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利用者:市井の人/ウクライナの首都の呼称はキエフかキーウか

個人的な検証・考察用。

キエフの記事名を維持している他言語版

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ネイティブスピーカーの数が多い言語の一覧から母語話者3000万人以上の上位31言語のウィキペディアを確認したところ、ロシア語由来の記事名を用いているのは現時点で以下の12の言語版である。

スペイン語 - Kievノート / 履歴 / ログポルトガル語 - Kievノート / 履歴 / ログロシア語 - Киевノート / 履歴 / ログ日本語 - キエフ、ドイツ語 - Kiewノート / 履歴 / ログフランス語 - Kievノート / 履歴 / ログジャワ語 - Kiyèfノート / 履歴 / ログイタリア語 - Kievノート / 履歴 / ログトルコ語 - Kievノート / 履歴 / ログアゼルバイジャン語 - Kiyevノート / 履歴 / ログオランダ語 - Kievノート / 履歴 / ログタイ語 - เคียฟノート / 履歴 / ログ

キーウ呼称への変更の沿革

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  • 2006年10月19日 - アメリカ地名委員会がウクライナの首都の公式表記をKyivに変更する決定を発表[1]。一方で、文脈上の必然性によってはKiev表記を排除しないとする公式見解を示す[2]
  • 2009年3月1日 - かねてよりウクライナ言語・文化研究会の論文でキーウ表記を用いていた言語学者中澤英彦[3]が同日出版の著書で普及を提唱[4]
  • 2010年2月26日 - この日、ウィキペディア日本語版の記事「キーウ・ポスト[注釈 1]」が作成される(投稿者はKinno Angel氏)[5]
  • 2014年9月 - 同月より角茂樹が在ウクライナ日本大使に就任(2019年1月まで)[6]。また、同年より平野高志(2018年からウクルインフォルム通信日本語版編集者)が国際交流サービス協会の嘱託職員として派遣される在ウクライナ日本国大使館専門調査員に採用[7]。なお、同調査員は「1年契約、更新は一回まで可」つまり最長2年契約と定められているが[8]、平野のプロフィールによれば2014年から2018年まで異例の4年間努めたことになっている[7]
  • 2018年9月4日 - この頃よりウクライナの国営通信社ウクルインフォルムが日本語版においてキーウ表記または「キーウ(キエフ)」とした併記を始める[9][10]
  • 2019年6月11日 - アメリカ地名委員会が同日開催の会合で全会一致によりKyiv表記の標準化を決定[12]
    • 7月17日 - 駐日ウクライナ大使館が公式サイトにおいてローマ字のKyivに対応する日本語としてクィイヴ表記を要望[13]
    • 9月7日 - 「ウクライナの地名の カタカナ表記に関する有識者会議」 で全会一致により「首都名について, キーウ, キイフ, キエフの3例の併用を可とする。」との結論に至り、中でも中澤英彦原案のキーウ表記を推進、実績(導入事例)としてウィキペディア日本語版の記事「キーウ・ポスト」が取り上げられる[14]
    • 11月15日 - この頃よりBBCニュースが日本語版において「キーウ(キエフ)」とした併記を始める[15]
  • 2022年2月18日 - この日、ウィキペディア日本語版の記事「キエフ」の冒頭にキーウの併記が加えられる(投稿者はぽん吉氏)[16]
    • 2月24日 - 2022年ロシアのウクライナ侵攻勃発。
    • 3月3日 - 元外務大臣の河野太郎Twitterにおいてロシア語由来のキエフを侵略国家の言葉と非難した上でキイウ呼称を提唱[17]
    • 3月11日 - 衆院内閣委員会で元外交官の緒方林太郎が質問したキーウ呼称への変更の可否をウクライナ側から要請がないとして上杉謙太郎外務政務官が否定[18]
    • 3月15日 - 元陸上自衛隊一等陸佐、自民党佐藤正久外交部会長から要望のあったキーウ呼称への変更の対応を国民に定着していないとして松野博一官房長官が記者会見で否定[19]
    • 3月18日 - 2015年にウクライナ側から文書でキーウ呼称への変更の要請があったとの佐藤正久の主張に対し「現時点では確認されていない」として林芳正外務大臣が記者会見で否定[20]
    • 3月25日 - 防衛省が自民党党内会議で提示した資料において「キーウ及びキエフ」とした併記に踏み切る[21]。この時点では在外公館名称位置給与法によってキエフ表記が定められており、公文書で使用するには今後の同法の改正が必須となった[21][22]。なお、地理学者春山成子が委員長を務めるIGU日本委員会、分科会による2017年の資料では、日本には諸外国に見られる「地名表記は国家の主権問題であるとの認識」がなく、「それを総括管理する機関がない」ことから「国家として統一見解を持つこと」が出来ないとの指摘があった[23]。また、教科用図書検定や地図製作などで正式なものとする表記の決定は、個別省庁の判断に委ねられた「多元的命名方式」をとっているとし、日本の縦割り行政の現状に異議を唱えていた[23]
    • 3月26日 - 時事ドットコムが表記変更について「同国にはロシア語を母語とする人も多く、意に介さない人もいる」と言及、この時点で 「ウクライナの地名の カタカナ表記に関する有識者会議」で座長を務めた岡部芳彦は「定着した言葉を変えるのは難しい」との現実的理解を示し、「キエフがロシア語由来だと認識してもらえたことに意義がある」と語ったのを報じた[24]
    • 3月29日 - 同日の記者会見で、岸信夫防衛大臣が「主要メディアで『キーウ』の表記も用いられている」と根拠を示した上で、国民に向けた情報発信の取組を訴え、これを受けた林芳正外務大臣は、ウクライナ側との調整に入り検討するとの前向きな姿勢を示した[21][22]
    • 3月31日 - ウクライナ側の意向を照会した日本の外務省が「今般、ウクライナ側から回答が得られたことから、」とし、キーウ呼称への変更を発表[25]

