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アメリカ合衆国のセカンドレディ・セカンドジェントルマン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
セカンドレディ・ジェントルマン
Second Lady / Gentleman
of the United States
庁舎オブザーバトリー・サークル1番地
初代就任アビゲイル・アダムズ
創設1789年4月30日
ウェブサイトWhiteHouse.gov

アメリカ合衆国のセカンドレディまたはセカンドジェントルマン英語: Second Lady of the United States; SLOTUSSecond Gentleman of the United States; SGOTUS)は、通例アメリカ合衆国副大統領の配偶者を指す非公式な呼称。主にアメリカ合衆国大統領夫人の非公式な呼称であるファーストレディと相対的に関連付けられて呼称される。

現在のセカンドジェントルマンは、ダグ・エムホフカマラ・ハリス副大統領の夫:2021年1月20日 - )。

アメリカ合衆国副大統領配偶者の公的な影響力は、20世紀後半から21世紀前半にかけて多少なりとも高まってきている。アメリカ合衆国の草創期にはホワイトハウスのホステスとしてのファーストレディの役割はすでに存在していたが、副大統領配偶者がマスメディアの大きな注目を集める公共の役割を引き受けることは20世紀後半になるまであまり一般的ではなかった。

出身

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WASPの女性が在任していたが、2009年ローマ・カトリックジル・バイデンが在任して、2021年にはユダヤ人の男性のダグ・エムホフが在任する。

歴史

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アンドリュー・ジャクソン政権下で発生した社会的・政治的スキャンダル「ペティコート事件英語版」では、フローリデ・カルフーン英語版(第7代副大統領ジョン・カルフーン夫人)が中心人物として暗躍した。マーガレット・オニール・イートン陸軍長官ジョン・ヘンリー・イートン夫人)を他の閣僚夫人たちは淫らな女と見なし、彼女が露出の多いドレスで舞踏会に登場するとみな退散し、社交界から締め出そうとした。この夫人たちの動きを主導したのがフローリデ夫人であった。ジャクソンは大統領退任後も影響力を保ち、妻が主導した争いによってジャクソンから嫌われたカルフーンは大統領への道を閉ざされた[1]

ネリー・フェアバンクス英語版(第26代副大統領チャールズ・W・フェアバンクス夫人)は熱心な婦人参政権運動家として知られ、当時としては珍しく非常によく知られたアメリカ人女性の一人であった[2]

ジョーン・モンデール(第42代副大統領ウォルター・モンデール夫人)は美術の振興に一生をささげたために親しみを込めて「Joan of Art」と呼ばれ、ジミー・カーター政権下で事実上の美術顧問を務めた[3]

ティッパー・ゴア(第45代副大統領アル・ゴア夫人)は暴力的あるいは性的に露骨な歌詞が含まれる音楽を批判してその規制を目指した「PMRC」の共同設立者の一人であり[4]、すでに青少年を取り巻く社会環境に警告を発する本を出版してこれがベストセラーになっていたため、ゴアが1988年アメリカ合衆国大統領選挙に出馬した時点では夫より知名度が高いと言われていたほどであった[5]

リン・チェイニー(第46代副大統領ディック・チェイニー夫人)はセカンドレディ在任中にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で策定された子供たちの歴史学習のための国家基準について「アメリカがこれまで達成してきた偉業について十分に肯定的であるとは言えない」という理由で反対したため、アメリカ合衆国教育省は彼女の意見を受け入れてUCLAの基準に沿った記述を削除した[6]

ジル・バイデン(第47代副大統領ジョー・バイデン夫人)はバージニア州北部コミュニティ・カレッジ英語版(NOVA)で終身雇用准教授を務めている。セカンドレディになった後もそれ以前からの有給の仕事を続ける初のセカンドレディと見られている[7]

