住友金属鉱山
権益を保有する米国モレンシー銅鉱山 | |
種類 | 株式会社 |
---|---|
機関設計 | 監査役会設置会社[1] |
市場情報 |
大証1部(廃止) 5713 1950年6月28日 - 2013年7月12日 |
略称 | SMM、住鉱、住友山、別子[注釈 1] |
本店所在地 |
日本 〒105-8716 東京都港区新橋五丁目11番3号 新橋住友ビル |
設立 |
1950年(昭和25年)3月1日 (創業:1590年(天正18年)) |
業種 | 非鉄金属 |
法人番号 | 9010401015273 |
事業内容 |
資源開発事業 非鉄金属事業 電子材料事業 機能性材料事業 など |
代表者 |
中里佳明(代表取締役会長) 野崎明(代表取締役社長) |
資本金 | 932億4200万円 |
発行済株式総数 | 2億9081万4000株 |
売上高 |
連結:1兆4,453億88百万円 単独:1兆2,792億84百万円 |
経常利益 |
連結:957億95百万円 単独:1,660億54百万円 |
純利益 |
連結:586億1百万円 単独:815億83百万円 |
純資産 |
連結:1兆7,824億20百万円 単独:1兆1,314億61百万円 |
総資産 |
連結:3兆238億44百万円 単独:2兆763億93百万円 |
従業員数 |
連結:7,496[605]人 単独:2,892[251]人※1 |
決算期 | 3月31日 |
会計監査人 | 有限責任あずさ監査法人 |
主要株主 |
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) 16.59% 株式会社日本カストディ銀行(信託口) 6.76% トヨタ自動車株式会社 4.02% STATE STREET BANK WEST CLIENT - TREATY 505234 1.75% 住友不動産株式会社 1.36% 住友生命保険相互会社 1.36% JPモルガン証券株式会社 1.30% |
主要子会社 | 主要関係会社参照 |
関係する人物 |
蘇我理右衛門(創業者) 田中外次(初代社長) 河上健次郎(第2代社長) 是川銀蔵(相場師) |
外部リンク |
www |
特記事項:経営指標は 2024年3月 第99期 有価証券報告書 ※1:従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載している。 |
住友金属鉱山株式会社(すみともきんぞくこうざん、英文:Sumitomo Metal Mining Co., Ltd.)は、国内外で鉱山開発、製錬および電池・機能性材料の生産を行う、住友グループの大手総合非鉄金属企業である。
旧住友財閥の源流企業であると共に、住友グループ広報委員会及び白水会に属する企業である[2]。日経平均株価の構成銘柄の一つ[3][4]。
概要
[編集]日本で最も歴史のある企業の一つで、旧住友財閥の源流企業である。住友家の業祖、蘇我理右衛門が南蛮吹きといわれる銅精練の技術を開発し、1590年(天正18年)に京都に銅吹き所を設けたのが始まりで、住友家は秋田の阿仁銅山、備中の吉岡銅山などの経営に乗り出し、日本一の銅鉱業者へ発展した。
1690年(元禄3年)には古代から難波津や住吉津、渡辺津など国内流通の中心であり当時も水運に適してた大阪市に進出し、上町台地よりやや西部の東西横堀川と道頓堀、長堀に囲まれた島之内に大規模な銅吹き所を開設。本店や住友家も同地区に移転し、住友家の本拠地となる。1691年(元禄4年)には愛媛県新居浜市の別子銅山の開発に着手し、これが世界最大級の産銅量を誇る鉱山に成長して、住友財閥(現在の住友グループ)の礎を築いた。
現在は世界各地で鉱山開発、製錬を行っている他、電池材料や電子・機能性材料の生産なども行っている大手総合非鉄金属メーカーである。資源の保有量は日系企業の中でもトップクラスであり、日本最大の金鉱山である菱刈鉱山を保有している。また、日本で唯一電気ニッケルを提供している企業としても知られている[5]。近年では、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される電池の正極材原料を生産しており、日本で高い市場占有率を持っている。銅地金の生産シェアはパンパシフィック・カッパーに次いで国内2位である。
