北条鉄道
北条町駅(本社所在地) | |
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒675-2312 兵庫県加西市北条町北条28番地2号 北緯34度55分46.02秒 東経134度49分56.23秒 / 北緯34.9294500度 東経134.8322861度座標: 北緯34度55分46.02秒 東経134度49分56.23秒 / 北緯34.9294500度 東経134.8322861度 |
設立 | 1984年10月18日[1] |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 5140001076459 |
事業内容 | 旅客鉄道事業 他 |
代表者 | 代表取締役社長 高橋晴彦(加西市長) |
資本金 |
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発行済株式総数 | 2000株[3] |
売上高 |
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営業利益 |
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経常利益 |
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純利益 |
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純資産 |
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総資産 |
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従業員数 | 15人(2024年3月31日現在)[4] |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 | |
外部リンク |
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北条鉄道株式会社(ほうじょうてつどう)は、加西市・兵庫県などが出資する第三セクター方式で設立され、兵庫県で旧日本国有鉄道(国鉄)特定地方交通線の鉄道路線を運営している鉄道事業者。本社は兵庫県加西市北条町の北条町駅に所在。代表取締役社長は、高橋晴彦(加西市長)。
歴史
[編集]- 1984年(昭和59年)10月18日 - 設立[5]。
- 1985年(昭和60年)4月1日 - 国鉄から承継し北条線開業[5]。
- 1986年(昭和61年)4月 - 列車無線使用開始[6]。
- 1989年(平成元年)12月 - サンタ列車運行開始。
- 1999年(平成11年)7月 - かぶと虫列車運行開始。
- 2000年(平成12年)1月 - フラワ2000-1型車両運行開始。
- 2001年(平成13年)9月 - フラワ2000-2型車両運行開始。
- 2006年(平成18年)6月 - ボランティア駅長誕生。
- 2006年(平成18年)10月 - 北条鉄道まつり開始。
- 2010年(平成22年)10月16日 - 全国初、旅客用の車両に廃油燃料が使用される[5]。子ザル駅長誕生[7](2016年より子ザル駅長は休止中[8])。
- 2019年(令和元年)8月2日 - 全国初となる保安システムとして票券指令閉そく式導入が国土交通省より認可される[9]。
- 2020年(令和2年)9月1日 - 法華口駅の列車交換施設運用開始[10]。票券指令閉塞式導入[11]。
- 2022年(令和4年)3月13日 - キハ40形車両運行開始(後述)。
- 2024年(令和6年)6月 - 北条線の2023年度の利用客(年間輸送人員)と売上高が、第三セクター鉄道に移行後最高を記録[12]。
路線
[編集]- 北条線 粟生 - 北条町 13.6km
粟生駅のホームは加古川線西脇市方面行きと同じホームであるが、同線への渡り線は撤去されており、同線とは直通ができない。2020年4月末に中間駅である法華口駅の列車交換設備の再設置工事が完成し[13]、全国初となる保安システムとして票券指令閉塞式を導入[11]して同年9月から運用が開始された[10]。北条町駅には本社・車庫・検修庫・留置線がある。
北条線ではICOCA、PiTaPaなどの交通系ICカードは一切利用できない。
経営改革
[編集]経営改革のために以下のような取り組みを行っている。
- ステーションマスター
