利用者:Ta2o/サブページ2
ここはTa2oさんの利用者サンドボックスです。編集を試したり下書きを置いておいたりするための場所であり、百科事典の記事ではありません。ただし、公開の場ですので、許諾されていない文章の転載はご遠慮ください。
登録利用者は自分用の利用者サンドボックスを作成できます(サンドボックスを作成する、解説)。 その他のサンドボックス: 共用サンドボックス | モジュールサンドボックス 記事がある程度できあがったら、編集方針を確認して、新規ページを作成しましょう。 |
物理学において、サイクロトロン運動(英: cyclotron motion)とは空間的に一様な定常磁場中における荷電粒子の等速円運動[1]。一様な定常磁場中で荷電粒子の運動の軌道は、一般に磁力線に巻き付く形で螺旋軌道となるが、速度ベクトルが磁場に垂直な場合にはサイクロトロン運動での等速円運動となる。加速器の一種であるサイクロトロンでは、サイクロトロン運動における回転の周期が粒子の速度や円運動の半径に依存しないことを利用し、周期的な電場印加による加速を行う。
概要
[編集]磁場中で電荷qの荷電粒子は磁場Bと粒子の速度ベクトルvに垂直な方向にローレンツ力を受け、磁場に巻き付く旋回運動をする。このとき、正の電荷を持つ粒子は磁場方向に向かって左回り、負の電荷を持つ粒子は磁場方向に向かって右回りに運動する。磁場が空間的に一様で時間的に定常である場合、荷電粒子の運動は磁場の方向を中心軸とする螺旋運動となる。粒子の運動を磁場に垂直な平面に射影した場合、運動成分はサイクロトロン周波数またはジャイロ周波数と呼ばれる角周波数[注 1][注 2] での等速円運動となる。また、磁場の垂直な方向についての運動成分は、等速直線運動となる。速度ベクトルの磁場に水平な成分v∥がゼロであり、垂直な成分v⊥のみが存在する場合、磁場に水平な面内での等速円運動となる。この運動をサイクロトロン運動という[1]。
磁場中の粒子の運動
[編集]電荷q 、質量m の粒子が一様の定常磁場中Bを古典力学に従い運動することを考える。粒子の位置座標をr =(x, y, z )、速度v =(vx, vy, vz )をすると、ローレンツ力を受けて運動する粒子の運動方程式は以下で与えられる。
磁場の方向をz 軸方向にとってB =(0,0,B) とすると、運動方程式は
となる。この解は
で与えられる。ここでv⊥>0、v∥、αは積分定数であり、角周波数ωcは
で定義されるサイクトロン振動数である[注 3] 。このとき、対応する位置座標は
となる。X、Y、Zは積分定数である。この粒子の運動をサイクロン運動という。 この運動の軌道をxy平面内に射影すると(X,Y)を中心とし、半径を
とし、一定の角周波数ωcで旋回する等速円運動になる。この半径をラーモア半径またはジャイロ半径という。 粒子はz軸方向には等速直線運動をしており、空間内の軌道は等速円運動と等速円運動を組み合わせた螺旋となる。
例
[編集]物質は温度を上げていくと固体、液体、気体と状態が相変化する。さらに温度を上げると気体分子は気体原子に分離し、やがて、電子とイオンに電離したプラズマ状態となる。 磁場の値をB [T]としたとき、電子のサイクロトロン周波数ωeとイオンのサイクロトロン周波数ωiは角周波数の表示で
となり、対応する周波数は
となる[2][3][4]。ここでZi はイオンの価数、μi はμi=mi/mp (mi:イオンの質量、mp:プロトンの質量)で定まるイオンとプロトン(=水素イオン)の質量比であり、例えば、μi=1(H), 4(He), 39.9(Ar), 131.3(Xe) である。
B=1 T、kBT=100 eV(kB:ボルツマン定数、T:温度)の場合、電子とプロトンのサイクロトロン半径、サイクロトロン周波数は下記の表に示される値になる。 但し、温度T における粒子が熱速度vT= √kBT/mで運動しているとし、磁場との垂直方向の速度成分の大きさv⊥はvT に等しいとする。
項目 | 式 | 電子 | プロトン |
---|---|---|---|
熱速度 | vT= √kBT/m | 4.2×106 m/s | 9.8×104 m/s |
サイクロトロン半径 | rc=v⊥/|ωc| | 23.8 µm | 10.2 nm |
サイクロトロン周波数(角周波数表示) | ωc=qB/m | 1.76 ×1011 rad/s | -9.58×107 rad/s |
サイクロトロン周波数(周波数表示) | fc=ωc/2π | 28.0 GHz | -15.2 MHz |
歴史
[編集]一様な磁場中の荷電粒子の運動を理論的に扱ったのは、ドイツの物理学者エドゥアルト・リーケである[5] 。リーケは1881年の論文「一様な磁場中での電気的な粒子の運動と負の電気的なグリム光」の中で一様な磁場中をローレンツ力を受けて運動する粒子の軌道が螺旋となることを示した。
脚注
[編集]注
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]論文
[編集]- Riecke, Eduard (1881). “Ueber die Bewegung eines electrischen Theilchens in einem homogenen magnetischen Felde und das negative electrische Glimmlicht”. Annalen der Physik 249: 191. doi:10.1002/andp.18812490513 .
