仁賀克雄
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仁賀 克雄(じんか かつお、1936年12月23日 - 2017年12月22日[1])は、日本の作家、評論家、英米文学翻訳家・アンソロジスト。本名、大塚勘治。ペンネームの由来は本名を逆読みしたもの。
経歴
[編集]神奈川県横浜市生まれ。神奈川県立横須賀高等学校、早稲田大学第一商学部卒業。早稲田大学在学中の1957年、江戸川乱歩を顧問に迎えて、ワセダミステリクラブを創設し、幹事長となる[2]。
卒業後は北スマトラ海洋石油資源開発(のちに現在の国際石油開発帝石に合併され消滅)、アラビア石油に勤務する傍ら、創作活動や海外ミステリ/ホラー/SFの研究・翻訳・アンソロジー編集などを行った。特に切り裂きジャック関連の研究に関しては有名で、日本で唯一のリッパロロジスト(切り裂きジャック研究家)とされる場合がある。1982年3月、小説「スフィンクス作戦」で徳間文庫発刊記念総額二〇〇〇万円懸賞小説佳作受賞[3]。時事通信社書評委員の経験もある。
翻訳の下訳者出身の弟子に柿沼瑛子、翻訳学校での弟子に横山啓明、駒月雅子、白須清美、武藤崇恵らがいる。
小説作品
[編集]- 『放課後の殺人者』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫) 1976.11
- 『「地獄の火」殺人事件』(講談社) 1995.4
- 『「ドラキュラ」殺人事件』(講談社ノベルス) 1997.8
- 「スペース・レインジャー」シリーズ
- 『白い女神の復讐』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫) 1980
- 『黒の三角宙域』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫) 1981
- 『赤い炎の暗殺者』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫) 1983
主な研究書・ノンフィクション
[編集]- 『世界史の謎』(大陸書房) 1971
- 『大推理 古代史のなぞ』(学習研究社、ユアコースシリーズ) 1976
- 『海外ミステリ入門 : あなたに教える殺人の方法』(朝日ソノラマ、Key books) 1976
- 『名探偵30人の挑戦 : センスをみがく推理パズル』(永岡書店) 1984
- 『ロンドンの恐怖 : 切り裂きジャックとその時代』(早川書房) 1985、ハヤカワ文庫 1988
- 改題『切り裂きジャック 決定版』ちくま文庫 2013
- 『海外ミステリ・ガイド』(朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ 別巻) 1987
- 『現代海外ミステリ・ベスト100』(社会思想社、現代教養文庫1400) 1991
- 『海外ミステリ・ジャンルベスト100』(社会思想社、現代教養文庫1493) 1993
- 『海外ミステリ探偵ベスト100』(社会思想社、現代教養文庫1553) 1994
- 『海外ミステリ・ゼミナール : 読書案内決定版』(朝日ソノラマ) 1994
- 『ドラキュラ誕生』(講談社、講談社現代新書) 1995
- 『新・ロンドンの恐怖 : 切り裂きジャックの犯行と新事実』(原書房) 1997
- 改題『切り裂きジャック : 闇に消えた殺人鬼の新事実』講談社文庫 2004
- 『図説 切り裂きジャック』(河出書房新社、ふくろうの本) 2001
- 『ロンドンの怪奇伝説』(メディアファクトリー、ダ・ヴィンチ編集部) 2002
- 『リジー・ボーデン事件の真相 : アメリカ犯罪史上空前の連続殺人』(河出書房新社) 2004
- 『新海外ミステリ・ガイド』(論創社) 2008
監修
[編集]翻訳
[編集]- 『秘密兵器事件:ナポレオン・ソロ』(ジョン・T・フィリフェント、久保書店QTブックス) 1968
- 『ミステリー短編傑作集 第2集』(エラリィ・クィーン選、洋販出版、洋販ライブラリィー) 1968
- 『異次元への冒険』(ジェリイ・ソール、早川書房、ハヤカワSF文庫) 1970
- 『世界の謎』(ドワイト・ミラー、大陸書房) 1970
- 『大統領候補暗殺:スーパースペード#1』(B・B・ジョンソン、早川書房、世界ミステリシリーズ) 1971
- 『暗黒の秘儀:ラブクラフト傑作集』(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト、創土社) 1972、のちソノラマ文庫海外シリーズ
- 『なぞの幽霊屋敷』(S・ジャクソン原作、生頼範義絵、朝日ソノラマ、少年少女世界恐怖小説7) 1972
- 『異次元の新世界』(ジェリー・ソール原作、朝日ソノラマ、少年少女世界冒険小説6) 1973
- 『吸血鬼』(リチャード・マシスン他原作、朝日ソノラマ少年少女怪奇の世界1) 1974
- 『海底の剣』(ダンカン・カイル、早川書房、ハヤカワ文庫NV) 1976
