中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典
中国人民抗日戦争ならびに世界反ファシズム戦争勝利70周年記念行事(ちゅうごくじんみんこうにちせんそうならびにせかいはんファシズムせんそうしょうりななじっしゅうねんきねんぎょうじ、中国語: 纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利70周年大会)とは、日中戦争(中国人民抗日戦争)および第二次世界大戦中国戦線[1]における中国[2]の勝利から、2015年に70年目を迎えることを記念して行われた行事・式典群を指す[3]。
閲兵式
[編集]2015年9月3日に、北京市の天安門広場で中華人民共和国の建国以来、15回目となる大規模な閲兵式(軍事パレード)を行った。これまでの14回の閲兵は、いずれも中華人民共和国の建国(1949年10月1日)を祝う、西暦末尾が9年の国慶節前後の時期に行なわれたが、今回の閲兵は、初めて国慶節の時期以外に開催され、同時に中華人民共和国が初めて閲兵という方法で、日中戦争・第二次世界大戦での勝利を記念する行事となった。
習近平が2012年11月の中国共産党第十八回全国代表大会において、中国共産党中央委員会総書記と中国共産党中央軍事委員会主席に就任して以降、最初の大規模な祝典イベントであることから、日本を除く全てのG7メンバー国の代表者が出席した。同年に行われたモスクワ対独戦勝記念式典への返礼という意味合いもあり、モスクワのパレードと同じように中国最高指導者の習近平の右隣はロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンが座った。さらにその隣には大韓民国大統領朴槿恵が座り、北朝鮮は朝鮮労働党書記の崔竜海を派遣したが、席は端に近い位置であり[4]、韓国の聯合ニュースはその写真と1954年に金日成首相と毛沢東共産党主席が同じ場所で軍事パレードを参観した写真と比較して「主人公の変化は、半世紀を超える間に韓中関係と中朝関係がどれだけ変化したかを象徴している」と報じた[4]。朴槿恵はパレードで崔竜海の父・崔賢や金日成の所属した東北抗日連軍の模範部隊も参観したことも韓国メディアに注目され[5][6]、パレード後は中国政府が改修[7]した大韓民国上海臨時政府庁舎の再開館式に出席した[8]。また、習近平の左隣には前任の党総書記である江沢民と胡錦濤ら中国共産党の元老や幹部が並び、最長老の宋平[9]やかつての江沢民[10]と胡錦濤[11]と同じ黒生地の人民服を習近平は着用して体制の連続性をアピールした(この慣例は黒の人民服を愛用した鄧小平から始まっている[12])。
主な出席者
[編集]中国の指導部
[編集]国家元首
[編集]- ベラルーシ共和国大統領アレクサンドル・ルカシェンコ
- ボスニア・ヘルツェゴビナ大統領評議会議長 ドラガン・チョヴィッチ
- カンボジア国王ノロドム・シハモニ
- チェコ共和国大統領ミロシュ・ゼマン
- コンゴ民主共和国大統領ジョゼフ・カビラ
- エジプト・アラブ共和国大統領アブドルファッターフ・アッ=シーシー
- カザフスタン共和国大統領ヌルスルタン・ナザルバエフ
- キルギス共和国大統領アルマズベク・アタンバエフ
- ラオス人民民主共和国主席チュンマリー・サイニャソーン
- モンゴル国大統領ツァヒアギーン・エルベグドルジ
- ミャンマー連邦共和国大統領テイン・セイン
- パキスタン・イスラム共和国大統領マムヌーン・フセイン
- パプアニューギニア独立国総督マイケル・オギオ
- 大韓民国大統領朴槿恵
- ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチン
- セルビア共和国大統領トミスラヴ・ニコリッチ
- 南アフリカ共和国大統領ジェイコブ・ズマ
- スーダン共和国大統領オマル・アル=バシール
- タジキスタン共和国大統領エモマリ・ラフモン
- 東ティモール民主共和国大統領タウル・マタン・ルアク
- ウズベキスタン共和国大統領イスラム・カリモフ