- L., Landau (1930). “Diamagnetismus der Metalle”. Z. Physik 64: 629. doi:10.1007/BF01397213.
和文誌記事
[編集]- 寺嶋由之介 (1993). “サイクロトロン振動数(Cyclotron Fequency)とラーモア振動数(Larmor Frequency)”. プラズマ・核融合学会誌 69 (1): 1281. CRID 154085419528177292.CRID 1540854195281772928
書籍
[編集]- 鈴木増雄、荒船次郎、和達三樹 編『物理学大事典』朝倉書店、2005年。ISBN 978-4254130942。
- 田中基彦、西川恭治『高温プラズマの物理学』丸善〈パリティ物理学コース〉、1991年。ISBN 978-4621035634。
- 宮本健郎『プラズマ物理入門』岩波書店、1991年。ISBN 978-4000059329。
- 東辻浩夫『プラズマ物理学―基礎物理からプラズマ工学へ』朝倉書店〈物理の考え方〉、2010年。ISBN 978-4254137446。
- 石原修『プラズマ物理学』電気書院、2015年。ISBN 978-4485300756。
- 林泉『プラズマ工学』朝倉書店、1987年。ISBN 978-4254220230。
- Olivier Darrigol (2000). Electrodynamics from Ampere to Einstein. Oxford University Press. ISBN 978-0198505945
- 太田浩一『マクスウェルの渦・アインシュタインの時計―現代物理学の源流』東京大学出版会、2005年。ISBN 978-4130630030。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- 『サイクロトロン運動』 - コトバンク
- 『サイクロトロン振動数』 - コトバンク
文献
[編集]- Ho Ge『Hoge theory』 2巻、Hoge inc.、2020年。
- Ge, Ho (1900). “Dynamical system in hoge”. Journal of Hoge 1: 100.
- Ho Ge『Hoge theory』 2巻、Hoge inc.、2020年。
脚注
[編集]
脚注
[編集]- 双線形性
ポアソン括弧は双線形性である。すなわち{˙,˙}は第一成分、第二成分の双方に対して線形である。
- 歪対称性
ポアソン括弧は歪対称性を満たす。
歪対称性から
が成り立つ。
- ヤコビの恒等式
ポアソン括弧はヤコビの恒等式を満たす。
- ライプニッツ・ルール
ポアソン括弧はライプニッツ・ルールを満たす。
これらの結果から相空間における滑らかな関数のなす集合はポアソン括弧で積演算を定めるとリー代数となる。
時間による全微分
[編集]時間による全微分は次式を満たす。
この関係式とヤコビの恒等式からポアソンの定理と呼ばれる次の性質が成り立つ。
相空間上の時間に陽に依存しない力学量F=F(q(t), p(t))が時間に対して不変であるとき、F は保存量、または第一積分であるという。 ポアソンの定理より、相空間における第一積分のなす集合は滑らかな関数のなすリー代数の部分リー代数になる。
相空間における物理量の時間発展や時間不変な保存量を理解する上で重要な役割を果たす。また正準変換の前後において、不変に保たれる。
相空間Mにおける滑らかな関数全体C∞(M)はポアソン括弧により積を定めるとリー代数となる。 時間発展に対して不変である第一積分 Fはハミルトニアン Hとのポアソン括弧が可換{F,H}=0となる。2つの第一積分F1、F1に対し、ヤコビの恒等式から{F1,F2}も第一積分となる、よって、第一積分全体はC∞(M)の部分リー代数をなす。
2n個の正準変数(q, p)=(q1,.., qn,p1,.., pn)を座標とする空間を相空間という。ハミルトン力学系では、ハミルトニアンH=H(q, p,t)に対し、時間発展は正準方程式の解(q(t), p(t))で与えられる。
相空間上の時間に陽に依存しない力学量F=F(q(t), p(t))が時間に対して不変であるとき、F は保存量、または第一積分であるという。 F の時間変化は
とFとハミルトニアン H とのポアソン括弧で表される。よって、F が第一積分であることと、F とハミルトニアン H のポアソン括弧が可換で
を満たすことは等しい。
ハミルトニアンが時間を陽に含まないとき、自励的であるという。また、このときハミルトン力学系は自励系であるという。ハミルトニアンは常に自身とのポアソン括弧は可換であるため、自励的なハミルトニアンは第一積分となる。