事業内容
[編集]資源開発から製錬、材料の生産までを一貫して行う3事業連携により、一貫した自社内でのサプライチェーンを有し、原料確保、安定供給、品質等のトレーサビリティを実現している。
- 資源事業 - 鉱山開発および運営
- 製錬事業 - 金・銀・銅・白金族・ニッケル・亜鉛・鉛などの非鉄金属製錬および販売
- 機能性材料事業 - 基板材料・電子材料・パッケージ・粉体・触媒・建材などの製造および販売
- 電池材料事業 - 電池材料(正極材)の製造および販売
沿革
[編集]- 1590年(天正18年)- 蘇我理右衛門が京都に銅製錬・銅細工の泉屋を開業。
- 1690年(元禄3年)- 2代目・住友友似が古代から難波津や住吉津、渡辺津など国内流通の中心であり当時も水運に適してた大阪市に進出し上町台地よりやや西部の東西横堀川と長堀に囲まれた島之内に大規模な銅吹き所を開設。本店や住友家も同地区に移転し住友家の本拠地となる。
- 1691年(元禄4年)- 別子銅山の採掘権を獲得し、採掘を開始。
- 1905年(明治38年)- 四阪島に銅製錬所を設置(現・四阪工場)。
- 1927年(昭和2年)7月 - 住友合資会社から別子鉱業所が分離し、住友別子鉱山株式会社が発足。
- 1937年(昭和12年)6月21日 - 住友別子鉱山と住友炭礦株式会社が合併し、住友鉱業株式会社が発足。
- 1946年(昭和21年)1月29日 - 井華鉱業株式会社に商号変更。
- 1950年(昭和25年)3月1日 - 井華鉱業株式会社の金属部門が独立し、別子鉱業株式会社が発足。
- 1952年(昭和27年)6月 - 住友金属鉱山株式会社に商号変更。
- 1956年(昭和31年)9月 - 株式会社日向製錬所を設立。
- 1964年(昭和39年)7月 - 住鉱アイ・エス・ピー株式会社を設立。
- 1965年(昭和40年)8月 - 中央研究所(現・市川研究所)開設。
- 1966年(昭和41年)4月 - 住鉱アイ・エス・ピー播磨製錬所(現・播磨事業所)操業開始。
- 1967年(昭和42年)9月 - 青梅工場(電子事業本部)操業開始。
- 1971年(昭和46年)2月 - 東予工場操業開始。
- 1973年(昭和48年)
- 3月 - 別子銅山閉山。
- 5月 - 鴻之舞鉱山閉山。
- 1974年(昭和49年)6月 - 国富事業所 (分社して現在の住鉱国富電子)操業開始。
- 1975年(昭和50年)12月 - 土呂久砒素公害の原因企業として宮崎地裁延岡支部に提訴される。以後、1978年(昭和53年)にかけて第1陣から4陣まで計81人が提訴。控訴審で会社側が敗訴し上告。最高裁において、1990年(平成2年)に原告と和解条項が成立。
- 1977年(昭和52年)
- 1978年(昭和53年)- 佐々連鉱山閉山。
- 1980年(昭和55年)10月 - 住鉱アイ・エス・ピーを吸収合併、播磨事業所を継承。
- 1983年(昭和58年)4月 - 菱刈鉱山開坑。
- 1999年(平成11年)9月30日 - 全額出資する株式会社ジェー・シー・オー(JCO)において東海村JCO臨界事故が発生。事故により経営が悪化し、倒産の危機を迎える[5]。
- 2002年(平成14年)7月 - 三井金属鉱業と亜鉛製錬事業で提携。
- 2003年(平成15年)2月 - 同和鉱業(現・DOWAホールディングス)と硫酸事業で提携。
- 2005年(平成17年)4月 - フィリピンのパラワン島南部リオツバ地区にてCoral Bay Nickel Corporationの商業生産開始。
- 2006年(平成18年)
- 2010年(平成22年)10月 - 四阪工場を分社化し、四阪製錬所を設立。
- 2011年(平成23年)5月 - チリのシエラゴルダ銅鉱山開発プロジェクトに参画。
- 2012年(平成24年)5月 - 子会社のキンコーズをコニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社に株式譲渡。
- 2013年(平成24年)
