得数は135個で、1つの大学の獲得数が世界の国の中では12番目に位置する。ロンドンでの金メダルは14個。
同じロサンゼルスに所在するカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)とは、学業面も含めてライバル関係にあり、アメリカンフットボール対抗戦では毎年恒例のノートルダム大学戦が有名である。USCのマーチングバンドはアメリカンフットボールの試合等全米テレビに中継される機会が多く、ファイトソング等はアメリカンフットボールファンの耳に焼き付いており非常に有名である。2005年に東京、2008年にはブラジルのリオデジャネイロにマーチングバンドチームが海外遠征して街中でパレードを行った。
主な卒業生
[編集]- 人類最初の月面着陸を行ったアポロ11号のニール・アームストロング船長は、 USCの卒業生である(工学修士。2005年にはその功績から、名誉博士号が授与された)。黒人初の米国航空宇宙局 (NASA) 局長、チャールズ・ボールデンは1977年に修士号を取得。
- 実業界:Apple共同創始者のマイク・マークラ、セールスフォース創始者のマーク・ベニオフ、クアルコム共同設立者のアンドリュー・ビタビ、キンコーズ創業者のPaul Orfalea、ロサンゼルス・レイカーズオーナーのジェリー・バス、など、多くの経営者を輩出している。アシストの代表取締役社長ビル・トッテンは経済学博士号を取得している。台湾で元エバー航空董事長を務めスターラックス航空を設立した張國煒は経済学学士修了[29]。
- エジプトの大統領ムハンマド・ムルシーは工学博士号を取得している。
- アメリカ史上初のセカンドジェントルマン、ダグ・エムホフは法務博士号を取得している。
- スポーツ:オリンピックの代表選手や金メダル選手を毎回送り出している。陸上競技に関しては、アリソン・フェリックスやマイケル・ノーマンなどが当てはまる。また、野球においては、元千葉ロッテマリーンズ監督のボビー・バレンタインも卒業生である。
- 映画:ジョージ・ルーカス、ロバート・ゼメキス、ロン・ハワード、アルバート・S・ラディ他。
- テレビ:ションダ・ライムズ、エリック・クリプキ他。
- 音楽:ジェリー・ゴールドスミス、ジェームズ・ホーナー、マルコ・ベルトラミなど多数の映画音楽家がUSCの卒業生である。またアメリカのロックバンド、オフスプリングのボーカル兼ギタリストであるデクスター・ホーランドは同大学で精神医学を専攻していた。
- 高崎一郎(『オールナイトニッポン』『レディス4』等のプロデューサー兼パーソナリティー、音楽評論家、通訳)は青山学院大学からの留学。
- 建築:卒業生ではフランク・ゲーリーとトム・メインが有名。
- 俳優:ジョン・ウェインも一時期この大学に在籍した(財政的理由にて中退)。
- 軍人:湾岸戦争で多国籍軍を指揮したノーマン・シュワルツコフ司令官(当時は陸軍大将・中央軍司令官)は大尉時代に大学院にて航空工学の修士号を修得した。
- 国際政治:攻撃的現実主義の主要な論者ジョン・ミアシャイマー(シカゴ大学教授)は当該大学にて修士号を取得している。
- 日本の政治家:二階堂進、三木武夫。安倍晋三は1978年に入学し、外国人向けの英会話コースを履修した後、1979年に中退した[要出典]。佐藤啓(参議院議員)
- 日本の実業家:中内正、民秋史也、関本雅一。マダム・ホーは、2008年にUSC顧問に就任した。
- 日本の研究者:青柳宏、板津木綿子、谷岡一郎、堺三保、田中義郎、道又爾、森谷敏夫。
著名な教授
[編集]- ジョージ・オラー - 化学者、ノーベル化学賞受賞者
- アリー・ウォーシェル - 化学者、ノーベル化学賞 受賞者
- レオナルド・エーデルマン - コンピュータ科学者、RSA暗号発明への貢献によりチューリング賞受賞。エーデルマン教授は他にも、DNAコンピュータの発明者としても知られている。
- Michael Waterman - 分子生物学者、Smith-Watermanアルゴリズム開発者
- 五嶋みどり - バイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツ記念教授
- マニュエル・カステル - 社会学者、専門は都市社会学
- スティーヴン・トゥールミン - 哲学者
- ソロモン・ゴロム - 数学者、情報工学者
- リチャード・E・ベルマン - 応用数学者、動的計画法考案者
- 真木和美 - 物理学者
- 安芸敬一 - 地震学者
- 片田さおり - 国際政治経済学者、世界国際関係学会副会長
- ダニエル・マクファデン - 経済学者、ノーベル経済学賞受賞者
- ジェームズ・ヘックマン - 経済学者
- ジャン=ジャック・ラフォン - 経済学者
- マレー・ゲルマン - 物理学者、ノーベル物理学賞受賞者
日本の学生交流協定校
[編集]脚注
[編集]- ^ as of June 30, 2021. “Facts and Figures”. USC. 2023-02-228閲覧。
- ^ a b c “Facts and Figures”. USC. 2023-02-228閲覧。
- ^ “Administration”. USC. 2019年7月2日閲覧。
- ^ a b c “ENROLLMENT AND PERSISTENCE”. USC. 2018年4月25日閲覧。
- ^ “Visit USC”. 2019年7月31日閲覧。
- ^ “Brand Colors”. University of Southern California, Los Angeles. 2019年7月31日閲覧。
- ^ “USC Traveler”. University of Southern California. 2016年10月4日閲覧。