- E. T. Whittaker (1988). A Treatise on the Analytical Dynamics of Particles and Rigid Bodies. Cambridge Mathematical Library. Cambridge University Press. ISBN 978-0521358835
- 並木美喜雄『解析力学』丸善出版〈パリティ物理学コース〉、1991年。ISBN 978-4621036372。
- 伊藤秀一『常微分方程式と解析力学』共立出版〈共立講座 21世紀の数学〉、1998年。ISBN 978-4320015630。
- 江沢洋『解析力学』培風館〈新物理学シリーズ〉、2007年。ISBN 978-4563024369。
- 大貫義郎、吉田春夫『力学』岩波書店〈現代物理学叢書〉、2001年。ISBN 978-4000067614。
- 坂井秀隆『常微分方程式』東京大学出版会〈大学数学の入門〉、2015年。ISBN 978-4130629607。
- 木村利栄、菅野礼司『微分形式による解析力学』(改訂増補版)吉岡書店、1996年。ISBN 978-4842702612。
- 山本義隆、中村孔一『解析力学I』 朝倉書店〈朝倉物理学大系〉、1998年。ISBN 978-4254136715。
- 山本義隆、中村孔一『解析力学II』 朝倉書店〈朝倉物理学大系〉、1998年。ISBN 978-4254136722。
- Herbert Goldstein; Charles Poole; John Safko (2001). Classical Mechanics (3rd ed.). Addison Wesley. ISBN 978-0201657029
- Jorge V. José; Eugene J. Saletan (2013). Classical Dynamics: A Contemporary Approach. Cambridge University Press. ISBN 978-0521636360
- 。
- Liouville, J. (1855). “Note sur l'intégration des équations differéntielles de la dynamique”. J. Math. Pures. Appl. 20: 137-138 .
- Poisson, Siméon-Denis (1809). “Mémoire sur la variation des constantes arbitraires dans les questions de Mécanique”. Journal de l'École polytechnique, 15e cahier 8: 266-344 .
- Marle, Charles-Michel (2009). “The Inception of Symplectic Geometry: the Works of Lagrange and Poisson During the Years 1808-1810”. Letters in Mathematical Physics 90: 3-21. arXiv:10.48550. doi:10.1007/s11005-009-0347-y.
- Jacobi, C. G. J. (1862). “Nova methodus, aequationes differentiales partiales primi ordinis inter numerum variabilium quemcunque propositas integrandi”. Jl. für die reine u. angew. Math. 60: 1-181 .
- Hawkins, Thomas (1991). “Jacobi and the Birth of Lie's Theory of Groups”. Arch. Hist. Exact Sci. 42: 187-278. doi:10.1007/BF00375135.
- 中根美知代 (2000). “物理学から数学へ:Hamilton-Jacobi理論の誕生”. 数理解析研究所講究録 1130: 58-71 .
- C. G. J. Jacobi, (1837). “Note sur l'intégration des équations différentielles de la Dynamique,”. Comptes rendus de l’Acadmie des sciences de Paris t. V: 61-67 ., in
Wrecke 4: 129-126.
- .