- 2017年(平成29年)
- 1月 - リードフレーム事業及び伸銅事業の日立金属との事業統合を解消。SHマテリアル株式会社は当社の完全子会社、株式会社SHカッパープロダクツは日立金属の完全子会社になる。
- 6月 - カナダのコテ金鉱山開発プロジェクトに参画。
- 2019年(平成31年)3月 - チリのケブラダ・ブランカ銅鉱山の権益取得。
- 2022年(令和4年)4月 - 東京証券取引所の市場区分見直しにより東証第一部からプライム市場へ移行。
歴代社長
[編集]代 | 氏名 | 就任日 | 退任日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
別子鉱業 | ||||
1 | 田中外次 | 1950年3月1日 | 1952年6月1日 | 社名改称[6] |
住友金属鉱山 | ||||
1 | 田中外次 | 1952年6月2日 | 1963年5月31日 | [6] |
2 | 河上健次郎 | 1963年5月31日 | 1973年5月31日 | [6] |
3 | 藤崎章 | 1973年5月31日 | 1983年6月29日 | [6] |
4 | 藤森正路 | 1983年6月29日 | 1988年6月29日 | [6] |
5 | 篠崎昭彦 | 1988年6月29日 | 1995年6月29日 | [6] |
6 | 青柳守城 | 1995年6月29日 | 2000年4月1日 | [6] |
7 | 福島孝一 | 2000年4月1日 | 2007年6月28日 | [6] |
8 | 家守伸正 | 2007年6月28日 | 2013年6月24日 | [6] |
9 | 中里佳明 | 2013年6月24日[6] | 2018年6月 | |
10 | 野崎明 | 2018年6月 | 現職 |
主要事業所
[編集]本社、支社、支店等
[編集]研究所
[編集]- 市川研究センター - 千葉県市川市中国分三丁目18番5号
- 新居浜研究所 - 愛媛県新居浜市磯浦町17番5号
- 資源精錬開発センター - 愛媛県新居浜市西原町3丁目5番1号
- 電池研究所 - 愛媛県新居浜市磯浦町17番3号
- 材料研究所 - 東京都青梅市末広町一丁目6番地の1
鉱山、精錬、製造拠点
[編集]国内拠点
[編集]- 菱刈鉱山 - 鹿児島県伊佐市菱刈前目3844番地
- 東予工場 - 愛媛県西条市船屋字新地乙145番地1(金属事業本部管轄、金・銀・銅・白金族を生産)
- ニッケル工場 - 愛媛県新居浜市西原町3-5-3(金属事業本部管轄、ニッケル・コバルトを生産)
- 磯浦工場 - 愛媛県新居浜市磯浦町17番3号(機能性材料事業部管轄)
- 播磨事業所 - 兵庫県加古郡播磨町宮西346-4(金属事業本部管轄、亜鉛・鉛を生産)
- 青梅事業所 - 東京都青梅市末広町一丁目6番地の1
海外拠点
[編集]- モレンシー鉱山 - アメリカ合衆国・アリゾナ州(銅精鉱・電気銅、1986年~)
- セロ・ベルデ鉱山 - ペルー・アレキパ州(銅精鉱・電気銅、2005年~)
- ケブラダ・ブランカ鉱山 - チリ・第Ⅰ州(電気銅、2019年~)
- シエラ・ゴルダ鉱山 - チリ・第Ⅱ州(銅精鉱、2014年~)
- カンデラリア鉱山 - チリ・第Ⅲ州(銅精鉱、1995年~)
- オホス・デル・サラド鉱山 - チリ・第Ⅲ州(銅精鉱、2005年~)
- ノースパークス鉱山 - オーストラリア・ニューサウスウェールズ州(銅精鉱、1994年~)
- 金隆銅製錬所 - 中国・安徽省(銅、硫酸および貴金属、1995年~)
- コーラルベイ - フィリピン・パラワン島(ニッケル・コバルト混合硫化物、2004年~)
- タガニート - フィリピン・ミンダナオ島(ニッケル・コバルト混合硫化物、2013年~)
- ソロワコ - インドネシア(ニッケルマット、1988年~)
- フィゲスバル - 仏領ニューカレドニア(ニッケル鉱石、1990年~)
- ニッケルアジア - フィリピン(ニッケル鉱石、2009年~)
海外駐在所
[編集]主要関係会社
[編集]資源事業
- 住鉱資源開発株式会社
- Sumitomo Metal Mining America Inc.