- ^ https://health.usnews.com/health-care/best-hospitals/articles/best-hospitals-honor-roll-and-overview
- ^ “2019-20 Best Hospitals Honor Roll and Medical Specialties Rankings” (英語). US News & World Report. 2022年5月13日閲覧。
- ^ https://ahf.usc.edu/fellowships/rhodes/
- ^ https://ahf.usc.edu/fellowships/marshall/
- ^ https://www.cnbc.com/2018/05/18/the-universities-that-produce-the-most-billionaires.html
- ^ http://dailytrojan.com/2012/08/25/astronaut-usc-alumnus-neil-armstrong-dead-at-82/
- ^ https://cinema.usc.edu/alumni/notable.cfm
- ^ “学校概要: 南カリフォルニア大学”. University of Southern California. 2020年5月22日閲覧。
- ^ https://studysoup.com/blog/lifestyle/where-students-dream-in-gold-the-top-ten-schools-with-oscar-winners/
- ^ http://grfx.cstv.com/photos/schools/usc/genrel/auto_pdf/2012-13/misc_non_event/usc-all-time-olympians.pdf
- ^ https://web.archive.org/web/20140324114323/http://blog.chegg.com/2014/02/07/these-colleges-have-the-most-olympic-medals-ever/
- ^ “First-Year Student Profile and Admission Information 2018 - 2019” (pdf). University of Southern California. 2019年8月2日閲覧。
- ^ https://latimesblogs.latimes.com/lanow/2010/01/would-a-reasonable-person-confuse-a-usc-logo-on-a-garnet-and-black-ball-cap-in-columbia-south-carolina-with-the-same-letter.html
- ^ https://www.laweekly.com/usc-trojans-wins-trademark-victory-against-er-usc-gamecocks/
- ^ “QS USA Rankings 2020” (英語). Top Universities (2020年3月11日). 2020年5月22日閲覧。
- ^ “Wall Street Journal/Times Higher Education College Rankings 2019” (英語). Wall Street Journal. ISSN 0099-9660 2019年6月29日閲覧。
- ^ a b “University of Southern California Overall Rankings”. US News Best Colleges. U.S. News & World Report. 2019年8月2日閲覧。
- ^ “CWUR - World University Rankings 2019-2020”. cwur.org. 2020年6月19日閲覧。
- ^ “ARWU World University Rankings 2019 | Academic Ranking of World Universities 2019 | Top 1000 universities | Shanghai Ranking - 2019”. www.shanghairanking.com. 2020年5月22日閲覧。
- ^ a b c d e “University of Southern California”. Overall Rankings. U.S. News & World Report. 2019年8月2日閲覧。
- ^ “Top 20 universities for producing billionaires” (英語). Times Higher Education (THE) (2014年11月20日). 2020年5月22日閲覧。
- ^ 人物側寫-張國煒愛上加州 規劃飛校”. 中国時報 (2013年9月20日). 2019年9月21日閲覧。 “
外部リンク
[編集]- University of Southern California(英語版)
- University of Southern California's Information Sciences Institute (ISI)
- The Daily Trojan(英語版) 学生新聞
- KSCR(英語版) 学生運営によるラジオ放送局
- Trojan Vision(英語版) 学生運営によるテレビジョン放送局
- USC athletics(英語版) 大学スポーツチーム