ユク・ホイ
出身校 | |
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学派 | 現代哲学、大陸哲学、中国哲学 |
研究機関 | 香港城市大学 |
研究分野 | 技術哲学、哲学史、テクノロジー史、サイバネティクス |
博士課程指導教員 | ベルナール・スティグレール |
公式サイト |
digitalmilieu |
ユク・ホイ(英: Yuk Hui, 繁: 許煜, 粤拼: heoi2 juk1)は、香港出身の哲学者[1]。
経歴
[編集]2003年に香港大学でコンピュータ工学の学士号を取得後、イギリスのロンドン大学ゴールドスミス・カレッジで2007年に文化理論の修士号、2011年に哲学の博士号を取得[2]。博士論文指導教員はベルナール・スティグレール[2][3][4]。その後研究員として、フランスでスティグレールが創設したポンピドゥー・センターリサーチ&イノベーション研究所に勤務した後[3][5]、ドイツでテレコム・イノベーション研究所に勤務[5]。2020年にロイファナ大学リューネブルクで技術哲学の大学教授資格(ハビリタツィオン)を取得[2]。
2010年から大学教員として活動[5]。ゴールドスミス・カレッジやロイファナ大学のほか、バウハウス大学ワイマール、モスクワのストレルカ研究所、杭州市の中国美術学院、香港城市大学、エラスムス・ロッテルダム大学などで教鞭を執る[5][2]。
2014年から「哲学と技術のリサーチ・ネットワーク」(英: Research Network for Philosophy and Technology)を主宰[6]、スティグレールのほか東浩紀や石田英敬が学術委員として所属する[7]。バーグルエン賞の審査委員でもあり[8]、2022年には同委員の汪暉とともに、柄谷行人をノミネートした[9]。
思想
[編集]ハイデガーやシモンドン、スティグレールを踏まえた大陸系技術哲学をはじめ、情報学のオントロジー論、サイバネティクス論、ジョセフ・ニーダムの中国科学史論、諸子百家から新儒家に至る中国哲学、日本の京都学派などを扱っている[4][10]。ニック・ランドらが説く「中華未来主義」を批判している[11]。
著作(日本語訳)
[編集]著作は日本語を含め10以上の言語に翻訳されている[12]。
- The Question Concerning Technology in China: An Essay in Cosmotechnics, Falmouth: Urbanomic, 2017.
- 伊勢康平 訳『中国における技術への問い 宇宙技芸試論』ゲンロン〈ゲンロン叢書〉、2022年8月、ISBN 978-4907188467
(2023年紀伊國屋じんぶん大賞第10位[13]。底本は2018年第2版[14]。中島隆博解説)
- 伊勢康平 訳『中国における技術への問い 宇宙技芸試論』ゲンロン〈ゲンロン叢書〉、2022年8月、ISBN 978-4907188467
- Recursivity and Contingency, London: Rowman and Littlefield, 2019.
- 原島大輔 訳『再帰性と偶然性』青土社、2022年2月、ISBN 978-4791774463
- Art and Cosmotechnics, Minneapolis: University of Minnesota Press, 2021.
- 伊勢康平 訳『芸術と宇宙技芸』春秋社、2024年8月、ISBN 978-4393341230
その他、『ゲンロン』や『現代思想』に著作やインタビューの日本語訳がある[12][15]。
脚注
[編集]- ^ 『中国における技術への問い 宇宙技芸試論』著者略歴
- ^ a b c d 『再帰性と偶然性』訳者あとがき、415頁。
- ^ a b ユク・ホイ著 伊勢康平訳 (2020年8月9日). “ベルナールの思い出”. Research Network for Philosophy and Technology. 2023年1月22日閲覧。
- ^ a b 石田英敬 (2022年8月31日). “【書評特別篇】宇宙を狂気から救う哲学──ユク・ホイ『再帰性と偶然性』評|石田英敬”. webゲンロン|考えるを育てる. 2023年1月22日閲覧。
- ^ a b c d “Yuk Hui Biography”. www.digitalmilieu.net. 2023年1月22日閲覧。
- ^ 『再帰性と偶然性』著者略歴
- ^ “学術委員一覧”. Research Network for Philosophy and Technology. 2023年1月22日閲覧。
- ^ “特別講義「戦争と機械」講師:ユク・ ホイ(香港シティ大学准教授) | 東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科アートプロデュース専攻” (2022年5月12日). 2023年1月22日閲覧。
- ^ “なぜ柄谷行人は賞金1億円超の哲学賞を受賞したのか─哲学誌「ノエマ・マガジン」編集長に聞いた | 「柄谷は、さまざまな境界を越える独創的な思想家」”. クーリエ・ジャポン (2023年5月31日). 2023年6月2日閲覧。
- ^ 『中国における技術への問い 宇宙技芸試論』中島隆博解説
- ^ “中国の「爆速成長」に憧れる〈中華未来主義〉という奇怪な思想(水嶋 一憲) @gendai_biz”. 現代ビジネス. 2023年1月23日閲覧。
- ^ a b 『再帰性と偶然性』訳者あとがき、416頁。
- ^ “【紀伊國屋じんぶん大賞2023】読者と選ぶ人文書ベスト30”. 紀伊國屋書店 - 本の「今」に会いに行こう. 2023年1月22日閲覧。
- ^ 『中国における技術への問い 宇宙技芸試論』凡例
- ^ ユク ホイ | CiNii Research all 検索
外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- Yuk Hui (@digital_objects) - X(旧Twitter)