反応

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  • 2022年4月2日 - 日本共産党しんぶん赤旗電子版において外務省の発表を追認する形で報じる[26]
    • 4月6日 - 世界遺産検定が日本国政府の方針に従うとして「ウクライナの世界遺産の名称変更についてのお知らせ」を発表[27]
    • 4月15日 - 週刊金曜日編集長・文 聖姫が編集長後記において「政府が呼称を改めるのであれば、法律を改正する必要があります。必要な手続きも経ないまま、政府が決めたからといって無批判に従う必要はないとの考えから、私自身は当面従来の呼称を使うことにしました。」と声明[28]
    • 4月中旬 - この頃までに、タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエの来日公演を「キエフ・バレエ」の公演名で開催している光藍社は、いわゆる地域ブランドとしてのキエフ呼称の定着を重視し、当面は従来の公演名を維持する意向を示した[29]

問題点等

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  • 有識者会議・ウクライナ研究会はウィキペディア日本語版の記事を引き合いに出しているので信頼性がループしている
  • BBCがキーウ表記に移行したタイミングは上記の後であり、日本側の決定(キーウ表記は当時資料上はあくまで試案)と拡大解釈した結果とも考えられる。
  • ところが日本の場合、諸外国と比べて学者の権威が及ばない、政治家が学者の影響力を牽制している(表面化したのが日本学術会議会員の任命問題)。
  • 防衛省が安全保障、外交・防衛政策の繋がりで文民統制を避けながら外務省を動かした形になったため、有識者会議は蚊帳の外に置かれた。外務省ルートも「駐日ウクライナ大使館(クィイヴ)⇔外務省」と「ウクライナ本国⇔在ウクライナ日本国大使館(ウクルインフォルム日本語版、キーウに関与)」の競合があった。ウィキペディア日本語版の改名時期は、2022年4月であれば国策、在外公館名称位置給与法改正時であれば外務省に忠実であると一部からみなされかねず、グルジア→ジョージアの二の舞になるおそれがある。よって学術系の文言に限らず、呼称変更による二次的な動き(創作・世論の具現化等)に手柄を渡し落とし所にするのも手であるかもしれない。
  • ウィキペディア日本語版のウクライナ関連の記事では[[キエフ|キーウ]]といったパイプ付きリンクの多用が傾向として見られるようになっている。先のことを考えると素直にキーウのリダイレクトに任せたほうが改名と同時に特に修正を要することなく利用者には優しい。しかし転送機能の無駄遣いを避けるのも資源に優しい。これを想定内の整合とするか、異常事態と判断するかは微妙であるが、やはりグルジア→ジョージアの改名に22か月を要した前例が引きずっており、時間の経過とともに希望的観測と絶望的観測を行ったり来たりする。長期化すれば話し合いによる全会一致を原則とする合意形成に見切りを付け、多数決による投票で決着をつけようという風潮が高まる。しかし、賛成多数をもって決定を得る投票を実地するには事前の合意が必要であり、空気だけで進めたり切り出し方やタイミングを誤っただけでも、ウィキペディア日本語では名物でもある進行中・終了間際、終了後の投票無効の異議がもれなく付いてくる。