- 公募により駅長を募集し、個人により駅舎の管理、運営、イベントなどを行っている。約2年の任期の中で、自分の特技や趣味を生かした活動で北条鉄道の活性化、乗客増につながる活動が求められている[14]。この試みは新日本様式100選でも紹介された。
- イベント列車
- 1月にはおでん列車[15]、夏休みにはかぶと虫列車、8月にはビール列車、12月にはイルミネーション見学列車[16]、クリスマスのシーズンにはサンタ列車が運行される。
- 2019年からは不定期でドーナツ列車が運行されている[17]。ドーナツ列車では加西市に本社がある丸中製菓のドーナツが提供される。
- グッズの販売
- 記念きっぷ、キーホルダー、チョロQ、使用済みレールを使用した文鎮、踏切警報灯などの鉄道グッズのほか、北条鉄道サイダー、蜂蜜、瓦せんべいを北条町駅や、一部は法華口駅で販売している。2020年7月10日より「鉄印帳」が販売されたが、わずか3日で完売となった[18]。
- BDFの導入
- 2008年に加西市と共同でバイオディーゼル燃料(BDF)での試験走行を実施した[19]。
- 社長の公募
- 2009年に、社長と運輸部長を公募し[20]、翌2010年に、大阪府在住の元ミシンメーカー社員松本孝徳が次期社長に内定し、同年3月に副社長に就任した[21]。しかし、2011年6月21日の株主総会で取締役再任を否決され、事実上の解任となった。なお、株主総会に引き続く取締役会では、新市長の西村和平の社長就任が決まった[22]。
1985年の開業当初の営業収益(売上高)は8000万円台であった。その後2000年代初頭に5000万円台まで落ち込むなど危機的な状況に陥っていたが、2014年度には再び8000万円台を回復[23]し、開業以来最高値を記録。その後も8000万円台を維持している。
「法華口駅行き違い交差設備事業」は国、兵庫県、加西市からの補助金、北条鉄道分は企業版ふるさと納税の寄付により工事を行った[9]。
2024年6月、北条線の2023年度の利用客(年間輸送人員)と売上高が、1985年に旧国鉄から第三セクター鉄道に移行後の最高を記録したと報じられた[12]。加西市から小野市や西脇市、加古川市など周辺地域の高校に通学する生徒の利用が増えたことに加え、新型コロナウイルス禍で落ち込んでいた利用が回復したことによる。事業報告書と決算報告書によれば、輸送人員は前年度比2%増の38万7836人で、収入の30%近くを占める通学定期の利用が同4.3%増の17万9280人に伸びた。売上高は同1%増の9733万円となった[12]。
車両
[編集]いずれもディーゼルカー。形式の「フラワ」は加西市内に立地する兵庫県立フラワーセンターに由来する(ただし北条線沿線からは遠い)。またオリジナル車両の形式番号は、各形式の1号車が導入された年(西暦)にちなむ。詳細なスペックは各形式の記事参照。
現有車両
[編集]- フラワ2000形[24]
- フラワ1985形の代替用に導入されたボギー車のLE-DCで、フラワ2000-1・2・3号の3両が在籍する。3号は2008年4月に廃止となった三木鉄道から購入したミキ300-104[24]。変速機は変速2段、直結1段。1・2号の最高速度は80km/h、3号の最高速度は95km/h。3号は三木鉄道から購入当時は、そのままの塗装で走っていたが、2012年3月20日からは新塗装で運行されている[25][26]。
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フラワ2000-2(北条町駅)
- キハ40形
- 列車行き違い設備新設に伴う予備車の不足を解消するため、東日本旅客鉄道(JR東日本)秋田総合車両センター南秋田センターに所属し、五能線で2021年(令和3年)3月12日まで使用されていたキハ40 535(1979年新潟鐵工所製)を譲受している[27][28][29]。導入に当たっては車両の購入費用や運搬費、改造費用について2,600万円を加西市が助成し[29]、併せて2021年9月1日から10月29日までクラウドファンディングを実施したところ[30]、目標金額の300万円を初日で達成[31]、最終的に1,302万円を集めてプロジェクトが成立し[32]、2022年(令和4年)3月13日に運行を開始した[33][34][28][29]。北条鉄道ではトイレを撤去して車椅子用スロープ板を収納する物置に転用した以外は車内外とも五能線時代のままで運転されている[35]。
- キハ40系が粟生駅に乗り入れるのは2004年(平成16年)12月に加古川線が電化されて以来18年ぶりとなるが、当車両は寒冷地仕様のため、加古川線を走っていた車両(2000番台)とは仕様が異なる。例えば、台車が2000番台は金属バネであったのに対して当車両は空気バネであったこと、さらには加古川線を走っていた車両はJR西日本によって実施された車体更新の際に窓の構造が変わったのに対し、当車両は国鉄時代以来のオリジナルの窓構造のままである点、などである。