セカンドレディ・セカンドジェントルマンの一覧

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公式代数 画像 セカンドレディまたはセカンドジェントルマン 副大統領 生誕年と死没年 任務期間
1 アビゲイル・アダムズ
旧姓スミス
ジョン・アダムズ 1744年11月11日-
1818年10月28日
1789年4月30日-
1797年3月4日
空席; トマス・ジェファーソン トマス・ジェファーソン は妻と死別していた。 1797年3月4日-
1801年3月4日
空席; アーロン・バー は妻と死別していた。 1801年3月4日-
1805年3月4日
空席; ジョージ・クリントン は妻と死別していた。 1805年3月4日-
1812年4月12日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1812年4月12日-
1813年3月4日
2 アン・ゲリー英語版
(旧姓トンプソン
エルブリッジ・ゲリー 1763年8月12日-
1849年3月17日
1813年3月4日-
1814年11月23日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1814年11月23日-
1817年3月4日
3 ハンナ・トンプキンズ英語版
(旧姓ミンソーン
ダニエル・D・トンプキンズ 1781年8月28日-
1829年2月18日
1817年3月4日-
1825年3月4日
4 フローリデ・カルフーン英語版
(旧姓ボノー
ジョン・C・カルフーン 1792年2月15日-
1866年7月25日
1825年3月4日-
1832年12月28日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1832年12月28日-
1833年3月4日
空席; マーティン・ヴァン・ビューレン は妻と死別していた。 1833年3月4日-
1837年3月4日
空席; リチャード・メンター・ジョンソン は未婚だった。 1837年3月4日-
1841年3月4日
5 レティティア・タイラー英語版
(旧姓クリスチャン
ジョン・タイラー 1790年11月12日-
1842年9月12日
1841年3月4日-
1841年4月4日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1841年4月4日-
1845年3月4日
6 ソフィア・ダラス英語版
(旧姓ニックリン
ジョージ・M・ダラス 1798年6月24日-
1869年1月11日
1845年3月4日-
1849年3月4日
7 アビゲイル・フィルモア
(旧姓パワーズ
ミラード・フィルモア 1798年3月13日-
1853年3月30日
1849年3月4日-
1850年7月9日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1850年7月9日-
1853年3月4日
空席; ウィリアム・R・キング は未婚だった。 1853年3月4日-
1853年4月18日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1853年4月18日-
1857年3月4日
8 メアリー・ブレッキンリッジ英語版
(旧姓サイリーン・バーチ・ローズ
ジョン・C・ブレッキンリッジ 1826年8月16日-
1907年10月8日
1857年3月4日-
1861年3月4日
9 エレン・ハムリン英語版
(旧姓エメリー
ハンニバル・ハムリン 1835年9月14日-
1925年2月1日
1861年3月4日-
1865年3月4日
10 エライザ・ジョンソン英語版
(旧姓マカーデル
アンドリュー・ジョンソン 1810年10月4日-
1876年1月15日
1865年3月4日-
1865年4月15日
11 エレン・マリア・コルファクス英語版
(旧姓ウェイド
スカイラー・コルファクス 1836年7月26日-
1911年3月4日
1869年3月4日-
1873年3月4日
空席; ヘンリー・ウィルソン は妻と死別していた。 1873年3月4日-
1875年11月22日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1875年11月22日-
1877年3月4日
空席; ウィリアム・A・ウィーラー は妻と死別していた。 1877年3月4日-
1881年3月4日
空席; チェスター・A・アーサー は妻と死別していた。 1881年3月4日-
1881年9月19日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1881年9月19日-
1885年3月4日
12 エライザ・ヘンドリックス英語版
(旧姓モーガン
トーマス・A・ヘンドリックス 1823年11月23日-
1903年11月3日
1885年3月4日-
1885年11月25日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1885年11月25-
1889年3月4日
13 アンナ・モートン英語版
(旧姓ストリート
リーヴァイ・P・モートン 1846年5月18日-
1918年8月14日
1889年3月4日-
日1893年3月4日
14 レティティア・スティーブンソン英語版
(旧姓グリーン
アドレー・E・スティーブンソン1世 1843年1月8日-
1913年12月25日
1893年3月4日-
1897年3月4日
15 ジェニー・ホーバート英語版
(旧姓タトル
ギャレット・A・ホーバート 1849年4月30日-
1941年1月8日
1897年3月4日-
1899年11月21日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1899年11月21日-
1901年3月4日
16 イーディス・ルーズベルト英語版
(旧姓カーミット
セオドア・ルーズベルト 1861年8月6日-
1948年9月30日
1901年3月4日-
1901年9月14日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1901年9月14日-
1905年3月4日
17 ネリー・フェアバンクス英語版
(旧姓コール
チャールズ・W・フェアバンクス 1852年1月-
1913年10月24日
1905年5月4日-
1909年3月4日
18 キャリー・シャーマン英語版
(旧姓バブコック
ジェームズ・S・シャーマン 1856年11月16日-
1931年10月6日
1909年3月4日-
1912年10月6日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1912年10月6日-
1913年3月4日
19 ロイス・アイリーン・マーシャル英語版
(旧姓キムジー
トーマス・R・マーシャル 1873年5月9日-
1958年1月6日
1913年3月4日-
1921年3月4日
20 グレース・クーリッジ
(旧姓グッドヒュー
カルビン・クーリッジ 1879年1月3日-
1957年7月8日
1921年3月4日-
1923年8月2日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1923年8月2日-
1925年3月4日
21 カロ・ドーズ英語版
(旧姓ブライマー
チャールズ・G・ドーズ 1866年1月6日-
1957年10月3日
1925年3月4日-
1929年3月4日
空席; チャールズ・カーティス は妻と死別していた。 1929年3月4日-
1933年3月4日
22 マリエット・ガーナー英語版
(旧姓レイナー
ジョン・N・ガーナー 1869年7月17日-
1948年8月17日
1933年3月4日-
1941年3月4日
23 アイロ・ウォレス英語版
(旧姓ブラウン
ヘンリー・A・ウォレス 1888年3月10日-
1981年2月22日
1941年3月4日-
1945年1月20日
24 ベス・トルーマン
(旧姓ウォレス
ハリー・S・トルーマン 1885年2月13日-
1982年10月18日
1945年1月20日-
1945年4月12日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1945年4月12日-
1949年1月20日
空席; アルバン・W・バークリー は妻と死別していた。 1949年1月20日-
1949年11月18日
25 ジェーン・ハドレイ・バークリー英語版
(旧姓ラッカー
アルバン・W・バークリー 1911年9月23日-
1964年9月6日
1949年11月18日-
1953年1月20日
26 パット・ニクソン
(旧姓ライアン
リチャード・ニクソン 1912年3月16日-
1993年6月22日
1953年1月20日-
1961年1月20日
27 レディ・バード・ジョンソン
(旧姓テイラー
リンドン・ジョンソン 1912年12月22日-
2007年7月11日
1961年1月20日-
1963年11月22日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1963年11月22日-
1965年1月20日
28 ミュリエル・ハンフリー英語版
(旧姓バック、後にブラウン
ヒューバート・H・ハンフリー 1912年2月20日-
1998年9月20日
1965年1月20日-
1969年1月20日
29 ジュディ・アグニュー英語版
(旧姓ジュデフィンド
スピロ・アグニュー 1921年4月23日-
2012年6月20日
1969年1月20日-
1973年10月10日
30 ベティ・フォード
(旧姓ブルーマー
ジェラルド・R・フォード 1918年4月8日-
2011年7月8日
1973年12月6日-
1974年8月9日
空席; 副大統領が任命されなかった。 1974年8月9日-
1974年12月19日
31 ハッピー・ロックフェラー
(旧姓フィトラー
ネルソン・ロックフェラー 1926年6月6日-
2015年5月19日
1974年12月19日-
1977年1月20日
32 ジョーン・モンデール
(旧姓アダムズ
ウォルター・モンデール 1930年8月8日-
2014年2月3日
1977年1月20日-
1981年1月20日
33 バーバラ・ブッシュ
(旧姓ピアース
ジョージ・H・W・ブッシュ 1925年6月8日-
2018年4月17日
1981年1月20日-
1989年1月20日
34 マリリン・クエール
(旧姓タッカー
ダン・クエール 1949年7月29日-
存命中
1989年1月20日-
1993年1月20日
35 ティッパー・ゴア
(旧姓エイチェソン
アル・ゴア 1948年8月19日-
存命中
1993年1月20日-
2001年1月20日
36 リン・チェイニー
(旧姓ヴィンセント
ディック・チェイニー 1941年8月14日-
存命中
2001年1月20日-
2009年1月20日
37 ジル・バイデン
(旧姓ジェイコブス
ジョー・バイデン 1951年6月5日-
存命中
2009年1月20日-
2017年1月20日
38 カレン・ペンス
(旧姓バッテン
マイク・ペンス 1958年11月8日-
存命中
2017年1月20日-
2021年1月20日
39 ダグ・エムホフ カマラ・ハリス 1964年10月3日-
存命中
2021年1月20日-
現職