- ベネズエラ・ボリバル共和国大統領ニコラス・マドゥロ
- ベトナム社会主義共和国国家主席チュオン・タン・サン
高位指導者
[編集]- エチオピア連邦民主共和国首相ハイレマリアム・デサレン
- バヌアツ共和国首相サトー・キルマン
- アルゼンチン共和国大統領代理、副大統領兼元老院議長アマド・ブドゥー
- キューバ共和国国家評議会第一副議長、閣僚評議会第一副議長ミゲル・ディアス=カネル
- アルジェリア民主人民共和国大統領代理、下院議長アブデルカデル・ベンサラー
- ポーランド共和国下院議長マウゴルザタ・キダヴァ=ブオニスカ
- 朝鮮民主主義人民共和国、朝鮮労働党中央委員会政治局員、書記局書記 崔竜海
- タイ王国副首相兼国防相プラウィット・ウォンスワン
高位政府代表
[編集]- オーストラリア連邦政府代表、退役軍人事務部長マイケル・ロナルドソン
- ブラジル連邦共和国政府代表、国防相ジャック・ワグナー
- フランス共和国政府代表、外相ローラン・ファビウス
- ハンガリー政府代表、外相シーヤールトー・ペーテル
- インド政府代表、内相ラージナート・シン
- インドネシア共和国政府代表、人間開発・文化担当調整相プアン・マハラニ
- イタリア共和国政府代表、外相パオロ・ジェンティローニ
- リビア国政府代表、外相ムハンマド・ダーイリー
- マレーシア政府特使、 首相対中事務特使オング・カティング(黄家定)
- オランダ政府特使、国務相ナウト・ウェリンク
- チュニジア共和国大統領代理、国防相ファルハット・ホルシャニ
- ニュージーランド首相特使、元副首相ドン・マキノン
- イギリス首相特使、元法相ケネス・クラーク
- 中国駐在アメリカ合衆国外交官
- 中国駐在カナダ外交使節団
- ドイツ全権大使、及び外交使節団
- 中国駐在ルクセンブルク外交官
- 中国駐在欧州連合大使、及び外交使節団
国際/地域組織等の代表
[編集]- 国際連合事務総長潘基文(パン・ギムン)
- 国際連合教育科学文化機関事務局長イリナ・ボコヴァ
- 国際連合工業開発機関事務局長李勇
- 赤十字国際委員会総裁ペーター・マウラー
- 独立国家共同体執行書記(事務局長)セルゲイ・レベジェフ
- 世界保健機関事務局長陳馮富珍(マーガレット・チャン)
- 上海協力機構 事務総長ドミトリー・メゼンツェフ
- 上海協力機構地域テロ対策機構執行委員会主任張新楓
- 独立国家共同体集団安全保障条約機構事務局長ニコライ・ボルジュジャ
- アジア相互協力信頼醸成措置会議事務局執行主任宮建偉
元政府要人
[編集]以下は、いずれも政府代表としてではなく、個人として出席した者である。
- 元ドイツ連邦共和国連邦首相ゲアハルト・シュレーダー[15]
- 元フィリピン大統領、マニラ市長ジョセフ・エストラーダ
- 元サンマリノ共和国執政ジャンフランコ・テレンツィ
- 元東ティモール民主共和国大統領ジョゼ・ラモス=ホルタ
- 元イギリス首相トニー・ブレア[16]
以上のうち、ジャンフランコ・テレンツィは、6年前の2009年の国慶節の閲兵式にも出席していた。
また、元日本国首相の村山富市も、日本国政府とは無関係の立場で出席する予定だったが、現地で体調不良により入院し、式典・軍事パレードのいずれも欠席した[17][18]。
香港・マカオ・台湾関係者
[編集]行進参加国
[編集]その他の行事
[編集]- 中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念レセプション - 2015年8月31日に駐日中国大使館が開催[25]
- 世界反ファシズム戦争中国戦区勝利70周年記念座談会 - 2015年9月10日に中国系3団体[26]が開催[27]
脚注
[編集]- ^ 中国語表記では「中国戦区」とも。
- ^ 当時の中国の政権は国民党の中華民国であり、中国共産党は国共合作のもとその一部として世界大戦を戦った。国連における中国の代表権は国共内戦に敗れ台湾に撤退した国民党の中華民国が保持していたが、1971年10月25日に採択された第26回国際連合総会2758号決議で中華人民共和国は中国代表権を取得、国連においても中華民国の継承国家となった。
