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リンブ文字 (Unicodeのブロック)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リンブ文字 (Unicodeのブロック)
Limbu
範囲 U+1900..U+194F
(80 個の符号位置)
基本多言語面
用字 リンブ文字
主な言語・文字体系
割当済 68 個の符号位置
未使用 12 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
4.0 66 (+66)
7.0 68 (+2)
公式ページ
コード表 ∣ ウェブページ
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リンブ文字(リンブもじ、英語: Limbu)は、Unicodeの52個目のブロック

解説

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南アジアネパール東部やインドシッキム州及びダージリン県に共住するリンブー人英語版が話すシナ・チベット語族リンブー語を表記するためのリンブ文字を収録している。

リンブ文字はブラーフミー文字から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。書字方向ラテン文字などと同様に左から右へ横書き(左横書き)し、単語毎に分かち書きをする。なお、デーヴァナーガリーベンガル文字とは異なり文字の上部に水平線(シローレーカー)は持たない。

他の南アジアのブラーフミー系文字とは異なり、反舌音にあたる子音字を欠いており、母音記号の長短の区別は無い(代わりに長母音であることを表すための譜化記号を付けて表現する)。また、頭子音の無い独立した母音字が無いため、代わりに頭子音が無いことを表す子音字U+1900 ᤀ LIMBU VOWEL-CARRIER LETTERを用いて頭子音の無い母音のみの音節を表す。

符号位置の順序はおおむね伝統的なブラーフミー系文字の順序に従っている。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(リンブー数字)を有している。

Unicodeのバージョン4.0において初めて追加された。

収録文字

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ラテン文字転写」の列はブラーフミー系文字のラテン文字への翻字方式の一つであるISO 15919(及び一部はIAST)に従う。

コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
子音字
U+1900 LIMBU VOWEL-CARRIER LETTER 頭子音の無い音節であることを表す。
U+1901 LIMBU LETTER KA 子音[k]を表す。 k
U+1902 LIMBU LETTER KHA 子音[kʰ]を表す。 kh
U+1903 LIMBU LETTER GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+1904 LIMBU LETTER GHA 子音[ɡʱ]を表す。 gh
U+1905 LIMBU LETTER NGA 子音[ŋ]を表す。
U+1906 LIMBU LETTER CA 子音[t͡ɕ]を表す。 c
U+1907 LIMBU LETTER CHA 子音[t͡ɕʰ]を表す。 ch
U+1908 LIMBU LETTER JA 子音[d͡ʑ]を表す。 j
U+1909 LIMBU LETTER JHA 子音[d͡ʑʱ]を表す。

現在は廃字となっており、使われていない[1]

jh
U+190A LIMBU LETTER YAN 子音[ɲ]を表す。

現在は廃字となっており、使われていない[1]

ñ
U+190B LIMBU LETTER TA 子音[t]を表す。 t
U+190C LIMBU LETTER THA 子音[tʰ]を表す。 th
U+190D LIMBU LETTER DA 子音[d]を表す。 d
U+190E LIMBU LETTER DHA 子音[dʱ]を表す。 dh
U+190F LIMBU LETTER NA 子音[n]を表す。 n
U+1910 LIMBU LETTER PA 子音[p]を表す。 p
U+1911 LIMBU LETTER PHA 子音[pʰ]を表す。 ph
U+1912 LIMBU LETTER BA 子音[b]を表す。 b
U+1913 LIMBU LETTER BHA 子音[bʱ]を表す。 bh
U+1914 LIMBU LETTER MA 子音[m]を表す。 m
U+1915 LIMBU LETTER YA 子音[j]を表す。 y
U+1916 LIMBU LETTER RA 子音[r]を表す。 r
U+1917 LIMBU LETTER LA 子音[l]を表す。 l
U+1918 LIMBU LETTER WA 子音[w]を表す。 w
U+1919 LIMBU LETTER SHA 子音[ɕ]を表す。 ś
U+191A LIMBU LETTER SSA 子音[ʂ]を表す。

現在は廃字となっており、使われていない[1]

U+191B LIMBU LETTER SA 子音[s]を表す。 s
U+191C LIMBU LETTER HA 子音[h]を表す。 h
U+191D LIMBU LETTER GYAN 子音クラスタ[d͡ʑɲ]を表す。
U+191E LIMBU LETTER TRA 子音クラスタ[tr]を表す。 tr
従属母音記号
U+1920 LIMBU VOWEL SIGN A 母音[a]を表す。 a
U+1921 LIMBU VOWEL SIGN I 母音[i]を表す。 i
U+1922 LIMBU VOWEL SIGN U 母音[u]を表す。 u
U+1923 LIMBU VOWEL SIGN EE 母音[e]を表す。 ee
U+1924 LIMBU VOWEL SIGN AI 二重母音[aɪ]を表す。 ai
U+1925 LIMBU VOWEL SIGN OO 母音[o]を表す。 oo
U+1926 LIMBU VOWEL SIGN AU 二重母音[aʊ]を表す。 au
U+1927 LIMBU VOWEL SIGN E 母音[ɛ]を表す。 e
U+1928 LIMBU VOWEL SIGN O 母音[ɔ]を表す。 o
下接子音字
U+1929 LIMBU SUBJOINED LETTER YA 子音クラスタにおける別の子音に後続する半母音としての[j]を表す。 y
U+192A LIMBU SUBJOINED LETTER RA 子音クラスタにおける別の子音に後続する半母音としての[r]を表す。 r
U+192B LIMBU SUBJOINED LETTER WA 子音クラスタにおける別の子音に後続する半母音としての[w]を表す。 w
末子音字
U+1930 LIMBU SMALL LETTER KA 末子音の[k]を表す。 k
U+1931 LIMBU SMALL LETTER NGA 末子音の[ŋ]を表す。
U+1932 LIMBU SMALL LETTER ANUSVARA アヌスヴァーラ