存命中のセカンドレディ

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直近では、第43代副大統領ジョージ・H・W・ブッシュ夫人の バーバラ・ブッシュが2018年4月17日に亡くなった。

脚注

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  1. ^ 宇佐美(1991年) pp.97-100
  2. ^ Madame President 1901-1905: Nellie Fairbanks, Path Finder to Politics for American Women” (英語). Google.co.jp. 2015年7月6日閲覧。
  3. ^ Anita Gates (2014年2月3日). “Joan Mondale, Who Merged Politics With Art, Dies at 83” (英語). NYTimes.com. 2015年7月6日閲覧。
  4. ^ Miss Cellania (2012年1月2日). “Tipper vs. Music” (英語). Neatorama.com. 2015年7月6日閲覧。
  5. ^ 多賀(1990年) p.205
  6. ^ Ricardo Alonso-Zaldivar,Jean Merl (2004年10月4日). “Booklet That Upset Mrs. Cheney Is History” (英語). LATimes.com. 2015年7月6日閲覧。
  7. ^ Robin Abcarian (2009年2月2日). “Hi, I'm Jill. Jill Biden. But please, call me Dr. Biden” (英語). LATimes.com. p. 1. 2015年7月6日閲覧。

参考文献

[編集]
  • 宇佐美滋『ファーストレディ物語―ホワイトハウスを彩った女たち』文春文庫、1991年。ISBN 978-4167325022 
  • 多賀幹子『その名はアメリカ大統領夫人(ファースト・レディー)―41の愛と野望』徳間書店、1990年。ISBN 978-4195541326 

関連項目

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