キエフの幽霊

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ウィキペディア各言語版には、2022年2月24日のロシア軍によるキエフ攻勢に関連したキエフの幽霊(ないし「キーウの幽霊」)の項目がある。ウィキペディア日本語版では2022年4月30日現在、これを関連項目ににおいてパイプ付きリンクで「キーウの幽霊」と記述する動きはなく、キーウの幽霊という転送記事もない。このようなウクライナ当局協賛のガセネタは同国の歴史の恥部でもあるので、日本語ではキエフとともに葬られてしまうのかもしれない。

チラシの裏

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普段気にしてないが、一昨日MiEVと言う車が前方を走っているのを見て「ああそういえば『ミーブ』と読むんだな」と。昨日は(これもまったく興味がない)家族の持ち物でKiU (ブランド)の製品があって「KíUと書いてあるんで『キーウ』と読むんじゃないか」と思ったらキウだった。『風の谷のナウシカ』は紛れもなくNausicaäなのにナウシカーとは言わない(昔のパソコン通信ではそのことでたまに言い合いになった)。『機動戦士ガンダム』のオデッサ作戦もそう割り切ることは可能のような……。

脚注

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注釈

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  1. ^ 初版の冒頭は「キイウ・ポスト」であったがすぐに修正された[5]

出典

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  1. ^ Tom Casey (2006年10月19日). “Daily Press Briefing -- October 19” (英語). アメリカ合衆国国務省. 2009年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月20日閲覧。
  2. ^ “#KyivNotKiev: U.S. To Change International Database Spelling Of Ukraine's Capital” (英語). ラジオ・フリー・ヨーロッパ. (2019年6月13日). https://www.rferl.org/a/us-to-change-international-database-spelling-to-kyiv-not-kiev/29997415.html 2022年4月20日閲覧。 
  3. ^ 教育・研究組織 | 研究活動”. 東京外国語大学. 2011年10月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月20日閲覧。
  4. ^ 大内悟史 (2022年4月13日). “東京が「トンジン」と呼ばれたら 「キーウ」の発音はこう生まれた”. 朝日新聞デジタル. https://www.asahi.com/articles/ASQ4C4CPZQ46UCVL05X.html 2022年4月20日閲覧。 
  5. ^ a b キーウ・ポストの2010-02-26 02:02‎(UTC)版
  6. ^ 略歴 角 茂樹 駐ウクライナ日本国特命全権大使”. 在ウクライナ日本国大使館. 2022年4月29日閲覧。
  7. ^ a b 平野高志|プロフィール”. HMV&BOOKS online. 2022年4月29日閲覧。
  8. ^ 外務省在外公館専門調査員について”. 一般社団法人 国際交流サービス協会(IHCSA). 2022年4月29日閲覧。
  9. ^ MH17の悲劇:近づく裁判の日」『ウクルインフォルム』2018年9月4日。2022年4月22日閲覧。
  10. ^ ウクルインフォルム日本語版 (@Ukrinform_JP) によるツイート”. Twitter (2018年9月6日). 2022年4月22日閲覧。
  11. ^ “МИД начинает всемирную кампанию: Kyiv Not Kiev” (ウクライナ語). uk:Європейська правда (en:European Pravda). (2018年10月2日). https://www.eurointegration.com.ua/rus/news/2018/10/2/7087647/ 2022年4月20日閲覧。 
  12. ^ Statement Regarding the Name of the Capital of Ukraine” (PDF) (英語). GEOnet Names Server (2019年9月). 2022年4月20日閲覧。