- 『プレーグ・コートの殺人』(カーター・ディクスン、早川書房、ハヤカワ・ミステリ文庫) 1977
- 『消された時間』(ビル・S・バリンジャー、早川書房、ハヤカワ・ミステリ文庫) 1978
- 『密輸鉱山』(ハモンド・イネス、早川書房、ハヤカワ文庫 NV) 1979
- 『アメリカン・ゴシック』(ロバート・ブロック、早川書房、Hayakawa novels) 1979
- 『氷島基地脱出!』(コリン・フォーブス、早川書房、ハヤカワ・ノヴェルズ) 1980
- 『フランケンシュタインのライヴァルたち』(マイケル・パリー編、早川書房、ハヤカワ文庫NV) 1981
- 『怒りの神』(フィリップ・K・ディック & ロジャー・ゼラズニイ、サンリオ、サンリオSF文庫) 1982
- 『宇宙の操り人形:P.K.ディック初期の長編SF』(フィリップ・K・ディック、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ4) 1984
- 『恐怖のハロウィーン』(アイザック・アシモフ編、徳間書店、徳間文庫) 1986
- 『アンダーウッドの怪』(デイヴィッド・H・ケラー、国書刊行会、アーカム・ハウス叢書) 1986
- 『戦慄のハロウィーン』(アラン・ライアン編、徳間書店、徳間文庫) 1987
- 『殺しのグルメ』(ロバート・ブロック、徳間書店、徳間文庫) 1989
- 『切り裂きジャック : 世紀末ロンドンの殺人鬼は誰だったのか?』(コリン・ウィルソン,ロビン・オーデル、徳間書店) 1990、のち文庫
- 『宇宙の操り人形』(フィリップ・K・ディック、筑摩書房、ちくま文庫) 1992
- 『シャーロキアン殺人事件』(アントニー・バウチャー、社会思想社、現代教養文庫3045) 1995
- 『死が二人をわかつまで』(ジョン・ディクスン・カー、国書刊行会、世界探偵小説全集11) 1996、のちハヤカワ・ミステリ文庫
- 『ハリウッド・ゴシック:ドラキュラの世紀』(デイヴィッド・J・スカル、国書刊行会) 1997
- 『19世紀絵入り新聞が伝えるヴィクトリア朝珍事件簿:猟奇事件から幽霊譚まで』(レナード・ダヴリース編、原書房) 1998
- 『乱歩の選んだベスト・ホラー』(森英俊,野村宏平編、共訳、筑摩書房、ちくま文庫) 2000
- 『ポオ収集家』(ロバート・ブロック、新樹社) 2000
- 『煙の中の肖像』(ビル・S・バリンジャー、小学館、Shogakukan mystery、クラシック・クライム・コレクション) 2002
- 『リジー・ボーデン事件』(ベロック・ローンズ、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2004
- 『有栖川有栖の鉄道ミステリ・ライブラリー』(有栖川有栖編、共訳、角川書店、角川文庫) 2004
- 『最後の一壜 : スタンリイ・エリン短篇集』(スタンリイ・エリン、共訳、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2005
- 『フランス鍵の秘密』(フランク・グルーバー、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2005
- 『不思議の森のアリス』(リチャード・マシスン、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection 2) 2006
- 『愛する者に死を』(リチャード・ニーリイ、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2007
- 『亡き妻へのレクイエム』(リチャード・ニーリイ、早川書房、ハヤカワ・ミステリ) 2008
- 『謎の物語』(紀田順一郎編、共訳、筑摩書房、ちくま文庫) 2012
- 『リッジウェイ家の女』(リチャード・ニーリィ、扶桑社ミステリー文庫) 2014
- 『噂のレコード原盤の秘密』(フランク・グルーバー、論創社、論創海外ミステリ) 2016
C・L・ムーア
[編集]- 『大宇宙の魔女 ノースウェスト・スミス』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワSF文庫) 1971 - シャンブロウ
- 『異次元の女王 ノースウェスト・スミス』(C・L・ムーア、 早川書房、ハヤカワSF文庫) 1972
- 『暗黒界の妖精 ノースウェスト・スミス』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワSF文庫) 1973
- 『暗黒神のくちづけ - 処女戦士ジレル』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワ文庫) 1974
- 『新世界の黎明』(C・L・ムーア、早川書房、ハヤカワ文庫) 1975
- 『たそがれの地球の砦』(C・L・ムーア & ヘンリイ・カットナー、早川書房、ハヤカワ文庫) 1976
