今津酒造
種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場 |
本社所在地 |
日本 〒663-8229 兵庫県西宮市今津社前町5番22号 |
設立 | 1751年 |
業種 | 食料品 |
法人番号 | 8140001068008 |
資本金 | 3000万円 |
従業員数 | 5人 (2018 年度) |
今津酒造株式会社(いまづしゅぞう)は、日本の酒造会社である。灘五郷の一つ、今津郷(兵庫県西宮市)に所在する。銘柄は「扇正宗」。
沿革
[編集]1888年(明治21年)、6代目野田六左衛門がこの蔵を買収した[2]。野田六左衛門(野田金平)家は近江国日野[注釈 1]にルーツを持つ近江商人(日野商人)の家系であり、群馬県板鼻町(かつての中山道板鼻宿、現在は安中市板鼻)を本店として「十一屋六左衛門」の屋号で醸造業を営むとともに[注釈 2]、三重県神戸町(現在の鈴鹿市)などにも進出していた[2]。灘五郷[注釈 3]には1886年(明治19年)、西宮にあった和泉万助の蔵を借り受けて進出したが、この蔵の借り賃が高くなったため、これに代わって今津村の清水福松の持ち蔵を買い取って支店としたものである[2]。当初、「今津酒造店」の主な出荷先は東京市場であったが、東京市場では十分な利益を上げられなかったために、1892年(明治25年)に大阪店を開業して近隣地域での販売に力を入れている[6][注釈 4]。
1902年(明治35年)、6代目の死去により、7代目野田六左衛門が跡を継ぐ[7](六左衛門が幼少であったため、経営は分家の2代目野田東三郎[注釈 5]が補佐したとみられる[7])。1903年(明治36年)、第5回内国勧業博覧会では、今津店から出品された「扇正宗」「万物一」が褒章を受けている[7]。
1910年(明治43年)、「扇正宗」を商標登録[10][11]。従来「正宗」印の小印であった「扇」を付したものである[注釈 6]。現在の今津酒造は、「末広がり」の扇に「商売繁昌」「互いの幸福」などを願う命名と説明している[11][12]。
1944年(昭和19年)、戦時企業整備にともない[10][13]、3つの酒造家と合併し[13]法人として設立[10]。1945年(昭和20年)8月6日の「阪神大空襲」で蔵を全焼した[10][13]。1949年(昭和24年)に蔵を新築[10]。1971年(昭和46年)に有限会社から株式会社となる[10]。
2021年現在、今津郷は当社と大関の二社体制となっている[14]。
脚注
[編集]注釈
[編集]- ^ より詳細には、蒲生郡野田村[3]。
- ^ 北関東には多くの近江商人が進出して醸造業を営んだ。「十一屋」は日野商人の地縁的グループの一つが共通して用いた屋号である[4]。なお、板鼻の本店は「群鶴」銘柄の清酒を製造し、のちに「十一屋酒造」となったが、1990年に閉業した[5]。
- ^ 近世から明治前期まで西宮郷は「灘五郷」に含まれていなかったが、1886年に摂津灘酒造組合が設立された際に「灘五郷」に含まれることとなった(灘五郷参照)。
- ^ ただし大阪店は1903年(明治36年)に経営不振のため畳んでいる[7]。
- ^ 初代東三郎は5代六左衛門の娘婿で、野田六左衛門家の経営を支えた。2代目東三郎は初代の長男で、明治27年時点では今津酒造店を預かっていた[8]。その後、2代東三郎は滋賀県日野町長も務めている[9]。
- ^ 1894年(明治27年)より「正宗」印に「扇」の小印を付したものを使用している[10]。
出典
[編集]- ^ 今津酒造株式会社 - TOKYO IZEN(セレンディア準備室)
- ^ a b c 末永國紀 2011, p. 21.
- ^ 末永國紀 2011, p. 2.
- ^ 青木隆浩. “北関東地方における清酒製造業の形成過程”. 酒文化論稿集. 酒文化研究所. 2021年10月13日閲覧。
- ^ 末永國紀 2011, p. 55.
- ^ 末永國紀 2011, p. 23.
- ^ a b c d 末永國紀 2011, p. 24.
- ^ 末永國紀 2011, p. 50.
- ^ 末永國紀 2011, p. 25.
- ^ a b c d e f g “今津酒造”. にしのみやデジタルアーカイブ. 西宮市. 2021年10月13日閲覧。
- ^ a b “灘五郷:酒蔵”. 灘五郷酒造組合. 2021年10月13日閲覧。(扇正宗をクリックして表示される)
- ^ 扇正宗 - [日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション(コトバンク)
- ^ a b c “「あと10日終戦が早ければ」戦争への無念、やり場のない怒りを「自分史」に #あちこちのすずさん”. 神戸新聞. (2021年8月22日) 2021年10月13日閲覧。
- ^ 西宮の日本酒 銘柄一覧 - 西宮市観光協会
参考文献
[編集]- 末永國紀「近江商人野田六左衛門家の系譜と蓄積過程」『経済学論叢』第62巻、第4号、同志社大學經濟學會、2011年。doi:10.14988/pa.2017.0000013620。