  13. ^ ウクライーナの地名の正しいスペルと使用法に関する公式ガイド”. 在日ウクライナ大使館 (2019年7月17日). 2019年8月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年4月20日閲覧。
  14. ^ 岡部芳彦 (2019年9月7日). “「ウクライナの地名の カタカナ表記に関する有識者会議」 報告” (PDF). 神戸学院大学 / ウクライナ研究会. p. 141. 2022年4月29日閲覧。
  15. ^ ジョナ・フィッシャー (2019年11月15日). “【解説】 なぜウクライナはアメリカにとってそれほど重要なのか”. BBCニュース. オリジナルの2019年11月16日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20191116164729/https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-50429406 2022年4月20日閲覧。 
  16. ^ キエフの2022-02-18 07:35:19‎(UTC)の変更
  17. ^ 河野太郎 (@konotarogomame) によるツイート”. Twitter (2022年3月3日). 2022年4月20日閲覧。
  18. ^ “日本、「キエフ」呼称維持 ウクライナ首都”. 産経ニュース. (2022年3月11日). https://www.sankei.com/article/20220311-BVHLXCNTUVMIFNTMJ5O5TVTRJY/ 2022年4月20日閲覧。 
  19. ^ “呼称、ロシア語の「キエフ」維持 ウクライナ語のキーウは定着せず”. 共同通信. (2022年3月15日). https://nordot.app/876388647043596288?c=39546741839462401 2022年4月20日閲覧。 
  20. ^ “キエフ呼称、ウクライナ側が「キーウ」に変更要望…自民・佐藤正久氏”. 読売新聞オンライン. (2022年3月18日). https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220318-OYT1T50210/ 2022年4月20日閲覧。 
  21. ^ a b c “日本語呼称「キーウ」も併記、防衛省が開始…外相は「ウクライナ政府とも調整」”. 読売新聞オンライン. (2022年3月29日). https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220329-OYT1T50178/ 2022年4月23日閲覧。 
  22. ^ a b “防衛省「キーウ」と「キエフ」を併記 ウクライナ首都の表記”. 朝日新聞デジタル. (2022年3月30日). https://www.asahi.com/articles/ASQ3Y7GZJQ3YUTFK01N.html 2022年4月23日閲覧。 
  23. ^ a b 地名行政の統合強化と地名委員会の設置” (PDF). 日本学術会議 地球惑星科学委員会 IGU分科会. pp. 11-12 (2017年). 2022年4月17日閲覧。
  24. ^ “キエフを「キーウ」に、歓迎も 欧米メディアにウクライナ人―「歴史知る契機」と識者”. 時事ドットコム. (2022年3月26日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2022032600131 2022年4月29日閲覧。 
  25. ^ ウクライナの首都等の呼称の変更”. 外務省 (2022年3月31日). 2022年4月20日閲覧。
  26. ^ 河邑 哲也 (2022年4月2日). “校閲の目/キエフからキーウへ”. しんぶん赤旗電子版. 2022年4月29日閲覧。
  27. ^ ウクライナの世界遺産の名称変更についてのお知らせ – 世界遺産検定”. 世界遺産アカデミー (2022年4月6日). 2022年4月29日閲覧。
  28. ^ 文 聖姫 (2022年4月15日). “クライナ現地リポート”. 「週刊金曜日」ニュース. 2022年4月29日閲覧。
  29. ^ キエフ・バレエ・ガラ2022”. 光藍社(こうらんしゃ)–キエフ・バレエ. 2022年4月29日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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