- ^ “中国で大規模軍事パレード、抗日戦争70周年記念”. BBCニュース. BBC (2015年9月3日). 2020年10月6日閲覧。
- ^ a b “朴・韓国大統領:中国で厚遇 習氏らと並んでパレード観覧”. 毎日新聞. (2015年9月4日) 2016年8月22日閲覧。
- ^ “朴大統領、戦勝軍事パレードで金日成が属した東北抗日連軍も参観”. ハンギョレ. (2015年9月1日) 2019年4月8日閲覧。
- ^ “英雄模範部隊隊列が観閲を受ける”. 人民日報. (2015年9月4日) 2017年4月27日閲覧。
- ^ “中国が大韓民国上海臨時政府庁舎を改善補修、全額負担”. 中央日報. (2015年8月16日) 2016年9月14日閲覧。
- ^ “パク大統領 上海臨時政府庁舎再開館式に出席”. Korea.net. (2015年9月4日) 2016年9月14日閲覧。
- ^ “中共元老宋平百岁诞辰的秘密”. 多維新聞網 (2017年4月22日). 2018年4月12日閲覧。
- ^ “Chinese President Jiang Zemin waves during a massive 01 October 1999 national day parade in Beijing's Tiananmen Square celebrating the 50th anniversary of the People's Republic of China Pictures”. ゲッティイメージズ 2017年5月8日閲覧。
- ^ “Hu Jintao addresses National Day celebrations”. 新浪英語版. (2009年10月1日) 2017年5月8日閲覧。
- ^ “1984 National Day military parade”. チャイナデイリー. (2009年8月26日) 2017年5月8日閲覧。
- ^ 报道:中国军改将大裁军 合并大军区 ボイス・オブ・アメリカ 2015年9月6日
- ^ “纪念中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利70周年大会在京隆重举行”. 人民網. 2016年2月3日閲覧。
- ^ “China releases list of world leaders attending V-Day parade”. CGTN (2015年8月25日). 2019年9月4日閲覧。
- ^ “China's V-Day parade in eyes of world media”. チャイナデイリー (2015年9月4日). 2019年9月4日閲覧。
- ^ “村山元首相:体調不良で入院 抗日記念行事出席で訪中”. 毎日新聞. (2015年9月3日) 2015年9月5日閲覧。
- ^ “村山元首相、中国で入院 抗日式典に参加せず”. 日本経済新聞. (2015年9月3日) 2015年9月12日閲覧。
- ^ 连战将以个人身份访京 见习近平并出席阅兵
- ^ “中國大閱兵 王炳忠到場觀禮”. 蘋果日報 2015年9月3日閲覧。
- ^ 台媒:亲民党秘书长秦金生将代宋楚瑜出席抗战阅兵
- ^ “台湾出席北京阅兵名单曝光惹争议”. BBC. (2015-09-0) 2016年9月19日閲覧。
- ^ “Foreign troops attend V-Day parade” (英語). Chinadaily.com.cn
- ^ “17个外军参阅部队走过北京天安门” (中国語). 中国新闻网(北京)
- ^ “中国大使館で中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年記念レセプション” (2015年9月1日). 2015年9月12日閲覧。
- ^ 中国日本史学会日本中国侵略史専門委員会、中国侵略日本軍南京大虐殺史研究会、南京大虐殺記念館
- ^ “世界反ファシズム戦争中国戦区勝利70周年記念座談会が開催”. 人民網. (2015年9月10日) 2015年9月12日閲覧。