- 導入までの経緯
- 担当者の坂江大宗が中古車両を日本全国の鉄道会社から探していたところ、この車両を見つけた。新車であれば2億円するところを購入費用は約300万円であった。引退車両の購入には社内でも異論が出たが、勝機があると判断。約1年がかりで社内を説得し了承を得たものの、最後まで疑問を持たれ続けた。坂江自身鉄道好きであり、キハ40が北条鉄道を走れば集客につながるという自信があった。予想は的中し、前述のクラウドファンディングでの成果となる。その後、秋田から3か月の行程を経て北条鉄道に引き渡された。車内には当鉄道に来る前に走っていた五能線の路線図や、寒冷地仕様の雪かき(スノープラウ)が残されるなど、鉄道マニア受けするものであったこともあり人気を呼び、当車両を導入した2021年度の運賃収入は過去最高の8300万円を計上した。駅舎内には"キハ効果"を狙った鉄道グッズが並び、遠方からの来客も呼び込んだ[36]。
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キハ40 535(粟生駅)
過去の車両
[編集]- フラワ1985形
- 開業に合わせて3両(フラワ1985-1 - 3)が導入された。LE-CarIIの二軸車タイプ。変速機は変速1段、直結1段。座席はロングシート。フラワ2000形に代替され、2009年に形式消滅した。廃車後3両のうち2両は紀州鉄道に譲渡され、そのうち1両は紀州鉄道での廃車後、有田川町鉄道公園で北条鉄道時代の塗装に戻されフラワ1985-2として動態保存されている。
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フラワ1985-1(北条町駅)
不祥事
[編集]同社の経理担当の取締役が、約150万円を着服していたことが、2009年10月に発覚した。この元取締役は、自らの報酬を水増しする形で過大に受け取っていた模様である。この取締役は、全額を返還した上退職した[37]。前述の社長の公募は、この事件を受けてのものと見られている。
脚注
[編集]- ^ 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』14号 3頁
- ^ a b c d e f g “第40期 決算報告書” (PDF). 北条鉄道株式会社. 2024年12月21日閲覧。
- ^ “会社の株式等”. 北条鉄道株式会社. 2024年12月21日閲覧。
- ^ a b “会社概要”. 北条鉄道株式会社. 2024年12月21日閲覧。
- ^ a b c 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』14号 19頁
- ^ 沿革 - 北条鉄道、2020年8月5日閲覧
- ^ “子ザル駅長の任命式開催!!”. 北条鉄道 (2010年10月18日). 2013年7月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月20日閲覧。
- ^ “子ざる駅長を当面の間お休みいたします”. 北条鉄道 (2016年4月7日). 2018年3月4日閲覧。
- ^ a b “会社の現状(令和元年度)”. 北条鉄道. 2020年8月5日閲覧。
- ^ a b 法華口駅行き違い営業運転開始しました。 - 北条鉄道、2020年9月1日
- ^ a b “北条鉄道・法華口駅、行き違い設備完成 全国初の保安システム採用 兵庫”. 産経新聞 (産経新聞社). (2020年8月5日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ a b c “北条鉄道の利用客と売上高、3セク移行後の最高記録…通学定期の利用4.3%増”. 読売新聞. (2024年6月13日) 2021年2月22日閲覧。
- ^ 『広報かさい』2020年5月号 No.673 表紙 (PDF)
- ^ 北条鉄道 第8期 ステーションマスター募集! - 北条鉄道、2020年7月20日
- ^ 第6回 北条鉄道おでん列車を運行します☆ - 北条鉄道、2019年12月4日
- ^ イルミネーション見学列車を運行しました☆ - 北条鉄道、2019年12月14日
- ^ 第2回 丸中製菓「ドーナツ列車」を運転します☆ - 北条鉄道、2020年1月20日
- ^ 【お知らせ】「鉄印帳」完売のお礼と今後の販売について - 北条鉄道、2020年7月13日
- ^ 「北条鉄道、加西市とバイオ燃料100%列車を試験運行」日経新聞2008年06月06日
