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リュウグウボタル属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
リュウグウボタル属
生息年代: 始新世現世
[1]
Amalda のタイプ種のタマゴボタル
分類
: 動物Animalia
: 軟体動物Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
階級なし : 新生腹足類 Caenogastropoda
階級なし : 新腹足類 Neogastropoda
上科 : マクラガイ上科 Olivoidea
: リュウグウボタル科 Ancillariidae
: ”リュウグウボタル属” Amalda H. Adams & A. Adams, 1853[2]

リュウグウボタル属は、リュウグウボタルが分類される属に与えられる和名。従ってリュウグウボタルがどの属に分類されるかで「リュウグウボタル属」の名が指す属も変わり、下記の複数の属がリュウグウボタル属と呼ばれることがある。

  • Ancilla("シナモンリュウグウボタル属")
  • Baryspira("ゴウシュウボタル属")
  • Amalda("タマゴボタル属")

概要

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最初に「リュウグウボタル属」の和名を提唱したのは平瀬與一郎(1909)[3]で、そのときはリュウグウボタルの学名を Ancilla rubiginosa としたうえで、その属 Ancilla(タイプ種は Ancilla cinnamomea Lamarck, 1801 シナモンリュウグウボタル)に対しリュウグウボタル属の和名を与えた。

しかし20世紀後期になるとAmalda (タイプ種は Ancillaria tankervillii Swainson, 1825 タマゴボタル)をリュウグウボタル属と呼ぶ例が認めらる(二宮(1988)[4]など)。さらに肥後・後藤(1993)[5]はリュウグウボタルの学名を Baryspira rubiginosa albocallosa とし、Baryspira Fischer, 1883(タイプ種は Ancillaria australis G. B. Sowerby I, 1830 ゴウシュウボタル)に「リュウグウボタル属」の和名を使用している。

2023年現在ではリュウグウボタルが Amalda 属に分類されることが多いため、Amalda 属がリュウグウボタル属と呼ばれることが多いが、リュウグウボタル属という和名のみでは具体的にどの属を指すのかは事実上わからない。

Amalda

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以下は2023年現在リュウグウボタル属と呼ばれることが多い Amalda 属について説明する。この属のタイプ種はタマゴボタルである。 リュウグウボタル属こと Amalda は、日本南半球の大陸や島嶼の沿岸に生息する巻貝である。マクラガイ属(Oliva)と同様に砂底に棲んで二枚貝などを食べるが、分布する海域や深度、貝殻の形や蓋の有無などがマクラガイ属とは異なり、リュウグウボタル科(Ancillariidae)に分類される。高さ約6cm以下の紡錘形の貝殻をもち、殻口は殻長の半分程度開き、殻長の残り半分は螺塔が伸びる。螺塔は滑層に覆われる[6]。ただし殻の高さはリュウグウボタルでも9cmを超えるものがある。また殻口にくらべて小さい蓋を持つ[7][8]とされるが、タケノコボタルほか殻口とほぼ同大の蓋をもつ種も多い。マクラガイ属と共通の特徴としては、腹足がとても広がって貝殻の側面も覆い、水管を前方に突き出して進む[9]。歯舌は尖舌型(stenoglossate)[10]で中歯は3歯尖[11]

分布

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南半球の大陸の南東岸に集中しているほか、東南アジアから日本にかけて局在している[12][13]。原殻や卵の観察より拡散海域は比較的狭く、ゴンドワナ大陸の分裂やテチス海の消滅と相関があると考えられる[14]

種類

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二宮泰三らによりオーストラリア産を中心に登録された多数の新種を含む、多くの種が知られている。  

リュウグウボタル類は、かつてはマクラガイ科(Olividae)に含められていたが[11]、現在ではリュウグウボタル科(Ancillariidae)に分類されるようになった[2]。この科にはリュウグウボタル属(Amalda)のほかにホザキリュウグウボタル属(Ancillus)が含まれる。

脚注

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出典

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  1. ^ Michaux 1991, p.140
  2. ^ a b WoRMS 2018 Amalda”. WoRMS. 2022年10月21日閲覧。
  3. ^ 平瀬與一郎 (1909-03). “本邦海産介類図説(二十六)”. 介類雑誌 (3): 77-84, pl. 81 (p.78). 
  4. ^ a b c d 二宮 1988
  5. ^ 肥後俊一・後藤芳央 (1993). 日本及び周辺地域産軟体動物総目録. 八尾市: (株)エル貝類出版局. pp. 693+13+148 (p.245) 
  6. ^ 佐々木 2010, p.157
  7. ^ a b c 間嶋ら 1993
  8. ^ 佐々木 2010, p.160
  9. ^ iNaturalistAmalda”. iNaturalist. 2022年10月23日閲覧。
  10. ^ 佐々木 2010, p.217
  11. ^ a b 波部 1967, p.89
  12. ^ Michaux 1991, p.141
  13. ^ gbif Amalda gbif 2302812 Amalda”. GBIF_Denmark. 2022年10月21日閲覧。
  14. ^ Michaux 1991, p.147
  15. ^ a b c d e 二宮 1991
  16. ^ a b c 二宮 1987
  17. ^ a b c 奥谷 2004, p.172-173
  18. ^ a b c d e 二宮1990
  19. ^ a b c NMR Ancillariidae Ancillariidae”. Natural History Museum Rotterdom. 2022年10月21日閲覧。
  20. ^ a b c d e f g h i j 二宮 1991

参考文献

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外部リンク

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