ムクゲネズミ
ムクゲネズミ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Craseomys rex (Imaizumi, 1971)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ムクゲネズミ[5] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Hokkaido red-backed vole[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
亜種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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ムクゲネズミ(尨毛鼠、学名 Craseomys rex)は、齧歯目キヌゲネズミ科タイリクヤチネズミ属に属するネズミの1種。
分布
[編集]北海道の日高山脈、大雪山、天塩山地、北見山地、後志火山性台地、羊蹄山、渡島半島、利尻島、礼文島、色丹島、歯舞諸島の志発島に分布する。また、サハリン南部にも分布する。
形態
[編集]利尻島産の成体が、頭胴長が112-143mm、尾長が44-60mm、後足長が20-22.4mm、体重が33-62gになる。天塩産の個体だと、頭胴長が97-137mm、尾長が46-62mm、後足長が19.6-22.2mm、体重が42-78gになる。体毛の背面は、暗い黄褐色もしくは暗褐色になり、エゾヤチネズミのような赤褐色帯がないか不明瞭になる。
生態
[編集]北海道本島では、標高20mの河畔地から1,900mの山稜線部の二次林を含んだ天然林、造林地などに生息する。利尻島や礼文島では、ササや草本の原野や、それらが侵入した放棄耕地などにも生息する。エゾヤチネズミが生息する場所では、ササが密生したところにはエゾヤチネズミが生息し、ササと草本が混生する林床に本種が生息して棲み分けている。
分類
[編集]1971年に、利尻島産標本をタイプ標本として、リシリムクゲネズミ Clethrionomys rexとして新種記載された[2]。続いてミヤマムクゲネズミ Clethrionomys montanus が1972年に北海道本島の日高山脈の標本で新種記載された[4]。その後の分類検討で両種は区別できず、現在は同一種とされる[3][6]。
環境省レッドリストでは、リシリムクゲネズミ Myodes rex rexとミヤマムクゲネズミ Myodes rex montanusの2亜種に分けているが[7]、亜種を分けない説もある[3]。
なお、本種を含むヤチネズミ類の所属については混乱がある[8]。初期にヤチネズミ属の学名として使用されてきたClethrionomysは、学名の先取権によりMyodesに変更された[3][8]。さらに、ヤチネズミ属Myodesからタイリクヤチネズミ属Craseomysが分けられ、本種は後者に属するとされるようになった[1][5]。2019年にはMyodesをレミング属Lemmusのシノニムとする説が提唱され、ふたたびClethrionomysが有効名とされている[9][10]。
種の保全状況評価
[編集]- Craseomys rex (= Myodes rex) ムクゲネズミ Hokkaido red-backed vole
- LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[1]
- 北海道版レッドデータブック -希少種(Clethrionomys rex として選定)
関連項目
[編集]脚注
[編集]- ^ a b c d e f Laginha Pinto Correia, D. 2016. Myodes rex. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T39591A22373239. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-1.RLTS.T39591A22373239.en. Accessed on 26 April 2023.
- ^ a b Imaizumi, Y. (1971). A new vole of the Clethrionomys rufocanus group from Rishiri Island, Japan. Journal of the Mammalogical Society of Japan, 5(3), 99-103.
- ^ a b c d Guy G. Musser, Michael D. Carleton, “Superfamily Muroidea,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 2, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 894-1537.
- ^ a b 今泉吉典「日高の陸棲哺乳類 とくに固有のヤチネズミ類とその起源について」「国立科学博物館専報』第5号、 国立科学博物館、1972年、131-149頁。
- ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・鈴木聡・押田龍夫・横畑泰志「世界哺乳類標準和名リスト2021年度版」日本哺乳類学会、2021年12月24日公開、2023年4月26日閲覧。
- ^ 金子之史・村上興正「日本産齧歯類(野鼠及び家鼠)の分類学史的検討」『哺乳類科学』第36巻 1号、日本哺乳類学会、1996年、109-128頁。
- ^ a b c 金子之史 「リシリムクゲネズミ」「ミヤマムクゲネズミ」、環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室 編『レッドデータブック2014 -日本の絶滅のおそれのある野生動物-1 哺乳類』ぎょうせい、2014年、81頁。
- ^ a b 本川雅治・下稲葉さやか・鈴木聡「日本産哺乳類の最近の分類体系 ―阿部(2005)とWilson and Reeder(2005)の比較―」『哺乳類科学』第46巻 2号、日本哺乳類学会、2006年、181-191頁。
- ^ Boris Kryštufek, Alexey S. Tesakov, Vladimir S. Lebedev, Anna A. Bannikova, Nataliya I. Abramson & Georgy Shenbrot (2019), “Back to the future: the proper name for red-backed voles is Clethrionomys Tilesius and not Myodes Pallas,” Mammalia, Volume 84, Issue 2, Pages 214-217.
- ^ 谷戸崇・岡部晋也・池田悠吾・本川雅治「Illustrated Checklist of the Mammals of the Worldにおける日本産哺乳類の種分類の検討」『タクサ:日本動物分類学会誌』第53巻(号)、日本動物分類学会、2022年、31-47頁。
参考文献
[編集]- 小宮輝之 『日本の哺乳類』 学習研究社<フィールドベスト図鑑>、2002年、P20
- 金子之史 阿部 永 監修 『改訂2版 日本の哺乳類』 東海大学出版会、2008年、P126
- 金子之史 『ネズミの分類学』 東京大学出版会、2006年
外部リンク
[編集]- Myodes rex- 2007 IUCN Red List of Threatend Species.
- Myodes rex- Mammal Species of the World, 3rd edition.
- Clethrionomys rex (環境省絶滅危惧種情報 by 生物多様性情報システム J-IBIS)