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マクラガイ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
マクラガイ属
生息年代: 始新世現世
[1]
Lettered olive ユメマクラ
分類
: 動物Animalia
: 軟体動物Mollusca
: 腹足綱 Gastropoda
階級なし : 新生腹足類 Caenogastropoda
階級なし : 高腹足類 Hypsogastropoda
階級なし : 新腹足類 Neogastropoda
上科 : マクラガイ上科 Olivoidea
: マクラガイ科 Olividae
亜科 : マクラガイ亜科 Olivinae
: マクラガイ属 Oliva Bruguière, 1789[2]

マクラガイ属マクラガイ科に属する巻貝。貝殻は高さ約5cm以下の円筒形ないし紡錘形で、光沢があって美しい。

遺伝子系統

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マクラガイ属関連の遺伝子系統分岐図の一例を下に示した[3]

Amalda リュウグウボタル属など、水深10-300m

マクラガイ科 

Caliptoliva

Agaronia オオクチマクラ、西アフリカ

Olivella ホタルガイ

マクラガイ属 

Oliva sayana ユメマクラガイフロリダノースカロライナ; 大西洋北限の種

Oliva spicata メキシコパナマ西岸産、水深20-30m

Oliva nitidula 西太平洋、螺塔が高い。以下はインド太平洋

Oliva lacanientai ニューカレドニア

Oliva mantichola マダガスカル

Oliva amethystine フィリピン

Oliva semmelinki パプアニューギニア、水深80m、螺塔が高い

Oliva parkinsoni ソロモン諸島、螺塔が高い

Oliva leonardhilli マダガスカル、螺塔が高い

Oliva chrysoplecta フィリピン

Oliva rufofulgurata パプアニューギニア

Oliva bailayi ソロモン諸島

Oliva dubia フィリピン、水深70m

Oliva hirasei 台湾、軸唇に螺溝

Oliva concarvaspira 台湾、軸唇に太い螺溝

Oliva todosina インド洋-西太平洋、軸唇に螺溝

マクラガイ 日本、軸唇に螺溝、螺塔は微小; 太平洋北限の種

Oliva caloriniana 南アフリカ

Oliva sericea 西太平洋

Oliva miniacea ジュドウマクラ、西太平洋          

Oliva carneola 西太平洋、やや丸く太い

Oliva oliva インド洋-西太平洋

Oliva 
Olividae 

分布

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K-Pg境界以後に出現した比較的新しい部類の種族で[1]、主に熱帯インド太平洋を中心とした浅海の砂底に生息するが、パナマ地峡が閉じる前から周辺に分布していたことからアメリカ大陸熱帯域の両岸にも生息する[4]インド太平洋では佐渡以南[5]、アメリカ大陸大西洋沿岸ではノースカロライナ以南に分布する[6]

種類

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主な種として以下が知られている[7][5][8]。産地の国名を記した種はロッテルダム自然史博物館の標本による[4]。なお※印を付した種は遺伝子系統未確認。  

生態

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潮間帯から浅い海の砂底に少しもぐって棲み、二枚貝キサゴや小さい甲殻類を広い足で抱き込んで砂中に引きずり込んでゆっくりと食べる。死肉に群がることもある。嗅覚で獲物を感知し、砂底に半分潜りながら広い足を前後に伸縮させて比較的速く移動する。その際、砂上に痕跡を残す。水管を前方上方に突き出す。蓋はもたない[18][16]。他の小動物が豊富に棲むきれいな砂底でくらすため、近年減少して準絶滅危惧種に指定される場合がある[19]。  

貝殻

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砂底でもぐったり移動したりしやすいように、円筒形または紡錘形。螺塔は尖るが高くなく、日本産のマクラガイではほとんど出ない個体もある。従って開口部・体層の幅は殻の高さに近い[19]。殻頂付近の螺層縫合部は凹んで溝になる種が多い。この溝は開口部外唇の上端から始まるため、上端にV字型の切込みが見られる種がある。開口部は弱く開き外唇は厚いが、内側の軸層は成長にともなって再吸収されるため薄い[20]台湾産の種では軸唇に多数の螺溝が刻まれる。タカラガイのように広い足で側面がおおわれるため、殻の表面は平滑で光沢があって、殻皮はない。前端(下端)に水管溝はなく、水管を出す開口部下端は凹んで背側に斜めに開く。模様や色彩は変化に富み美しい。外唇部内面が淡い紫色や橙色を帯びた種がある[5]

出典

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  1. ^ a b Oliva”. fossilworks. 2022年10月9日閲覧。
  2. ^ Olividae”. WoRMS. 2022年10月9日閲覧。
  3. ^ Yu. I. Kantor, A. E. Fedosov, N. Puillandre, C. Bonillo and P. Bouchet (2016). “Returning to the roots: morphology, molecular phylogeny and classification of the Olivoidea (Gastropoda: Neogastropoda)”. Zoological Journal of the Linnean Society 180: 493-541. 
  4. ^ a b Olividae”. Natural History Museum Rotterdom. 2022年10月9日閲覧。
  5. ^ a b c 奥谷喬司『世界文化生物大図鑑『貝類』 p.172』世界文化社、2004年。ISBN 4-418-04904-5 
  6. ^ a b c “Seashells of North Carolina” Hugh J. Porter & Lynn Houser p.88 Olividae UNC-SG-97-03. (1994) 
  7. ^ 波部忠重・小菅貞男 (1966). 原色世界貝類図鑑(II)熱帯太平洋編 p.70. 保育社 
  8. ^ a b c d e f Olividae”. 微小貝データベース. 2022年10月9日閲覧。
  9. ^ Oliva (Annulatoliva) annulata (Gmelin, 1791)”. gbif. 2022年10月10日閲覧。
  10. ^ カネコマクラ”. 微小貝データベース. 2022年10月10日閲覧。
  11. ^ Cob Z.C., Samat A., Muda W.M.L.W., Mazlan A.G. (2012). “Preliminary checklist of marine invertebrate fauna within the intertidal of Teluk Penyabong and Teluk Gorek, Mersing, Johor, Malaysia”. Journal of Tropical Marine Ecosystem 1: 1-14. https://spaj.ukm.my/ekomar/jtme/article/view/19. 
  12. ^ クチグロマクラ”. 微小貝データベース. 2022年10月10日閲覧。
  13. ^ Oliva intricata”. WoRMS. 2022年10月9日閲覧。
  14. ^ エミマクラ”. 微小貝データベース. 2022年10月10日閲覧。
  15. ^ Oliva nivosa”. Meta. 2022年10月9日閲覧。
  16. ^ a b Olive snail”. Neo Mei Linらwildsingapore. 2022年10月9日閲覧。
  17. ^ Oliva osawanoensis”. 京都大学総合博物館. 2022年10月9日閲覧。
  18. ^ a b E. & Ev. Marcus (1959). “Studies on Olividae”. Bol. Fat. Filos. Cienc. Let. Univ. Slo Paulo Ser. Zool. 22: 99-188. https://www.revistas.usp.br/bffclzoologia/article/download/120324/117463. 
  19. ^ a b 愛知県準絶滅危惧マクラガイ”. 木村昭一ら. 2022年10月9日閲覧。
  20. ^ 佐々木猛智 (2010). “新腹足目”. 貝類学. 19. 東京大学出版会. pp. 86-183. ISBN 978-4130601900. http://www.um.u-tokyo.ac.jp/hp/sasaki/04-Sasaki-publications/text/JB009-Sasaki-2010-1-6.htm 

 

外部リンク

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