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励起子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
励起子
ワニエ励起子が結晶格子中を動き回る様
組成 電子正孔
グループ 異種原子
質量 me有効質量は別にある
電荷 -e、相対的には0
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励起子(れいきし、exciton)とは、半導体又は絶縁体中で電子正孔の対がクーロン力によって束縛状態となったもの。エキシトンとも呼ばれる。

励起子の生成

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励起子の生成は多くの場合光励起などによる電子-正孔の対生成によって起こり、このことがその名の起源ともなっている。 光励起による励起子は以下のように生成される。

  1. 光などの励起によって、絶縁体又は半導体の価電子帯の電子が伝導帯に遷移して、価電子帯に正孔が、伝導帯に電子が形成される。
  2. 正孔は正の電荷を持つため、負の電荷を持つ電子との間にクーロン引力が生じる。この状態は、簡単には水素原子における核(陽子)と電子と同様の取り扱いができる。
  3. 陽子と電子がペアを組んだ状態が水素原子であるように、電子と正孔がペアを組んだ状態を一つの粒子として取り扱うことができ、この状態を励起子という。励起子は非金属結晶中における代表的な電子励起状態であり、光学特性に大きく寄与する。

上記では価電子帯の正孔と導電体の電子による励起子を説明したが、励起された正孔と励起された電子でも励起子をつくることができる。

励起子のエネルギー

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励起子のエネルギーは、電子と正孔の重心運動エネルギーと相対運動エネルギーの和である。相対運動の波動関数の広がりが、格子間隔に比べてかなり大きい場合はワニエ励起子、小さい場合はフレンケル励起子と呼ばれる。

励起子を生成するために必要なエネルギーは、電子正孔間の束縛エネルギーの分だけバンドギャップエネルギーよりも低い。つまり励起子状態は電子と正孔が孤立している状態よりも安定である。したがって、反射スペクトルにおいては、バンド間遷移による連続スペクトルよりも低エネルギー側に鋭いピークとなって現れる。

励起子の自己束縛

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自由励起子

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いかなるときも普遍である硬い格子を伝播する励起子は自由励起子と呼ばれる。[1]自由励起子は結晶中を自由に動くことができる。

自己束縛励起子

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原子、分子が格子振動している変形可能な格子を伝播する励起子は、格子振動との相互作用により、大きく性質を変化させる。この励起子-格子相互作用により、結晶格子が大きく歪んだ状態では、励起子は特定の場所に局在する。このような現象を励起子の自己束縛と呼び、この励起子を自己束縛励起子と呼ぶ。[1]

脚注

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関連項目

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