- ^ 「3セク鉄道が社長公募 兵庫の北条鉄道」神戸新聞2009年10月19日
- ^ 神戸新聞 (2010年7月13日). “北条鉄道 次期社長にミシンメーカー社員”. 2010年7月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月28日閲覧。
- ^ 毎日新聞 (2011年6月22日). “北条鉄道:副社長、事実上の解任 社長には加西市長 /兵庫”. 2013年7月28日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 『広報おの』vol.665 (PDF) 9頁 2015年8月 小野市
- ^ a b 『歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』14号 33頁
- ^ “北条鉄道「2000-3号」新デザインのお披露目と出発式について”. 北条鉄道 (2012年2月24日). 2012年5月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月1日閲覧。
- ^ “Micute - みのり☆三木鉄道の車両、その後。”. micute(みきゅーと)三木市ご当地アイドル公式ホームページ. 三木商工会議所青年部. 2021年3月1日閲覧。
- ^ “北条鉄道 キハ40形購入”. 読売新聞. (2021年5月31日). オリジナルの2021年5月31日時点におけるアーカイブ。 2021年5月31日閲覧。
- ^ a b “「キハ40」ようこそ北条鉄道へ 五能線の引退車両、来春から運行 人気の希少カラーリング”. 神戸新聞 (神戸新聞社). (2021年12月12日). オリジナルの2021年12月15日時点におけるアーカイブ。 2021年12月19日閲覧。
- ^ a b c “旧国鉄時代の「キハ40形」 希少な「白青」で走行へ 北条鉄道”. 神戸新聞NEXT. 神戸新聞社 (2021年8月27日). 2021年8月29日閲覧。
- ^ 北条鉄道の挑戦。引退したキハ40気動車をもう一度走らせよう。- READYFOR、2021年9月1日
- ^ 鉄道の日、北条鉄道まつり、そしてキハ40- READYFOR、2021年10月21日
- ^ 【御礼】北条鉄道キハ40クラウドファンディングを終えて- READYFOR、2021年9月1日
- ^ “国鉄時代に製造のレア車両「キハ40形」再び出発進行! 北条鉄道”. 神戸新聞社 (2022年3月13日). 2022年3月16日閲覧。
- ^ “北条鉄道で『キハ40満喫列車』運転”. 鉄道ファン・railf.jp. 鉄道ニュース. 交友社 (2022年3月14日). 2022年3月16日閲覧。
- ^ 【北条鉄道キハ40形】車内外のJR五能線時代の名残を現役運転士が紹介 朝日新聞デジタル 2023年1月22日
- ^ “【苦境鉄道の増客手段】『引退したキハ40』導入で乗客が急増!駅舎では『婚活相談所』を開設 廃線の危機脱出へ...「ミニ鉄道」の“生き残り策”(2022年10月28日)”. MBS NEWS. 2023年11月28日閲覧。
- ^ 「給料水増し150万円着服 北条鉄道元取締役」神戸新聞2009年10月21日
参考文献
[編集]- 曽根悟(監修) 著、朝日新聞出版分冊百科編集部 編『週刊 歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 14号 神戸電鉄・能勢電鉄・北条鉄道・北近畿タンゴ鉄道、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年6月19日。
関連項目
[編集]- 三木鉄道 - 北条鉄道と同じく加古川線から分岐する旧国鉄線を転換して1985年に開業した鉄道で車両も両者ほぼ共通だった。2008年4月1日廃止。
- 『テツぼん』 原作 高橋遠州、作画永松潔 - ビッグコミックオリジナル連載中の「鉄ちゃんの国会議員」が主人公の漫画。
- 2011年3号掲載の『B級グルメ』(2012年2月発売コミックス3巻に収録)で、廃てんぷら油から造ったバイオディーゼル燃料で気動車を走らせていることが掲載された。
- 2011年24号掲載の『パワースポット』(2013年7月発売コミックス6巻に収録)では播磨下里駅が「駅ナカ寺」として掲載されている。
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- 北条鉄道 (@hojorail) - X(旧Twitter)
- 北条鉄道 - YouTubeチャンネル