- 『銀河の女戦士:唯一の長編スペース・ファンタジー』(C・L・ムーア、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ11) 1985
編訳
[編集]- 『切り裂きジャックはあなたの友:ロバート・ブロック短篇集』(ロバート・ブロック、早川書房、ハヤカワ文庫 NV) 1979
- 『火星の笛吹き』(レイ・ブラッドベリ、徳間書店) 1979、のち徳間文庫、のちちくま文庫
- 『猫に関する恐怖小説』(フレドリック・ブラウン他、徳間書店) 1980、のち徳間文庫
- 『モンスター伝説:世界的怪物の新アンソロジー』(ロバート・ブロックほか、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ1) 1984
- 『機械仕掛けの神:黄金の50年代SF傑作選』(リチャード・マシスン他、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ3) 1984
- 『アメリカ鉄仮面:仮面の正体を探るSFサスペンス』(アルジス・バドリス、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫. 海外シリーズ8) 1984
- 『暗黒の秘儀:コズミック・ホラーの全貌』(ハワード・フィリップス・ラヴクラフト、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫. 海外シリーズ21) 1985
- 『悪夢のカーニバル』(レイ・ブラッドベリ、徳間書店、徳間文庫) 1985
- 『ミステリの美学』(ハワード・ヘイクラフト編、成甲書房) 2003
- 『残酷な童話』(チャールズ・ボウモント、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection7) 2007
- 『シャンブロウ』(C・L・ムーア、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection9) 2008
- 『新・幻想と怪奇』(ローズマリー・ティンパリー他、早川書房 2009 (Hayakawa pocket mystery books ; no.1824)
- 『お菓子の髑髏:ブラッドベリ初期ミステリ短篇集』(レイ・ブラッドベリ、筑摩書房、ちくま文庫) 2012
フィリップ・K・ディック
[編集]- 『地図にない町』(フィリップ・K・ディック、早川書房、ハヤカワ文庫) 1976
- 『人間狩り』(フィリップ・K・ディック、集英社、World. SF) 1982
- 『顔のない博物館』(フィリップ・K・ディック、北宋社) 1983
- 『ウォー・ゲーム : ファンタジー&SF短編集』(フィリップ・K・ディック、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ12) 1985
- 『人間狩り:フィリップ・K・ディック短篇集』(フィリップ・K・ディック、筑摩書房、ちくま文庫) 1991
- 『ウォー・ヴェテラン:ディック中短篇集』(フィリップ・K・ディック、社会思想社、現代教養文庫1450) 1992
- 『ウォー・ゲーム:フィリップ・K・ディック短篇集2』(フィリップ・K・ディック、筑摩書房、ちくま文庫) 1992
- 『人間狩り』(フィリップ・K・ディック、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection) 2006
- 『髑髏』(フィリップ・K・ディック、論創社、ダーク・ファンタジー・コレクション10) 2009
編纂
[編集]- 『幻想と怪奇 1』(レイ・ブラッドベリ等、編、早川書房、ハヤカワ文庫) 1975、のち『幻想と怪奇:ポオ蒐集家』として再刊
- 『楽しい悪夢:ロバート・ブロック短篇集』(ロバート・ブロック、編、早川書房、ハヤカワ文庫) 1975
- 『幻想と怪奇2』(ロバート・ブロック等、編、早川書房、ハヤカワ文庫) 1976、のち『幻想と怪奇:宇宙怪獣現わる』として再刊
- 『幻想と怪奇3』(フレドリック・ブラウンほか、編、早川書房) 1978、のち『幻想と怪奇:おれの夢の女』として再刊
- 『吸血鬼伝説:ドラキュラの末裔たち』(編、原書房) 1997
シリーズ監修
[編集]- 朝日ソノラマ ソノラマ文庫海外シリーズ
- 論創社 ダーク・ファンタジー・コレクション = Dark fantasy collection
脚注
[編集]- ^ a b “評論・翻訳家の仁賀克雄さん死去 80歳”. 朝日新聞 (2017年12月27日). 2017年12月27日閲覧。
- ^ 「仁賀克雄ができるまで(第2回) 乱歩訪問と会の発足」『ハヤカワミステリマガジン』2009年6月号。
- ^ 『問題小説』1982年4月号。
参考文献
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