直後に音節が後続する子音字に付き、直後の子音と同じ調音点の鼻音が挿入されることを表す。 現在は廃字となっており、使われていない[1]

U+1933 LIMBU SMALL LETTER TA 末子音の[t]を表す。 t
U+1934 LIMBU SMALL LETTER NA 末子音の[n]を表す。 n
U+1935 LIMBU SMALL LETTER PA 末子音の[p]を表す。 p
U+1936 LIMBU SMALL LETTER MA 末子音の[m]を表す。 m
U+1937 LIMBU SMALL LETTER RA 末子音の[r]を表す。 r
U+1938 LIMBU SMALL LETTER LA 末子音の[l]を表す。 l
各種記号
U+1939 LIMBU SIGN MUKPHRENG 末子音の[ʔ]を表す[1] ʔ
U+193A LIMBU SIGN KEMPHRENG ウムラウトのような形状の記号で、子音字についてその音節を長母音で発音することを表す[1]
U+193B LIMBU SIGN SA-I 下線のような形状の記号で、末子音となる子音字に付いて直前の音節を長母音で発音することを表す。なお、この時は末子音には「末子音」小分類(U+1930-1938)は用いず、通常の子音字を用いる[1]

また、末子音の位置ではなく語中の子音字に付いた場合、その子音字を子音のみで発音して長子音であることを表す[1]

ː
U+193C (予約済み)
U+193D (予約済み)
U+193E (予約済み) .[2]
U+193F (予約済み)
U+1940 LIMBU SIGN LOO リンブー語における感嘆詞(助詞)の"lo!"を表すために用いられる[1]

現在は廃字となっており、使われていない[1]。 現在は代わりにᤗᤥ(loo)と綴られる[1]

loo
U+1941 (予約済み) ,[2]
U+1942 (予約済み)
U+1943 (予約済み)
U+1944 LIMBU EXCLAMATION MARK リンブー文字における感嘆符(!)。 !
U+1945 LIMBU QUESTION MARK リンブー文字における疑問符(?)。 ?
数字
U+1946 LIMBU DIGIT ZERO リンブー文字における数字の0 0
U+1947 LIMBU DIGIT ONE リンブー文字における数字の1 1
U+1948 LIMBU DIGIT TWO リンブー文字における数字の2 2
U+1949 LIMBU DIGIT THREE リンブー文字における数字の3 3
U+194A LIMBU DIGIT FOUR リンブー文字における数字の4 4
U+194B LIMBU DIGIT FIVE リンブー文字における数字の5 5
U+194C LIMBU DIGIT SIX リンブー文字における数字の6 6
U+194D LIMBU DIGIT SEVEN リンブー文字における数字の7 7
U+194E LIMBU DIGIT EIGHT リンブー文字における数字の8 8
U+194F LIMBU DIGIT NINE リンブー文字における数字の9 9

小分類

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このブロックの小分類は「子音字」(Consonants)、「従属母音記号」(Dependent vowel signs)、「下接子音字」(Subjoined consonants)、「末子音字」(Final consonants)、「各種記号」(Various signs)、「数字」(Digits)の6つとなっている[3]

子音字(Consonants

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この小分類にはリンブ文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

従属母音記号(Dependent vowel signs

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この小分類にはリンブ文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

下接子音字(Subjoined consonants

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この小分類にはリンブ文字のうち、子音字に更に結合して子音クラスタを形成する半母音としての子音字が収録されている。

末子音字(Final consonants

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この小分類にはリンブ文字のうち、子音字に結合してその音節の末子音を表す記号が収録されている。

各種記号(Various signs

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この小分類にはリンブ文字のうち、母音字や子音字に結合する発音記号などの様々な記号が収録されている。

数字(Digits

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この小分類にはリンブ文字で用いられる固有の数字が収録されている。

文字コード

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リンブ文字(Limbu)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+190x
U+191x
U+192x
U+193x
U+194x
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
4.0 U+1900..191C,1920..192B,1930..193B,1940,1944..194F 66 L2/02-055 Michael Everson (6 February 2002), Revised proposal to encode the Limbu script (英語)
L2/02-135 Takayuki K. Sato (9 April 2002), Comments from Limbu experts on n2339 (英語)
L2/02-136 T. B. Nembang (9 April 2002), Comments on the "Proposal to encode Limbu in the UCS" (英語)
L2/02-137 Kumar Limbu (9 April 2002), Limbu Examples (英語)
L2/03-253 Daniel Kai (13 August 2003), Lepcha, Limbu, Syloti, Saurashtra, Tai Le and Bugis Proposals (英語)
L2/03-255 Daniel Kai (13 August 2003), Introduction to the Limbu Script (英語)
7.0 U+191D..191E 2 L2/11-008 Anshuman Pandey (17 January 2011), Proposal to Encode the Letters GYAN and TRA for Limbu (WG2 N3975) (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

出典

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  1. ^ a b c d e f g h i j k Michael Everson (2002年2月6日). “Revised proposal to encode the Limbu script” (英語). Unicode. 2024年10月28日閲覧。
  2. ^ a b Takayuki K. Sato (2002年4月9日). “Comments from Limbu experts on n2339” (英語). Unicode. 2024年10月28日閲覧。
  3. ^ "The Unicode Standard, Version 15.1 - U1900.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年10月28日閲覧

関連項目

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