- Sumitomo Metal Mining Arizona Inc.
- Sumitomo Metal Mining Canada Ltd.
- Sumitomo Metal Mining Chile LTDA
- Sumitomo Metal Mining Oceania Pty. Ltd.
- Sumitomo Metal Mining Peru S.A.
- Sumitomo Metal Mining do Brasil LTDA.
- SMM Morenci Inc.
製錬事業
材料事業
- 住鉱国富電子株式会社
- 大口電子株式会社
- 株式会社SMMプレシジョン
- 株式会社グラノプト
- 新居浜電子株式会社
- 株式会社伸光製作所
- 株式会社日東社
- エヌ・イー ケムキャット株式会社
- 日本ケッチェン株式会社
- 住友金属鉱山シポレックス株式会社
- 住鉱潤滑剤株式会社
- 大口マテリアル株式会社
- 住鉱エナジーマテリアル株式会社
- 株式会社サイコックス
- Shanghai Sumiko Electronic Paste Co., Ltd.
- Dongguan Sumiko Electronic Paste Co.,Ltd.
- Taiwan Sumiko Materials Co., Ltd.
- SMM KOREA Co.,Ltd.
その他
- 住友金属鉱山エンジニアリング株式会社
- 住鉱テクノリサーチ株式会社
- 住鉱技術サービス株式会社
- 日本照射サービス株式会社
- ヰゲタハイム株式会社
- 株式会社ジェー・シー・オー
不祥事
[編集]- 2019年3月4日に発生した金属事業本部東予工場における死亡災害に関し、労働安全衛生法違反の罪で法人としての当社が略式起訴され、2020年8月25日付で西条簡易裁判所より罰金20万円の略式命令を受けた[7]。
テレビ番組
[編集]- 日経スペシャル ガイアの夜明け 「宝の山を掘り当てろ!」 〜レアメタル争奪の4000キロ〜(2004年10月26日、テレビ東京)[8] - オーストラリアでの鉱山探査を取材。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ コーポレートガバナンス - 住友金属鉱山株式会社
- ^ 住友グループ広報委員会各社のご案内
- ^ 構成銘柄一覧:日経平均株価 Nikkei Inc. 2021年10月8日閲覧。
- ^ 「TOPIXニューインデックスシリーズ」の定期選定結果及び構成銘柄一覧 (PDF) jpx.co.jp 2020年10月7日公表 2021年10月8日閲覧。
- ^ a b 大西孝弘 (2018年6月25日). “トヨタに材料供給の住金鉱山が事故で得た教訓”. 日経ビジネス (日経BP) 2020年2月2日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j 住友金属鉱山株式会社社史編纂委員会 2015, 512-539頁.
- ^ “当社における労働安全衛生法違反に係る罰金刑について | ニュース | 住友金属鉱山株式会社”. 住友金属鉱山株式会社コーポレートサイト. 2022年12月5日閲覧。
- ^ 「宝の山を掘り当てろ!」 〜レアメタル争奪の4000キロ〜 - テレビ東京 2004年10月26日
参考文献
[編集]- 住友金属鉱山株式会社社史編纂委員会 編『住友金属鉱山社史』住友金属鉱山、2015年。
関連項目
[編集]- 住友政友
- 四阪島
- 日暮別邸記念館
- 住友別子鉱山鉄道
- 住友金属鉱山下部鉄道
- 住友別子病院
- 大坂銅吹屋
- 鴻之舞鉱山
- 国富鉱山
- 八総鉱山
- 土呂久砒素公害
- 東海村JCO臨界事故
- 青梅市総合体育館 - 2024年3月までの5年契約でネーミングライツを取得、「住友金属鉱山アリーナ青梅」の愛称となる。
- キンコーズ - 1991年12月に日本国内で展開する当初に協業していた。